【旅行記】中国地方の全路線制覇を狙う旅~姫新線岡山県区間を東へ~
~水島臨海鉄道に乗車~の続き
早朝の新見駅から2日目がスタート

2日目は新見駅からスタート。この日も快晴に恵まれた。今回も芸備線に乗車した際にも宿泊した駅前のグランドホテルみよしやに宿泊。芸備線のときを含めて明るい時間帯の新見駅はこれが初めて。ようやく駅周辺の日中の景色を見ることができた。ホテルの前には高梁川が流れていて、伯備線は新見~倉敷間でほとんどの区間をこの高梁川と並走しながら走っていく。途中で何度も高梁川を渡り、高梁川を渡る鉄橋の数は14本。新見から北側では高梁川の支流である西川と並走し、そちらは23本の鉄橋がある。そのため、備中高梁~上石見間で高梁川とその支流を40本近い鉄橋で何度も渡る。個人的にも初めて伯備線に乗ったとき、あまりの鉄橋の多さに驚いたことを今でも覚えている。

伯備線のおよそ中間地点に位置する新見駅。寝台特急サンライズ出雲を含めたすべての列車が停車する大きな駅で伯備線の他に新見線と芸備線の列車が発着している。伯備線の普通列車は多くの列車がこの駅を境に米子側、岡山側に系統分離され、新見駅をまたいで運転される列車は上り1本のみと少数。以前は出雲市発播州赤穂行のロングラン列車もあったが、姿を消している。この駅から岡山方面には概ね1時間に1本の普通列車が運転され、そのまま山陽本線岡山以東や赤穂線まで運転される列車が多いが、反対の米子方面は県境を跨ぐこともあって普通列車は運転間隔が空く時間がある。今回乗車する姫新線はその名の通り、この新見駅が終点。今回は姫新線を逆行する形で新見~姫路へ向かう。伯備線の普通列車には姫路から新見まで運転される列車があるが、姫新線は最低でも2回の乗り換えが必要。今回は津山、佐用、播磨新宮で列車を乗り換えて姫路駅へと向かう。
朝ラッシュの姫新線をゆく
乗車記録9
姫新線 普通 津山行
新見→津山 キハ120形2両

新見駅から乗車するのはキハ120形2両の普通列車津山行き。新見駅を発車する姫新線の2番列車で、新見から津山まで通しで運行される列車としてはこの列車が始発となる。1本目は4時51分発の快速中国勝山行で、伯備線を含めた新見駅の始発列車となっている。この快速列車が中国勝山で折り返し新見行きの普通列車として新見まで戻り、乗車する普通列車となる運用になっているようだ。津山~中国勝山間ではキハ40系列も使用されている一方、中国勝山~新見間はキハ120形のみが使用されていて、岡山気動車区のキハ120形は姫新線の列車を介して芸備線の備後落合まで足を延ばしている。伯備線・山陰本線の米子方面に向かう同車両の普通列車も今年春まで運行されていたが、芸備線列車が走る伯備線の新見~備中神代間を除いてキハ120形による伯備線列車は消滅している。

今回は新見駅前に宿泊したが、この列車に乗るには必ずしも新見駅前に宿泊する必要はない。岡山駅からの伯備線の上り始発の普通米子行き、または米子方面からの特急やくも2号岡山行に乗車することで、岡山、米子方面から乗り換えて乗車することもできる。気動車のエンジン音が響き渡るホーム。岡山方面からの普通列車と接続を取って芸備線の東城行の普通列車が発車していった。乗車する姫新線の普通列車が発車する直前に隣のホームに入ってくる岡山方面の播州赤穂行きは、伯備線の岡山県最北の駅の新郷始発の珍しい列車となっていて、おそらく通学利用などを想定した列車なのだろうが、見た限り新見で降りた乗客はいなかった。乗車するキハ120も伯備線から乗り換える客はおらず、2両編成で5人程度の乗客で新見駅を発車した。

新見駅を出ると左にカーブして伯備線と別れ、すぐに高梁川を渡る。その後は車窓に中国道を見ながら東へと進んでいく。姫新線はほぼ全線が中国道と並走していて、車窓の田園風景の中に高速道路が鎮座する異様な光景が車窓に広がる場面も多い。

