【旅行記】中国地方の全路線制覇を狙う旅~裏ルートで神戸へ~

姫新線の兵庫県区間を姫路へ

 
乗車記録 No.11
姫新線 普通 播磨新宮行
佐用→播磨新宮 キハ127系
 
 佐用駅以降も引き続き姫新線を姫路へと向かう。乗車するのは播磨新宮行の普通列車。新見からキハ120形を乗り継いできたが、ここで車両がキハ127形に変わる。姫新線の兵庫県区間はもともとはキハ40系列が走っていたローカル線だったが、2007年から兵庫県と沿線自治体が費用を一部負担する形で輸送改善事業が実施された。線路改良工事をはじめとする高速化工事によりローカル線から姫路近郊の都市鉄道へと生まれ変わり、感染症禍となる直前まで利用者数は年々増加していた。キハ127系は1両編成のキハ122系とともにこの輸送改善事業の一環として導入された車両で、姫新線の姫路~上月間のみで使用されている。乗車した列車は平日の午前中の列車だったが、学生をはじめとして、車内はおおよそ座席が埋まる程度に混雑していた。
 
 佐用駅を発車するときの加速の違いでキハ120形との車両性能の違いはエンジンの型式の違いなど知らない素人でもすぐにわかる。佐用を出ると智頭急行線と別れて、播磨徳久、三日月、西栖本、千本と停車して播磨新宮へと向かう。景色は相変わらず山と田園風景だが、先ほどの岡山県区間とはやはり走りが違う。キハ120形が走る区間ではもはやおなじみの徐行区間などなく、唸るエンジン音を響かせて軽快に走っていく。終点の播磨新宮まで車内は終始にぎやかで、終点の播磨新宮に着くと乗客のほとんどは対面で接続する姫路行の普通列車に乗り換えていった。
 
 接続列車が発車して閑散とした駅構内。この先の行程に余裕があり、接続を取る姫路行きではなく一本後の姫路行きに乗ることにしていたので、接続列車は見送った。次の列車はいつ来るのかなと思っていたら、乗ってきた列車がそのまま姫路行になる模様。実質播磨新宮での30分の長時間停車を経て佐用から姫路まで直通する列車だったようで、そのままこの車両に乗って姫路へと向かう。播磨新宮や竜野エリアは揖保乃糸で知られる素麺の一大産地。播磨新宮駅の裏手にも揖保乃糸と書かれた素麺工場がある。
 
乗車記録 No.12
姫新線 普通 姫路行
播磨新宮→姫路 キハ127系 ※No.11と同じ車両
 
 播磨新宮で30分の待ち時間。気温も上がってきてかなり暑かったので、結局ほとんど車内で待っていた。姫新線もここから先は本数が多くなり、概ね1時間に2本程度の列車がある。接続列車はそれなりの混雑で発車していったが、この列車は接続する列車がないので、2両で3人くらいで播磨新宮駅を発車した。
 
 播磨新宮を出ると列車は揖保川に沿って進み、揖保川を渡って竜野市街へと向かう。閑散とした車内も本竜野駅で多くの乗車があり混雑した。たつの市の中心駅である本竜野駅。山陽本線にも竜野駅があるものの、市街地からは南にかなり離れている。中国道と並走する区間が多かった姫新線も南下して本竜野から先は山陽道と並走する。次の太市駅は駅自体は無人の小さな駅であるものの、地元企業がもともとの駅舎の跡にオフィスを建設。地元住民の憩いの場としても活用されており、新しい駅の形を見ることができる。太市駅を出ると、いよいよ姫路市の近郊に差し掛かり、次の余部駅との間には姫新線の車両基地が広がる。ここに車両基地があるため余部駅と姫路駅の間の区間列車も多く設定されている。最後の一駅播磨高岡駅を出ると山陽新幹線の高架を一旦潜り、山陽本線の高架とともに高架に上がると、再度山陽新幹線を潜り、姫路駅に到着した。
 
 新見駅を出て約6時間で姫路駅に到着。姫新線もこれにて完乗となった。姫路駅の姫新線ホームは播但線ホームの西側に設置されており、播但線と姫新線のホームは中間改札でJR神戸線・山陽本線のホームとは隔てられている。さすがにここまでくると関西に来たと感じる。周囲の会話も関西の言葉が飛び交っている。何より隣のホームに止まる新快速、そして姫路駅到着直前に車窓から見える山陽電車と阪神電車が関西らしい。
 

北条鉄道と神戸電鉄粟生線に乗りに行く

 姫新線を完乗しても時刻はまだ正午過ぎ。まだ帰路につくには早いので、ここからはアディショナルタイム。もう少し東へ向かう。まずは姫路駅から神姫バスの路線バスで姫路市から北東に進んだ加西市の北条へ。北条から北条鉄道と神戸電鉄線に乗車する。
 
乗車記録 No.12
神姫バス [61]野里駅・南山田経由 北条営業所行
姫路駅(北口)→アスティアかさい
 
 姫路駅から乗車した神姫バスの北条営業所行。姫路城大手門前からイオン姫路、播但線の野里駅などを経由して加西市の中心部である北条まで運行されている。北条営業所に至るまで北条という名前のバス停がなく、北条鉄道の北条町と接点がないようにも見えるが、アスティアかさいバス停が北条町駅のロータリーに設置されたバス停となっていて、ここで乗り換えが可能である。ちなみにアスティアかさいは写真の左奥にある建物で、飲食店やクリニックや市のの図書館などが入る商業施設である。
 
