【旅行記】函館本線と道南鉄道路線乗りつぶし旅~国内線最大機材で新千歳へ~

一部廃線ほぼ決定も新幹線開業後の議論が続く函館本線
北海道では、留萌本線の石狩沼田~留萌間が2023年4月1日をもって廃止される(運行は3月31日に終了)。2016年の留萌~増毛間の廃線に続く2度目の区間短縮となり、残す深川~石狩沼間も近々廃線される予定である。この留萌本線には去年の春に実施した「北海道の廃線予定路線を巡る旅」の道中で訪れ、早朝の列車で深川から留萌まで乗車した。春とは言えど、まだ北海道の山間部は雪深く、春を待つ沿線の車窓を楽しむことができた。
一方で、留萌へ向かう途中には、根室本線の富良野~新得間にも乗車。以前は、札幌と道東を結ぶ幹線路線だったこの路線も、石勝線開通後はローカル線となり、東鹿越~新得間が数年前の台風被害で被災。その後、鉄道路線としての復旧が断念され、代行区間を含む富良野~新得間が廃止されることとなっている。こちらも被災区間はバス代行での乗車となったが、バスの車窓からは石勝線開通に伴うルート変更前に日本三大車窓だった狩勝峠の景色が見えた。
さて、これらの路線と時を同じくして廃止されることがほぼ決定したのが、函館本線の小樽~長万部間である。特急列車が千歳線、室蘭本線経由で運転される一方で、2030年代には北海道新幹線が函館本線の沿線を経由して札幌まで延伸予定。その並行在来線となるこの区間は早々にバスへの転換が決まり、廃止されることがほぼ確定している。残す長万部~函館間についても、貨物列車が多数通過する区間であるものの、貨物列車だけの運行となれば経営が厳しく、現在、新幹線開業後の運行について協議が行われている。少なくとも、長万部~新函館北斗間では、現在の函館本線が旅客輸送の役割を終えることが予想され、鉄道として存続されても、旅客列車は運転されない方向である。
函館本線は現時点で、特急列車が走行している旭川~札幌間と長万部~函館間(大沼経由)で乗車しているが、廃線予定区間を含む札幌~長万部間と砂原支線、藤城支線については未乗となっている。今回の旅では、この函館本線をメインに北海道の特に道南エリアの鉄道路線に乗車しに行く。
大型機材に乗りたい
話は変わって、最近の飛行機への搭乗に目を向けると、航空路線の中でも特に中小路線に乗ることが多く、搭乗する機材についてもBoeing 737-800やEmbraer190、170シリーズが中心で、中・大型機材に乗る機会が少なくなっていた。感染症禍の影響もあって、ANA、JALどちらにおいてもBoeing 777シリーズの撤退が行われ、搭乗できる機会も限られてきている。そこで今回の旅程では、北海道までの行き帰りに、羽田~新千歳、羽田~福岡の大幹線に搭乗し、大型機材での空の旅を楽しむことも盛り込んだ。
少し春の陽気が感じられるようになってきた3月のとある日。旅の起点、羽田空港から旅がスタート。大型機材で行く約1年ぶりの北海道の旅が幕を開けた。
国内線最大の機材 Boeing 777-300に搭乗

羽田空港から搭乗するのは、国内屈指の大幹線である羽田-新千歳線。年間376万人が利用し、国内線では羽田-福岡に次ぐ利用者数を誇る。JAL、ANA、AIRDO、スカイマークの4社が就航しており、様々な機材が利用できるが、今回は現在ANAのみが運航する国内線最大の機材、Boeing 777-300に搭乗する。搭乗まで少し時間があったので、展望デッキへと上がると、搭乗する便と同じBoeing 777-300を使用した那覇便がプッシュバック中だった。各地の空港で見たり撮影したことは何度もあるが、搭乗するのは今回が初めて。憧れの機材への搭乗できるこの日を楽しみにしていた。プッシュバック中に後ろから沖止めされていた同じB773が登場。どうやらこれが搭乗する新千歳便になるらしい。ほかの空港では並ぶ機会が少ないB773同士が並ぶ光景を見ることができた。

搭乗したのは羽田9時ちょうど発のANA55便。日によってBoeing 777-200だったり、Boeing 787だったりするこの便だが、週に2~3回がB773での運航となっている。B773の国内線機材はプレミアムクラス21席、普通席493席で総座席数514席配置。500人以上が搭乗できるとてつもなく大容量な機材。それにも関わらず、この日はほぼ満席となっており、ANAだけでも30分に1本が発着する大幹線路線の需要の高さを伺わせていた。
乗車(搭乗)記録 No.1
ANA55便 羽田空港→新千歳空港
Boeing 777-300 普通席

