〔PICK UP〕青函トンネル記念館 青函トンネル竜飛斜坑線(青森県)

青函トンネル記念館青函トンネル竜飛斜坑線 もぐら号 青函トンネル記念館にて
 
 本州と北海道を結ぶ青函トンネル。北海道新幹線と海峡線がこのトンネルを経由し、日々多くの旅客と貨物が行き交っている。青森県側の入口は今別町、北海道側の入口は知内町にあり、全長は約53km。このうち、竜飛から吉岡間の23.3kmが海底部となり、津軽海峡の海底深くを通過している。海底部と地上部の境目である竜飛と吉岡は、2014年までそれぞれ竜飛海底駅、吉岡海底駅として営業(ただし、吉岡海底駅は2006年以降は休止状態となった)されており、見学整理券を購入することで、内部を見学することができた。現在もこの2ヵ所は定点として、異常事態に発生時の避難の拠点となっている。
 この定点と呼ばれる2ヵ所には地上から斜坑と呼ばれるトンネルが掘られている。海底部トンネルの掘削工事に着手するにあたり、地上にあった現場事務所などから作業員や資材を運搬するため、工事の最初に掘られたもので、青函トンネル開通後もそのまま残され、トンネル内から地上への避難経路として、ケーブルカーが設置されている。このうち、竜飛側の斜坑ケーブルを活用して営業しているのが、青函トンネル記念館青函トンネル竜飛斜坑線である。
 一般財団法人青函トンネル記念館が運行する当路線は、青函トンネル記念館駅と体験坑道駅間の役0.8kmを結ぶケーブルカー路線で、鉄道事業法に基づき営業される鉄道路線の一つである。終点の体験坑道駅は、海面下140mに位置し、これは国内の鉄道路線で最も深い場所にある駅となっている。ケーブルカーには体験坑道乗車券を購入することで乗車でき、体験坑道では係員の案内のもと、青函トンネルの作業抗に設けられた展示スペースを見学することができる。ケーブルカーの片道の所要時間は8分ほど、またケーブルカー乗車と体験坑道見学を含めた時間は40分ほどである。ケーブルカーは8分かけて地下深くへ潜っていく。その様子はまるでSF映画の光景を体験しているかのよう。調査開始から45年という世紀の大工事を経て完成した青函トンネル。体験坑道は、トンネル工事に結集された技術と作業員の執念を感じることができる。