【PICK UP】JR東日本 信越本線(高崎-横川)

信越本線 普通 横川行
211系 高崎にて
関東に取り残されたかつての幹線路線の一端
かつては高崎と新潟を長野、直江津、長岡経由で結ぶ長大路線だった信越本線。1997年に長野新幹線(正式には北陸新幹線の高崎〜長野間)が開業すると、険しい山岳区間だった横川〜軽井沢間が廃止され、軽井沢〜篠ノ井間は第三セクターのしなの鉄道へ移管された。さらに2016年の北陸新幹線金沢延伸により、長野〜妙高高原間がしなの鉄道北しなの線、妙高高原〜直江津間がえちごトキめき鉄道妙高はねうまラインへ移管されたため、現在JR東日本が運行する信越本線は高崎〜横川間、篠ノ井〜長野間、直江津〜新潟間の3区間に分断される形となっている。
その中でも群馬県内に取り残された信越本線は、その先の碓氷峠区間が廃止されたため、現在においては信州にも越後にも至らない盲腸線となっている。
旅客案内上は「信越線」と案内される高崎〜横川間。路線は高崎駅から西進し、高崎市郊外を抜けて隣接する安中市へ向かう。沿線には市街地が広がるほか、工場なども立地しており、通勤通学で多くの人が利用する路線となっている。路線の終端部である横川駅周辺では、奇岩が特徴的な妙義山を車窓に楽しめる。現在は全ての列車が線内完結で、運行本数は概ね1時間に1本。朝夕のみ2本となる時間帯がある。使用車両は211系のみで、全て4両編成に統一されている。
一方、高崎地区では現在もSL列車が運転されているが、信越本線においても頻繁に運行されている。これまでSL列車は後部に電気機関車もしくはディーゼル機関車を連結していたが、昨年これらの補機運用は終了。今年からは電気式気動車GV-E197系がその役割を担っている。しかし今年はSL車両に不具合が発生。他のSL車両も検査中で不在だったため、お盆時期のSL列車には急遽電気機関車が代役に抜擢。再び電気機関車が当路線で運行され、話題を集めることとなった。
終点の横川はかつて険しい碓氷峠区間の運行の要となっていた場所だった。開業当初はアプト式が採用され、その後新線が建設されると、碓氷峠専用の電気機関車を列車に連結して山を越えていた。横川の機関区跡地には「碓氷峠鉄道文化むら」と呼ばれる鉄道博物館があり、碓氷峠で活躍した車両をはじめとする往年の車両たちが展示されている。鉄道が廃止された横川〜軽井沢間はJRバス関東の路線バスが運行されており、これを利用することで、新幹線を使わずとも高崎から長野方面へ「信越本線ルート」で旅することが可能となっている。