【旅行記】広島電鉄再訪と萩・芸予諸島を数珠つなぎで巡る旅~さんようバス大崎上島循環線で島を一周する~
広島電鉄再訪と萩・芸予諸島を数珠つなぎで巡る旅の3日目は芸予諸島の島々を訪ねている。大崎下島で御手洗地区を歩いた後はフェリーで大崎上島に上陸。ここからはこの島を走る路線バスで島を一周し、車窓から島の景色を眺めた。
さんようバス大崎上島循環線に乗車する

明石港から乗車したのは、さんようバスが運行する路線バス、大崎上島循環線。大崎上島をほぼ一周するように走る路線である。ここからはこの路線バスで島をぐるっと一周。その後、再び明石港へ戻った後は、デマンド交通を使って、竹原行きのフェリーが出ている港まで移動していく。
さんようバスは大崎上島に本社を置くバス会社。現在はこの島のみで路線バスを運行している。以前は大崎下島や豊島でも路線バスを運行し、午前中に乗車した瀬戸内産交との共同運行も行っていたほか、2024年3月までは広島バスセンターと大崎下島を結ぶ「とびしまライナー」の運行も行っていた。現在はどちらも終了し、大崎上島だけで路線バスの運行を行う。瀬戸内産交とさんようバスはバスのデザインがほぼ同じ。両社は瀬戸内海汽船グループに属しており、さんようバスは竹原と大崎上島を結ぶフェリーを運航する山陽商船のグループ会社でもある。
大崎上島循環線は、その名の通り島をぐるっと一周する形で運行されている。平日と土曜に運行されており、日曜日・祝日、正月は運休となる。土曜日に関しても右回り2本のみだけの運行で、基本的には平日を中心とした運行となっている。なお、島では別にデマンド交通が運行されており、土休日はそちらを利用する形になる。このデマンド交通については後ほど述べることにする。
平日は右回り、左回りともに1日7本が運転されている。決して多いとは言えないが、日常使いにおいては最低限の本数が確保されている。バスは車庫がある太田というバス停を起点に、島を両方向へ一周する形で運転され、再び太田に戻って終点となる。ただし、便によっては明石港で長時間停車するものもある。この場合は乗り続けることはできず、一旦下車してフェリーの待合所などで時間を潰す必要があるようだった。バスは海岸沿いを走る区間が長く、途中でいくつかの港を経由する。特に本州方面と繋がる垂水港、白水港、大西港ではフェリーとの接続も考慮されており、時間帯によってはフェリーとのスムーズな乗り継ぎが可能になっている。
今回は左回りの便に乗車する。明石港から太田まで行って一旦休憩し、太田から再び左回りの便に乗車して残りの区間を走り、明石港へと戻ってくる。途中の待ち合わせ時間も含めて、1時間40分ほどのバスの旅が始まった。

明石港から乗車したのは左回りの第4便。明石港では11時52分着・12時21分発と、30分あまりの待機時間が設けられており、実質的にここが始発となっていた。明石港の路線バスのバス停は、待合所から少し歩いた沿道上にある。駐車場内にはデマンドバスの標柱も立っているが、路線バスの乗り場はここではないので注意が必要。駐車場で待機しているバスを一度追い越してバス停へ向かい、ここからバスに乗り込んだ。
とりあえず乗車して席に座る。地元の人の利用がメインの路線ということもあって、車内放送はなく、降りたいバス停を乗車時に運転士へ伝えておくシステムでバスは走る。運賃表にはたくさんの金額が並んでいるが、この路線の運賃は1乗車あたり大人100円となっている。
乗車記録 No.21
さんようバス 大崎上島循環線(左回り) 太田行
明石港→太田
海岸線からの美しい景色が続く島の東側

待合所で待っていた乗客も他にいなかったので、当然ながら明石港から乗り込んだのは筆者一人だけ。明石から島の北側にあるスーパーや港へ向かうのであれば、右回りの便を使った方が所要時間は短い。明石港を出たバスは、海岸沿いを走る県道65号線を進み、まずは島の東部を目指す。早速車窓には海が広がり、対岸に岡村島や小大下島などを眺めながら海岸線を辿っていく。ここから太田まで、バスは基本的に海岸沿いを走るため、右側の座席に座れば、瀬戸内海の景色を長時間にわたって楽しむことができる。

