【旅行記】ミニ新幹線と津軽地方ローカル線の旅~奥羽本線と山形新幹線~
奥羽本線をひたすら上る
旅の後半は、秋田駅から新庄、東京、新潟を経由して秋田駅へと戻る環状ルートで旅していく。まだ真っ暗な5時半にホテルをチェックアウトして秋田駅へ。前日から使用している大鰐温泉→東京都区内の乗車券で改札内へと入場すると、すでに乗車予定の列車がホームに停車していた。

最初に乗車するのは奥羽本線の普通新庄行き。秋田駅始発の奥羽本線一番列車。秋田駅から奥羽本線をひた走り、大曲、横手、湯沢などの秋田県の各都市を経由して、山形県の新庄まで向かう。所要時間は2時間50分。そこそこロングランの普通列車だが、車内はロングシートになっている。
乗車記録12
奥羽本線 普通 新庄行
秋田→新庄 701系

秋田駅を出ると、1日目にこまちに乗車した際に通った区間を大曲まで走っていく。標準軌と狭軌の単線並列となっているこの区間。1日目は標準軌側をほぼ無停車で駆け抜けていったが、今度は狭軌側を各駅に停車して走っていく。乗車している普通列車は、秋田駅を15分後に発車したこまち6号東京行きの猛追を受ける。後ろからE6系のライトが見えると単線並列の線路を颯爽と追い抜いて行った。この光景も秋田ならでは。単線並列とは書いたものの途中の刈和野駅から峰吉川駅間は狭軌側の線路が3線軌条となっていて、標準軌側は複線として使えるようになっている。秋田駅では閑散としていた車内も、大曲が近づくにつれて通学客で混雑し始めた。

大曲では乗客の半数が入れ替わり、列車は単線区間の奥羽本線へと入って横手へ。横手駅でも再度乗客の多くが入れ替わり、高校がある湯沢と横堀で通学客を降ろすと、通学ラッシュも終わり車内は2両で数人だけとなった。奥羽本線の秋田県南端区間へと突入した普通新庄行。横手盆地も終わりに近づき、秋田県内最後の駅である院内駅に停車すると、ここからは秋田県と山形県の間の雄勝峠を越えていく。

雄勝峠に差し掛かり、院内トンネルと呼ばれる上下別のトンネルを抜けると、そこは山形県。最初の停車駅である及位駅はのぞきと読み難読駅名として知られている。この駅ではしばらく停車して下りの秋田行とすれ違った。

通学時間でもない時間に山形県に入っても真室川駅で2人くらいが乗車した程度で閑散とした状態で入り、新庄盆地へと下りていく。秋田県側では雨が降りそうなほど曇っていたが、峠を越えると朝日がさして青空が広がっていた。

秋田駅を出て2時間50分。定刻通りに新庄駅に到着。これが初めての山形県訪問になった。47都道府県中の46番目の訪問。残すところは沖縄県のみ。沖縄県は来年訪問する予定なので、これでひとまず47都道府県訪問の目途がついた。新庄駅の駅構内はそこまで広くはないが、秋田側から続く狭軌の線路と、山形側から標準軌の線路が向かい合うように配置されている。

ガラス張りの建物が特徴的な新庄駅。新庄駅は奥羽本線の他、小牛田から鳴子温泉を経由してこの駅まで続く陸羽東線と、この駅から余目駅を結ぶ陸羽西線んが乗り入れ、東西南北に鉄道路線が延びている。ただ現在陸羽西線は工事の影響で2年間のバス代行となっていて、列車は運行していない。
山形新幹線で一路東京へ

新庄で駅弁かなにかないかなと思って探したが特に何もなかったので、お昼は東京駅まで我慢することにして、再び改札内へ。ここからは秋田新幹線と並んだもう一つのミニ新幹線である山形新幹線つばさに乗車する。秋田新幹線と同じく山形新幹線というのも愛称。正式には福島までは奥羽本線、福島からは東北新幹線を走っていく。乗車するのはE3系。一時は秋田・山形の両新幹線で活躍したE3系も、E6系の導入で秋田新幹線からは撤退して久しく、今後この山形新幹線のE3系も置き換えられることが発表されている。

