〔PICK UP〕JR九州 三角線

三角線 普通 熊本行
キハ220形200番台 三角にて
鹿児島本線の宇土駅から三角駅までを結ぶ三角線。熊本県の中央部で西側に突き出る宇土半島を走る小さなローカル線である。JR九州の鉄道路線の中でもマイナーな存在で、終点の三角駅周辺には港町が広がるものの、沿線に大きな街はない。終点の三角は明治時代に港湾設備が整備された場所である。三角駅からやや離れた場所にある三角西港は、世界遺産「明治日本の産業革命遺産」の構成遺産の一つに登録されている。この日本の近代化の礎となった三角港への鉄路として整備されたのが三角線だった。
路線は宇土~赤瀬間で宇土半島の北側を走り、赤瀬から先は宇土半島を貫いた後、波多浦~三角間では半島の南側を走る。したがって、区間の前半では有明海を、区間の終盤では八代海を車窓に走っていく。有明海を望む区間では、有明海の対岸に位置する雲仙の山々を楽しめるほか、干潮時間帯には御輿来海岸の干潟の景色を楽しむことができる。
線内完結の列車はなく、全列車が鹿児島本線へと直通し、熊本駅発着で運転されている。2011年の九州新幹線開業以後は、キハ185系を使用した臨時特急「A列車で行こう」が運行を開始。これと同時に路線の愛称として「あまくさみすみ線」が設定され、観光路線化が図られた。A列車で行こうと一部普通列車は、三角で天草方面への観光船と接続しており、観光列車と観光船を乗り継いで、天草観光へ行くことも可能である。普通列車は1日16往復の運転である。かつてはキハ31形とキハ40形・47形を繋いだ2両編成で運転されることが多かった当路線だが、キハ31形が廃止されて銀と白の2両編成は見納めとなった。近年では大分・長崎から転入してきたキハ220形200番台も三角線での運転を開始。キハ200系、キハ47形とともに大型の行先表示器を搭載したキハ220形200番台も三角線ではおなじみの存在となった。