ほどなくしてバスは、明石に隣接する沖浦という集落へ。ここでは一旦県道から離れ、街中を走る細い道路へと入った。海岸に沿って走る県道は、集落でも海沿いにバイパスが造られることが多く、集落内ではそこから逸れて、住宅が立ち並ぶ旧道の方を経由するというのは、海沿いを走る路線バスではおなじみの光景である。ふと、熊本の天草を路線バスで旅した時も、そんな光景に何度も出会ったのを思い出した。

沖浦地区を出ると、またしばらく海岸沿いを走って、次の集落を目指していく。車窓に広がる島々も徐々に移り変わっていき、今度は大下島や大三島が見え始めた。
安芸灘とびしま海道は現在、岡村島が終点となっているが、これらの島を経由して大三島まで繋げる構想がある。岡村島から先は愛媛県となるため、ここから先の架橋は愛媛県が判断することになるが、今のところ具体的な動きはないという。広島県では今回旅しているのと同様に、大崎下島側から大崎上島、そして本州への架橋も構想しており、実現すれば、大崎上島が複数方向から橋で繋がることになるかもしれない。

海岸線を辿るように走ると、やがてバスは島の南東側に位置する中ノ鼻という小さな岬に差し掛かる。白い砂浜を眺めながら坂道を上ると、その途中で再び県道を離れ、岬の小高い丘の上にある「きのえ温泉 ホテル清風館」という宿泊施設に立ち寄った。ここはさんようバスと同じ山陽商船グループが経営する宿泊施設で、大浴場からの瀬戸内海の眺めが自慢。この島を代表する宿泊施設の一つとなっている。小高い丘の上へと進むと、これまで平面的に浮かんでいた島々が立体的に見える。いろんな島や半島が折り重なって、海岸線からの景色を作り出しているということが、この瞬間、立ち上がってくる。

旅館に立ち寄った後、再び県道へと戻ると、ここからは対岸に大三島を眺めながら島の東海岸を北へと進んでいく。島の東海岸は10km弱の距離があり、バスはここを20分ほどかけて進む。やがて車窓には大きな造船所が見えた。大崎上島は造船でも有名な島。島内にはいくつかの造船所があり、島の主要な産業の一つとなっている。この島では主に「内航」と呼ばれる国内航路向けの船舶を製造している。

造船所の横を通過して、再び海岸線を進む。大三島と大崎上島の間には大横島と小横島が浮かぶ。ここまで来ると遠くには本州が見えるようになる。また、大三島の奥には生口島の山並みも見える。大三島と生口島の間にある多々羅大橋を訪ねたのは6年半前の冬。あの日も清々しい冬晴れだったが、今日はその一歩西側を再びバスで訪ねている。あの年もあの時までは平和だったが、数か月後にはコロナ禍となり、そこからしばらくは旅するのも大変な時期が続いた。しかし、またこうやって旅できることがうれしい。世の中が平和で平穏だからこそ、旅ができる。それに感謝しないといけない。
やがてバスは木江地区へ入った。この地区の入り口で、ここまで2車線だった道路は急に狭くなり、バスも対向車とのすれ違いに気を遣いながら、街中を横切る隘路へ進んでいく。その途中にある木江港(天満港ともいう)は、大三島の宗方港と今治港を結ぶフェリーが発着する、島の玄関口の一つとなっている。
急峻な山が聳える島東部の狭い入り江に広がる木江の街。もともと大崎上島町は、大崎町、東野町、木江町の3町に分かれていたそうで、ここは島の南側を占める木江町の中心地だった。現在も町役場の支所や海上保安庁の支部、さらにはNTTの交換所が置かれていたりして、街の規模に対して大きな建物が多い印象を受けた。

木江地区を通過すると、バスは旧東野町内となる島の北側へと進む。まだまだ東側の海岸線は北へと続く。島の北東側は半島のようになっていて、先端までは少し距離がある。
この先、こちら側には大きな集落はない。木江から島の北側へは山を貫く道路があり、北側との行き来にはこちらがメインで使われている。そのため、木江から先の県道は道幅も狭くなり、バスの車窓のすぐそこまで堤防が接近する。さらに近くに海を眺めながら、バスは北へと進んでいく。木江からの乗客もなく、ここまでずっと貸し切り。静かに走るバスの車窓から眺めるのどかな海。そして、清々しいほどの空の青さに見とれる。地元の人にとっての日常であるこの景色も、旅人からすれば非日常。また一つ、絶景を楽しめるバス路線に出会うことができた。

