【旅行記】関東地方の全線完乗を目指す旅+α 〜高速バスと路線バスで東京駅から筑波山へ〜

 
 小田原で迎えた旅の2日目は、早朝の特急湘南8号から始まった。東海道貨物線を縫うように走るこの列車を乗り通し、1時間あまりで東京駅に到着。貨物線経由ならではの特別な車窓を存分に楽しんだあとは、この日の目的地・筑波山へ向かうため、高速バスに乗り換える。東京駅からはつくば行きのバスに乗車し、筑波山行の路線バスが発着するつくばを目指した。

東京駅とつくばを結ぶ高速バス「つくば号」に乗車

 朝ラッシュの真っ只中、多くの人が行き交う東京駅。最近も何度か訪れてはいるものの、その多くは休日の早朝。平日の通勤時間帯に来るのは久しぶりで、改めて人の多さに圧倒された。
 2日目は、関東地方で最後に残った未乗路線を目指す旅。関東最後の“未乗”となったのは、茨城県つくば市を走る筑波山ケーブルである。関東地方の百名山の一つ、筑波山の麓と山頂を結ぶ観光用のケーブルカーで、現在は近くに鉄道駅がなく、アクセスにはバスを利用する必要がある。ケーブルカーの駅に向かう路線バスはすべてつくば駅発着のため、まずは東京駅からつくばへ向かうことにした。
 東京都心とつくばを結ぶ交通手段として最も一般的なのは、秋葉原〜つくば間を最速45分で結ぶつくばエクスプレス(TX)である。筑波山へ行く場合もTXが最短ルートとなる。しかし、この路線は筆者も既に3回利用しており、今回の帰路もTXの予定。せっかくなら往路は別の交通手段を使いたいと思い、以前から気になっていた高速バス「つくば号」に乗ってみることにした。
 
 東京駅とつくばセンター・筑波大学を結ぶ「つくば号」は、JRバス関東と関東鉄道による共同運行となっている。TXが最速ではあるものの、高速バスも東京駅〜つくば間をおよそ1時間10分で結んでいる。秋葉原への移動と乗り換えが必要なTXと比べると、トータルの所要時間はほぼ変わらない。運行本数も多く、日中でも30分に1本と利便性が高い。朝夕には通勤・通学の利用者も多い路線で、以前から存在は知っていたが、今回ようやく乗る機会が訪れた。
 バスは東京駅八重洲口にある高速バスターミナルから発車する。以前、大阪駅から東京駅行きの高速バスを利用したことはあるが、それは日本橋口への到着便。八重洲口のバスターミナルを利用するのは今回が初めてだった。
 東京駅の高速バスターミナルには、JRバスと共同運行会社の高速バスが数多く乗り入れている。大阪方面の「グラン昼特急」「青春昼特急」、名古屋・静岡方面の「新東名スーパーライナー」などの東名ハイウェイバス、草津温泉へ向かう「ゆめぐり号」といった中・長距離便のほか、鹿島神宮・水戸・つくばなどの比較的近距離路線も多い。さらに、萩・出雲・青森など全国各地へ向かう夜行バスも発着しており、まさに東京の高速バスの一大ターミナルの一つとなっている。
 
乗車記録No.15
関東鉄道 つくば-東京駅線(つくば号) つくばセンター行
東京駅前→つくばセンター
 
 今回乗車した東京駅9時ちょうど発の便は、関東鉄道が担当するつくばセンター行きだった。「つくば号」は少し前まで全便が筑波大学構内まで運行されていたが、直前のダイヤ改正で日中の便の半数ほどが、つくばセンター止まりに変更されている。
 なお、都心から筑波山へ向かう際には、つくばエクスプレス・高速バスそれぞれに、ケーブルカーとセットになったお得な乗車券が用意されている。素直に往復するだけならこれらを使うのが一番安い。しかし今回は、つくば周辺で複数の路線を巡る予定だったため、これらのセット券は利用せず、全ての乗り物でICカードを利用した。
 バスは10名ほどの乗客を乗せ、定刻の9時に東京駅を発車した。八重洲の高速バスターミナルでは、発車時刻がすべて「0分」に統一されており、毎時ちょうどになると各地へ向かうバスが一斉に動き出す光景が見られる。今回乗ったつくば号も、ちょうど1番のりばに停車していた鹿島神宮行きのバスを追うようにターミナルを出発し、人の流れが絶えない八重洲・日本橋の街へと走り出していった。
 
