【過去旅回想】2019年6月 はじめての東北日帰り旅

東北地方への一歩目

 2019年6月、この時は東京の京王線沿線に住んでいて、都内から東北本線、磐越東線、常磐線で周遊する初めての東北地方への旅に出かけた。それまで一度も東北地方・北海道地方を訪れたことがなかったため、この旅はその当時までに企画した旅の中で最も北へ行った旅だった。東北地方の鉄道路線は3年後の2022年秋から本格的に巡り始めているが、そんな東北地方の鉄道路線巡りの第一歩を踏み出した思い出の旅になっている。

当時の旅程

旅行当日使用したきっぷ
※乗車券の経路の大宮-新幹線-郡山区間は、実用上は東北本線経由でも使えるが、実際に旅した経路とは異なっている(東北本線経由で発券をお願いしたが、この経路で発券された)
 
東京-[東北本線(上野東京ライン)普通]-宇都宮-[東北本線普通]-黒磯-[東北本線普通]-新白河-[東北本線普通]-郡山-[磐越東線普通]-いわき-[常磐線他特急ひたち]-品川-[京浜東北線]-大井町

東京から東北本線を下りはじめての福島県へ

 東京駅から東北本線の宇都宮行きに乗車して宇都宮へ。東京-宇都宮間では普通列車のグリーン車を利用した。東北本線は日暮里-赤羽間で通称京浜東北線が走行する田端ルートと、通称上野東京ライン(宇都宮線)が経由する尾久ルートの2経路があるが、このうち尾久を経由するルートは初めての乗車だった。東京-宇都宮間の所要時間はおよそ1時間50分。大宮を出ると次第にのどかな景色へと景色も移り変わっていった。
 
 宇都宮駅では205系の普通黒磯行に乗車。当時はまだE131系は登場しておらず、東北本線の宇都宮~黒磯間の普通列車は205系が主体だった。黒磯発着の東京方面への普通列車も当時は残っていて、いつかは乗ってみたいなと思っていたが、2022年3月のダイヤ改正で全列車がE131系に統一され、結局乗車できずじまいだった。205系にはこの2年後にも日光線で乗車しているが、それ以降栃木県を訪れていないので、まだこのエリアを走るE131系とは対面していない。
 宇都宮までの景色もだいぶ長閑だったが、ここから先はさらにのどかになっていく。東北道の渋滞の名所として知られる矢板や、那須高原の玄関口である那須塩原という地名を聞くと、いよいよ東北が目前に迫ってきたなという実感があった。
 
 黒磯駅では少々駆け足で、個人的な東北地方への一番列車となる普通新白河行に乗車した。黒磯駅は2018年の年始まで駅構内で直流と交流が切り替えられる形で混在する駅だったが、デッドセクションが駅の新白河駅方に新設される形で、直流化された。かつてはこの駅にも仙台・福島エリアで活躍する701系やE721系が来ていたが、直流化により来なくなり、代わりに現在は交直流車両であるE531系での運行が行われている。2019年時点ではE531系とキハ110系での運行が行われていたが、乗車した列車はE531系での運転だった。(写真は新白河駅)
 青春18きっぷシーズンであれば、結構混雑するらしく、黒磯ダッシュという言葉もあるくらいだが、この日は梅雨時期で雨が降っていたため、乗客もそこまで多くなく、そんなに急がなくても十分座ることができた。ここからは白河へ向けて峠を越えていく。豊原と白坂の間で列車は栃木県から福島県へ。これが初めて東北地方に足を踏み入れた瞬間だった。

東北地方で初めて降り立った新白河駅と東北の電車との出会い

 新白河駅では乗り換えに少々時間があったので、駅の外へ出てみた。ここが記念すべき人生初改札外へ出た駅となった。白河の関で有名な白河。今も昔も変わらない東北の玄関口となる街で、黒磯駅直流化以降は、東北本線を使って、関東と東北を行き来する際必ず乗り換えで降り立つ駅になっている。改札口とホームに降りる階段との間にドアがあった。東北らしい装備だなと思った。2022年以降、何度もこのあたりを新幹線や飛行機で通っているが、ほんとに白河を境に天気が変わることが多く、ほんとに関東と東北の境目なんだなといつも思う。
 
 新白河駅からは普通列車の郡山行きに乗車。ここでもまた人生初めて東北の在来線車両と初めて対面した。これまで鉄道雑誌で何度も見たことがあった701系をはじめて目の前にしたときの喜びは今でも忘れない。はじめての東北を走る車両に揺られ、郡山へ移動した。
 
