【旅行記】札幌近郊乗り鉄旅~路線バスに乗車し、石狩市経由で宮の沢へ~
大通のホテルに宿泊して迎えた札幌近郊乗り鉄旅の2日目。この日は残る2路線、地下鉄東西線とJR札沼線に乗車して、北海道の鉄道巡りを終える。この日はこの2路線に乗車することを第一の目標にしながら、終日、バスや電車で札幌近辺を周遊した。
市電を撮影しつつ、中央バスの札幌ターミナルへ向かう

路線距離自体はそれほど長くない地下鉄東西線とJR札沼線。単に乗りつぶすだけであれば、半日もあれば十分だろう。しかし、両路線とも片方の終点が行き止まりということもあり、往復だけでは単調な乗車になりがちである。せっかく札幌近郊を走る路線に乗車する機会を得ているので、今回はその間に路線バスを挟みながら、札幌周辺を周遊するルートで旅をしてみることにした。
宿泊したホテルの目の前の地下を地下鉄東西線は走っているが、この路線には後ほど乗車することとし、チェックアウトした後は、市街地や大通公園を歩きながら、北海道中央バスの札幌ターミナルを目指した。

電車通りを歩いていると、後ろから低床電車「シリウス」がやってきた。昨日に引き続き、少し路面電車を撮影してみることにする。時刻は7時前。まだこの時間の市街地には人影も少ない。路面電車の車内も空いているが、1時間後には通勤・通学客で混雑し始めるのだろう。昨日も撮影した形式だが、昨日はラッピング車両だったため、この日は通常塗装の車両を改めて撮影することができた。

その「シリウス」を追いかけるように歩いていると、西4丁目電停へたどり着いた。時間にはまだ余裕があったので、ここでもしばらく路面電車を撮影することにした。
「シリウス」が発車していくと、その後には3300形が現れ、続いて今度は「ポラリスII」がやってくる。昼間は賑わう西4丁目交差点も、この時間はまだ人影がまばら。路面電車は、そんな朝の静かな空気の中、ゆっくりと交差点を曲がっていった。

7時になると、やがて街にも人の姿が増え始め、道路を行き交う車の数も多くなっていく。同時に、路面電車の本数も増えていった。やがて、西4丁目止まりの区間便が到着。電停の端にちょこんと停車すると、降車客を降ろし、折り返しの準備が進められる。まもなく行先表示は「西線16条」へと変わった。
西4丁目電停には折り返し用のポイントが設置されており、朝時間帯にはここで多くの電車が折り返す。なお、内回りの電停は写真の手前側に位置しているため、折り返した列車は西4丁目ではなく、隣の西8丁目始発として運転される。
8500形が折り返しの準備を進めていると、さらに後ろから220形が到着した。西4丁目には降車専用ホームがあり、ここで乗客を降ろす。その間に、西線16条行きとなった8500形がポイントを渡り、降車ホームに停車していた220形が前進してくる。こちらも区間便のようで、やはりホーム端にちょこんと停車し、折り返しの準備が行われていた。
このように、朝の札幌市電では西線16条-西4丁目間の区間便が多数運転されており、この区間は特に本数が多くなる。その一方で、都心線区間は日中より運転間隔が開く。ふと振り返ると、西4丁目の内回り電停にはすでに長い行列ができていた。これが、平日朝の札幌市電の日常である。
北海道中央バスの拠点、札幌ターミナルからバスに乗り込む

市電を撮影した後は、テレビ塔の真下を通り抜けるように大通公園を歩き、札幌ターミナルへ向かった。創成川通りを渡った先にあるこのバスターミナルが、2日目の旅の起点となる。札幌の市街地では、住所の南北方向は大通周辺を基準に、東西方向は創成川通りを基準として付けられている。大通と創成川通りが交わるこの付近は、まさに札幌の街づくりの中心とも言える場所である。
札幌ターミナルは、北海道中央バスの拠点となるバスターミナル。道内各地へ向かう都市間バスや、札幌近郊へ向かう路線バスの一部が発着している。北海道中央バスの本社もここに所在しており、まさに同社の本拠地といえる存在である。
一方で、近くには「大通バスセンター」という別のターミナルも存在する。かつて札幌市内では市営バスが運行されており、主にその市営バスが発着していたのが大通バスセンターだった。市営バス廃止後、路線は北海道中央バスやジェイ・アール北海道バスへ移管されたため、現在は近接した場所に二つのバスターミナルが存在する形となっている。
都市間バスは路線によって札幌ターミナル発着と大通バスセンター発着に分かれているほか、一般路線バスについても、石狩方面は札幌ターミナル発着、東区方面は大通バスセンター発着といった違いがあり、少々ややこしい。特に観光客や域外からの来訪者にとっては難易度が高く、乗り場を間違える利用者も多いという。

