〔PICK UP〕ANA Boeing 767-300/ER(76E)

 
ANA Boeing 767-381/ER JA627A 鹿児島空港にて 
 
 ANAでは現在、旅客機として15機のBoeing 767-300/ERが活躍している。15機のうち、9機は国内線用、6機が国際線用機材である。国内線ではおもに中規模路線を中心に運用されており、大きな空港のほか、仙台、広島、高松、熊本、鹿児島などの地方空港と羽田を結ぶ路線でよく見かける機材である。一方、国際線機材は、韓国・中国方面の路線を中心に運用されている。さらに感染症禍に見舞われた2020年以降は、国内線の兼務機としても活躍。最近では、同社が保有するAirbus A321neoに搭載されたプラット・アンド・ホイットニー社製のエンジンの点検・交換に伴う代役として、普段A321が使用されている国内線路線に多く投入されており、普段あまりBoeing 767-300を見かけない空港でも見かける機会が増えている。
 国際線機材は主翼端にウイングレットを装着しているため、見た目でも判別することができる。国内線機材と国内線機材では、座席数も座席構成も全く異なるため、国内線の予約サイトにおいても、国内線機材は76P、国際線機材は76Eと区別されている。国内線機材はプレミアムクラス10席、普通席260席の計270席なのに対し、国際線機材はビジネスクラス35席、普通席167席の計202席配置となっている。国際線機材は、主翼の前方あたりまでビジネスクラスとなっていて、機内の半分程度がビジネスクラス区画である。このビジネスクラスは、国内線で運用される際には、プレミアムクラスとして運航されている。現在、点検整備のため運航数が減っているAirbus A321は計194席となっており、座席数としてはほぼ同じ席数だが、機体のサイズは一回り大きい。したがって、それだけコストは増加するはず。客室乗務員の数もA321が4名に対し、B763は6名必要である。しかし、利用者目線で見れば、プレミアムクラスへのアップグレードがしやすく、ワイドボディー機で2+3+2列配列となっていることから、ナローボディーのA321に比べれば、窮屈さを感じないという利点もある。国際線機材は6機しかない希少機材だが、兼務機として、短距離の国際線と中小需要の国内線の運航を支えている。