静かに海岸線を辿るバス。のどかな瀬戸内海を眺めながら、徐々にこの島のサイズ感を掴んでいく。初めて来た島というのは、島のサイズ感を掴めていない。地図だけ見ても、その大きさというのはよくわからない。北海道のサイズ感も行ってみて初めてわかるように、島のサイズ感も実際に行ってみて、ようやくわかるようになる。大崎上島のサイズ感も、明石港に降り立った時にはよくわからなかったが、バスで海岸線を辿るうちに、徐々にわかってきた感覚があった。地図で見るより大きい。
車窓には引き続き、海が広がる。東海岸の長い海岸線を行く区間は、この路線の一つのハイライト。ずっとこのままバスに揺られていたいと思うほど、美しい瀬戸内海の景色が続く。天気に恵まれたのが一番だが、空と海の青さと島々の緑が、夏の旅を盛り立ててくれる。

遠くに見えていた本州が、いよいよ目の前に近づくと、そんな東海岸の絶景も終わりを迎え、バスは島の北東端に位置する鮴崎の集落を通過。島の沖合に浮かぶ佐組島を眺め、引き続き狭い道路を進むと、ようやく道幅が広くなり、バスはまもなく垂水港へと差し掛かった。
竹原港からのフェリーが発着する港の一つである垂水港。バスは黄色い建物が目印のフェリー待合所前のバス停にしばらく停車した。ここでは竹原からのフェリーに接続し、乗り換え客を待つ。次話でも述べるが、大崎上島では垂水港と白水港の2港から竹原行きのフェリーが出ており、これらが島のメインの玄関口としての役割を果たしている。やがて反対側のバス停には、右回りのバスも到着。こちらからは数名の乗客が下車し、フェリーへと乗り換えていった。両方向のバスは下船客を待ってから発車。乗車している左回りの便へ乗り込む乗客はおらず、バスは再び走り始めた。

垂水港を出ると、バスは5分ほどで大崎上島町役場前へ。明石港からここまでずっと貸し切りだったが、ここでようやく乗客が現れ、3人が乗車した。ここは近くに竹原と繋がるもう一つの港、白水港がある。筆者も路線バスを一周した後は、ここへ戻ってきて、ここからフェリーに乗船する。ここまで来ると、バスの終点、太田も近づく。

垂水から南下しながら進むバス。今度は北側の海岸沿いを走っていく。島の北側も本州との間には小さな島がいくつか浮かんでおり、バスの車窓には、それらの島々と本州の山々を眺めながら進んでいく。大崎上島には広島商船高専という商船課程を持つ高専がある。自分も高専出身なので、高専があると聞くと、なんだか親近感が湧く。その寮と練習船桟橋、さらには小高い丘の上に建つ校舎を眺めて進むと、海岸線を離れて坂道を上る。直前の集落と、終点の直前にあるスーパーマーケットの前で1人ずつを下ろすと、バスは木江へ繋がる県道の方へと進み、まもなく終点の太田に到着した。
バスの本社がある太田でバスを待ち、明石へ戻る

明石港から50分ほどバスに揺られ、島の北東部を回って、終点の太田でバスを下車した。バス停はさんようバスの本社に併設されており、到着後、バスはバックして本社に併設された車庫へと入っていった。奥の方にも車庫があり、ここには観光バスの車両も留め置かれているのが見える(写真は敷地外の道路上から撮影)。
大崎上島循環線は、右回り・左回りいずれもここが起終点となっている。島の東部と西部を行き来する際には、基本的にここでバスを乗り継ぐことになる。乗り継ぐバスの待ち合わせ時間は便によって異なり、数分で発車する場合もあれば、1時間以上の待ち合わせとなる場合もある。今回はここで約30分の待ち合わせとなった。なお、乗り継ぐ際は運賃を一旦精算することになり、乗り継ぎ制度のようなものは設定されていない。
周辺には森が広がっているバス停周辺。しかし、近くにはスーパーとローソンが1軒ずつあり、案外利便性が高い。とっくに昼を過ぎていてお腹も空いたので、ローソンまで歩いて昼食を購入した。「大崎上島」とYouTubeで検索すると、このローソンが数年前にオープンした際のニュースが真っ先に出てくる。小さなYショップは島に何軒かあるが、24時間営業のコンビニができたのはここが初めてだったそう。現在はもう1店舗できているが、島にとって貴重なコンビニであることに変わりはない。
バス停沿いの道をまっすぐ進めば、わずか3分ほどで木江地区へ行くことができる。島の北東部を周回してきたので、すごく遠い場所のように思えるが、それは単に自分が遠回りしてきただけ。山を越えれば、あっという間に島の南側へ抜けることができるのである。
乗車記録 No.22
さんようバス 大崎上島循環線(左回り)
太田→明石港