 東京駅を出たバスは、駅前の道路をそのまま直進し、銀座線が地下を走る国道15号線「中央通り」や、都営浅草線が地下を通る都道316号線「昭和通り」との交差点を抜けていく。平日の朝ということもあり、周囲にはスーツ姿の人が多く、車窓から見える街並みはどこを切り取っても通勤時間の東京といった光景だった。
 やがてバスは宝町ランプへ向かう側道へ入った。東京駅発の高速バスの多くが利用するこの宝町ランプは、交差点から斜めに入り、そのまま急角度のカーブを回って料金所へ至るという、慣れていないと少し難しい構造をしている。大型車にとってはなかなか気を使うポイントである。しかしそこはプロの腕の見せどころ。今回乗車しているバスも、運転士が丁寧に速度をコントロールしながら、ひょいと車体を曲げるようにカーブをクリアし、実に滑らかに料金所を通過していった。
 料金所を抜けると、バスは首都高速都心環状線へ。街中の喧騒が車窓の後ろへ遠ざかり、いよいよ高速バスの旅が始まる。
 
 都心環状線を走るのはごく短い区間だけで、バスは颯爽と車線を変えながら江戸橋JCTへと向かっていく。ここで進路を東へ取り、6号向島線へ進んだ。江戸橋JCTから隣の箱崎JCTまでは、茨城方面に向かう車だけでなく、千葉方面へ向かう車両も集中する首都高屈指の渋滞ポイントである。この日も例外ではなく、箱崎JCT付近まではやや流れが悪く、抜けるまでに数分ほど時間を要した。渋滞といっても首都高らしい混雑という程度であり、完全に止まるわけではない。窓越しには、ビルの谷間から朝の日差しを受ける日本橋付近の街並みがゆっくりと流れていく。
 実はこの日の東京は、外国要人が来日する予定となっていて、首都高も交通規制の予告が出ていた。保安上の理由から時間帯は直前までわからないため、交通規制の時間に当たらないことを祈っていたが、結局規制が行われたのは夕方で、その影響を受けることはなかった。
 やがて箱崎JCTで湾岸線へ続く9号深川線が分岐すると、途端にペースが回復。バスは中央区の日本橋や浜町の街並みを見下ろしながら、高架の上を軽快に走り抜け、墨田川を渡って両国JCTへ差し掛かった。
 
 両国JCTでは、錦糸町や船橋方面へ向かう7号小松川線が枝分かれしていく。実際の配線は向島線のほうが小松川線から分岐する構造になっていて、こちらが分岐していく。首都高らしい立体的なジャンクションを抜けると、バスはしばらく隅田川に寄り添うように北上。左手には浅草の街並みが広がった。
 およそ一ヶ月前にも東京を訪れており、その際は友人と浅草を観光した。その際、隅田川沿いでのんびり休憩した場所を、今日は高速バスの車窓から眺める。過去の旅と今の旅がふと繋がるこの瞬間が、筆者はとても好きである。あの日はそのあと上野公園を抜けて御徒町まで歩き、夜にはライブに向かった。三日間で合計40kmも歩き、最終的には足が棒になるほどだったが、それも含めて良い思い出になった。
 隅田川沿いを進むこの区間は、視界が開けていてとても眺めが良い。複雑なジャンクションを抜け、都市の川と下町の風景が一望できるこの区間は、首都高のハイライトの一つと言える。
 
 しばらく隅田川と並走した後、6号向島線は東武伊勢崎線の堀切駅付近で荒川を渡り、堀切JCTでこの川に沿って走る中央環状線と合流する。ここで向島線は終点となり、バスはわずかな区間だけ中央環状線を走行したのち、小菅JCTで同じ6号の三郷線へと入った。小菅JCTは中央環状線のほうが分岐する構造になっており、車線変更がとても忙しい。初見では到底運転できないだろうと思う。車窓には北千住の街並みが広がっていた。
 その後は大きな東京拘置所を横目に見ながらさらに北上していく。ここから先は騒音対策のため道路壁が高く、車窓はしばらく防音壁ばかりとなったが、道路自体は小さな綾瀬川に沿うように続いている。つくばエクスプレスの青井駅、六町駅のやや東側を川に沿って進むと、やがて東京都を抜けて千葉県八潮市に入った。以降もしばらくは防音壁が続き、景色は限られた。
 途中には上り線側だけに八潮PAがあり、この路線も上り便のみがPA内のバス停に停車する。ここはつくばエクスプレスの八潮駅にも近く、首都高が渋滞している際には、ここで下車して鉄道に乗り換えることで都心へ先回りすることが可能である。
 
