〔今日の交通〕JR九州 787系 特急きりしま

・九州新幹線全線開通で配置転換された787系4両編成
JR九州が10月16日から運行を開始させた新しい観光列車「36+3」に使用されている787系。もともとは九州新幹線の開業以前の博多-西鹿児島間を結ぶ特急「つばめ」に使用され、まだまだ485系などが多く走っていた当時としては先端的な姿はJR九州の看板特急に相応しく、「つばめ形特急」とも呼ばれている。その後2004年の九州新幹線の部分開業、2011年の九州新幹線全線開業と九州の縦のラインをつなぐ新幹線が開業し、まさしくJR九州の顔だった787系電車も福岡-熊本-鹿児島と結ぶ九州のメインルートから姿を消し、現在ては大牟田と博多ほ結ぶ朝一本の特急有明が鹿児島本線鳥栖以南での唯一の活躍の場となった。部分開業で登場した博多と新八代間で運行される特急「リレーつばめ」は基本的には7両編成の運行であったが、多客期、多客時間帯を中心に博多-熊本間で11両編成でも運転されていた。この11両編成の4両編成側となったのが、主に特急有明で使用されていた写真の編成だった。今でこそほぼ存在が消えかかっている特急有明だが、九州新幹線開業以前は主に博多-熊本間を結ぶ都市間特急で、一部は豊肥本線や鹿児島本線小倉方面まで運転されていた。九州新幹線の全線開業により、4両編成の787系は大分車両センターに転属し、現在では大分以南の特急列車として運行されている。使用されるのは大分と宮崎を結ぶ「にちりん」、延岡と宮崎を結ぶ「ひゅうが」、宮崎と鹿児島中央を結ぶ「きりしま」の3列車で、にちりん、ひゅうがは783系および787系6両編成と、きりしまは783系と並んで使用されている。また、特急列車ではないが、佐伯-延岡間の普通列車に使用されている。
・鹿児島と宮崎を結ぶJR最南端電車特急である「きりしま」
特急「きりしま」は宮崎と鹿児島中央を結ぶ特急列車である。通過都市には宮崎県内第二の規模の都市である都城市や鹿児島県中央部に位置する霧島市を通過する。鹿児島到着直前の錦江湾から望む桜島は、この列車の一つの観光ポイントだが、途中にいくつか峠を越える山越えの特急列車でもある。前述の通り、787系4両編成のほか、2往復のみ783系も充当される。このうち宮崎を夕方に出る783系の特急きりしまは、朝に博多駅を出るにちりんシーガイアに使用された編成で運転され、1日で博多から鹿児島中央まで走りきる運用となっている。夜と朝に都城着・西都城発、国分発着のきりしまも設定されており、通勤通学客から利用されている。4両編成で運転される787系は鹿児島中央側1両半室グリーン車となっており、半室の普通車が指定席となる。それ以外は自由席である。指定席が半室しかないため、指定席がやや混雑しがちで、日中であれば指定席より自由席の方が空いている。なお、区間便の2往復はグリーン車以外全席自由席である。なお、南宮崎-宮崎間は乗車券のみで乗車できる特例がある。