沿線はちょうど田植えの最盛期で、田植え直後の水田が車窓に広がる。岩山、丹治部と乗車がなかったが、次の刑部から通学生で車内が混雑し始めた。刑部も新見市だが、中国勝山方面の通学流動は基本この駅からのようだ。富原、月田と通学生がドッと乗車して2両編成の列車もさっきまでの閑散具合が嘘のように混雑。中国勝山でその多くが下車するも、中国勝山からは美作落合へ向かう通学生と津山へ向かう乗客が乗車し、車内も引き続き混雑していた。中国勝山という駅名はおそらく福井の勝山と区別するためだろうが、旧国名を採用することが多い駅名に地方名が入るのはあまり聞かない。

美作落合で通学生が下車すると車内は再び閑散とした。地方のローカル線を支えているのは通学する学生。乗車している姫新線は存廃議論が飛び出しているが、まだ通学生が一定数いるこの路線は鉄道として存続する意味もあるように思う。山の谷間をクネクネと走り続けて約1時間半。津山盆地を流れる吉井川を渡ると津山駅はすぐそこ。津山線の線路が右側から近づき終点の津山に到着した。

昨年末に津山線と因美線に乗車した際に訪れて以来の津山駅。このときは駅前のルートインに宿泊して名物のホルモンうどんを食べた。また食べたいところだが、それは今後の高速バスの旅で津山に訪れるときまでお預け。今回は姫新線を先へ急ぐ。急ぐとは言っても1時間ほどの待ち合わせ。乗ってきたキハ120形の入換風景を見ながらホームで列車を待った。津山駅は2面4線の配置で、1番のりばから因美線、姫新線佐用方面、姫新線新見方面、津山線とホームが分けられている。駅の西側には岡山気動車区津山派出の車両基地が設置され、津山線、姫新線、因美線の車両拠点になっている。
中国地方鉄道路線最後の未乗区間へ
乗車記録10
姫新線 普通 佐用行
津山→佐用 キハ120形1両

佐用始発の普通列車として到着したキハ120形1両編成。この車両が折り返し佐用行きの普通列車として運転される。中国地方の未乗区間も残すところ東津山(津山〜東津山間は因美線列車で乗車済み)〜上月間のみ。この列車が中国地方完乗のアンカー走者になる。

津山駅を出ると、再度吉井川を渡って東津山へ。東津山で因美線の智頭方面へ向かう線路が分岐する。智頭急行が開業する以前は津山線と因美線を経由する陰陽連絡線の一翼を担っていたこの区間。岡山と鳥取を結ぶ急行列車のほか、姫新線を経由して大阪と鳥取を結ぶ列車も津山駅を経由して折り返す形で運転されていた。今や大阪方面への移動も高速バスがメインとなり、津山線が岡山方面との都市間輸送を担う以外は各線ローカル輸送に撤する。

東津山を出ると勝間田、林野と行った街を経由して佐用へと進んでいく。沿線の車窓は相変わらず田園風景+中国道であまり変わり映えしない。津山で乗車した乗客が途中の駅で降りる姿がある一方で、佐用方面へ向かう乗客の乗車もそれなりにあって、やはり兵庫県とのつながりが少なからずあるようだ。美作土井を出ると峠を越えて岡山県から兵庫県へ入る。兵庫県に入って最初の上月〜佐用間は姫路方面からの列車も運転され、津山方面と姫路方面の列車が重なり合う区間になっている。終点の佐用駅が近づくと、車窓右手に智頭急行の高架橋が見え、それを潜ってしばらく智頭急行と並走すると終点の佐用に到着した。

中国地方全路線制覇のアンカーとなった普通佐用行きも定刻通り佐用駅に到着。厳密には上月駅到着をもってということになるが、これで中国地方の全路線制覇を達成。九州、四国に次ぐ3地方目の制覇となった。乗車した姫新線をはじめ、多くのローカル線を抱える中国地方。現役路線としては全路線制覇もなったものの、すでに廃止されてしまった路線も多数あるので、これからは路線バスなどを使って廃止された路線巡りもやってみたいと思っている。
さて、一つの目標を達成してもなお姫新線の旅は続く。ここから先は関西を走る姫新線の旅。岡山区間とは印象の異なる姫新線に乗って姫路へと向かう。