【管理人室】趣味は誰のためにやっているのか

今回は、趣味は誰のためにやっているのかについてです。
趣味はおそらく大半の人が、自分の楽しみとしてやっているのではないでしょうか。私もその一人です。しかし、個人が情報発信することが当たり前となった現代では、一歩間違うと、人を満足させることが自分の趣味になってしまうことがよくあります。
SNSはアテンション・エコノミーを動かす媒体です。いかに多くの人の目を惹きつけるかがとても大事とされます。投稿者として、閲覧数が増えたり、いいねをたくさんの人からもらうのはうれしいことです。しかし、それにこだわりすぎると、いつの間にか趣味が閲覧数やいいねのためのネタ集めになってしまいます。趣味を全力で楽しむためにも、何のため、誰のために趣味をやっているのか、時々立ち止まって考えなければならないように思います。趣味は言い換えると、自分で自分を楽しませる活動です。情報発信のネタを収集する活動ではないのです。
私もこのブログをはじめる前に、別のブログをやっていました。今思い返すと、そのブログも終盤の方では、閲覧者を増やすことが目的になって、自分の趣味がブログのためのネタ集めになっていました。まさに趣味が自分のためではなく、人のためになってしまったのです。
このブログは今はもうありませんが、趣味とは何なのかを考えるきっかけになりました。自分のために自分の趣味をやろうと思うようになったきっかけでした。
昨今、鉄道ファンのマナー問題が取り上げられることがよくありますが、趣味を楽しむ人が、"いいね"や閲覧数を競い合い、いかに他人を満足させるかばかりを気にしているということが背景にあるのではないでしょう。
また、SNSの台頭は、より一層、趣味を楽しむ人たちを、投稿するためのネタ集めに引き込んでいるような気がしてなりません。
今から15年ほど前は、個人ブログが流行っていました。それぞれの趣味を楽しむ人たちが、それぞれのやり方で自分の趣味を発信していた時代がありました。SNSの台頭で、個人ブログはそれに取って代わられて、ブログという媒体も、便利記事ばかりになってしまいました。いかにインパクトのあるサムネで閲覧者数を増やすかとか、いかに検索エンジンの上位に掲載させるか、いかにいいねを稼ぐかというウェブマーケティングが、個人の情報発信でも重要視されています。
個人ブログが流行った時代は、同じプラットフォームを使いながらも、いろんな観点から、趣味についての情報発信がなされていました。その人の趣味の楽しみ方が見えると、その人の趣味観や世界観を垣間見ることができました。それぞれのやり方で趣味を楽しむ人の世界観が染み出ていたのが、ブログというものだったと思います。その点、SNSはどこか味気なく、趣味を楽しむ人の個性や世界観が見えにくくなっているような気がします。
いかに閲覧者の視線や興味を惹かせるかが大事とされる現代の情報発信ですが、何も考えていないと、アテンション・エコノミーを提供する側の策に、情報を提供する側も、閲覧する側も、いつの間にかハマってしまいます。時々立ち止まって、何のために趣味をやっているのか、考える必要があるように思います。
YouTuberをはじめとして、その情報発信を収益を生む事業としてやるのであれば、マーケティングは必要でしょうし、適切なネタを提供することも大事でしょう。しかし、収益化を目指していない個人の情報発信は、もう少しゆるく、何の役にも立たないことでもいいのではないかと思っています。正直、自分の趣味なんて基本誰も興味がありません。それでいいねを稼ごうとすれば、趣味がネタ集めになってしまうのも、半分必然です。閲覧数やいいねの数で自分を満足させるのではなく、自分が自分のために趣味を行い、それに満足できるようになっていくことが、大事なのではないでしょうか。情報発信はそのお裾分け程度で十分だと私自身はそう思っています。