どこか昭和の雰囲気が漂う札幌ターミナル。窓口前には待合スペース、その奥には売店もあり、長距離利用客の多さを感じさせる。九州で例えるなら、西肥バスの佐世保バスセンターにもどこか似た空気がある。
旭川、帯広、釧路、網走、留萌など、道内各地の地名が並ぶバスのりば。どの路線にも旅情をかき立てられる。北海道での乗り鉄旅も一区切りを迎えつつある中、今後はこうした都市間バスを使って各地を巡る旅もしてみたいと思うようになった。もしかすると、これからはこのターミナルを訪れる機会も増えるのかもしれない。
のりばには網走行きの都市間バスが停車していた。車内は窓側席を中心に多くの座席が埋まっており、盛況のようだ。札幌-網走間の特急列車は2往復のみとなり、日中の列車も特別快速化されている網走方面。独立3列シートの都市間バスであれば、乗り換えなしで快適に移動できる。
16系統 花畔団地線 石狩庁舎前行に乗車し、石狩市を目指す

さて、札幌ターミナルからは、北海道中央バスの路線バス16系統 石狩庁舎前行きに乗車する。目指す先は地下鉄東西線の起点である宮の沢駅。それなのになぜ石狩市方面へ向かうのかといえば、石狩市から宮の沢駅方面へ向かうバス路線が出ているから。地下鉄で単純に往復するだけでは面白くないので、路線バスを乗り継ぎながら、あえて遠回りで宮の沢を目指すことにした。
札幌ターミナルを発着する路線バスは、いずれも札幌市街地の北側方面へ向かう。その中でも特に本数が多いのが石狩庁舎前行きの路線で、札幌市と石狩市を結ぶ重要な移動手段となっている。
札幌ターミナル-石狩庁舎前間には、現在3系統の路線バスが運行されている。この系統は、札幌ターミナルから創成川通りを北上し、地下鉄麻生駅、中央バス自動車学校前、花川地区を経由して、石狩庁舎前までを結ぶ路線である。札幌市中心部と石狩市街地をダイレクトに結ぶ系統の一つであり、通勤・通学路線としての役割も大きい。なお、札幌ターミナルから石狩市方面へ向かう路線は複数存在するが、それぞれ経由地が異なっている。
乗車記録 No.4
北海道中央バス [16] 花畔団地線 石狩庁舎前
札幌ターミナル→石狩庁舎前

数人を乗せ、バックしてバスターミナルを発車すると、東3丁目通、北3条通を経由して、創成川通へ入る。バスは札幌市中心部から麻生町まで、この創成川通を走っていく。北5条西1丁目で数名の乗客を拾うと、JRの線路と交差する。札幌駅は経由しないが、このバス停と北側の北7条西1丁目は、札幌駅からも程近い場所にある。

その後もしばらく創成川通を北へと進んでいくバス。札幌市を南北に貫き、住所上の東西の境目となっている創成川通は、一昨年、留萌から札幌への特急バス「ましけ号」に乗車した際にも通ったことがある。沿道のバス停では、どの停留所にも数人が待っていて、徐々に車内も混雑し始めた。
創成川通を走るのは、麻生町1丁目の交差点まで。ここで左折して、道道865号線樽川篠路線へと入ると、バスは北西へと進み、やがて地下鉄麻生駅前へと差し掛かる。南北線の終点である麻生駅にはバスターミナルも設置されているが、このバスはターミナルへは入らず、駅前五差路の先にある路上のバス停へと停車した。バス停の少し先には、ニトリの本社兼麻生店がある。

麻生駅は学園都市線の新琴似駅にも近い場所にある。バス停を出ると、まもなく頭上を学園都市線が横切っていった。学園都市線は午後に乗車予定。数時間後には、列車の車窓からこのバス通りを眺めることになる。
札幌市中心部から石狩庁舎前へと向かう乗車中の系統は1時間に1本だが、地下鉄麻生駅から石狩庁舎方面へは、系統番号に「麻」が付く区間便も多く運行されている。麻生駅は、さらに北側に位置する札幌市街地や石狩市内への乗り換え拠点となっている。麻生から石狩庁舎へは複数の系統が運行されているが、合わせると日中では5〜10分に1本が運行されており、利便性が高い。乗車中のバスも、ひっきりなしに対向のバスとすれ違った。

学園都市線と交差した後も、新琴似の市街地はしばらく続いている。バスはこの中を走行し、少しずつ乗客を降ろしていった。やがて北海道中央バスグループが運営する中央バス自動車学校のあたりまで来ると、市街地も一旦終わりとなる。建設・流通関係の会社の事務所や倉庫が多く立地するこのあたりでは、車窓に緑が広がる。奥には雪をまとった手稲山を望む。4月だが、山上にはまだ積雪が多く残っており、スキーを楽しめるらしい。

