〔PICK UP〕三岐鉄道 三岐線・近鉄連絡線(三重県)

三岐鉄道三岐線 普通 近鉄富田行
101系 近鉄富田(終点)にて
三重県内で三岐線と北勢線の2路線を運行している三岐鉄道。このうち北勢線は、それまで近鉄が運行していた路線を三岐鉄道が引き継いで運行しており、旧来から三岐鉄道が運行している路線は三岐線の方である。三岐線はJR関西本線富田駅に隣接する三岐鉄道富田駅から西藤原駅間を結ぶ路線。三岐鉄道という社名が物語るように、もともとは三重と岐阜を結ぶ鉄道路線として計画され、線路は関ヶ原方面まで繋がる予定だった。
三岐線を走る旅客列車は、JRと接続する富田駅ではなく、近鉄名古屋線と接続する近鉄富田駅発着として運転されている。三岐線は富田-大矢知駅間に三岐朝明信号場があり、ここから近鉄富田へ向かう路線が分岐している。この路線は近鉄連絡線と呼ばれる路線で、三岐鉄道は厳密には3路線を運行している。JRと接続する富田駅へ向かうのは、太平洋セメントの工場がある東藤原駅発着の貨物列車のみで、旅客列車は富田駅へは運行されていない。そのため、三岐線は定期旅客列車では全線走破することができない路線となっている。かつては富田駅にもホームがあり、富田駅へ向かう列車も運行されていたほか、関西本線との直通運転も行われていた。しかし、このあたりは近鉄の利用客が多かったため、近鉄富田駅への接続線が敷設され、その後しばらくは両方に向かう列車が存在したが、最終的には近鉄富田発着に一本化されて今日に至っている。
員弁エリアと近鉄とを結ぶ当路線は沿線住民の足として、通勤通学を中心に利用されている。運転本数も1時間あたり2~3本程度と比較的多く、近鉄富田-西藤原間の全線を走る列車のほか、車両基地がある保々駅発着の区間便も数往復設定されている。現在、三岐鉄道で活躍している旅客列車の車両は西武鉄道から譲渡された車両である。三岐鉄道はこれらの車両について、JR東海から譲渡された211系への置き換えを発表しており、元西武車が走る光景もまもなく見納めとなる。