〔今日の交通〕JR九州 キハ40形 日南線普通

・高速道路開業目前で転機へ 実は海が見える区間が少ない日南線
 日豊本線と分岐する南宮崎駅から日南駅、油津駅などを経由して鹿児島県の志布志駅までを結ぶ日南線。南宮崎駅から一つ先の田吉駅で宮崎空港線と接続するため、南宮崎~田吉間の1区間のみが電化区間となっていて、宮崎空港へと向かう列車も走行するが、誤乗を避けるため宮崎駅や南宮崎駅では宮崎空港線と案内され区別されている。その一方で田吉から志布志間は非電化となり、1両~2両の列車が走る南九州のローカル線となっている。日南と言えば青島や鵜戸神宮に代表される日南海岸と、城下町で知られる飫肥など、宮崎県の観光地が密集するエリア。宮崎駅から南郷間では観光特急「海幸山幸」も走り、JR九州の観光列車の中でも人気のある列車となっている。日南線からも太平洋を一望できるが、トンネルも多く、実は内陸部を走る区間も多い路線で、太平洋を一望するチャンスは数回しかない。毎年2月にはプロ野球の春季キャンプが行われ、日南線沿線でも複数の球団がキャンプを実施。沿線はキャンプの見物客でも賑わうほか、油津駅は広島東洋カープ、南郷駅は埼玉西武ライオンズ塗装の駅舎になっており、観光スポットにもなっている。
 先述の通り、南宮崎~田吉間は宮崎空港線に直通する列車も走行するため、運転本数はやや多めで、中には特急列車を使用した普通列車も走行する。その一方、田吉以南は、週末を中心に運行される特急「海幸山幸」が宮崎~南郷間で1日2往復運転。普通列車は油津・南郷駅を境に運転本数が変わり、油津・南郷駅まではおおよそ1時間に一本の列車があるが、南郷~志布志間では8往復のみの運転となっている。多くの列車は南宮崎駅から北に一駅進んだ宮崎駅まで運転され、日南線内では、志布志までの全線で運行する列車と、宮崎~油津、南郷間、油津~志布志間を運転する区間列車がある。また、朝夕には青島駅発着の普通列車や日豊本線の佐土原駅まで直通する列車も運転されている。観光客も多い日南線で、一見観光路線のイメージがあるものの、朝夕は多くの通学利用者で混雑する。日南線で使用される列車は九州ではまだまだ現役のキハ40系列。多くの列車は"九州色"と呼ばれる白い車体に青帯を巻いてるが、2両だけ写真のような「NICHINAN LINE」と書かれた黄色い車両も走っている。南郷~志布志間は以前から廃線の文字がちらつく閑散区間として知られるが、現在は高速道路がほぼ未開通の日南エリアもまもなく宮崎~日南間が開通予定。今後日南線もローカル線として正念場を迎える。