【旅行記】筑豊・大分空港まわりで行く福岡-大分乗り継ぎ旅

 
 福岡市営渡船で志賀島へ行き、朝の志賀島の景色を満喫したのち、再び天神へと戻り西鉄天神高速バスターミナルへ。ここからは福岡から大分へと旅していく。博多駅から特急ソニックに乗れば約2時間、ここ天神から大分行の高速バスとのよくに号に乗車すれば2時間半で移動できる福岡-大分間。そのまま直行しても面白くないので、筑豊、行橋、大分空港などを経由して、計6本のバスと列車を乗り継いで8時間かけて旅していく。
 

少なくなった筑豊特急直行便に乗車

 西鉄天神高速バスターミナルから最初に乗車するのは、福岡県立大学行の特急バス。「筑豊特急」と呼ばれる路線で、福岡(天神)と飯塚、後藤寺、伊田、香春を結ぶ。筑豊特急にはいくつか系統があり、飯塚バスターミナル発着と田川エリア発着の便に大別される。このうち田川エリアを始終点とするものは、基本的には飯塚バスターミナルを経由し、一度飯塚市内に立ち寄る形を取るが、一部に飯塚市内を経由せずに天神と田川を直行する「直行」と呼ばれる系統がある。ダイヤ改正により直行系統は減少傾向で、現時点で天神発便は平日3便、土休日はわずか1便のもの運転となっている。筑豊方面の路線は西鉄天神高速バスターミナル1番のりばから発車。筑豊特急は高速バスターミナルを発着するが高速道路は経由しない。10分ほど前にも同じ田川方面の飯塚経由西鉄後藤寺営業所行が運行されていて、車内に数人て発車した(写真は伊田駅にて撮影)。
 
乗車記録22
西鉄バス筑豊 [特急]直行 福岡県立大学行
西鉄天神高速バスターミナル→伊田駅
 
 西鉄天神高速バスターミナルを出て、渡辺通を北へと進む。西鉄天神高速バスターミナルは西鉄天神大牟田線の西鉄福岡駅の一つ上の階にある。一般の路線バスは渡辺通、国体通り、明治通り、昭和通りといった道路上を発着。バスが一か所に集結するようなバスターミナルはないが、街全体がバスターミナルを構成している。もしも天神に路線バスのバスターミナルがあったら、バスの台数が多すぎて渋滞必須だと思う。街全体がバスターミナルとなっているため、天神とつくバス停だけでも10か所以上ある。どこのバス停から出るのかわからない場合は、西鉄の公式アプリである西鉄バスナビアプリを使えば、「天神地区」と検索するだけで、乗車するバス停がどこなのかを教えてくれる。
 
 高速・特急バスは天神北交差点で直進するバスと右折して呉服町方面に進むバスがある。県外方面の長距離路線は天神北ランプを利用。一方で北九州・筑豊方面の県内方面路線は中州、蔵元のバス停を経由するため、天神北交差点を左折する。2つのバス停で何人かの乗車があり、バスは呉服町RPから都市高速へ。呉服町ランプは高速・特急バスに限らず、一般の路線バスも多くの路線が利用する高速道路の出入口。都市高速へと入った先に百道方面と香椎方面が分岐する千鳥橋JCTがあり、時間帯によっては渋滞が発生する。
 
 バスは都市高速1号線を進み貝塚JCTから都市高速4号線へと入る。北九州方面へ向かう高速・路線バスの大通りで、西鉄バスとすれ違う回数もかなり多い。福岡ICが近づき粕屋ランプで国道201号線の福岡東バイパスへと入る。九州道をくぐってさらに東へ進むと篠栗北バス停に停車、その先で車窓にJR篠栗線の線路が近づいてくる。ここからは峠越えの区間。篠栗線は城戸南蔵院前から九郎原間で篠栗トンネルを通過し峠を越える。以前は八木山峠と呼ばれる峠道で飯塚へ向かう必要があったが、八木山バイパスが開通し、スイスイと標高を上げて峠を越えていく。途中には城戸南蔵院の大仏を見ることができる。
 
 八木山バイパスを通って飯塚市内へと入るがこのバスは飯塚市街地は非経由のため国道201号線を直進。JR福北ゆたか線と後藤寺線の線路の上を通り、後藤寺線の北側のエリアを通って田川市へ。飯塚市と田川市の間にある筑豊烏尾トンネルを通過する。その後は西鉄後藤寺営業所、後藤寺などを経由して伊田駅へ。バスは福岡県立大学行だが、伊田駅で下車した。
 
