〔PICK UP〕小田急電鉄・JR東海 特急ふじさん

小田急小田原線・御殿場線 特急ふじさん3号 御殿場行
小田急60000形(MSE)御殿場(終点)にて
小田急ロマンスカーの一つとして、新宿と御殿場間を結ぶ特急ふじさん。新宿-新松田間は小田急小田原線を走行し、新松田-松田間で小田急と御殿場線を結ぶ通称松田連絡線を走行。松田からはJR東海の御殿場線を走行して、御殿場へ至る特急列車である。
小田急とJR東海(旧国鉄)との直通運転は、戦後間もない頃から構想・計画され、1955年から開始されている。当初は御殿場線が非電化だったため、気動車による運転だったが、御殿場線が電化開業した1968年に直通列車も電車化。小田急SSE車により運行されるようになり、「あさぎり」の愛称が付けられた。その後1991年にはSSE車から車両が置き換えられ、小田急は2000形RSE車、JR東海は371系を投入。相互直通運転を開始するとともに、運転区間が新宿-沼津間に変わった。しかし、2012年には20年ほど活躍した小田急20000形と371系が引退することとなり、「あさぎり」の使用車両は、当時新型車両だった小田急60000形MSE車に統一。同時に運転区間が短縮され、御殿場発着となった。その後しばらくは、特急「あさぎり」のままで運転されていたが、2018年に「ふじさん」に改名して現在に至っている。
現在は1日3往復の運転で、全列車がMSEの基本編成部分である6両編成で運転されている。停車駅は新宿、新百合ヶ丘、相模大野、本厚木、秦野、松田、駿河小山、御殿場となっており、町田や海老名には停車しない。全車指定席で多くの座席が小田急側の予約システムで管理されている。一方で、JR東海にも一部に座席の割り当てがあり、小田急線と直通する特急券のほか、御殿場線内完結の特急券を首都圏の主要な駅で特急券を購入することができる。特殊なのが御殿場駅と松田駅。御殿場駅は、小田急線の駅までのきっぷが小田急のシステムを使って発券される。一方の松田駅はシステム上の都合で、小田急線の駅との間の特急券を硬券と指のみ券という形で発券している。このきっぷを目当てに松田駅に訪れる人も多い。
御殿場は東名高速の経由地であり、高速バスも発着する。また富士山へのアクセスは山梨県側から富士山麓電気鉄道(富士急)を使う人が多い。箱根エリアと富士山エリアの中間を走るため、両者へ向かう列車に比べれば利用客は多くないのが実情だが、御殿場と都内を結ぶ貴重な列車として、今日も多くの用務客や観光客を運んでいる。