 八潮の市街地を抜け、中川を渡ると、バスは外環道と直角に交差する三郷JCTを通過する。タービン型のこのジャンクションは、航空写真で見るとその美しい形状がよく分かる。国内のジャンクション好きをも唸らせる美形なジャンクションの一つとして知られる。三郷JCTを抜け、三郷市街地を横断すると、まもなく三郷料金所を通過した。先ほど通過した三郷JCTは首都高6号三郷線の終点であり、ここからバスは常磐自動車道へと進む。常磐道は常磐線とほぼ並行しながら茨城県や福島県の浜通りを経て、亘理ICまで続き、仙台東部道路と接続している。
 
 三郷を過ぎると、車窓には田畑が広がり始め、景色にも緑が増えていく。料金所を通過すると、バスはまもなく江戸川を渡り、東武野田線の江戸川台付近で交差する。このあたりは、周辺の開発された住宅地の一段下を走る半地下のような構造になっていた。常磐道はこの先しばらく片側3車線で、バスも首都高のやや流れの悪かった区間とは異なり、スイスイと進んでいく。
 つくばエクスプレスの柏の葉キャンパス駅・柏たなか駅に程近い場所にある柏ICを通過すると、今度は利根川を渡り、千葉県から茨城県へと入った。筆者はヤクルトファンであるが、このあたりでは戸田から移転予定の2軍施設・球場の建設工事が進行中で、車窓からその現場を見ることができた。もしかすると、数年後にはこの場所も頻繁に訪れる場所になるかもしれない。
 
 利根川を渡ったバスは、関東鉄道常総線の新守谷駅付近にある谷和原ICを通過。しばらくのどかな田園地帯を走った後、つくばみらい市へ入り、つくばエクスプレスのみらい平駅近傍を経て、谷田部ICを通過した。どちらも、このあたりが開発される以前に付けられた名前のためか、正直どこのICなのかピンとこない。そろそろ守谷ICやつくば南ICにした方が分かりやすそうである。このあたりから車窓の奥には、目指す筑波山が見え始めた。
 つくば市に入ったものの、バスはその先もしばらく常磐道を走り続ける。圏央道と交差するつくばJCTを経て、桜土浦ICで高速を降りた。土浦市とつくば市の市境付近にあるこのICは、両市街地からも直線距離で5km前後離れている。
 
 桜土浦ICで常磐道を降りたバスは、国道354号線に入り、まもなく下広岡バス停に停車した。この便では下車する人はおらず、そのまま通過となった。直後の大角豆交差点を右折すると、いよいよつくば市街地が広がる。やがて車窓には、研究都市らしい緑あふれる景色が広がった。
 この先、バスは並木大橋、並木二丁目、並木一丁目の各バス停に停車する。沿道には産業技術総合研究所、物質材料研究機構、JAXAなどの国の研究施設が並び、通勤者や来訪者と思われる乗客たちが、バス停から研究施設の中へ吸い込まれていった。
 
 並木一丁目の後も、バスは千現一丁目、竹園二丁目の各バス停に停車し、車窓にはマンションが増え始めた。バスは学園東交差点を左折して県道237号線に入り、大清水公園西交差点を右折すると、終点のつくばセンターに到着した。途中のバス停で多くの乗客が下車したため、終点まで乗車したのは4人ほどだった。首都高での車両混雑により10分ほど遅れたが、個人的には高速バスでの10分遅れはほぼ定刻通りの感覚である。
 はじめて乗車した「つくば号」は、首都高6号向島線・三郷線や常磐道など、いずれも初めて通るルートで、つくばエクスプレスとはまた違った車窓の景色を楽しむことができた。やはりロングシートの通勤電車とは異なり、車窓を眺めながら旅できるのが高速バスの魅力である。関東の鉄道路線は今回の旅でほぼ乗り終えることができたので、今後はさまざまな高速バスにも乗車してみたいと思っている。

約2年ぶりのつくばでバスを乗り換える

 つくば駅のバスターミナル「つくばセンター」に降り立つ。今回でつくばに来るのは3度目なので、駅周辺の景色もすっかり見慣れてしまい、正直なところ新鮮さはない。
 初めてつくばに来たのは2019年の夏のこと。秋葉原からTXに乗り、つくばへ到着した後は路線バスでひたち野うしく駅へ向かった。それ以前に特急「ひたち」で茨城県内を通過したことはあったが、実際に県内に降り立ったのはこのときが初めてであり、筆者にとって茨城県で初めて訪れた思い出の街である。
 前回の訪問は約2年前の2023年7月。このときは野球観戦のために東京へ来ていたが、特に予定もなかったので、TXに乗車し、先ほど高速バスでも通ったJAXA筑波宇宙センターのミュージアムを見学した。
 実は筆者の学生時代の友人につくば出身者がおり、初めて訪れる以前から馴染みのある場所でもあった。九州の片田舎の学校に通っていたが、休み時間の間中、東京の電車の話で友人と盛り上がっていた思い出がある。
 ここはひたち野うしく駅のほか、土浦駅、荒川沖駅などなど各方面への路線バスが発着する交通ターミナルとなっている。高速バスも乗車した「つくば号」だけでなく、水戸駅、羽田空港、成田空港、東京ディズニーランドへの昼行路線、関西方面への夜行バスが発着している。

