【管理人室】モノより目的あるコトにお金を使う

2020年。世界が混沌とするなかで、どこにも行けなくなったとき、その反動からかモノをそれまでよりも多く買うようになったのを覚えています。旅に出れない不満をモノを買うことで解消しようとしていました。それまで当たり前に出かけていたのが、周囲の旅行に対する風当たりは強くなりましたから、ストレスが相当溜まっていたというのも正直なところです。この時を含めて、以前は旅費もモノを買うお金もあまり区別せずに支出していました。しかし、2年の月日が経って、旅行に行く機会が再び多くなったことで、どうせ使うならモノよりコトにお金を使いたいと思うようになり、今は、モノは最低限の消費として買うに留め、目的をもって旅行に出かけるようにしています。それもこれも2020年に体験した「モノを買っても幸福度は大して変わらない」という体験をしたことが大きな転機になりました。
よくミニマリスト関係の書籍でも書かれていますが、モノを買ったときの幸福度は買った瞬間・手にした瞬間が最高で、そこからは右から下がりに落ちていき長続きしないと言います。さらに、新しいものに目移りし、次のモノが欲しくなる。その一方で、今手元にあるモノの代わりとなるモノを買っても、捨てられず、家の中がモノにあふれてしまう。そういう悪循環の原因となるそうです。また、10年前に買ったものを思い出せと言われても、よほど大きな買い物でない限り覚えてないでしょう。
一方、コトの記憶は何年でも覚えていて、ふと思い返すとその当時の出来事やハプニングを思い返して幸せな気持ちにしてくれるものです。自分も子どもの頃に連れて行ってもらった旅行の記憶は今でも鮮明に覚えていて、電車に乗り間違えそうになったハプニングをたまに思い返しては笑い、そうした思い出を家族や友人と共有して懐かしんだりする機会も多くあります。現在も頻繁も旅行に行きますが、一つ一つの旅行のことを思い出すと、とても幸せな気持ちになります。ハプニングで追加の出費がかさんだとしても、しばらく経てば話のネタになったりして、決して無駄なものではなくなります。マップのピンがいろんなところに刺さっていて、一つ一つに思い出詰まっている。そんなイメージで各地に様々な思い出があり、思い返すとキリがありません。
モノとコトではお金を使って手にしたときの幸福度の持続性が異なり、コトの方が幸福度は長続きし、そして反復することができます。旅の一つ一つに目的を持たせることで、経験という自己投資の意味合いも持たせることができます。将来的にこの経験が仕事に役立たせることもでき、旅の道中の出会いや発見が新しい道を作ってくれる可能性もあります。2020年はモノ、2021年はコトへのお金を使い、ある意味真逆なことをやっていました。その結果、私は使うならコトに重点的にお金を使おうと決心しました。
2020年に買ったものは今はもうほとんど捨ててしまって手元にはありません。消耗品以外のモノを買うのをやめて、さらにそれまで溜まっていたモノを捨てることにも着手しました。どうせ休みの日は出かけることが多く、そんなに家にいませんから、モノがあっても使いませんし、モノがない方が休日片付ける時間が必要ないので、出かけたがりな自分にはもってこいです。
そうしてコトにお金を使える環境を整備したのですが、一方でコトにお金を使うにしても、コトの消費にはならないように気を付けています。そのために旅の一つ一つに目的を作るようにしています。なんとなくの気分で行くのではなく、こういうことが知りたいと目的をもって旅行を計画・実行することで旅する意義を何倍にも大きくできるのではないでしょうか。
コロナ禍と言われる世の中も時間をかけてゆっくりと変わり、以前と変わったこともあれば、また元に戻ろうとしていることもあります。2020年は確かに旅行には行けず、各地を旅して得られる経験は少なかったのですが、旅する意義について一旦立ち止まり考えなおすきっかけを作ってくれたように思います。