出発の20分前には搭乗が開始された。ボーディングブリッジを通って機内に入ったが、その大きさにびっくり。外から見ている以上に長く感じる。今回はK列の後方にある2列席を指定したので、プレミアムシートのある1列目からほぼ機材の一番後ろまで60mほど歩いた。何歩歩いても自分の席はまだまだ後ろ。プレミアムクラスと普通席の間の4列目がないだけであとは1列目から58列目までずらっと座席が並んでいる。

普通席は3+4+3列配置。後方だけは2+4+2列になっている。それまで搭乗した中で一番大きい機材は国際線で搭乗したAirbus A330-300で、それでも2+4+2列配置だったと記憶しているので、各列で横に10人が並ぶ配列はもはや異次元。これは確かに人生1回は乗っておきたい飛行機だと思う。同じANAが運航するBoeing 777-200は個人用モニタ設置の新シート装備仕様機が活躍しているが、こちらは昔ながらの分厚いシートの座席が並んでいる。

席に座ってとりあえず安全のしおりに記載のB777-300の文字とともに記念撮影。搭乗開始から20分ほどでやっと約500人の乗客が乗り込み、機内は満席に。自分の隣も相席となったが、隣が1席しかない分、圧迫感は少なかった。

窓の外を見ると隣にもB773が駐機していた。この日は那覇便が3便続けてB773での運航となっていて、航空路線の需要もかなり回復しているように見えた。定刻からやや遅れてプッシュバックを開始。プッシュバックもサクッと終わる中小機材に比べて重厚感があった。その後はC滑走路の34Rへと移動した。

B773が離陸するシーンはデッキから何度もデッキから見ていて、飛ぶことはもちろん分かっている。それでもなんだか不思議な気分になる。滑走路までの移動中にこれが飛ぶってすごいよなぁと感心しているとあっという間に滑走路に到達。500人が乗りこんだ全長70m以上の重厚感ある鉄の塊が滑走路を滑走して離陸する。その瞬間は初めて飛行機に乗ったときくらい感動した。都心方面に離陸後、ゲートブリッジを眼下に旋回し、荒川の上空を飛んでいく。離陸中、機内のモニタには機外カメラの映像が流されていて、航空写真でも見ているかのように真下に広がる東京の下町の様子が映し出されていた。
その後は雲の上に出て、福島県、宮城県の上空を飛行。機内では飲み物のサービスが始まった。休日の朝の便ということもあって、北海道へ旅行に行く観光客の利用が多く(自分もその一人)、機内は少しにぎやか。岩手県の上空に差し掛かると、かすかに地上の景色が見えるようになり、岩手山や青森県の三沢基地・小川原湖などを見ることができた。

下北半島の先端の一つ尻屋埼を通過したころから降下を開始。しばらくすると、北の大地が眼下に広がった。太平洋沿岸のむかわ町あたりは積雪はなかったが、内陸に入り、前回乗車した室蘭本線の沿線の景色はまだまだ真っ白。東京では少し暖かさも感じられ、春ももうすぐそこだったが、北海道は冬の景色だった。3月でこれなら厳冬期はどんな景色になるのだろうか。1月~2月に訪れてみたいが、交通障害が起こりやすい季節なので躊躇している。

羽田から新千歳空港までの所要時間は1時間15分ほど。B773の旅もあっという間に最終の着陸体制に入った。くるっと旋回して、滑走路へと降下すると、雲の中を通過。北広島や札幌市街を眺めながら高度を下げて、滑走路19Lにどっしりと着陸。約1年ぶりに北海道へと到着した。

出口までの間に乗ってきた飛行機を撮影。隣にはAIRDOのBoeing 737-700が駐機していたが、やっぱり全然大きさが違う。このサイズだとさすがの幹線路線でもサイズオーバーなのか、この後は夕方まで折り返しの便はなく、新千歳17:00発のANA72便として羽田へと帰っていく。いつまでこの機材が運航されるのかはわからないが、機齢自体は20年以上となっているので、そろそろ退役も近いはず。このタイミングで乗ることができたのはいい経験となった。
新千歳空港からは北海道の列車の旅がスタート。まずは快速エアポートに乗って小樽へと向かった。