〔今日の交通〕西日本鉄道 福岡-鹿児島線 桜島号

・惜しまれつつ夜行便が廃止された福岡と鹿児島を結ぶ「桜島号」
 桜島号は西日本鉄道、南国交通、鹿児島交通、JR九州バスが運行する福岡と鹿児島を結ぶ高速バスである。福岡と鹿児島と言えば、現在では九州新幹線が開通しており、新幹線を利用した場合の所要時間は1時間30分程度となっているため、4時間~5時間程度かかる高速バスの出番はないように思われる。しかし実際的には、価格面で通常料金同士で比較して新幹線の半額以下となっており、新幹線が出水市や薩摩川内市を経由するのに対して、高速バス(九州道)は霧島市、姶良市などの東回りで運行されることから、鹿児島市内からの利用だけでなく、こうした鹿児島県の中央部地域からの利用も多い。2020年5月まで西鉄とJR九州の2社で夜行便も運行されていたが、利用客の減少などを理由に廃止された。そのため現在は昼行便のみの運行となっており、1時間あたり1~2本の運行が行われている。桜島号はノンストップ、各停、各停(鹿児島空港経由)の3種別が運行されており、ノンストップは博多BTを起点に、西鉄天神高速BT、高速基山、鹿児島空港南、鹿児島中央駅、天文館、鹿児島本港のみに停車する。各停便はこれに加えて、福岡側で筑紫野、久留米IC、八女IC、鹿児島側で、高速帖佐、高速伊敷に停車する。各停(鹿児島空港経由)は九州道溝辺鹿児島空港ICで一旦高速を降りて、鹿児島空港構内に入り、乗降の扱いを行ったあと、再び九州道に戻るルートを取る。鹿児島空港で降りて福岡に行く人などいるのかと疑問に思われるかもしれないが、鹿児島空港が鹿児島県内の離島をつなぐ便が多く発着していること、鹿児島空港が周辺一帯の交通拠点として機能していることも乗り入れる理由となっていると考えられる。実際に鹿児島空港からは指宿、枕崎、志布志、鹿屋、出水、国分など各方面のバスが発着している。運行会社は上記に4社を書いたが、鹿児島交通については一部便が鹿児島交通観光バスが担当しているため、正式には5社での運行となっている。車両は最近では4列シート車で運行する会社が増えてきているが、現在も一部に偏心3列、または独立3列シート車での運行が残っている。もちろんトイレが装備されており、途中の北熊本SAとえびのPAで休憩が行われる。西鉄はここ数年で新型車両に入れ替わり、原則として4列シート車での運行となっている。以前は独立3列車(いわゆる白夜行)で運行される便もあったが、現在はなくなっている。
 
写真:博多駅前