〔PICK UP〕JR東日本 キハ110形 気仙沼線普通

・前谷地駅から柳津駅間だけが鉄道として存続する気仙沼線
 石巻線の前谷地駅から気仙沼までを結んでいた気仙沼線。2011年の東日本大震災の津波で甚大な被害が発生し、南三陸町の志津川や気仙沼市南部の本吉などを含む柳津~気仙沼間はバス高速輸送システム(BRT)として仮復旧し、バスでの運転を再開。その後2019年に正式に鉄道事業廃止届が国土交通省に提出され、受理されたことで鉄道としては前谷地-柳津間が残る形となった。もともとこの区間は柳津線として開業した区間。数十年のときを経て再び鉄路は柳津で途切れることとなった。震災以前は仙台から気仙沼を結ぶ快速「南三陸」が運転されていたが、現在は普通列車のみ9往復の運転となっている。基本的には前谷地-柳津間の運転だが、一部列車は小牛田発着として運転されて、全列車がキハ110系列で運転されている。また、列車の運転のない時間帯はBRTが前谷地駅まで乗り入れており、BRTは途中駅には停車せず、前谷地-柳津間を直行して運転されている。全線開業が1977年と遅かった気仙沼線。柳津~本吉間が最後に開業した区間で、この区間はトンネルや高架橋でリアス式海岸をショートカットして走っていた。現在は志津川近辺、また大谷海岸近辺を除いた区間がBRTの専用道として整備されている。
 朝時間帯に訪れた前谷地駅。気仙沼線の列車にも多くの高校生の姿があり、石巻線の列車へと乗り継いでいた。25分ほどの普通列車の旅。車窓はのんびりとした田園風景が広がり、遠く栗駒山周辺の山々も見ることができる。柳津駅到着直前には、北上川と旧北上川の分岐点の北側で北上川を渡る。盛岡駅より北側に源流を持つ北上川。いくつもの鉄道橋が架かるこの川で一番河口側に位置する鉄道橋がこの気仙沼線の鉄橋となっている。