〔PICK UP〕JR九州 香椎線

香椎線 普通 宇美行
BEC819系 長者原にて
鹿児島本線の南北に路線が延びる香椎線。北側は水族館や海浜公園などが立地する海の中道へ路線が延び、海の中道の東側に位置する西戸崎まで路線が延びる。香椎~雁ノ巣間は住宅街が広がり、和白では西鉄貝塚線と連絡する。雁ノ巣~西戸崎間は海の中道を走り、車窓には砂浜と松林が広がる。海の中道駅はイベント開催時や夏休みなどには多くのレジャー客で賑わう。一方で、南側区間は福岡市東区から粕屋町、須恵町などを経由して宇美町の宇美駅へ至る。郊外を走る区間となり、住宅や工場と田園風景が入り混じる。このあたりは九州道の福岡ICに近い場所を走っていくため、運送会社のターミナルや倉庫も多く立地している。長者原では篠栗線と立体交差する。香椎線のホームは篠栗線のホームの頭上に設置されており、線路はつながっていない。
全線が非電化であり、かつてはキハ40系による運行が行われていた香椎線だが、2019年からBEC819系が運行を開始。蓄電池車であるものの、気動車から電車へ置き換えられた。充電設備は香椎駅にあり、BEC819系の運行開始にあたり香椎線のホーム上にも架線が張られた。香椎駅に到着した列車は、発車までの間にパンタグラフを上げて充電する仕組みとなっている。鹿児島本線から延びる路線として、多くの通勤通学客や海の中道へ向かう観光客が利用する香椎線。運転本数も1時間あたり2~3本と比較的多く、福岡市近郊の輸送を支えている。
2020年以降は自動運転の実証実験路線となり、2024年からは自動運転を行う列車について、乗務員が運転士から自動運転乗務員へ置き換わっている。保安装置にATSを採用し、線路上には踏切もある中での自動運転は、当路線が初めての事例となった。香椎という路線の中間を拠点とし、運行区間が比較的短く、また他路線との直通運転も朝の快速列車1本である香椎線。その特徴を生かして、国内の鉄道路線の中でも先進的な取り組みが行われている。