山形新幹線は東京~山形間はおよそ1時間に1本、山形~新庄間は2時間に1本となっていて、在来線区間が長いため新庄~東京間の所要時間も3時間30分ほどと思った以上に時間がかかる。朝夕の列車は福島駅で仙台方面発着の新幹線やまびこと併結するが、最近のダイヤ改正でやまびこの一部列車が臨時列車となったことから、日中の列車は東京まで単独運転となっている。乗車した新庄発東京行きのつばさ136号。新庄を出ると大石田、村山、さくらんぼ東根、天童、山形、かみのやま温泉、赤湯、米沢、福島、郡山、宇都宮、大宮、上野と停車して東京へと向かう。

隣のホームには山形県内の奥羽本線で使用される標準軌仕様の701系が停車していた。奥羽本線の山形県区間は山形線の愛称が使われていて、この山形線区間は秋田新幹線でいう田沢湖線と同じく普通列車も標準軌車両が使用されている。山形線で活躍する701系は5500番台を名乗り、前面下部に尾灯がないため、狭軌の701系とは少し見た目が違っている。
乗車記録13
山形新幹線(奥羽本線 東北新幹線)
つばさ136号 東京行
新庄→東京 E3系

新庄駅を発車した列車は山形県内を南へと走り、次の大石田から先は最上川流域に形成された山形盆地へと入って、村山や山形空港が所在する東根、天童などの各都市の駅に停車して山形駅へと向かう。山形までは東京へと向かう客よりは山形駅へと向かう普段客の利用が中心で、基本的に全席指定席だが、福島までは特定特急券で空いている席が利用できる。

山形駅で乗客が入れ替わり、スーツケースを持った首都圏方面に向かうと思われる乗客が乗車。山形駅を出た列車は雲に少し隠れた蔵王山を見ながらさらに南下し、温泉地のかみのやま温泉に停車。ここでは観光客を中心に乗車があった。ちなみにかみのやま温泉駅の近くには山形県で最も高い建物であるタワーマンション「スカイタワー41」がそびえたっていて、とても都会とは言えない小さな街にタワマンが立っている異様な光景を楽しめる。

かみのやま温泉を出るとしばらく山間部を走り、次の赤湯駅が近づくと視界が一気に開け、米沢盆地の景色を楽しめる。山形県の内陸部は最上川流域の新庄、山形、米沢の3つの盆地から形成されているが、山形新幹線に乗ると盆地の県であることがよくわかる。

米沢駅から先は奥羽本線随一の峠越え区間、青森から続く奥羽本線の最後の難関である板谷峠を通って福島県へと入っていく。グイグイと標高を上げて山の中へと分け入ると、とても新幹線という愛称は似つかわしくないような山岳路線に変貌する。秋田新幹線が経由する田沢湖線よりもさらに険しい峠。途中の峠駅はもともとスイッチバックする駅だったが、現在はそのスイッチバック部分に設置されていたスノーシェルター内にホームが設置されていて、鉄道ファンからは秘境駅として知られる。福島県へと入ると、次第に標高を下げていき、遠くに福島市内が見えると、列車は福島盆地へと入る。最後に東北新幹線との接続線である高架橋を上ると福島駅の新幹線ホームへと到着した。

福島では対向列車がやや遅れて到着したので、この列車もその列車を待って発車。山形新幹線の新幹線と在来線とのアプローチ線は下り線側にしかなく、特につばさと併結する上りのやまびこは、一旦下り線を跨いで14番線に入り、つばさと併結。再度下り線を跨いで上り線に戻る必要があるため、長年運行上のネックとなっていた。現在福島駅では上り線側にもアプローチ線をつくる改良工事が進行していて、2026年ごろには完成する予定になっている。福島を出た列車はここからは正真正銘の新幹線へと変わり、先ほどまでの山岳路線から列車を乗り換えたような感覚に陥った。

2日前にE6系に乗車したときと比較すると、今回の方が車端部側に座ったので、単純な比較はできないが、E3系の方が新幹線区間での揺れが大きかった。関東平野は青空が広がっていて、列車は定刻通りに大宮へと到着。ここから先も順調に走行し、新庄から3時間30分。終点の東京に定刻通りに到着した。
秋田~東京間をもう一つのミニ新幹線である山形新幹線を利用し、往路とは違うルートで移動してきたが、こちらのルートがもともとは秋田方面へ向かうメインルートとして使われていたルート。ところどころに奥羽本線の歴史を感じながら、旅することができた。東京駅からは折り返し上越新幹線のときに乗車して新潟へと向かった。