【旅行記】函館本線と道南鉄道路線乗りつぶし旅~快速エアポートと小樽駅~
快速エアポートを全区間乗り通す

はじめてのBoeing 777-300への搭乗を楽しんだ後は、新千歳空港の地下にあるJR千歳線の新千歳空港駅へ。去年の旅では苫小牧駅から路線バスで新千歳空港にやってきたので、新千歳空港駅を使うのは初めて北海道に降り立った時以来だった。JR北海道はJR東日本の予約サービス「えきねっと」で列車の予約や乗車券の購入ができるが、そのえきねっとは昨年からJR東海エリアでも一部きっぷを除いてきっぷの受け取りができるようになった。ここから使うきっぷは、ちょうど3週間前、静岡を旅した際に仕込んでおいた。新千歳空港から千歳線・函館本線まわりで長万部まで向かう乗車券と快速エアポートの指定券を改札に入れて、改札内へ。1日目は倶知安駅まで旅していく。

前回快速エアポートに乗車したときも721系、昨年の旅行で普通列車に乗車したときもことごとく721系だったので、今回こそ733系に乗りたいと思ったが、今回もしっかり721系がやってきた。733系にも一応はこだてライナーで乗車したことがあるが、札幌圏の733系や735系に乗れるのは一体いつになるだろうか。旅していると毎回訪れるのに毎回来ない車両がいるもので、個人的には、西日本にも小浜線では521系の代走、加古川線では103系の代走に当たってしまった125系という車両もいる。721系は普通車も転換クロスなので、あまりUシートに乗る意味はないように思われるが、やはりUシートの方が空いていて快適。前回乗車したときの車両は旧型タイプのUシート車で、客室の扉は手動の両開き、座席は赤青の座席が並んでいたが、今回はサハ721-4000という721系の中でも新しい方の車両。客室扉は自動になっていて、雰囲気的には後に搭乗する733系のUシートに似ている。ただ721系は窓のコンディションがよくないのが欠点だと思う。
乗車記録 No.2
千歳線・函館本線 快速エアポート115号小樽行
新千歳空港→小樽 721系 Uシート

新千歳空港を出た列車は、すぐに南千歳に停車して、そこからは千歳線の本線に入る。車内放送ももちろんのこと、駅に着いてドアが開くと聞こえてくる盲導鈴と呼ばれるチャイムを聴くと北海道だなぁと感じる。市街地にはもう雪は残っていないが、一歩市街地を出ると田園地帯はまだ真っ白。開業まであとわずかとなった北海道日本ハムファイターズの新球場エスコンフィールド北海道が車窓の反対側に見える。この数日後にはオープン戦が行われていたが、まだ屋根には雪が残っていて、外はまだ野球の季節ではなかった。

旭川から続く函館本線と合流すると、ここから札幌までは函館本線系統と千歳線系統とで複々線となり、車窓を通過していく列車も増える。札幌の二つ手前の苗穂駅はJR北海道の車両基地の一つで、もう間もなく定期運行を終了するキハ183系の姿を確認できた。初めて北海道に来た時は網走から札幌までオホーツク2号に揺られたのを思い出す。このオホーツク2号のあとに乗った特急北斗12号とすれ違うと列車は札幌駅に到着。数分停車のうちに自分以外の乗客はほぼ入れ替わった。

札幌~長万部間の函館本線はこれが初訪問となるので、札幌から先は未踏の地。札幌を出るとすぐに北海道大学の広大な敷地が見え、JRAの札幌競馬場が見える。競馬場はまだ雪の中に埋まっている。その先で札沼線の線路が分岐していく。札沼線の沼とは留萌本線の石狩沼田駅のこと。3月末をもって留萌本線の留萌~石狩沼田間が廃止されるが、近いうち石狩沼田~留萌間も廃止予定で、札沼線の沼が駅として消える日も近い。対して200万人以上が住む札幌都市圏の札沼線は数年前に電化され、札幌の交通を支える重要路線に成長している。快速エアポートは札幌から琴似、手稲に停車。手稲を出ると車窓には札幌運転所が見える。春から苫小牧~室蘭間で運行が予定されている737系普通列車も留置されていた。札幌市街地も終わりに近づき、列車はほしみ駅を通過。ほしみ駅は函館本線の行先でよく見る行先の一つ。対面式のホームが終点となるが、列車自体は次の銭函駅の中線で折り返す。その銭函駅から小樽築港駅間は海岸線を進む区間で小樽が近づくまで、しばらくの間海を見ながら進んでいく。

