【PICK UP】JR北海道 釧網本線

釧網本線 普通 釧路行
H100形 網走にて
流氷や湿原を楽しめる北海道随一の絶景路線
北海道のローカル線の中でも観光客に高い人気を誇る釧網本線。文字通り釧路と根室を結び道東の南北を結ぶ。正確には東釧路を起点、網走を終点とし、根室本線と石北本線と接続することで、道東をぐるっと回る鉄路を構成している。
沿線には知床や阿寒湖・屈斜路湖などの観光資源も多いが、この路線からも北海道らしい車窓を楽しむことができる。釧路に近い区間では広大な釧路湿原を車窓に広がり、夏は湿原を覆う新緑が美しく、冬は雪原が広がる。エゾシカやタンチョウなどの野生動物たちも時々線路沿いに姿を見せる。一方、路線の終点側である知床斜里-網走間ではオホーツク海沿岸を走っていく。この区間では2月ごろになると流氷が車窓の海を覆う。奥の方には斜里岳をはじめとする知床連山を眺めることもでき、北海道・道東を象徴する車窓が続く路線である。このほか、広い斜里平野を走る区間や、森に分け入る区間もあり、全線を通しで乗車すると約3時間かかるが、景色の移り変わりが楽しく、乗り通しても飽きることがない。
このように観光的にも魅力が詰まった路線で観光客に人気ではあるものの、普通列車の本数自体は多くない。全線を走行する釧路-根室間の普通列車は4往復のみ。うち釧路・網走を午前の遅い時間に発車する1往復には「しれとこ摩周号」の愛称が設定されている。一方、朝及び夕方から夜間にかけては、釧路側・網走側それぞれで区間列車が走っている。釧路側では釧路-摩周間で1往復、釧路-川湯温泉間で1往復のそれぞれ2往復が、網走側では網走-緑間で1往復、網走-知床斜里間で1往復のこちらも2往復が設定されている。なお、網走側の区間列車のうち、知床斜里発着の列車は石北本線に直通し、上下便とも北見発着での運転となっている。
観光客向けには臨時の観光列車が釧路・網走それぞれ発着で多数運行されて、人気を博している。網走側では、流氷の季節に合わせて「流氷物語号」が運転。一方釧路側では夏季には「釧路湿原ノロッコ号」が、冬季には「SL冬の湿原号」が運転され、ツアー客や海外からの観光客の利用も多い。このうち「ノロッコ号」は、本来今年度で廃止され、新しい観光列車「赤い星・青い星」に入れ替わる予定だったが、新列車に使用される車両の腐食が激しいことから、投入が1年延期されることとなり、「ノロッコ号」の引退も1年先送りとなった。
これまで釧網本線の普通列車はキハ54形およびキハ40形が使用されてきたが、2024年3月ダイヤ改正でH100形に置き換えられた。現在は旭川・釧路に所属する同車が釧網本線を支えている。