そんな景色も束の間で、バスは札幌市から石狩市へ入り、花川という地区へと入った。ここは札幌の郊外に広がるベッドタウンで、戸建て住宅や団地、マンションなどが並んでいる。バスは北東から南西へ斜めに広がるこの住宅街を進み、北東部に位置する終点・石狩庁舎前を目指す。中央バス自動車学校のあたりで車内の乗客は数人となったが、花川の住宅街へ入ると再び乗客が増え始め、スーパーや病院の最寄りとなるバス停で降りていった。
この花川地区には、札幌市街地、麻生駅、そして手稲駅などから多くのバス路線が運行されている。系統によって走る通りは異なるのだが、乗車している16系統は、その中でも最も南東寄りに位置する若葉通という通りを進む。この後は、また花川の住宅街を通る別の路線に乗車する。同じ通りを進むのでは面白くないので、あえて後ほど乗車するバスとは別の通りを進む系統を選んだ。

花川の市街地を北へと進み、バスは札幌ターミナルから1時間ほどで終点の石狩庁舎前に到着した。終点で下車したのは、自分を含めて2人。バス停は、花川市街地の北西端に近い場所に位置している。
新琴似や花川などの住宅街は、観光で訪れることはまずないエリアだろう。しかしながら、そういう場所の方が、札幌の暮らしというものを垣間見られるのもまた事実。前日の札幌市電の乗車に続き、今回の旅の副次的な目的だった「札幌市街とその近郊を知る」という目的に、ぴったり合致する路線だったように思う。
さて、石狩庁舎前周辺では、約1時間の乗り換えで次のバスに乗車する。“周辺”と書いたのは、次のバスが石狩庁舎前始発ではないため。市街地の終端にあたるこのあたりには、いくつかのバスの運行拠点があり、路線によって始発・終点となるバス停が異なっている。ここからは、次のバスの始発停留所へ向かいながら、石狩庁舎周辺を少し歩いてみることにした。
石狩で宮の沢駅行のバスへ乗り換える

バス停の「石狩庁舎前」とは、石狩市役所のこと。バス停の近くには市役所の建物が建っている。札幌市の北西部に隣接する石狩市。今、バスで辿ってきたように、市域南部にはベッドタウンとして市街地が広がっている。その一方で、合併によって市域は北へ長く伸びており、断崖絶壁が続く雄冬峠の南側もまた石狩市内に含まれている。
余談だが、一昨年「ましけ号」に乗車した時点では、北海道中央バスの路線バスも厚田という地区まで運行されていた。しかし、その路線は今年3月に廃止されてしまったらしい。厚田線は札幌ターミナルから創成川通を北上し、ここ石狩庁舎前を経由して厚田へ向かっていた。廃止後は、厚田〜花川間でデマンドバスが運行されているが、花川の住宅街からさらに北へ向かう中央バスの一般路線は姿を消している。

次のバス停へ向かうには少し早かったので、市の施設が立ち並ぶエリアを抜け、サスイシリの森という公園へ向かった。公園の前には茨戸川という川が流れている。この日は風がとても強く、川面には波が立っていた。航空写真で見るとよくわかるが、この茨戸川は旧石狩川の一部である。石狩川が洪水対策のために改修された際、取り残された流路が茨戸川となった。川は大きく湾曲しており、現在では川というより遊水池のような役割を果たしている。札幌市内を流れる創成川や発寒川もこの川へ流れ込み、最終的には石狩川と合流する。
このあたりは丘珠空港の滑走路延長線上に位置しており、丘珠空港へアプローチする飛行機は、ここから高度を下げていく。やがて、時間帯的に函館からの便と思われるHACのATR機が姿を現し、そのまま丘珠空港へ着陸していった。

市街地からは、先ほど乗車していたバスの車窓からも見えていた手稲山が望める。この後は、あの山へ近づいていくようなルートとなる。再び石狩市役所前を経由し、次のバスが発着する「花畔」バス停まで10分少々歩いた。

石狩庁舎前にも複数台のバスが折り返し待機をしていたが、そこから西へ10分とかからない場所にもバスの駐車場があり、ここもまたバスの発着地となっている。バス停の名前は「花畔」。最初に見たときは全く読めなかったが、これで「ばんなぐろ」と読むらしい。地名はアイヌ語の「パナ・ウングル・ヤソッケ」に由来し、「川下人の漁場」という意味だという。札幌近郊でも屈指の難読地名のようだった。
ここは石狩営業所のバス駐車場・待機所の一つとなっており、バス停前には乗務員休憩所の建物も設けられている。ここを発着するのは、手稲方面と麻生方面の一部便。先述の通り、石狩市北部や厚田方面へ向かう路線は近年廃止されてしまったため、現在では札幌市とその周辺を走る中央バス路線網の中で、最も北に位置する一般路線の終着点がこのバス停となっている。

