〔今日の交通〕JR九州バス鹿児島支店 北薩線

・国鉄時代から運行が続くJR九州バス鹿児島県唯一の路線バス路線
 北薩線はその名の通り鹿児島市内と県北部のさつま町宮之城とを結ぶ路線バスで、JR九州バスが鹿児島県内で運行する唯一の路線バス路線である。宮之城には1987年まで川内と山野線の薩摩大口(現伊佐市)とを結ぶ宮之城線が1987年まで運行されており、主に同路線の短絡路線として運行されてきた。戦後間もないころから続く歴史あるバス路線で、以前は北部の沿岸部に位置する出水市まで路線を伸ばしていた時期もあった。現在でも宮之城駅跡が宮之城と鹿児島市内、鹿児島空港、出水、川内などを結ぶターミナルとして機能している。宮之城だけでなく、鹿児島市北部の郡山、小山田地区や薩摩川内市の入来地区などの地域の足としても利用されており、特に薩摩郡山から鹿児島市内中心部方面はバスの本数もやや多くなっている。系統は主に2系統が運行されており、宮之城を起点に国道267号線、国道328号線、国道3号線を通る本線系統と、郡山を起点に県道211号線を経由して国道3号線に至る川田・花尾方面系統があり、本線系統では更に細分化され、郡山地区で経路が異なるバスが設定されているほか、宮之城地区では薩摩中央高校まで運行されるバスも存在する。運行本数は、宮之城発着が平日で8往復(うち宮之城方面行1本は郡山発、それ以外は鹿児島駅発着)、郡山発着は本線系統、川田・花尾方面系統を合わせて平日で25往復の運行である。宮之城から鹿児島中央駅まで移動した際の所要時間は1時間30分で、路線バスとしては比較的運行時間が長い路線である。宮之城からバスに乗ると鹿児島市中心部に入る直前まで、時に田園風景を見ながら、山を分け入るような形で走行していく。途中に入来峠と呼ばれる峠があり、同路線で最も標高が高い場所を走っていく。この入来峠を境に鹿児島市に入り、郡山からは鹿児島市内へと流れる甲突川に沿って走るが、九州自動車道の高架をくぐったあたりから景色は都市部の景色に一変し、鹿児島市内の中心部に入っていく。バスは一旦鹿児島中央駅を経由して、市電と同じルートで鹿児島駅まで運行されており、天文館や市役所などにも乗り換えなしで移動することが可能である。交通の便が良いとは言えない鹿児島県の県北の山間部地域の貴重な地域の足として、日々多くの乗客を運んでいる。