さて、30分の小休止の後、島の西部を巡る残り半分の旅を続ける。太田からは再び左回りの便に乗車。当然ながら、同じ車両で同じ運転士さんが担当されていた。「明石港まで一周します」と伝えて乗り込む。何度も同じ運転士さんに運んでもらうというのも、地方の路線バス巡りではあるあるの、ちょっとした気まずさである。島の南部から北東部にかけては海岸線を進む一方、島の西部から南部にかけては海岸沿いを走る区間が少ない。太田を境に車窓の景色が大きく変化するのも、大崎上島循環線の一つの見どころだと思う。
太田を出ると、バスは再び島を一周する県道65号線へ。坂道を下り、中野という地区へ入った。

島で一番大きな地区である中野。沿道にはスーパーやドラッグストアなどが立ち並び、小中高の学校も多く所在する。バスはここで一旦県道65号線を離れ、安芸津行きのフェリーが出ている大西港へ。その待合所前でUターンする。大崎上島は竹原だけでなく、安芸津からもアクセスが可能。調べたところによれば、安芸津港は安芸津駅からも近いため、徒歩で乗船する場合はこちらが便利なのだとか。この時間は乗り込む乗客もおらず、バスはそのまま大西港バス停を発車した。大西港のすぐ近くには長島が浮かぶ。大崎上島とは橋で繋がっており、ここには中国電力の大崎火力発電所が設置されている。

大西港に立ち寄った後、再び県道65号線に戻ると、バスは坂道を登っていく。中野から乗り込む乗客がいるのではないかと思っていたが、この時間は誰も乗り込んでこなかった。ここからの車窓は、それまでとは対照的に山間の景色が広がる。
バスが目指す明石港へは、途中で左折する必要があるものの、バスは一旦直進し、その先にある大串という地区にも立ち寄る。やがて車窓には田んぼが広がり、黄金色の稲穂が輝く。航空写真を見る限り、大崎上島に水田は少ないが、ここ大串地区には広く水田が広がっている。バスは集落内の農協の駐車場を使ってUターン。車窓にはとてもおしゃれな建物が見えたが、これは広島県立叡智学園中学校・高校という全寮制の中高一貫校らしい。

大串地区でUターンすると、バスは先ほど通り過ぎた明石方面へ向かう交差点を右折。恋路トンネルというトンネルを抜けて峠を越え、その後は明石港へ向けて山を下りていく。小長からのフェリーからも見えていたが、大崎上島の南西部にはメタノールを貯蔵するタンクが設置されており、そこへ向かう道路が途中で分かれていく。メタノールの貯蔵施設としてはここが国内最大規模を誇るらしい。
車窓には再び海が広がり始め、バスはまもなく明石の集落へ。まもなく明石港に到着した。一周お世話になった運転士さんにお礼を告げて、バスを下車し、これにて大崎上島を一周する路線バスの旅を終える。

太田での待ち合わせも含め、1時間40分ほどで島を一周し、再び明石港へと戻ってきた。前半の海岸線を行くバスの車窓はとても美しく、途中でフェリーからの乗り継ぎ客を乗せて進む様子も、この島ならではのものだった。後半は一転して山道を進み、この島の多様な景色に出会えた気がした。
時刻は14時を回り、暑さもピークに達している。相変わらず快晴が続き、風もほとんどなく、港周辺の海も波音を立てずに静まり返っている。また少し港の周辺を歩いた後、明石港の待合所でしばらく休憩する。もちろん観光名所を巡る旅であれば、レンタカーを使った方がいいに決まっている。でも、バスや列車を使って旅するとき、この余白が旅にほっとする時間を与えてくれる。この余白が、個人的には好きである。
デマンド交通の「おと姫バス」で白水港へ