駐車場には複数台のバスが停まっており、ここを終点とするバスや、回送で営業所へ戻るバスなどの出入りも頻繁にある。花川の住宅街の北端に位置しており、周辺には住宅も点在しているが、全体としてはどこかのどかな雰囲気が漂っている。
前を走る道をさらに進めば、やがて港の方へ出る。遠くには風力発電の風車が並んでいるのも見え、港町が近いことを感じさせる景色が広がっていた。この先の北側エリアは、物流企業の倉庫や事業所が多く立地する地域となっている。
花畔から宮47系統で東西線が発着する宮の沢駅へ

さて、花畔から乗車したのは、宮47系統・手稲線宮の沢駅行き。先ほど乗車したバスが、花川から地下鉄麻生駅や札幌市中心部を目指す路線だったのに対し、こちらは郊外路線で、花川から手稲駅北口を経由し、東西線の起点である宮の沢駅を結んでいる。運行本数は1時間に1本程度だが、途中の手稲駅北口までは、花川地区で経由地がやや異なる43系統も並行して運行されており、合わせると1時間あたり2〜3本程度が確保されている。
乗車記録 No.5
北海道中央バス [宮47] 手稲線 宮の沢駅行
花畔→宮の沢駅

花畔から乗車したのは筆者だけだったが、石狩庁舎前から数人が乗車。その後も花川の住宅街の各バス停から乗車が続いた。バスは先ほど乗車した16系統とは異なる紅葉山通を進み、花川住宅街の北側を抜けた後、花川通を経て、再び石狩手稲通へ戻る。やがてロードサイド店舗が立ち並ぶエリアへ差しかかると、買い物へ向かうと思われる乗客が次々と降りていった。

花川の住宅街を抜けると、バスは一瞬だけのどかな景色の中を走る。その途中で石狩市から札幌市手稲区へ入り、やがて新川を渡った。この日は風が非常に強く、車窓にはつむじ風で土ぼこりが巻き上がる様子も見える。新川を渡ると、バスは再び住宅街の中へ入り、手稲駅を目指して進んでいく。手稲駅北側の住宅街でも各バス停から乗車が続き、車内は徐々に混み合い始めた。

バスはやがて手稲駅北口に到着した。函館本線に乗車した際に通ったことはある駅だが、駅前へ出るのはこれが初めてだった。札幌市西部に位置する手稲区、その中心駅がここ手稲駅である。駅の西側には札幌運転所があり、ここを起終点とする営業列車自体はそれほど多くないものの、手稲〜札幌間では回送列車も頻繁に走っている。九州で例えるなら、南福岡駅に近い存在だろうか。
ここでは乗客の多くが入れ替わった。この後は函館本線と少し距離を置きながら並走する形で、宮の沢駅を目指していく。東西線には手稲方面への延伸構想もあるため、まるで地下鉄の延長区間を先取りするようなルートである。手稲駅からはジェイ・アール北海道バスの路線が多く発着しており、駅前でも同社のバスを数多く見かけた。

手稲駅北口を出ると、バスはJR函館本線を跨いで駅南側へ向かい、その後は二十四軒・手稲通を経由して終点の宮の沢駅を目指す。東西線の延長線上をなぞるようなルートで進み、沿道のバス停からも多くの乗客を乗せていった。東西線には、宮の沢から手稲駅を経由し、さらに手稲駅北側に位置する北海道科学大学付近まで延伸する構想も存在する。市街地の背後に山並みを眺めながら走っていたバスは、やがて宮の沢へ到着。この通りから一本奥へ入った場所にある宮の沢バスターミナルに停車した。

降り立った宮の沢バスターミナルは、地下鉄宮の沢駅に直結するターミナルで、周辺各方面への路線バスに加え、新千歳空港への空港連絡バスも発着している。手稲駅と同様、この周辺もジェイ・アール北海道バスの勢力圏となっており、中央バスの乗り入れ路線は3系統のみと少ない。
バスターミナルは、一旦地下へ降りてから地上へ出る構造となっており、地下鉄駅のほか、隣接する商業施設やマックスバリュ宮の沢店とも直結している。駅周辺には、札幌の観光地の一つである「白い恋人パーク」もあり、地下鉄でここを訪れる観光客も多い。駅の位置はJR函館本線の発寒駅と発寒中央駅の中間付近にあり、駅西側では札樽道が手稲通を跨いでいる。
札幌市街地から石狩市を経由し、地下鉄東西線の起点・宮の沢駅へ到着。ここからは東西線に乗車し、終点の新さっぽろを目指した。
続く