 田川伊田駅。一つとなりの田川後藤寺駅と並ぶ田川市の玄関口となっている。JR日田彦山線と平成筑豊鉄道伊田線・田川線が乗り入れ、小倉、行橋、直方方面とを結んでいる。駅舎は数年前にリニューアルされ、白基調から黒基調に変更。駅前ロータリーも整備された。
 

香春町を経由して路線バスで行橋へ

 田川伊田からはJR日田彦山線に香春駅まで乗車する。ホームで列車を待っていると、行橋方面から平成筑豊鉄道の普通列車がやってきた。もともとは国鉄・JRの路線だった平成筑豊鉄道。田川線の田川伊田~上伊田駅間はその名残でJRと線路を共用している。広い駅構内は炭鉱で栄えた時代を彷彿とさせる。
 
乗車記録23
日田彦山線 普通 小倉行
田川伊田→香春 キハ140-2041
 
 田川伊田駅から日田彦山線の小倉行普通列車に乗車して香春駅で下車。近くの香春町役場まで歩く。香春町は田川市の北東に位置し、北九州市との間に挟まれた町。北九州市との間には金辺峠があり、去年夏までは西鉄バスもこの峠を介して北九州市と田川を結んでいたが、晩年は北九州市側が西鉄バス北九州の中谷営業所までに短縮されていた。香春町はこのバス路線に乗りに来た以来の訪問だった。
 
 駅から歩いて5分ほどの場所にある香春町役場。香春から北九州方面へ向かう西鉄バスは廃止されたが、その代わりに天神行の特急バスの一部が試験的にここまで延伸されていて、天神まで一本のバスで出れるようになっている。今回は西鉄バスではないバス路線に乗車。行橋市周辺でバス・タクシー事業を行う太陽交通が運行する香春線で行橋駅へと向かう。香春と北九州の間には金辺峠があるが、行橋との間にも仲哀峠と呼ばれる峠があり、現在は国道201号の新仲哀トンネルで一気に行橋側のみやこ町へと出ることができる。なお、太陽交通はSUNQパス運営委員会の加盟事業者ではないので、SUNQパスは利用できない。
 
乗車記録24
太陽交通 香春線 ゆめタウン行
香春町役場→行橋駅東口
 
 もともとは西鉄バスの路線だったこの路線。国道201号線を経由して香春と行橋を直線的に結んでいる。平成筑豊鉄道田川線は赤村を経由する区間で一旦南へと下るため、こちらの方がショートカットしている。国道201号線は福岡市内と行橋を結ぶ国道で、地図で見ても田川を経由してほぼ直線的に福岡と行橋を結んでいることがわかる。天神-行橋間は高速道路経由で84km、国道201号線経由で65kmとこちらの方が距離的には近く、所要時間も15分くらいしか変わらない。
 

特急ソニックで中津へワープ

 行橋駅へと到着。ここからは日豊本線で大分県の中津へと移動する。特急ソニックに乗車する予定で改札へ向かうと、鹿児島本線で人身事故が発生した模様。乗車予定の一本前の列車が人身事故の当該列車になったようで、この先の行程が危ぶまれたが、駅員に尋ねたところ、当該列車の代わりとなる小倉発大分行の特急が、乗る予定の特急とほぼ同じ時間で来ているとのことで事なきを得た。鹿児島本線の運転見合わせ時の特急ソニックは小倉-大分間の運行となる。小倉発着でも博多からは山陽新幹線でアクセスでき、広島・大阪方面から乗り継ぐ乗客も多い。
 
乗車記録25
日豊本線 特急ソニック19号 大分行
行橋→中津 885系 ※遅れ運行
 
 行橋-中津間の特急ソニックでの所要時間は30分ほど。福岡県から大分県に入った直後にある中津駅は普通列車の運行系統上の境界線で、ここから北側は本社直のエリアで日中は小倉方面へ813系を使用したワンマンの普通列車が1時間あたり1本運転されている。一方でここから南は大分支社エリアで大分駅方面に行く列車も815系が多い。朝夕には小倉方面からの列車がこの先の柳ヶ浦や宇佐まで走っている。中津駅はバスも多く発着し、ここから耶馬渓を経由して日田まで走るバスもある。今回はここから大分空港へ向かう大交北部バスのノースライナーに乗車して、終点の大分空港へと向かう。
 