路線バスで島を一周し、明石港へ戻ってきた。この後は白水港へと移動し、ここから竹原行きのフェリーに乗船する。路線バスで戻る手もあるが、この時間はバスの運行がなかったため、別の手段を利用。島内で運行されているデマンド交通「おと姫バス」を利用して、白水港へと向かった。
おと姫バスは、大崎上島で運行されているデマンド交通。運営は大崎上島町が行い、バスの運行はさんようバスに委託されている。毎日午前7時から午後9時まで運行されており、島内に設けられた145か所のバス停間で利用できる。また、明石港と大西港の間では、定時定路線型の便も平日1便、土休日は4.5往復運転されており、路線バスとともに島の移動を支えている。なお、日曜・祝日は路線バスの運行がなくなるため、このおと姫バスが島内の唯一の公共交通機関となる。
最近では、旅の中でこのようなデマンド交通を使う機会も増えた。初めて利用したのは、青森県の津軽半島を走る「わんたく」だったと思う。これは被災によって運休している津軽線の代替手段として用意された交通手段だった。さらに今年は沖永良部島でもデマンドバスに乗車し、島の観光にとても便利に利用できた。近年では、バスの利用者が少ない地域を中心に、デマンド型へと移行する地域が増えている。移動手段を持たない高齢者が利用の中心ではあるものの、バス停が観光地に設けられていることも多く、車なしの観光でも気軽に予約して利用できる。もちろん路線バスの縮小は残念ではあるものの、公共交通で旅をする身としても、こうした交通手段が増えていくのはありがたい。
乗車には予約が必要で、3日前から30分前まで予約が受け付けられている。利用者登録をしたうえで、ネットから予約するか、直接電話を入れる仕組みである。近接する時間帯に他の予約があれば、乗り合いになる場合があり、出発・到着時間は多少前後する。1回あたりの運賃は大人1人200円だった。
予約時間の5分ほど前にバス停へ向かい、運転士にあいさつして乗り込む。運賃は前払いとのことで、先に運賃200円を支払って着席した。デマンド型であるため、他の予約がない場合は最短ルートで目的地へ向かう。明石港から白水港までの所要時間は20分ほど。バスは中野地区をショートカットする形で走り、その後は再びバス通りへ戻って白水港に到着した。運転士にお礼を告げ、バスを降りた。

デマンドバスで明石港から20分。路線バスで来た道を少し戻る形で、白水港へとやってきた。ここからは再びフェリーに乗船し、本州へと渡って大崎上島を離れる。フェリーまでは、この時間45分ほどの待ち合わせ。垂水港からのフェリーの方が早く竹原へ行けるが、この先の旅程にはかなり余裕があるので、急がず、ゆっくりと進む。港には自分と同じタイミングで1台の車が現れたが、港の職員からこの時間は垂水港の方が早いと教えられ、垂水港へと立ち去っていった。白水港から垂水港までは車で5分ほどと近い。
帰ってきてから撮った写真と航空写真を見て気付いたが、待合所の建物は船の形をしている。この島の主要な港の一つであるため、待合所内では売店とカフェも営業している。車で来た場合も、乗船券を買うために窓口へ向かったついでに、カフェや売店で飲み物やお菓子を買い求める人も多い。竹原までのフェリーの所要時間はおよそ35分。フェリーを待つ時間と合わせて、ドライバーにとってはちょうどいい休憩時間なのだろう。

直射日光と、それによって温められた地面からの熱気で、数分外にいただけでも熱中症になりそうになる。時間があるので少し周辺を歩いてみたいと思ったが、暑さがそれを拒む。それでも、遠くへはいけないながら、少し港の周辺を歩いてみた。フェリーの車両待機所の後ろ側には、駐車場と駐輪場がある。駐輪場にはたくさんの自転車が停めてあり、フェリーで本州側へ通勤・通学する人が多いことを物語っている。この港には竹原行きだけでなく、近くに浮かぶ生野島、契島へのフェリーも発着している。特に契島は鉛の精製で知られ、島全体を東邦亜鉛という会社が所有している。一般人もこのフェリーに乗船すれば桟橋までは上陸できるらしい。港の県道沿いにはこの会社の駐車場があり、大崎上島から通勤している人もいることをうかがわせた。
白水港は目の前に船島が浮かんでおり、やや閉鎖的な地形となっている。一方、西側は開けていて、遠くには大崎火力発電所の煙突が見えた。待合所に戻ってベンチに腰掛け、フェリーを待つ。徐々に窓口を訪れる人も増え、いつの間にか車両待機所にも多くの車が停まっていた。
さて、ここからは山陽商船が運航するフェリーに乗船して、竹原港へ。その後は芸陽バスの「かぐや姫号」に乗車して広島駅へと戻り、今回の旅を終えた。
続く