【旅行記】札幌近郊乗り鉄旅~初めてのAIRDOと空港バスで札幌へ~

北海道の鉄道路線巡りも最終章、札幌近郊の3路線を旅する

 2021年に初めて北海道を訪れて以来、各地の鉄道路線に乗車してきた。昨年3月に出かけた前回の旅では、根室本線の末端区間であり、通称「花咲線」とも呼ばれる東根室―根室間に乗車し、北海道のローカル線を乗り終えた。これにより、未乗路線は、いずれも札幌都市圏を走る札幌市電、地下鉄東西線、そしてJR札沼線の3路線のみとなった。今回はこれら3路線を巡り、北の大地での鉄道路線巡りに一区切りをつける。
 そんな北海道の鉄道旅の最終章とも呼べる今回の舞台は、札幌市とその近郊エリアである。稚内や根室で完乗を達成した方が、旅としては趣があったのかもしれない。しかし、近年多発している鉄道路線の被災を踏まえ、乗車機会が失われる可能性のあるローカル線を優先した結果、最後に札幌近郊の路線が残ることとなった。今回巡る3路線はいずれも距離が短く、1日で乗り終えることも十分可能である。しかし、ただ乗りつぶすだけでは単調な作業になってしまうため、3路線への乗車を第一の目的としつつ、札幌の街と郊外を知ることも、もう一つの目的とした。1日目は路面電車に乗車しながら、これまであまり歩いてこなかった大通・すすきのエリアを散策する。さらに2日目は、都心と郊外を結ぶ路線バスにも乗車しながら、札幌とその周辺の街を探っていく。
 一方で、せっかく北海道を訪れながら、札幌だけで旅を終えるのも少し惜しい。往復ともに新千歳空港を利用するだけでは味気なく感じられたため、復路は初めて利用する旭川空港から羽田へ戻ることにした。あわせて、札幌―旭川間を結ぶ函館本線の特急列車にも乗車する。このほか往路ではAIRDOを初めて利用し、新千歳空港からは空港連絡バスで札幌都心へ向かうなど、できるだけ初めて利用する交通機関を組み込んだ。
 行程は前泊を除いて2泊3日。4月に北海道を旅するのは2022年以来、約4年ぶりとなる。気候的にも比較的安定しているこの季節、旅は順調に進むかに思われた。しかし最終日、思わぬハプニングが発生する。結果として予定外の「4日目」が生まれることになるのだが、その顛末については本編で触れることとして、まずは羽田空港から今回の旅の様子を綴ることにする。

羽田空港から初めてAIRDOに搭乗する

 今回の旅も、始まりはいつものルーティンからスタートした。前日のうちに羽田空港へ到着し、空港周辺のホテルに一泊。昨年秋の旅では、飛行機が大幅遅延となり、急遽新幹線で東京を目指すことになったが、今回は順調な滑り出しで一安心だった。翌朝は7時過ぎにホテルをチェックアウトし、京急空港線で羽田空港へ向かう。ここから2泊3日の札幌旅が始まった。
 他地方から北海道へのアクセスは基本的に飛行機が主体だが、道内には各地に空港があり、多彩な路線が運航されている。前回の道東旅では、希少な羽田-紋別線、羽田-中標津線を利用したが、今回は超王道とも言える羽田-新千歳線で北海道を訪ねる。過去にANA便で利用したことのあるこの路線には計4社が就航しており、機材のバリエーションも豊富である。今回はその中から、以前から搭乗してみたいと思っていたAIRDO便を選択した。このAIRDO便への搭乗も、今回の北海道旅の目的の一つだった。
 
