【旅行記】ミニ新幹線と津軽地方ローカル線の旅~特急いなほで旅のゴール秋田へ~

 
 3日前に東京駅からスタートして、秋田、青森エリアを乗り鉄。秋田から奥羽本線、山形・東北新幹線、上越新幹線を経由して到着した新潟で迎えた最終日。この日は、前日の早朝に出発した秋田駅に再び戻り、この旅を終える。
 

朝の新潟の街と萬代橋

 ホテル日航新潟に宿泊して迎えた最終日。少し早起きして、夜から朝に変わる朝の新潟の景色を楽しんでからチェックアウト。この日の天気は下り坂。午後になると雨が降る予定となっていたが、何とか、雨が降り出す前に秋田に到着できそう。ホテルから新潟駅までは歩いて20分ほど離れているが、せっかくなので新潟の街を歩いてから新潟駅に向かうことにした。
 
 ホテルから信濃川沿いに歩いて10分ほどの場所にある萬代橋。一つ上の写真では手前から2番目に架かっている。1929年に架けられた全長約307mの石造りのアーチ橋で国指定重要文化財に指定されている。新潟市のシンボルとしての役割も担っていて、新潟から青森へと続く国道7号が最初に渡る橋となっている。
 
 萬代橋から大通りをまっすぐ歩くと新潟駅にたどり着く。まだ時間があったが、お土産も前日のうちに購入してしまっていたので、改札内に入って、乗車する列車を待つことにした。乗車する列車の一本前には新津始発の普通列車が到着。列車番号を調べると電車での運行となっているので、おそらく代走運用。五能線でも見かけたGV-E400系。新潟地区では主に米坂線、磐越西線と羽越本線に投入されているが、新潟駅に乗り入れる列車も多く、写真のような4両編成での運用もある。
 

特急いなほで秋田へ

そして乗車するのは新潟8時23分発の特急いなほ1号秋田行きが到着。白新線、羽越本線を経由して、新潟と酒田・秋田を結ぶ特急いなほ。酒田まではある程度本数があるが、秋田まで向かうのは2往復のみで本数は少ない。秋田までの所要時間は約4時間となっている。
 
乗車記録15
白新線・羽越本線
特急いなほ1号 秋田行
新潟→秋田 E653系
 
 この特急いなほの最大の特徴は、なんといってもグリーン車。もともと普通車だった車両をグリーン車に改造したため、シートピッチがとても広く、しかも座席の間に間仕切りが設置されていて、飛行機で言うと中距離国際線のビジネスクラスに似たような設備が話題になっている。今回はこのグリーン車で秋田駅まで向かうことにした。
 
 新潟駅を出ると列車は白新線へと進む。白新線は新潟駅から新発田駅までを結ぶ路線で、本線ではないものの、実際には新潟県の北部地域や山形県方面と新潟駅を結ぶメインストリートになっている。高架を降りると、新幹線の車両基地や新潟貨物ターミナルを横目に進み、新潟市街地を出ると田園風景の中を走っていく。
 
 新発田駅から羽越本線に入り、胎内市の中心地中条と、米坂線が分岐する坂町に停車。空に北へ進むと村上に到着する。新潟からの普通列車はこの村上で多くの列車が折り返す。この村上駅から秋田駅側には交直切り替えのデッドセクションが設けられていて、直流電車のE129系はここから先には行くことができない。かと言って交直流電車を運行させるほど、輸送量が多い区間でもないため、以前から架線下DCが活躍しており、現在はGV-E400形が運用されている。このデッドセクションを通る電車は、この特急いなほと貨物列車のみ。村上と言えば、今年の流行語大賞となった三冠王だが、神宮球場のスタンドには村上の方向幕を掲げて応援している人たちがいる。その方向幕が示す村上とは、まさにここのことである(なお村上選手は熊本県出身)。村上駅から交流区間へと突入した特急いなほは、ここから日本海の海岸線に沿って進んでいく。
 
 天気が残念ではあるもののそもそも冬の始まりのこの季節に、日本海側で晴れを期待するというのが間違っているので、晴れを期待するならもっとほかの季節の方がいい。村上~鶴岡にかけては、ほとんどの区間で海岸に近い場所を走っていく。思い返すと今年は日本海を各地から眺めていた。3月の島根・兵庫、4月の北海道、5月の山口、全部雨までとはいかない曇天。一日くらい晴れてくれてもいいような気がするが、日本海側の気候とはそういうものなのだろう。列車は日本海に浮かぶ粟島を眺めて小1時間、海岸線を進む。
 
