〔今日の交通〕JR九州 787系 特急「にちりん」

・現在は主に大分と宮崎を結ぶ日豊本線特急の代名詞
主に日豊本線の中間部分にあたる大分~宮崎間で運転される特急「にちりん」。朝の上りと夜の下り列車に関しては宮崎・南宮崎駅発着の列車が設定されているが、多くの列車は南宮崎から日南線・宮崎空港線を経由して宮崎空港まで運転されている。また、早朝には小倉発の「にちりん」も設定されており、多客期・イベント開催時に運転される博多、小倉~大分間の特急列車についても、787系・783系で運転される列車は原則特急「にちりん」を名乗る。博多~宮崎空港間を運転される特急「にちりんシーガイア」は、この特急「にちりん」の派生型であり、基本的には特急「にちりん」と同様に扱われる。このほか、佐伯~大分間で区間便の特急「にちりん」が1本設定されている。博多~大分で運転される特急「ソニック」も、883系導入以前は「にちりん」を名乗り、883系導入直後は「ソニックにちりん」を名乗っていた。すなわち「ソニック」は「にちりん」の高速版という位置づけである。
現在は概ね大分発着で運転される特急「にちりん」の宮崎までの所要時間はおおよそ3時間で、大分を出ると鶴崎、(幸崎)、臼杵、津久見、佐伯と停車して、最初の1時間が経過する。このエリアでは大分県沿岸のリアス式海岸が広がり、時おり豊後水道の海原が車窓に広がる。佐伯からは一転山間部を走行し、運転停車はあるものの、延岡まで途中駅での客扱いは行われない。この佐伯-延岡間はJR九州の区間でも普通列車の運行本数が少ない区間の一つであり、特に重岡~延岡間は、上下合わせて3本のみとなっている。延岡は旭化成の工場がある工業都市で、陸上競技でも有名である。山間部をのんびり走ってきた列車も、延岡からは速度を上げ、南延岡、日向市、高鍋、佐土原などを経由して、宮崎に至る。延岡~宮崎間でも車窓には太平洋が広がるほか、東都農駅周辺ではリニア実験線跡などを見ることができる。運転区間の南端に当たる宮崎~宮崎空港間は乗車券で特急列車に乗車できる特例区間となっており、短い区間たが、乗車券や定期券で特急列車に乗ることが可能である。
運転区間のうち、佐伯~延岡間では特急「にちりん」のみの運転だが、佐伯以北では朝夕に博多発着の特急「ソニック」(区間便の「にちりん」を含む)が、延岡以南では同じく朝夕に特急「ひゅうが」が運転され、区間便の役割を果している。特に特急「ひゅうが」は特急「にちりん」が運転されない時間帯で比較的多数運行されており、延岡~宮崎間の需要の高さを示している。特急「にちりん」は787系4両編成、783系5両編成、787系6両編成の3車両で運転されており、時間帯によりそれぞれの車両の違いを楽しむこともできる。特に787系6両編成で運転される列車ではグリーン車だけでも普通のグリーン座席、DXグリーン、グリーン個室の3席種が、普通車でも普通席、ビュッフェ改造車である3号車の885系に準じた座席、4人がけのセミコンパートメントと様々な座席を楽しむことができる(※)。なお、2021年3月ダイヤ改正では「にちりん」の一部列車が減便となり、概ね2時間に1本の運転となる予定である。
※にちりん3号およびにちりんシーガイア24号の3号車は自由席のため、セミコンパートメントも人数問わず利用できるが、その他の列車については指定席となるため、3人以上で予約が可能となる。なお、グリーン個室は1人から利用が可能となっており、近頃鉄道ファンの間でブームとなっている。