【PICK UP】JR東日本 上越線ガーラ支線

 
たにがわ408号 東京行
E7系 ガーラ湯沢
 

季節限定で東京からの新幹線が直通する、スキー場のための小さな支線

 上越線は高崎から水上、越後湯沢、六日町を経由して宮内へ至る路線で、新潟県内陸部の豪雪地帯を通り抜けながら新潟と首都圏を結んでいる。その途中、越後湯沢から分岐する唯一の支線が、ガーラ湯沢との間を結ぶ通称「ガーラ支線(ガーラ湯沢支線)」である。
 この支線は在来線に分類されるものの、実際には新幹線車両が走行し、上越新幹線の枝線として扱われている。もともとは越後湯沢駅に併設された車両基地への回送線だったが、バブル期のスキーブームを背景に「スキー場アクセスに活用できないか」という発想が生まれ、留置線のあった場所に駅を設置し、直結するスキー場を同時に開業することとなった。1990年、スキー場「GALA湯沢」のオープンに合わせて旅客営業を開始し、東京から直通する新幹線の運転が始まった。終点のガーラ湯沢駅はスキー場と駅舎が一体化した珍しい“スキー場直結駅”として知られている。
 新幹線車両が使用される在来線は、全国でこのガーラ湯沢支線とJR西日本の博多南線の二つしか存在しない(ミニ新幹線を除く)。どちらも駅から車両基地・留置線への回送線を旅客化した経緯を持つため、新幹線車両が使用されつつも規格上は在来線に分類されている。走る列車は全て特急列車であり、乗車には乗車券と特急券が必要である。越後湯沢~ガーラ湯沢間の運賃は140円、特定特急料金が100円となっており、この区間単独で利用する場合、合計240円が必要である。この区間は日本で最も安く新幹線車両に乗れる区間として知られている。博多南線では山陽新幹線と明確に区切って案内されるのに対し、ガーラ湯沢支線は上越新幹線の延長として扱われ、列車名や行先表示も同一で、指定席も通しで利用できる。特急料金は席種を問わず100円であるが、この区間単独で利用できるのは自由席に限られ、指定席やグリーン車は発売されない。
 ガーラ支線の運行は、スキーシーズンに特化しており、毎年12月から翌年5月初旬までの期間限定である。東京発着の定期の「たにがわ」が高崎・越後湯沢から延長される形で運転されるほか、土休日の朝を中心に臨時列車も多数運行され、冬から春にかけては東京駅の案内板に「ガーラ湯沢」の行先が並ぶのが恒例となっている。ガーラ湯沢駅におけるダイヤは、スキー客の来場や帰宅時間に合わせて組まれており、特に夕方の下り列車はその日の朝に指定席が満席になるほどの盛況ぶりを見せる。一方で春から秋にかけては運行がなく、駅も閉鎖となる。ただし、休止期間中は車両留置場所として活用され、回送列車については日常的に出入りしている。
 国内のスキーブームはすでに落ち着いたが、近年は雪を目当てに訪れる外国人観光客の利用が増えている。スキー場もJR東日本グループが運営しているため、ガーラ湯沢行きの列車内ではスキー場の案内が行われるのも特徴的といえる。駅とスキー場が直結する唯一無二の利便性を備えた、季節限定のスキーリゾートアクセス路線として定着し、今も多くのスキー客を運び続けている。