 新白河から40分で終点の郡山に到着。隣には磐越西線のE721系が停車していて、仙台・福島エリアを支える2形式の並びを撮影することができた。当然E721系とも初対面だった。この旅の後も何度か仙台・福島エリアには行っているが、未だE721系には乗車したことがない。どちらかというとE721系の方に乗りたいと思っているのだが、乗車しようとする列車はいつも701系に当たってしまう。北海道でも733系や735系に乗りたいと思っているが、いつも721系が来る現象が発生している。東京から下ってきた東北本線とはここでお別れ。郡山では東北本線から磐越東線へと乗り換えた。北へ進んで「下り」になるのも当時、全く慣れなかったが、正直今も慣れていない。
 
 郡山駅でも乗り換えの合間で一端改札外へ。郡山は福島県で一番大きな街。東北地方全体で見ても仙台市に次ぐ規模を誇る。そのため、駅前もとても栄えていた。2021年に北海道で網走駅へ行くまでの間、この駅がしばらくの間、自分が行った駅の中で最も北に位置する駅だった。なお、郡山以前は新潟県の直江津駅が最北だった。郡山駅には2023年秋に再訪しており、今後も水郡線と磐越西線に乗車しにもう一度訪れる予定である。
 

磐越東線といわき周辺を走る列車たち

 郡山からは磐越東線に乗車して、いわきへ向かった。東北地方で初めて乗車した磐越東線は、福島県内の中通りと浜通りを結ぶ唯一の鉄道路線。とはいえ現在は並行して磐越道が開通しているため、わざわざ鉄道を選ぶ人は少なく、乗客が多いのも郡山近郊の船引あたりまでとなっている。船引までは部活帰りのの高校生の姿が多かったが、その先は車内の乗客も少なくなり、小野新町からは峠を越えていわきへ。小野新町から小川郷の間は結構な山の中を走っていく路線だった。
 終点のいわき駅は福島県の浜通りの最大都市。人口は郡山に次ぎ、東北地方で第3位の都市である。常磐線もこの駅までは東京方面からの特急列車や水戸方面からの普通列車が発着する。そのため、常磐線においてはあまり東北地方感がなく、この駅までが関東、この駅から先が東北地方なイメージがある。
 
 2020年3月に全線での運転が再開された常磐線だが、2019年当時の常磐線は、富岡~浪江間で不通が続いており、いわき側からの列車は富岡駅までの運転だった。いわき~富岡間の普通列車には、E531系のほか651系の4両編成で運転される列車もあった。651系で運転される列車は車内の座席が向かい合わになっており、ボックスシート状態での運転だった。651系を近くで見たのは、この時が最初で最後。乗ってみたい車両の一つではあったものの、2023年に全車廃車となった。
 
 一度改札外へ出て、駅前を散策。再びホームへ戻って来ると、E501系の普通友部行が停車していた。かつては上野まで運行されていたE501系だが、常磐線東京口の中距離電車がE531系に統一されて以降は、土浦以北で運用されていて、茨城県や福島県のいわき周辺に来ないとお目にかかれない車両になっている。常磐線の他、水戸線での運用もあったがこちらもE531系に統一され撤退した。堂々の10両編成はとても迫力があるのだが、さすがにこのあたりで10両というのはちょっと長すぎるのではないかと思う。

特急ひたちを乗り通して都内へ

 いわきからは特急ひたち22号品川行を乗り通し、都内へと戻った。当時まだ常磐線は不通区間があったため、特急ひたちは全列車がひたちまでの運転となっており、上り列車はこの駅が始発駅だった。なお、全線再開後の品川-仙台間の特急ひたちには2022年秋に乗車している。E657系への乗車もこれが初めてだった。いわきを発車後の車内放送で初めて「ひたちチャイム」を聴いて感動したのを覚えている。雨の常磐線を疾走し、あっという間に東京へ。いわきから2時間30分で終点の品川に到着して、初めての東北旅はこれで終了。この後はお台場で友人と会う予定があったので、京浜東北線で大井町へ移動し、りんかい線でお台場へ向かった。
 
 東北本線~磐越東線~常磐線とぐるっとまわったこの旅は、東北地方へ足を踏み入れる最初の一歩となる旅だった。この旅で巡った東北地方は関東に隣接いる地域だったが、初めて東北地方を走る在来線の車両と出会うことができ、東北を走るローカル線巡りの一歩目を踏み出すことができた旅だったと思う。梅雨の乗り鉄旅だったが、とにかく初めてづくしで楽しい日帰り旅だった。