 「北海道の翼」をキャッチフレーズに掲げるAIRDO。1996年に北海道国際航空として設立された新規航空会社の一つで、2012年に現在のAIRDOへ社名変更した。MCC(ミドル・コスト・キャリア)に分類され、2002年には一度経営破綻を経験したものの、その後ANAの支援を受けて再建を果たしている。現在もANAとは密接な関係にあり、各路線でコードシェアを実施している。
 新千歳空港をはじめとして、道内では旭川、函館、帯広、女満別、釧路の各空港へ就航。北海道外では仙台、中部、神戸、福岡へと路線を展開しており、北海道と本州・九州を結ぶ役割を担っている。コロナ禍を経た2022年10月には、同じくANAとコードシェアを行い、九州・沖縄方面に多くの路線を持つソラシドエアと経営統合。現在は両社とも、共同持株会社「リージョナルプラスウイングス」の傘下に入っている。
 これまでAIRDOの飛行機には、羽田や福岡、新千歳など各地の空港で何度も出会ってきた。しかし、搭乗する機会はなかなか訪れず、今回の札幌旅では、このAIRDO便を往路か復路のどちらかで利用することが一つの目標でもあった。筆者にとっては、2024年夏に関西-長崎線で搭乗したPeach Aviation以来、久しぶりとなる“初利用”の航空会社となる。(写真は2019年に羽田空港で撮影した搭乗機の同型機)
 
 搭乗したのは、8時20分発のAIRDO15便。AIRDOでは、ANAから移籍したBoeing 767-300ERと、ANAからリースされているBoeing 737-700の2機種が活躍している。後者の737-700は、数年前までANAでも運航されていたが、現在国内で定期便として運航しているのはAIRDOのみとなっており、以前から興味を持っていた。一方で、767-300ERもAIRDOでは羽田発着路線を中心に運用されている機材である。今回はせっかく羽田発着便を利用するということで、767-300ERを選択した。737-700については、今後別の空港発着のAIRDO便で乗る機会を作りたいところである。
 AIRDOのBoeing 767-300ERは4機が所属しており、主に利用者数の多い羽田-新千歳・函館・旭川線で使用されている。ただ、保有機数が4機と少ないため、機材繰りにはあまり余裕がない印象も受ける。実際、昨年末には1機が被雷を受けて整備入りし、欠航が相次いだこともあったらしい。
 
 AIRDOやソラシドエアの便は、羽田空港第二ターミナル北側から発着する便が多い。今回搭乗する便も、搭乗口55番からの出発だった。以前、大館能代行きの飛行機を利用した際にも使ったことのある55番搭乗口。コの字型をした第二ターミナルの先端部に位置している。
 8時頃から搭乗が始まり、筆者も改札を通過して機内へ。AIRDOのBoeing 767-300ERの機内は、前方から後方まで2+3+2列の座席がずらりと並ぶ。この日は日曜日ということもあり、ほぼ満席だった。この機材は窓側席が2列配置のため、一人で搭乗しても隣が1人だけで済み、一人旅でも比較的快適に移動できる。機内では「明日という未来のために・・」という爽やかなボーディングミュージックが流れていた。こうした航空会社ごとに異なる音楽を楽しめるのも、飛行機に搭乗する際の楽しみの一つである。
 
乗車(搭乗)記録 No.1 AIRDO 15便 羽田空港→新千歳空港 Boeing 767-300(ER)
 
 搭乗機はほぼ定刻でプッシュバックを開始。同時刻に第一ターミナルを出発するスカイマーク705便の後ろにつく形で、C滑走路34Rへ向かう。先にスカイマーク機が離陸した後、搭乗機も滑走路へ進入。まもなく第二ターミナルを機窓に眺めながら、滑走路34Rから離陸した。
 上昇性能が高いことで知られるBoeing 767-300ER。離陸後はみるみるうちに地上から離れ、滑走路端に差しかかる頃には、駐機している飛行機も小さく見えていた。ここからしばらくは東京の街並みを眺めながら、高度を上げていく。
 