海岸線をしばらく進んだ後、小樽築港からは小樽市街へと入る。小樽築港駅の前には巨大なアウトレットモールがあり、ここで下車する乗客も多かった。その後は昔ながらの市街地を眺めながら走り、終点の小樽に到着。駅舎側に設けられた行き止まりのホーム5番線にゆっくり入線した。
ノスタルジックな雰囲気漂う小樽駅

まだ駅の裏手やホームには雪が残る小樽駅。この駅は特殊な番線配置となっていて、駅舎よりのホームから5番線、4番線と振られ、留置線側が1番線となっている。昔は5番線が0番線で、駅舎側から0~3番線と振られていたらしいが運行システム上の都合で現在のような番号の振り方に変わったらしい。高架駅でないが駅舎とホームが一段高くなっていて、改札からは階段を上ってホームに上がる造りになっている。旭川から続く函館本線の電化区間はここで一旦途切れる。この先再び電化区間に変わるのは北海道新幹線との接続駅である新函館北斗駅。複線区間もここで一旦途切れて次に複線区間となるのは長万部駅から北豊津信号場間となる。ここからは函館本線も山線と呼ばれる険しい区間へと入っていく。

初めて来た小樽駅。趣のある駅舎は昭和9年に建てられたもので、国指定重要文化財に指定されている。小樽は小樽運河に代表される北海道の一大観光地だが、今回は時間の都合上、観光地には立ち寄らない。この先の山線区間はローカル線とは言え、スキーシーズン&青春18きっぷシーズンで混雑する。次の列車は倶知安で接続列車がなく、この列車が空いていると思われるので、今回は小樽観光はせず、そのまま函館本線を進んでいく。小樽にはいずれ観光のために訪れたい。

小樽駅前の道路は緩い勾配で海から一直線に続いている。遠くには建物の間から石狩湾の海が見える。この道をまっすぐ海の方向に歩いていくと観光スポットとして有名な小樽運河がある。大正時代に整備された小樽運河は北海道開拓を支えた港で、現在は当時の面影を残す建物が多く残る観光スポットとして保存されている。駅の隣には北海道中央バスとJR北海道バスが発着するバスターミナルが設置されている。札幌行の高速バス、小樽市街を走る路線バスのほか、岩内や積丹、これから向かう余市や倶知安方面への路線バスが発着している。ちなみに長万部から小樽へは、寿都、岩内、倶知安を経由すると路線バスでもアクセスできるらしい。北海道は乗ってみたい路線バスもたくさんあるので、できることなら分身して乗りたいくらいある。

小樽駅の4番のりばの一角は裕次郎ホームという名前が付けられている。石原裕次郎は幼少期に小樽で生活したことから、小樽との付き合いが深く、小樽市内には石原裕次郎記念館がある。ホームには1978年に撮影された写真が飾られている。また、駅構内には石原裕次郎の曲が流れていて、ノスタルジックな雰囲気が漂っていた。「おたる」を逆から読むと「ルタオ」となるとおり、ここ小樽は有名な洋菓子専門店「ルタオ」の本店が所在するスイーツの街でもある。ちなみにルタオとは単純にオタルの逆読みではなく、フランス語で「親愛なる小樽の塔」意味する言葉の頭文字とオタルの読みがかけられてできているらしい。
小樽駅を少し見学したあとは函館本線の旅を再開し、この日の宿泊地である倶知安へと向かった。