【旅行記】47都道府県制覇の旅in沖縄~ソラシドエアで那覇へ&ゆいレールに乗車~

47都道府県最後の訪問県へ
2022年の旅ではそれまで通過しかしたことのなかった宮城、岩手、青森の3県と、全く行ったことがなかった秋田、山形の2県を訪問し、東北地方の全県訪問を達成した。これにより47都道府県中の46都道府県を訪問し、残すは1県のみとなった。2023年の最初の旅行は、47都道府県制覇を達成すべく、この最後の1県への旅を企画した。九州に住んでいながら北海道よりも行くのが遅くなってしまったのは西日本側の県。飛行機か船でしか行けない沖縄県であった。
手を伸ばせば届きそうな気がする沖縄県(とは言っても九州からも東京と直線距離は変わらない)。最後の訪問県になってしまった原因は、少し前まで飛行機が苦手だったからである。5年ほど前までは飛行機での移動はなるべく避けていた。しかし、その後飛行機の撮影をするようになってからは、飛行機嫌いも克服した。ある意味沖縄へ行く準備が整ったのである。今となっては旅行のたびにお世話になっている飛行機に、最後の訪問県である沖縄県へと誘ってもらった。
ソラシドエアの鹿児島-那覇線に搭乗

今回の旅の始まりは鹿児島空港。九州と沖縄を結ぶ路線は福岡、熊本、鹿児島、宮崎の各空港から発着している。どの空港から飛ぼうか迷ったが、今回は鹿児島空港からスタートして、福岡空港に戻ってくることにした。鹿児島空港は九州では福岡空港に次ぐ利用者数を誇る大きな空港である。全国の空港の利用者数では中部の一つ下に位置し、仙台空港よりも利用者が多い。また、日本エアコミューター(JAC)の拠点空港で、奄美や種子島、屋久島をはじめとする離島便が多く発着しているのも特徴である。スカイマークも複数路線に就航しており、九州の南の玄関口となっている。高速道路のICからのアクセスが良好なので、飛行機を撮影しに来る空港でもある。空港のデッキからは高千穂峰や新燃岳などの霧島連山を背景に飛行機を撮影することができるので、街が背景になる福岡空港とは対照的である。

今回搭乗するのは、ソラシドエア83便。鹿児島空港と那覇空港との間の便はソラシドエアが毎日2往復運航している。ソラシドエアは宮崎に本社を置く「九州・沖縄の翼」で、昨年には「北海道の翼」ことAIRDOと資本提携し、持株会社であるリージョナルプラスウイングスを立ち上げている。鹿児島にはこの那覇線の他に、羽田線と中部線に就航している。鹿児島-羽田便はソラシドエアで唯一搭乗したことがある路線だったので、今回搭乗する那覇線が2路線目となった。
乗車(搭乗)記録1
ソラシドエア 83便
鹿児島空港→那覇空港 Boeing 737-800

出発時間が迫り搭乗開始となった。搭乗率は5割ほどで前方は割と埋まっているように見えたが、後方はガラガラだった。今回はソラシドエアから予約したが、ANA側から予約する人が多いのか、事前の座席指定では、ソラシドエア側に割り当てられている座席よりANA側に割り当てられている座席の方が多く、当初は後方の座席は選択できなかった。それでも心配無用。前日の朝にはANA側で割り当てられていた座席も指定できるようになり、後方の席でのんびりと移動することができた。

鹿児島空港のランウェイ34から離陸。伊丹や羽田へ向かう路線は霧島連山を横目に旋回し、高度を上げて宮崎県方面へと飛び立つが、一方の鹿児島県の離島や那覇へ向かう便は反対方向に旋回して、飛び立った滑走路を機窓の左側に見ながら、姶良市や鹿児島市の上空を飛行して高度を上げていく。機窓には錦江湾と桜島が見える。この日の桜島は噴煙を吐いていた。

鹿児島市の上空を通過すると雲の上へ。天気がよければトカラ列島や奄美周辺の離島が見えるはずだが、この日は残念ながら雲に覆われていた。沖縄までのフライト時間は1時間20分。ところどころ雲の切れ目から青い海が見える。初の沖縄へと近づくに連れ、期待感も高まる。前泊旅行では夕方~夜のフライトが多いので、午前中のフライトは久しぶりだった。

奄美大島の近海を飛行しているあたりから降下を開始。しばらくすると沖縄本島の北側に浮かぶ伊平屋島と伊是名島が真下に見えた。サンゴ礁が広がる海岸は沖縄らしいエメラルドグリーンに輝いている。シンガポールへ行く国際線でこのあたりは通ったことがあるものの、その当時も曇っていて何も見えなかったので、沖縄らしい海を自分の目で見るのは初めての経験。ほんとにこんなきれいな海があるんだなと小学生みたいに感動した。さらに進むと、美ら海水族館や古宇利大橋があるあたりが見えた。着陸態勢に入り、那覇の街が見えると、海がどんどん近づき、那覇空港へ着陸。この瞬間、初めて沖縄県へと降り立った。

那覇空港は滑走路が2本あり、着陸した滑走路は2020年に運用を開始した新しい滑走路である。基本的に従来から使われている滑走路は離陸用、新しい滑走路は着陸用で使われている。那覇空港の周辺の海岸もサンゴ礁の海が広がっていて、とても美しい。曇りとの予報だったが、空港周辺は青空が広がっていた。