 滑走路34Rから離陸する際の楽しみといえば、やはり機窓に広がる東京の景色である。夜は夜景が美しく見応えがあるが、昼間もまた、まるで遊覧飛行のような迫力ある眺望を楽しめる。離陸直後に機体が右へ傾くと、お台場の景色が機窓いっぱいに広がった。レインボーブリッジや有明・豊洲周辺の街並みは、何度見ても飽きることがない。
 
 その後は荒川に沿うように旋回し、機体は北へ針路を取る。東京スカイツリーを中心に据えるような飛行ルートだ。地上から見上げると圧倒的な高さを感じるスカイツリーも、空から見ると意外なほど小さく見える。どこまでも広がる関東平野、そして建物が密集する東京都心や近郊の街並み。その景色を俯瞰しながら飛行は続く。遠くには、まだ雪をまとった富士山の姿も見えていた。隅田川沿いの景色を眺めた後、搭乗機は埼玉県内へと進み、越谷周辺などを眼下に見ながら北上していく。
 
 その後、栃木県上空へ差しかかる頃には、やや厚めの雲が広がり始め、一時的に地上の景色も見えなくなった。搭乗機は雲の中へ入り、軽い揺れを伴いながらさらに高度を上げていく。この影響もあって、シートベルトサインの点灯時間はやや長めだった。やがて雲を抜けると、再び青空が広がる。ここでシートベルトサインが消灯し、ほどなくして機内ではドリンクサービスが始まった。
 
 やがて眼下に広がっていた雲も徐々に薄くなり、再び機窓から地上の景色を望めるようになった。配られた飲み物を片手に、空から各地の風景を眺める。この時間が個人的には一番楽しい。最初に現れたのは、福島県の会津盆地。写真手前、窓枠付近で雪をまとっているのが磐梯山、その左斜め上に広がるのが会津若松の市街地である。盆地の中央を流れるのは、会津鉄道や磐越西線に沿うように流れる阿賀川。このあたりは昨年春に訪ねた場所でもあり、上空から見る景色にはどこか親しみを感じた。
 
 福島県から山形県上空へ入ると、米沢周辺ではやや雲が広がっていたものの、ほどなくして再び視界が開けた。機窓には雪をまとって輝く山々の姿。山形県と新潟県の県境にそびえる大朝日岳と、その周辺の山々である。手前に広がる盆地は長井盆地。この中を山形鉄道フラワー長井線が走っており、盆地の端にはその終点・荒砥駅がある。やがて機内では機長からのアナウンスが入り、山形市上空を通過中であることが紹介された。あわせて、時速250km/h近いジェット気流の中を飛行しているため、この先もしばらく軽い揺れが続く見込みであるとの案内もあった。
 
 新庄付近では、蛇行する最上川を真下に眺めながら飛行が続く。その後、機窓には円形に雪をまとった鳥海山と日本海が姿を現し、さらに手前には横手盆地が広がり始めた。搭乗機はいよいよ秋田県上空へ差しかかる。ちょうど1年前に旅したこのエリア。鳥海山麓を走る由利高原鉄道にも乗車したが、その日は天候に恵まれず、鳥海山の姿を見ることはできなかった。この時は、きっと地上からも美しい姿が見えていたことだろう。
 
 真下には横手・大曲の市街地、そして遠くには秋田市街地を眺めながら飛行は続く。やがて再び山々が広がり始め、その直後、日本一深い湖として知られる田沢湖が姿を現した。付近には田沢湖線や秋田内陸縦貫鉄道が通っているものの、湖自体は周囲を山に囲まれた高所にあるため、列車の車窓から湖を望むことはできない。個人的にも、田沢湖を肉眼で見るのはこれが初めてだった。山々は雪解けが進みつつも、まだ冬の装いを残している。遠くには、うっすらと男鹿半島や八郎潟の姿も確認できた。大館の市街地を見下ろしながら、搭乗機はいよいよ青森県へと入っていく。
 
