【旅行記】中国地方の全路線制覇を狙う旅~水島臨海鉄道に乗車~

山陽本線を上るの続き
 

水島臨海鉄道に初乗車

 
乗車記録5
水島臨海鉄道水島本線 三菱自工前行
倉敷市→三菱自工前 MRT300形
 
 倉敷で山陽本線の普通列車を下車して、水島臨海鉄道に乗車しに行く。JRの倉敷駅は大きいが、水島臨海鉄道の駅はJRの駅舎の西側に設けられていて、駐輪場の1階に駅舎が入っているこじんまりとしたつくり。JRが倉敷駅なのに対してこちらは倉敷市駅と駅名が違う。倉敷市駅は窓口が設置されているほか、券売機もある。列車の発車が近づくと、改札が行われ、改札内に入ることができる。
 
 乗車したのはMRT300形1両の三菱自工前行普通列車。夕方の列車なので、車内はそれなりに混雑していた。水島臨海鉄道は水島本線と港東線という2つの路線を運行している。このうち旅客営業が行われているのは水島本線の倉敷市~三菱自工前間で、その他の区間は貨物輸送のみを行う路線となっている。倉敷市~水島間は概ね1時間あたり1~2本程度の列車があるが、水島~三菱自工前間は列車本数が減り、列車の間隔が空く時間がある。終点の三菱自工前までの所要時間はおよそ30分。一番後ろから車窓を眺めて向かうことにした。
 
 倉敷市駅を出ると、JR倉敷駅の脇を走る。駅名こそ違うものの貨物列車が直通するため、構内で線路がつながっている。貨物列車は4往復程度運転されていて、収入比では旅客営業し収入と半々らしい。しばらく山陽本線の線路と並走し、最初の駅である球場前駅の手前でカーブして別れていく。
 
 球場前駅を出ると築堤に上がり、倉敷市の住宅街を車窓に見ながら進む。次の西富井との間には、工場へと延びる高架の廃線跡があるが、専売公社の工場の専用線で1996年に廃止されたが、現在も高架橋がその面影を残している。
 
 築堤から高架橋に変わって到着する西富井駅。ここでは反対列車とすれ違う。旅客列車は1~2両だが、貨物列車は長編成になるので、行き違い設備が長い。こういうところに、臨海鉄道感を感じる。沿線は一貫して住宅街が広がっていて、倉敷市の郊外に住む人たちが列車を降りていく。一駅ごとに車内の混雑は緩和されていった。
 
 福井、浦田と一旦地上を走ったあと、再度高架橋となり、弥生、栄、常盤と一直線に敷かれた高架橋の線路を走ると、水島へ。乗客は自分と旅行客の1組だけになってしまった。終点の三菱自工前はその名の通り、水島コンビナートに片足突っ込んだような場所にある。それ故付近に住宅がなく、倉敷市駅側から乗り込んだ乗客のほとんどは水島駅で降りていく。水島駅にはこの後立ち寄るが、一旦三菱自工前まで行き、水島臨海鉄道を完乗する。
 
 水島駅から高架を降りてカーブすると、数分で終点の三菱自工前駅に到着。駅に走る直前で、右側から線路跡が近づいてくるが、これは2016年まで営業路線だった西埠頭線の跡。列車は乗客を降ろしたあと、奥へと回送されていった。旅客営業自体はこの駅までだが、貨物列車の運行はこの先の倉敷貨物ターミナル駅まで行われていて、水島臨海鉄道の車両基地はその一角に設けられている。確かにここに来るまで本社は見たが、車両基地は見なかったのでどういうことかと思っていたが、終点より先にあるのだ。
 
 終点の三菱自工前駅に到着して、水島臨海鉄道水島本線を完乗。折り返しまで少し時間があったので、駅周辺を撮影する。駅前は臨海工業地帯らしい片側3車線の道路が走り、その道向かいには三菱自動車工業水島製作所の工場が広がっている。倉敷市の水島は言わずと知れた日本最大規模の工業地帯である水島コンビナートがあるところ。この駅はこの水島コンビナートの一角にあり、ここから臨海部にかけて自動車、鉄鋼、化学などの大工場が立ち並んでいる。雰囲気はJR東日本の鶴見線に似ていて、臨海鉄道らしい景色を堪能することができた。
 

一駅戻って水島駅を訪問

 
乗車記録6
水島臨海鉄道水島本線 倉敷市行
三菱自工前→水島 MRT300形
 
 折り返し倉敷市行の普通列車に乗車して、一駅戻り水島駅で下車する。先ほどとは違う車両で、列車は入れ替わったらしい。JR久留里線で活躍していた車両も活躍する水島臨海鉄道。次来た時はこの国鉄車両も見てみたい。
 
 水島地区の中心となる水島駅。窓口と券売機の設置があるが、休日の夕方だからかすでに閉まっていた。駅前にはロータリーが設置されているものの、タクシーがいる以外は閑散としている。バス停の屋根らしきものは設置されているが、バス停自体は設置されておらず、どうやらここから出る路線バスはないらしい。倉敷市方面からの列車が到着すると乗客が降りてくるが、皆淡々と家のある方向に進んでいく。
 
 水島駅周辺に訪問して、倉敷市駅に帰る。駅のホームからは水島コンビナートの工場の煙突がいくつも見えた。下りの列車と違って倉敷市方面に行く乗客はまばらだったが、対向の列車は混雑していた。倉敷市民の足として欠かせない鉄道である。
 

水島から倉敷、そして特急やくもで新見へ

 
乗車記録7
水島臨海鉄道水島本線 倉敷市行
水島→倉敷市 MRT300形
 
 帰りは座席に座ってまったりと。水島臨海鉄道のMTR300形の車内はセミクロスシートとなっていて、ロングシートの向かい側に数個のボックスシートが並び、それが車内の半分半分で互い違いになっている。車窓の奥に見える山は瀬戸中央自動車道が走る山で、右側に進んでいくと瀬戸大橋に出る。この水島地区はこの山で臨海部が囲われており、倉敷駅あたりを走っていても水島コンビナートが見えないのはこの山があるためである。
 
乗車記録8
伯備線 特急やくも25号 出雲市行
倉敷→新見 グリーン車 381系
 
 さて、倉敷市駅に帰って水島臨海鉄道の旅はここで終了。ここからは明日の姫新線乗車のために宿泊地である新見に移動する。芸備線などに乗車した際にも宿泊した新見。あの時は北側から新見へ向かったが、今回は南側から。すっかり夜になり、車窓からはほとんど何も見えないが、ここは以前乗ったことがあるので夜の移動でも問題はない。定刻通り、新見駅に到着し、1日目の行程を終えた。