〔PICK UP〕JR北海道 函館本線 藤城支線・砂原支線

JR北海道 函館本線 (藤城・鹿部経由) 森行
キハ40形 函館にて
函館と旭川を結ぶ北海道の鉄路の背骨、函館本線。この路線の函館エリアには2つの支線が存在し、七飯~森間では8の字ルートを構成している。函館市街を出た函館本線は、大沼駅を経由して、森駅へと向かう。この間は、大沼駅周辺を頂点とする勾配がきつい区間となっている。この急勾配を緩和することを目的としたのが藤城支線、砂原支線と呼ばれる2つの支線である。現在も貨物列車がこれら支線を経由することで、急な勾配を回避し走行している。
南側に位置する藤城支線は、本線の七飯駅から分岐し、高架橋を用いて、緩やかな勾配で標高を上げ、その後は山の斜面に沿う形で走り、大沼駅手前で本線と合流する。この支線は森方面に向かう下り列車専用の支線で、現在は貨物列車と一部普通列車(1日3本のみ)が使用している。以前は特急列車もこの支線を用いていたが、七飯~大沼間の本線上に新たな特急停車駅である新函館北斗駅が開業したことで、新函館北斗・仁山を経由する本線での運転に変更された。なお、藤城支線は途中駅がなく営業キロも設定されていない。そのため運賃計算上は登場しない路線である。
一方、北側の砂原支線は、大沼駅で本線と別れたのち、駒ヶ岳の東側から北側へと迂回して走り、森駅で本線と合流する支線である。この支線は藤城支線とは反対に、上りの貨物列車が使用する。藤城支線と対照的なのは、途中にはいくつか駅が設置され、わずかながら地域輸送の役割も担っている点。駒ヶ岳駅を経由する本線に比べれば、人家の多い地域を走ることから、大沼~森間を走る普通列車も多い。下り列車専用だった藤城支線に対して、砂原支線は上下列車が走行可能である。砂原支線は、途中駅があるため、運賃計算上も登場する路線であるが、森-大沼間をまたがって乗車する場合は、運賃計算の特例上、本線経由で運賃が計算される。
なお、藤城支線と砂原支線を跨いで走る走行する列車は、函館駅を早朝に発車する普通森行1本のみ。藤城支線を3両で進み、大沼駅で後ろ2両を解結。その間に本線を経由する特急北斗1号を待避する。その後は砂原支線を経由し、函館から2時間あまりの時間をかけて森へと走っていく。やはり新函館北斗駅を眼下に見る藤城支線の車窓が見どころであるが、小沼や駒ヶ岳、噴火湾など美しい北海道の自然を楽しむこともできる列車である。