 雪をまとって輝く白神山地を眺めると、真下には十和田湖が広がり、さらに八甲田山が姿を現す。日本有数の豪雪地帯として知られる酸ヶ湯温泉を抱える八甲田山周辺には、まだ多くの雪が残っていた。遠くに弘前市街地を眺めていると、やがて陸奥湾と青森市街地が広がり始める。このあたりで搭乗機は降下を開始した。
 津軽半島の付け根に位置する青森市街地。弧を描く港周辺の景色が美しい。機窓からは、青森駅付近のデルタ線も確認できた。主翼の先端付近で白く輝いているのは、弘前平野の奥にそびえる青森の名峰・岩木山。ここまで来ると、かなり北までやって来たという実感が湧いてくる。搭乗機は夏泊半島上空から陸奥湾を横断し、下北半島へ差しかかった。
 
 下北半島を南北に横切りながら、津軽海峡へ向かう搭乗機。下北半島には、過去に大湊線で終点の大湊まで訪れたことがあるが、実際にはその先にも広大な土地が広がっている。半島の山々を機窓に眺めながら徐々に高度を下げていくと、地上の景色もより鮮明に見えるようになってきた。やがて再び海へ出ると、機窓には本州最北端の大間崎が見えていた。いつかは路線バスで大間を訪ねたい、そんな今後の旅への思いを抱きながら、いよいよ北海道が近づいてくる。
 
 津軽海峡を横断すると、機窓には北海道の姿が見え始めた。ここは逆Y字型をした北海道南部、その一角を成す渡島半島の南端部。先端にそびえているのは恵山である。写真ではやや霞んでいるが、主翼の先端下あたりには函館市街地が広がり、函館山や駒ヶ岳の姿も確認できた。約1年ぶりの北海道。初めて訪れた頃は「やって来た」という感覚だったが、回数を重ねるうちに「帰ってきた」と思うようになっていた。もちろん住んだことはない。しかし旅の舞台として、自分にとって北海道は“帰る場所”になりつつあった。
 
 その後もしばらく海上を飛行し、うっすらと室蘭半島を眺めながら進むと、搭乗機は新千歳空港へ向けて最終の着陸態勢へ入る。このあたりでは、苫小牧港へ向かっていると思われる大型フェリーを何隻か追い抜いていった。陸地が近づくにつれ、海の色は濃い青からエメラルドグリーンへと変化していく。その色合いは、前回の旅で訪れた沖永良部島や徳之島で見た海にもどこか似ていた。
 着陸を目前にして、搭乗機はいよいよ北海道の陸地上空へ進む。2021年、初めて北海道を旅した際、このあたりで初めて北海道の大地を見た時の感動は、今でも忘れられない。この日は北風が吹いていたため、滑走路南側からの進入となった。空港南側に広がるウトナイ湖を眺めながら、搭乗機はゆっくりと地上へ近づいていく。
 
 2本ある新千歳空港の滑走路のうち、搭乗機は東側の01Rへ着陸した。新千歳空港と隣接する千歳飛行場には、同じ方向を向いた4本の滑走路が並んでいる。民間機は原則として新千歳空港側の2本を使用し、通常は東側が着陸用、西側が離陸用として運用されている。隣の滑走路では離陸機が待機しており、着陸機が接地して間もなく離陸を開始する。やがて待機していたジェットスター機が、大空へ向かって飛び立っていった。
 弧を描く新千歳空港ターミナルを横目に進み、搭乗機は北側のスポット5番へ到着。初めてのAIRDO便で過ごした約1時間10分の空の旅を終え、少し肌寒さを感じる新千歳空港へ降り立った。

展望デッキから行き交う飛行機をしばし撮影する

 さて、時刻は10時になろうかというところ。ここから札幌市街地へ移動していくが、1日目に乗車するのは札幌市電のみで、時間にはかなり余裕があった。何も急ぐ必要はない。そこで少し展望デッキへ上がり、行き交う飛行機を眺めながら撮影していくことにした。
 
