【旅行記】ミニ新幹線と津軽地方ローカル線の旅~弘南鉄道の2路線をゆく~
黒石と弘前を結ぶ弘南線に乗車
2日目の午後は黒石駅から弘南鉄道の2路線に乗車する。弘前を拠点に南北に2路線を運行する弘南鉄道。弘前駅から黒石駅までを向かう弘南線と、中央弘前駅からJR大鰐温泉駅までを結ぶ大鰐線の2路線があり、どちらも路線も南側の端はJRと接続する一方、北側の端は他路線と接続されておらず、北から南へ乗りつぶすには、JRの駅からバス⇒電車⇒バス⇒電車と乗車して大鰐温泉へと向かうことになる。

弘南鉄道弘南線の黒石駅。弘南鉄道では発車時刻の5分前にならないと改札は行われないため、駅舎内のベンチに座って列車を待った。しばらくすると弘前始発の列車がやって、列車からは多くの高校生が吐き出されていた。駅員がおかえり、さよならと改札口で声をかけると皆街へと散らばっていく。

弘南鉄道で活躍するのは7000系電車。元東急7000系で、東急電鉄での活躍後にこの弘南鉄道で活躍しているが、おそらく弘南鉄道での第二の人生の方が長い。北陸鉄道や福島交通、水間鉄道などにも同じ東急7000系の移籍車が活躍していたが、近年他社では置き換えも進んでいる。
乗車記録8
弘南鉄道弘南線 普通 弘前行
黒石→弘前 弘南鉄道7000系

弘南線は逆「し」型の路線になっていて、奥羽本線の東側に位置する田舎館村、平川市を経由して、南側から弘前駅へと向かう。最初車窓の右手に見えている岩木山は、弘前駅の手前では進行方向の左手に見えるようになる。弘南鉄道では高校や大学の近くに駅を設けていて、弘南線でも、尾上高校前、柏農高校前、弘前東校前と設置されていて、高校の新設・移転で開業した駅と、高校の最寄り駅となったことで高校前を名乗った駅がある。

弘南鉄道の弘前駅はJRの駅の東側に設置されていて、市内中心部からすると反対側にある。JRの駅は橋上駅舎になっていて、その隣には駅ビル「アプリーズ」が併設されている。りんごの名産地だけあって駅ビルの名前の綴りにもしっかり「Apple」が入っている。
乗車記録9
弘南バス 土手町循環100円バス
弘前駅→蓬莱橋

弘前駅で昼食を食べて、駅前から10分間隔で運行されている土手町循環バスに乗車。これまで乗車した青森-五所川原線や川部-黒石線と違ってこのバスは津軽フリーパスが利用可能。運賃は100円と格安だが、フリーきっぷを使って蓬莱橋というバス停で下車した。土淵川に沿って数分歩くと中央弘前駅がある。中央と名乗るだけあって弘前駅よりもこちらの方が中心市街地に駅がある。
りんご畑の中を走る大鰐線に乗車して大鰐温泉へ

中央弘前から乗車するのは弘南鉄道のもう一つの路線である大鰐線。中央弘前から奥羽本線の大鰐温泉駅に隣接した大鰐駅までを結んでいる。もともと弘前電気鉄道が開業させた路線で、後に弘南鉄道に経営権が譲渡され弘南鉄道の路線となった。こちらでも発車の5分前になると改札が行われ、車内に入ることができた。
乗車記録10
弘南鉄道大鰐線 普通 大鰐行
中央弘前→大鰐 弘南鉄道7000系

大鰐線は弘前市街を走り、その後はりんご畑が広がる田園風景を走る。中央弘前~義塾高校前間は奥羽本線の西側を、その後は奥羽本線をオーバーパスして、今度は奥羽本線の東側を走って大鰐まで向かう。奥羽本線が弘前~大鰐温泉間に途中駅が石川駅の一駅のみとなっているのに対して、大鰐線の方は12駅の途中駅があり、こまめに停車する。弘南線と同じく、こちらも学校の近くに駅が設けられていて、中央弘前駅を出ると、弘高下、弘前学院大学前、聖愛中高前と学校名が駅名になっている駅が多い。このエリアは弘前市の文京区となっていて、高校や大学などが多く立地している。また、弘前学院大学前駅は駅舎がコープ西弘店と隣接しているため、買い物で鉄道が利用しやすい環境が整えられている。車社会の中でも学生や高齢者を中心に沿線住民の大事な足になっていることがみてとれた。

弘南鉄道大鰐線の終点大鰐駅に到着。弘南鉄道の大鰐駅はJRの大鰐温泉駅の北側にホームがあり、南北それぞれに駅出口がある。正面口となる南側の出入口は、あくまでJRと弘南鉄道では正面の入口は異なっていて、弘南鉄道を利用する場合は弘南鉄道の建物を通るが、その先の跨線橋はJRと共用になっている。

大鰐温泉という駅名はこの旅を企画するまで知らなかった。九州ではあまり知られていない温泉地だが、東北地方や青森県では有名な温泉地の一つで、ここでりんごの郷と表記されている通り、りんごも名産品の一つだが、ここで生産される大鰐温泉もやしというもやしの産地としても知られている。

夕暮れの大鰐町の街中の景色。中心部を流れるのは平川で、朝に五所川原で見た岩木川の支流である。平川市はこの平川が地名の由来となっていて、中心部は弘南線の途中駅である平賀駅周辺。しかし、この上流にある碇ヶ関も平川市となっていて、その間に大鰐町が割って入る形をしている。もともとこの周辺では弘前市への合併が計画されていたが、合併の協議が難航したため、そのうちの碇ヶ関村や平賀町などが合併して平川市となったらしい。

大鰐温泉からは特急つがる6号に乗車してこの日の宿泊地である秋田駅へ。乗車券は三陸地方を旅した際に気仙沼駅で購入したものを使用した。ここから先は明日福島駅に至るまで、奥羽本線をずっと上っていく。大鰐温泉から秋田までの所要時間は2時間30分。17時を回ると外はもう真っ暗となり、列車は暗闇の中を駆け抜けていった。
乗車記録11
奥羽本線 特急つがる6号 秋田行
大鰐温泉→秋田 E751系

約30時間ぶりに秋田駅へと戻ってきた。津軽地方のローカル線を旅した2日目の日程もこれにて終了。この日は秋田駅前に宿泊。3日目ははここから奥羽本線をさらに上って、もう一つのミニ新幹線である山形新幹線に乗車に乗車しに行く。