【PICK UP】JR東日本 特急あかぎ

 
特急あかぎ5号 高崎行
E257系5500番台 上野にて ※2025年1月撮影
 

群馬県内発着列車は風前の灯火状態となった高崎線の通勤特急

 群馬県のシンボルで日本百名山の一つに数えられる赤城山を名前の由来とする特急「あかぎ」。高崎線の特急列車として、東京都心と高崎線の主要駅を結んでいる。
 以前は東京と群馬を結ぶ大きな役割を担っていた列車だったが、近年は同区間の移動を新幹線利用へ誘導する狙いもあって、その役割はほぼ消滅している。一方、2014年にはそれまで近距離区間のライナー列車として運行されていた「ホームライナー鴻巣」を吸収。これ以降は主に埼玉県内の主要駅と都心を結ぶ高崎線系統の通勤特急として運行されている。
 2014年3月のダイヤ改正は、高崎線の特急列車の運行形態が大きく変更されたダイヤ改正だった。平日運行の大半の列車は、「あかぎ」から「スワローあかぎ」に変更。「あかぎ」とは別の形態として運行され、現在JR東日本の特急列車では一般的となった座席未指定券制度を先行的に導入した。この時、使用車両もその大半が185系からE651系へと変更されている。一方、高崎線のライナー列車だった「ホームライナー鴻巣」は「スワローあかぎ」に吸収され特急化。この時「スワローあかぎ・あかぎ」に初めて埼玉県内発着の列車が誕生している。
 これ以降の「スワローあかぎ・あかぎ」は、高崎・前橋への列車が縮小される一方で、比較的近距離の鴻巣、本庄が始発・終点となる列車が増えていく。2021年3月のダイヤ改正では、ついに前橋発着の列車が廃止され、高崎止まりに変更。これにより、両毛線へ行く定期特急列車が消滅した。
 さらに2023年3月のダイヤ改正ではE651系が引退し、現在の使用車両であるE257系5500番台へ置き換えられた。座席未指定券が各線の特急列車に導入され、定着したことを受けて、「スワローあかぎ」と「あかぎ」で運行形態を統一。スワローあかぎの名称が廃止され、再び全列車が特急「あかぎ」へと戻っている。
 現在は平日が上り4本(本庄-上野2本、鴻巣-上野1本、高崎-新宿1本)、下り5本(上野-鴻巣1本、上野-本庄3本、上野-高崎1本)の運転。一方で土休日は運転が行われていない。直近の2025年3月の改正では、それまで毎日2往復が運転されていた上野-高崎間の列車のうち、平日1往復が本庄発着に変更。土休日の全ての列車が廃止され、群馬県内発着の列車もわずか1往復のみとなった。特に高崎線の大宮寄りでは利用客も多く、通勤客で混雑する。通勤特急という性質上、大宮や熊谷などの主要駅の他に上尾、桶川、北本、鴻巣、深谷、本庄、新町などにも停車。特に高崎線の大宮側で停車駅が多く設定されている。かつて東京と群馬を結んでいた頃からは列車の役割も大きく変化したが、今も高崎線沿線から都心へ向かう通勤客を運んでいる。