 展望デッキは、円形を描くターミナル中央部に位置し、向かって右手側にJAL系、左手側にANA系の機材が駐機する配置となっている。午前中は滑走路側が逆光になるため、JAL側の飛行機はやや撮影しづらい。
 この時間、特に頻繁に展望デッキ前を行き交っていたのはPeachの機材だった。新千歳空港には成田・関空・中部・仙台・福岡・那覇の6路線に就航しており、この時間帯は各地へ向かう出発便と到着便が次々に入れ替わっていく。中でも国内線最長路線となる新千歳-那覇線は、現在Peachのみが運航している。いつの日かこの路線に搭乗し、日本列島を縦断してみたいというのが、個人的な夢の一つでもある。できれば近いうちに実現したいところだ。
 
 この時間帯、国際線の発着はそれほど多くなかったが、バンコク発着のエアアジア便やタイ国際航空便、さらに韓国系LCCの姿を見ることができた。4月はスキーシーズンが終わる時期でもあり、国際線の発着も比較的落ち着いている。特に今年は中国方面路線の減便もあって、台湾・韓国路線の比率が高くなっている。
 やがて、韓国のLCCであるAero KのAirbus A320が姿を現す。Aero Kは韓国・清州を拠点とする格安航空会社で、この便も清州空港からの到着便だった。現在は成田、関空、福岡、那覇などにも就航しており、国内の空港で見かける機会も徐々に増えてきたが、筆者にとってはこれが初めての撮影となった。
 
 そしてこちらが、先ほど羽田から搭乗してきたAIRDOのBoeing 767-300ER、JA612A。新千歳到着後は、10時25分発のAIRDO16便として再び羽田空港へ向かっていく。この日は朝から夜まで、ひたすら羽田-新千歳間を往復する運用となっていた。多くの乗客を札幌と東京の間で運び続けるAIRDOの767。本州では羽田空港でしか見ることのできない機材でもある。かつて東京に住んでいた頃は、羽田空港にもよく撮影へ訪れていたが、最近は足を運ぶ機会も減っていた。そういう意味でも、久しぶりにじっくり撮影できた時間だった。
 
 やがて展望デッキ正面に駐機していたANAのBoeing 787-10が、羽田へ向けて離陸していく。小型機は機体の浮上が早いため、展望デッキ前を通過する頃には機体下面しか見えないことも多い。しかし、大型機であれば、車輪を格納した直後の迫力ある姿を撮影することができる。787-10も近年は導入機数が増え、以前より見かける機会が多くなったものの、なかなか搭乗の機会には恵まれていない。こちらも近いうちに、一度乗ってみたい機材である。

北海道中央バスのエアポートライナーで札幌都心へ

 展望デッキで1時間ほど飛行機を撮影した後は、いよいよ札幌市街地へ向かうため、空港のバス乗り場へ移動した。JRの快速エアポートにはこれまで何度か乗車したことがあるため、今回は空港連絡バスで札幌へアクセスしてみることにした。
 新千歳空港と札幌を結ぶ空港連絡バス「エアポートライナー」は、札幌都心方面のほか、麻生やサッポロビール園方面など、複数の系統が運行されている。その中でも最も本数が多く、終日運行されているのが、新千歳空港から清田・福住を経由して札幌市街地へ向かう路線である。
 