 列車は山形県へと入り、庄内エリアへ。特急いなほは新潟と山形県の庄内エリアを結ぶの特急列車で、庄内エリアには鶴岡と酒田という大きな街がある。このうち酒田は羽越本線の運行系統上の区切りとなっている。新潟から乗務した乗務員もここで交代。奥の留置線には701系が停車していて、秋田までもう一歩だと教えてくれる。
 
 鶴岡駅を出たあたりから車窓には山形県と秋田県にまたがる百名山の鳥海山が見える。庄内エリアのシンボル的な山である鳥海山は標高2236m。山頂付近はすでに雪に覆われていた。最初は車窓の左手に見える鳥海山。酒田駅手前からは右手に見えるようになり、酒田駅を出ると、山の西側のなだらかな斜面を車窓に見ながら、秋田県へと進んでいく。
 
 この旅最後の食事はまたしても駅弁。今回は新潟駅で購入した「えび千両ちらし」を購入。正式には新発田駅の駅弁で、ふたを開けると、厚焼き玉子が覆いかぶさっていて、その下にはえびやいか、うなぎと言った海の味覚が敷き詰められている。新潟駅で売られていた駅弁の中で一番高かったが、その分おいしかった。2017年には東日本の駅弁の頂点にもたったことがある駅弁らしい。
 
 秋田県のにかほや羽後本荘を出ると、いよいよ秋田へのラストスパート。再び車窓には日本海が広がり、秋田に着く少し前まで海の景色を楽しむことができる。最後に秋田市内を流れる雄物川を渡り、前日の6時前に東京に向けて出発した奥羽本線の線路が近づくと、終点の秋田に到着した。
 
 秋田駅で今回の旅の乗り鉄は終了。特急いなほのグリーン車は4時間乗っていても全く苦ではなく、むしろこのまま青森まで連れて行ってくれと思うほどに快適だった。秋田に来たのはこの旅が初めてだったが、旅行中は毎日秋田駅を利用したので、4日目となるとすっかり見慣れた駅になった。
 
 秋田駅で改札を出たあと、駅周辺以外の秋田の市街地の景色も見てみたかったので、県庁・市役所前までバスに乗車。ここが秋田空港行のバスの始発となっていて、市役所前から空港行のバスに乗車して秋田空港へと向かった。秋田空港は大きな空港ではないが、札幌、東京、大阪、名古屋便が就航している。今回は伊丹行に搭乗し、伊丹を経由して九州へと戻った。朝から4時間かけて来た新潟~秋田間を飛行機はものの30分で飛行するからその早さは絶大。結果的に、乗り継ぎの時間を含めても、新潟~秋田間の特急いなほの所要時間より早く秋田空港から九州へと戻ってきた。
 
・旅を終えて
 今回は、東北地方の独特の乗り物であるミニ新幹線への乗車と、津軽エリアのローカル線への乗り鉄を目的に東北、そして新潟エリアを旅した。秋田・山形新幹線では、新幹線区間と在来線区間での走りの差にギャップ萌えしそうだったし、津軽鉄道、弘南鉄道はどちらもノスタルジックで趣きのある鉄道だった。また新潟ではホテル日航新潟に宿泊して、新潟の街の夜景を楽しむことができたほか、羽越本線からの日本海の景色も楽しむことができた。青函連絡船やねぶた祭などの東北地方、津軽海峡の文化や歴史、また岩木山や鳥海山などの自然も満喫することができて、とても充実した4日間になった。
 一方で、今回は東北地方の幹線部に乗車したにすぎず、まだまだ東北地方には知らない路線や行ったことがない街がたくさんある。水害の影響で乗車できなかった五能線をはじめとして、ローカル線が多いエリアでもある。今年は東北地方旅の元年だったが、今後はより深く東北を楽しんでいきたいと思っている。

★今回の初乗車路線

【鉄道路線】
JR東日本 田沢湖線 盛岡-大曲間
津軽鉄道 津軽鉄道線 津軽五所川原-津軽中里間
弘南鉄道 弘南線 黒石-弘前間
弘南鉄道 大鰐線 中央弘前-大鰐間
JR東日本 奥羽本線 青森-福島間
JR東日本 上越新幹線 高崎-新潟間 ※大宮-高崎間乗車済み
JR東日本 白新線 新潟-新発田間
JR東日本 羽越本線 新発田-秋田間
【バス路線】
秋田中央交通 秋田空港リムジンバス 市役所前-秋田空港間