空港バス2本を乗り継いで大分市内へ

 
乗車記録26
大交北部バス ノースライナー 大分空港行
中津駅→大分空港
 
 中津駅で数人の乗客を乗せたあと、バスは宇佐市と豊後高田に立ち寄って大分空港まで向かう。宇佐までは国道10号線を進み、宇佐市街と宇佐駅を経由。宇佐市街は宇佐駅から遠く離れていて、場所的には柳ヶ浦から南に数キロ行った場所にある。どちらかといえば、柳ヶ浦駅が宇佐市の玄関口で、宇佐駅は豊後高田市の玄関口と言っていい。そのため近距離ながら両方に特急列車が停車する。宇佐市街と宇佐駅で1人ずつ乗客を乗せたバスは国東半島の外周をまわる国道213号線へと入り、豊後高田市街へと向かう。以前は半世紀以上前には、豊後高田から宇佐駅を経由して宇佐神宮へ至る大分交通の宇佐参宮線も運行されていた。豊後高田のバスターミナルはこの駅跡を利用したもので、バスが発着するホームはその当時のものをそのまま転用。バスターミナルの構造もレールが敷かれていたころの面影を残している。豊後高田から大分空港間は県道34号線、31号線を走り、国東半島の付け根の山間を走っていく。このバスは空港アクセスバスであるものの、地域住民の利用も想定されていて、空港ではない途中のバス停間で下車することも可能。少し険しい山道を越えて、大分空港がある国東市の安岐地区に入り、終点の大分空港へ到着した。運行時間は2時間ほどで、全線一般道経由で経由地が多いため、時間がかかる。
 
 一度国東方面のバスで通過したことはあったが、初めて降り立った大分空港。国東半島の東側の沿岸に位置し、大分市内からは別府湾をくるっとまわってアクセスする必要がある。このため以前はホバークラフトが大分市内と空港間で就航していたが2009年に廃止。その後、復活の計画が持ち上がり、今は再開へ向けた動きが加速している。東京(羽田 成田)、伊丹、名古屋4ヵ所とつながる大分空港だが、九州の空港としては就航地が少ない印象。熊本や宮崎などと比べても空港は一まわり小さい。大分空港からはもちろん飛行機には乗らず、大分市内行の空港バスに乗車して大分市内へと向かう。
 
乗車記録27
大分交通 エアライナー[X] 大分新川行
大分空港→大分新川
 
 大分・別府市内と大分空港を結ぶ空港バス「エアライナー」は全便が大分交通の運行で、別府始発または大分始発で別府を経由して大分空港へと向かう系統と、別府に寄らずに大分と大分空港をダイレクトに結ぶ系統の2つに大別される。今回乗車したのは「X」系統と呼ばれる大分市内への直行便。大分空港を出ると大分駅まで無停車で、大分空港から大分空港道路、日出バイパス、東九州道を経由して大分ICで高速道路を降りて大分市内へ向かう系統だった。バスはおおよそ窓側の座席が埋まる程度で出発。途中東九州道から別府市街の街並みを眺めて1時間ほどで大分市内へ。この日は少し霞んでいて、別府市内あまりはっきりとは見えなかったが、東九州道はかなり高い場所を走っていく。別府ICを通過するあたりでは、車内に硫黄のにおいが立ち込めるのは別府の恒例行事と言っていい。別府から大分までは高崎山の裏手を下り坂標高を下げていき、大分ICから一般道へ。大分駅を経由して終点の大分新川へと到着した。
 
乗車記録28
西日本鉄道 とよのくに号 博多バスターミナル行
大分新川→高速基山
 
 福岡天神を出たのが9時30分ごろで、大分へ到着したのが17時30分ごろ。約8時間かけて筑豊、行橋、中津、大分空港を経由して大分市内へと到着。すっかり夕方になっていた。バスや電車の乗り継ぎ旅はこうしてただ乗っているだけで一日が終わるというのが最高に馬鹿げているが、それが一番面白い。大分新川でしばらく過ごしたあとは、高速バス「とのよくに号」で福岡方面へ。8時間かけて来た福岡-大分間をものの2時間半あまりで帰宅。
 2日前に長崎へ向かってから3日間。JRはもちろん乗車券・特急券を利用、そしてSUNQパスが使えない太陽交通にも乗車したが、その他のバス路線、船舶航路のすべての区間でSUNQパスを使った。高速バスでも路線バスでも九州の大半路線で使えるSUNQパスの威力を存分に発揮して、各地の路線を満喫できた一連の旅たった。

★今回の初乗車路線

【バス路線】
西鉄バス筑豊 特急(直行) 西鉄天神高速BT-福岡県立大学線 西鉄天神高速BT-伊田駅
太陽交通 香春線(香春町役場-ゆめタウン) 香春町役場-行橋駅東口
大交北部バス ノースライナー(中津駅-大分空港) 中津駅-大分空港
大分交通 エアライナー([X]直行系統)大分空港-大分新川