 この路線は、北海道中央バスと北都交通の2社による共同運行。概ね15〜20分間隔で運行されているが、時間帯によっては5〜10分間隔となることもある。JR利用の場合は乗り換えが必要となる地下鉄東豊線沿線や、大通・すすきのエリアと空港をダイレクトに結んでいるほか、市街地中心部のホテルにも停車し、空港アクセスだけでなくホテル送迎的な役割も担っている。札幌市街地までの運賃は1,500円。両社ともクレジットカードのタッチ決済に対応しているが、交通系ICカードについては北海道中央バス便のみ利用可能で、北都交通便では使用できない。なお、乗車券は空港1階のバス窓口で事前購入することも可能である。
 バス停へ到着すると、すでに長い列ができており、50人前後が並んでいた。特に急ぐ旅でもないため、そのまま列へ加わり、数本バスを見送ることにした。2本のバスを見送り、「そろそろ次で乗れそうだ」と思った頃、係員から「ドームですか?」と声をかけられる。どうやらこの日、札幌ドームでは音楽フェスが開催されていたらしく、空港バスもその来場客で混雑していたようだった。ドーム方面へ向かう乗客が多い時間帯には臨時便も運行されるようで、ほどなくして隣の乗り場に臨時バスが到着。ドーム行きの乗客はそちらへ誘導されていった。運よく前に並んでいた乗客もドーム方面利用者だったため、結果的に次の定期便では先頭付近となった。やがて11時45分発の北海道中央バス便が到着し、これに乗車した。
 
乗車記録 No.2 北海道中央バス エアポートライナー 新千歳空港→札幌駅前
 
 新千歳空港では、ANA側の22番乗り場を起点に、JAL側の14番乗り場、さらに国際線ターミナル前の84番乗り場の計3か所に停車する。22番乗り場では後方にも多くの乗客が並んでいたが、この後JAL側や国際線側からも乗客が乗車するため、ここですべての座席を埋めるわけではなく、半数程度の座席を空けた状態で発車する運用となっていた。そのため、混雑時にJAL側から乗車して窓側席を確保するのはなかなか難しそうである。
 発車時刻となり、バスは22番乗り場を出発。すぐに14番乗り場へ停車し、ここでも多くの乗客が乗り込んできた。この時点で車内はほぼ満席となり、続く国際線ターミナル前の84番乗り場でさらに2人が乗車。この便は完全に満席となった。
 
 国際線ターミナル前を発車したバスは、空港内を南北に貫く道路を進み、やがて国道36号へ合流する。まもなく車窓に南千歳駅が見えてくると、バスは南千歳駅前停留所前を通過した。空港連絡バスは、空港内3か所で乗客を乗せた後、この南千歳駅にも停車して利用客を拾う。
 その後はしばらく千歳線の線路と並走しながら、千歳市街地方面へ進んでいく。何か列車は来ないだろうかと車窓を眺めていると、運よく737系の普通室蘭行きが姿を現した。空港北端付近の交差点を左折すると、バスは千歳飛行場北側をかすめるように進み、千歳市街地へ入っていく。
 
 千歳市街地南側を進んだ後、バスは道央自動車道・千歳ICへ。ここから北広島ICまでは高速道路を利用する。高速走行区間は2区間のみで、所要時間にして15分ほどと比較的短い。福住などを経由せず、札幌都心へ直行する系統の場合は、北広島以北もそのまま高速道路を利用して中心部へ向かうが、今回乗車した便は札幌市街地入口から一般道へ下り、都心部へ向かうルートとなっている。
 
 千歳ICから高速道路へ入ると、ほどなく車窓には千歳市街地が広がる。やがて、帯広・釧路方面へ続く道東自動車道が分岐する千歳恵庭JCT付近を通過すると、バスは恵庭市街地の西側をかすめるように走っていく。車窓には北海道らしい牧場風景が広がっていた。途中、高速恵庭、高速輪厚の2か所のバス停にも停車するが、この便では降車客はなく、そのまま通過となった。
 道央道は国道36号と並走するように札幌を目指す。国道36号には、千歳駅と地下鉄福住駅を結ぶ路線バスも運行されている。こちらも今回の旅で乗車候補に挙がっていたものの、こちらは時間の都合で見送ることにした。次回、新千歳空港から札幌へ向かう際には、千歳駅訪問も兼ねて利用してみたいと思っている。
 