知らないところに来た時には、飛行機からボーディングブリッジへと渡る瞬間がとてもワクワクする。飛行機から降り立ち、沖縄県への第一歩を踏み出す瞬間を噛みしめる。そしてこの瞬間47都道府県訪問を達成。同じ国の中に47個の個性に溢れた都道府県がある。世界の多様性についてよく語られるが、日本も十分多様性に満ちた国だと思う。
鹿児島を出たときは一桁だった気温も、こちらは20℃を越えていてもはや暑い。とりあえず鹿児島から来ていた上着を脱ぐ。昼間は半袖でちょうどいいかもしれない。空港内は沖縄らしいBGMが流れていて、南の島に着いたことを実感させてくれる。急ぐ旅ではないので、のんびりと到着口へと向かった。
沖縄県唯一の鉄道路線「ゆいレール」に乗車
さて、ここからは沖縄の街や交通を楽しんでいきたいと思う。沖縄県へ来た目的の一つは、鉄道路線の乗りつぶし。1日目は沖縄県唯一の鉄道路線であるゆいレールに乗車する。鉄道が1路線だけの沖縄では、バスが公共交通の柱となっている。2日目は沖縄の主要交通機関である路線バスで那覇と名護の間を一周して、沿線の街や海の景色を楽しむ。空港ターミナルを出て、ゆいレールの那覇空港駅へ。ここから沖縄の旅がスタートした。

ゆいレールは正式には沖縄都市モノレール株式会社が運行する沖縄都市モノレール線というモノレール路線である。現在は那覇空港~てだこ浦西駅間の17kmの区間で運行しており、このうち首里駅とてだこ浦西間は2019年10月に開業した比較的新しい区間となっている。その始発駅である那覇空港駅は、日本の最西端の駅として知られ、改札脇にはモニュメントが設置されている。ちなみに一つ隣の赤嶺駅は日本最南端の駅。こちらは夜に訪れる予定である。
モニュメントの左にはSuicaペンギンが鎮座されている。ゆいレールでもSuica、PASMOなどの全国相互利用ICカードの利用が可能となっている。しかし、今回はICカードは使用しない。
今回使用するのは、便利な1日乗車券(購入から24時間有効)。通常価格は大人800円だが、他県からの来訪者は沖縄県が2023年2月末まで実施しているキャンペーンが利用でき、少し安い590円で買える。ただし、直接改札に行っても買えず、すこしだけ手間がかかるので注意が必要である。

ホームに上がって、ゆいレールの車両とご対面。2両編成の可愛らしい車両は1000形と呼ばれ、当然ながら沖縄県で唯一活躍する鉄道車両形式である。現在、ゆいレールでは混雑緩和のため、2両編成から3両編成へと両数変更する工事が着々と進んでいる。3両編成の車両も那覇へと到着していて、2023年度中には運用を開始する予定。その後次第に編成数を拡大していく予定になっている。国際線も再開した那覇空港。大きなスーツケースで乗り込む人も多く、10分間隔の列車はどの列車も混雑している。ホーム上がったときの先発列車はフルラッピングが施されていて、車窓が楽しめなさそうだったので、一本見送って次の電車で那覇・浦添の街へと出発した。
乗車記録2
ゆいレール てだこ浦西行
那覇空港→てだこ浦西

那覇空港を出て、赤嶺、小禄と停車し、奥武山公園駅を出た列車は、大きく左へカーブして国場川と並走する。この車窓の反対側が那覇市の中心部で、ここから旭通、県庁前、美栄橋、牧志と那覇市の中心部を縫うように走っていく。モノレールは視界を遮るものが少なくてとても眺めがいい。那覇空港から乗車した人の多くはこの那覇中心部の駅で降り、その代わりに那覇中心部から乗車した乗客と入れ替わる。相変わらず車内は混雑していた。

おもろまち駅を出たあたりから、アップダウンも加わるようになり、車窓も住宅街に変わる。頻繁にカーブするので、初めて沖縄に来た人間は方向音痴状態になる。首里城にもほど近い儀保駅へと坂を駆け上がるとそこからアップダウンの繰り返し。新規開業区間の浦添前田駅手前では駅がモノレールの線路の真正面に見えるから不思議だった。最後の一区間は、トンネルを通って終点のてだこ浦西駅へと到着。空港から40分でゆいレールを完乗した。

終点のてだこ浦西駅に到着。はっきり言って初めて沖縄に来て1時間くらいしか経ってない人間が来るところではない。まだ那覇中心部に足を踏み入れる前に浦添の住宅地の駅に降り立ってしまった。開業からまだ3年くらいしか経っていないので、駅は真新しい。駅周辺は開発中の住宅地と言った印象で、かなり郊外まで移動してきた感がある。てだこ浦西駅のてだことは琉球の言葉で太陽の子を意味し、その昔浦添で生まれた琉球王国の英祖王の敬称として使われていた言葉なんだとか。浦西は駅の北側にある比較的新しい住宅団地浦西団地に由来する。

駅の外に出てみた。駅の隣にはパークアンドライド駐車場が設置されていて、ここに車を停めて那覇市内へと移動できるようになっている。車社会の沖縄では渋滞が大きな都市問題となっているので、交通機関利用促進のために設置してあるようだ。ただ、休日日中の駐車場内はそれほど車は止まっていなかった。浦添市の東側に位置し、西原(にしはら)町が隣接するこのあたり。駅の所在地は前田だが、浦西団地がある場所は浦添市西原という住所になっている。こちらも正しくはにしはらと読むのだが、西原町とごっちゃになるのでにしばると地元住民は読んでいるらしい。ちなみに駅の北側にある沖縄道の西原ICは浦添市西原と西原町の境に位置しているが、料金所自体は浦添市西原にある。なんだかとてもややこしい。駅の近くには九州でもおなじみのダイレックスがオープンしていて、九州から来た自分にとっては実家に帰ってきたような安心感があった。ダイレックスは佐賀の会社である。
さて、ゆいレールを完乗したあとは、来た道を首里駅まで戻り首里城観光へと出かけた。