 北条町駅から乗車するのは北条鉄道。ここ北条町からJR加古川線、神戸電鉄線との交点である粟生駅までを結ぶ小さな鉄道会社である。ここ最近JR東日本からキハ40形を購入したことで鉄道ファンからも再注目された鉄道会社。兵庫県内ながらのどかなムードが漂う。生憎、直前の運用変更でキハ40形はホームの裏手にある車庫に入っていたため、その姿はほんのわずかにしか見れなかったが、その他にも自前の車両が2両と、三木鉄道から来た1両の計4両が活躍している。
 
乗車記録 No.13
北条鉄道 ワンマン 粟生行
北条町→粟生 フラワー2000-3号
 
 北条町は駅の北側に中国道が走り、大阪方面へ向かうには中国ハイウェイバスが使われている。それこそこの日経由してきた津山始発の高速バスは特急バスを含めた全便が北条の高速バス停にも停車する。またアスティアかさい発着の高速バスも運行されていて、大阪駅までおよそ2時間で結んでいる。ここから先は高速バスや路線バスが鉄道とライバル関係にあるところを鉄道で走っていく。そんなことを考えていたら、粟生方面から列車が到着。この列車が折り返し粟生行きとなる。乗車したのは三木鉄道から来たフラワー2000-3号という車両。車内はボックスシートで車端部がロングシートとなっている。キハ40形にも乗ってみたかったが、JRで嫌というほど乗っているので、三セクならではのこうした車両に乗るのも楽しい。
 
 北条町を出ると粟生まで田園風景を走る。先ほどまでの姫新線とは違って、再びゆっくりとした走りが眠気を誘う。途中の長駅や播磨下里駅などは大正時代に建設された駅舎が今も使用されていて、国指定の重要文化財に指定されている。とても趣ある駅舎でどこか映画の世界にでも入ったような感覚になる。さらに進んだ法華口駅は近年行き違いの設備が設置された駅。それまで棒線で行き違いができなかった北条鉄道だが、この駅の行き違い設備のおかげで、朝夕の増発が可能となった。その後ものんびりと走り、数か月前に加古川線で通った粟生駅に到着。JR加古川線、北条鉄道と神戸電鉄粟生線が交わるターミナル駅で、夕方になり、折り返しの列車は神戸電鉄線から乗り換える高校生で混雑しているようだった。
 
乗車記録 No.14
神戸電鉄粟生線・有馬線・神戸高速線
準急 新開地行
粟生→新開地 1000形
 
 粟生駅からは神戸電鉄粟生線に乗車する。神戸市内の新開地・湊川をターミナルに有馬、三田、粟生方面に路線を延ばす神戸電鉄。現在は阪急阪神HDのグループ企業として神戸と六甲山の裏手のニュータウンを結ぶ通勤路線を運行する。今回乗車するのは粟生駅から新開地駅へと向かう準急列車。粟生線内は各駅に停車し、有馬線へと入る鈴蘭台から新開地間で急行運転を行う準急列車で、新開地までおよそ1時間10分で結ぶ。途中には小野や三木などの全線に渡って住宅地が広がるが、このあたりは神姫バスの路線バスが多く発着していて、バスと鉄道が競合するエリアとなっている。そのため、路線収支の状況が芳しくなく、通勤路線でありながら、存続問題も出る厳しい状況となっている。
 
 粟生では1両に5人程度で発車したが、小野以降は通勤通学で使う人たちのこまめな利用があった。存続問題が出るとは言え、小野、三木、志染と神戸に近づくにつれて列車本数も増えていき、粟生駅では1時間に1本の列車本数も鈴蘭台の手前では1時間に4本ほどに増加する。存続問題があることは以前から知っていたので、そんなに乗る人が少ないのかと思っていたが、通勤通学の足としては欠かせない路線になっていることが確認できた。鈴蘭台からは六甲の山を下り、急勾配が続く。高台から神戸の街を見下ろすと、やがて地下に走り、湊川から神戸高速線経由で新開地へ到着した。
 
乗車記録 No.15
阪急神戸高速線 特急 大阪梅田行
新開地→神戸三宮 1000系
 
乗車記録 No.16
神戸市営地下鉄西神・山手線 新神戸行
三宮→新神戸 1000形
 
乗車記録 No.17
山陽新幹線 みずほ611号 鹿児島中央行
新神戸→博多 N700系
 
 新見から始まった2日目の旅。姫新線、神姫バス、北条鉄道、神戸電鉄と伯備線や山陽本線、新幹線などを一切使わずに新見から神戸まで移動してきた。ある意味裏ルートでの移動も知らない街との出会いがありとても楽しいものだった。新開地からは久しぶりの阪急電車で神戸三宮へ。自動放送になって以降は初めて乗車したが、阪急電車独特の雰囲気は健在のようだった。三宮からは地下鉄で新神戸へ。これで2日目の全行程を終え、新幹線で帰路についた。
 

★今回の初乗車路線

【鉄道路線】
水島臨海鉄道水島本線 倉敷市~三菱自工前間
JR西日本姫新線 新見~姫路間
北条鉄道北条線 北条町~粟生間
神戸電鉄粟生線 粟生~鈴蘭台間
神戸電鉄有馬線 鈴蘭台~湊川間
神戸電鉄神戸高速線 湊川~新開地間
【バス路線】
神姫バス[61]姫路駅(北口)-北条営業所 姫路駅(北口)-アスティアかさい間