 15分ほど道央道を走行した後、バスは北広島ICで高速道路を下り、再び国道36号へ戻った。この先は一貫して国道36号を進みながら、札幌中心部へ近づいていく。北広島ICを下りてすぐの「三井アウトレットパーク入口」で最初の降車があった。停留所名の通り、近くには三井アウトレットパーク札幌北広島があり、周辺にはロードサイド型のチェーン店も数多く並んでいる。
 三井アウトレットパーク入口を発車すると、ほどなくしてバスは北広島市から札幌市へ入る。中心部まではまだ距離があり、ここから先は清田区、豊平区、中央区を経由して札幌都心へ向かっていく。清田区は札幌市10区の中で唯一、鉄道路線が通っていない区である。そのため、福住駅などを起点とする路線バスが地域交通を支えており、乗車中も多くの一般路線バスとすれ違った。
 
 清田区内を縦断した後、バスは札幌の観光地の一つとして知られる羊ヶ丘付近へ差しかかる。ここでバスは豊平区へ入り、ほどなくして札幌ドーム前に停車した。この日は札幌ドームで音楽イベントが開催されていたこともあり、ここで車内の半数近い乗客が下車。地下鉄福住駅方面へ向かう歩道にも、多くの人の姿が見えた。
 福住駅前を通過すると、車窓の景色も徐々に郊外型の街並みから都心的な風景へ変わっていく。次の月寒中央駅までは地下鉄東豊線が直下を走り、その後も地下鉄は少し離れつつ、並行するように札幌中心部へ向かっていく。各停留所で乗客が少しずつ下車し、車内にも徐々に空席が目立つようになってきた。
 
 やがてバスは豊平エリアを抜け、豊平川を渡る。この川が豊平区と中央区の境界となっている。両岸とも市街地が広がっているが、ここまで来ると、いよいよ札幌中心部へ到達したという実感が湧いてくる。バスはそのまま道なりに進み、創成川通との交差点をまたぐ。有名なすすきの交差点手前で右折すると、繁華街を南北に貫く西3丁目通へ入り、ほどなくして南3条すすきの停留所へ到着。ここで筆者以外の乗客は全員下車していった。
 札幌駅周辺へ向かうのであれば、JR利用の方が所要時間は短い。実際、JR+地下鉄と空港連絡バスの所要時間がほぼ同程度になるのは、このすすきのエリアあたりまでだろう。この先もバスは市内各所のホテルを経由するが、この時間帯はまだホテル直行客も少なく、ここで他の乗客がいなくなるのも当然である。
 
 南3条すすきのを発車すると、バスは西3丁目通を北上し、大通公園停留所へ到着する。車窓にさっぽろテレビ塔が見えてくると、「札幌へ来たな」という実感が一気に強まる。そのまま北へ進めば札幌駅だが、バスは創成川通沿いのホテルを経由するため、やや遠回りしながら札幌駅前へ向かう。
 新千歳空港からおよそ1時間30分が経過した13時15分頃、バスは札幌駅前に到着。ここでバスを下車した。なお、バスはこの後も市内のホテルを巡回し、終点のグランドメルキュール札幌大通公園を目指す。しかし、ここで乗客がいなくなったため、札幌駅前のバス停以降は回送となった。
 
 朝8時過ぎに羽田空港を出発し、新千歳空港で約2時間の小休憩を挟んだ後、札幌駅前へ到着したのは13時過ぎ。少しのんびりしすぎて正午を回ってしまったが、1日目の予定は比較的軽めなので問題はない。快晴で暖かな陽気となったこの日の札幌駅前には、多くの人が行き交っていた。
 この後は、札幌市内を走る路面電車に乗車する。空港連絡バスであれば大通公園停留所で下車した方が近かったが、今回は旅の拠点となる札幌駅前まで乗車したかったため、あえてここを降車地に選んだ。札幌駅からは、先ほど通ってきた道を戻るように大通公園方面へ向かう。ここから、いよいよ本格的な札幌での“乗り鉄旅”を始めた。
 
続く