「筑波山シャトルバス」で筑波山・つつじヶ丘へ

 つくばセンターでは、先ほど乗車した高速バスと同じ関東鉄道が運行する「筑波山シャトルバス」へと乗り換えた。筑波山を訪れる観光客・ハイキング客向けに運行されている路線で、一般的な路線バスのように細かく停まるわけではなく、主要停留所のみを結ぶ“急行バス”のような運行形態となっている。朝から夕方まで本数も比較的多く、概ね40〜50分間隔で走っている。
 つくば駅周辺は昭和後期に計画的に開発された街だが、このバスはこれから“旧来から筑波と呼ばれてきたエリア”、いわゆる山麓の集落や観光地へと向かう。現在のつくばと昔の筑波、その“都市と山”をつなぐ路線でもある。
 
 乗車したのは11時ちょうど発の便。使用される車両は一般路線バスと同じタイプで、乗客の多くは観光客やハイカー。筆者が乗った便にも7〜8人が乗り込み、車内は静かで落ち着いた雰囲気だった。乗車時、運転手さんから「数日前にダイヤ改正があったので気をつけてください」と丁寧な案内があり、初めて訪れる観光客にも優しい路線だと感じた。幸いにも筆者が確認していた時刻は改正後のものだったようで、ひと安心した。
 筑波山ケーブルカーに向かう場合は途中の「筑波山神社入口」バス停が最寄りとなる。しかし時間には余裕があったので、まずは終点の「つつじヶ丘」まで乗り通し、山の表情を味わうことにした。
 
乗車記録No.16
関東鉄道 筑波山シャトルバス つつじヶ丘行
つくばセンター→つつじヶ丘
 
 つくばセンターを発車したバスは、バスセンター前の交差点を左折して県道24号線へ。続いて吾妻四丁目西交差点を左折し、県道55号線・学園東大通りに入ると、本格的に北上を開始する。しばらくはマンションや住宅、ロードサイド店舗が続くが、やがて左手一帯に筑波大学の広大なキャンパスが広がり、学園都市らしい雰囲気へと変わっていく。
 大学を抜けると大穂(おおほ)と呼ばれるエリアに入り、西側から延びてくる国道408号線と合流。バスはそのまま国道408号線を北上し、高エネルギー加速器研究機構(KEK)の前を通過する。この辺りで市街地は途切れ、いよいよ自然の気配が濃くなっていく。
 
 市街地を出て、のどかな景色の中を走るバス。15分程この景色の中を走行すると、やがて筑波山が目前に迫る。今は走っている道路は国道から県道へと変わった後、別の県道との交差点に突き当たる。バスはここを右折。いよいよ筑波山に対して正対する。その後は桜川を渡り、旧筑波鉄道の廃線跡を跨線橋で跨ぎ、筑波山のふもとにある沼田と呼ばれる地区を通過した。バスはこの地区で沼田バス停に停車する。ここは帰りに使う予定である。
 市街地を抜けたバスは、のどかな田園風景の中を進んでいく。15分ほど走ると、前方には筑波山がぐっと近づき、山の存在感が車窓一面に広がってきた。走っている道路は国道から県道へと変わり、やがて別の県道との交差点に突き当たる。バスはそこを右折し、いよいよ筑波山に真正面から向かうルートに入った。
 桜川を渡り、旧筑波鉄道の廃線跡を跨線橋で越えると、筑波山の麓に広がる沼田地区へ。ここには「沼田」バス停があり、このバスが唯一停車する山下のバス停となっている。復路ではこのバス停を使う。
 
 沼田を過ぎると、バスはいよいよ筑波山を登り始めた。いくつもの急カーブが続くつづら折りの道を、エンジンを唸らせながら力強く登っていく。標高が上がるにつれて、車窓の外には関東平野が少しずつ姿を現し、徐々に視界が開けていく。
 やがて「筑波山神社入口」バス停に到着。ここはケーブルカー宮脇駅の最寄りで、多くの乗客がここで下車していった。後ほど降りるが一旦通り過ぎる。筑波山神社の鳥居前町を抜けると、道はさらに急坂に。つつじヶ丘へ向けて坂道をぐいぐいと登っていく。
 
 ほどなくして風返峠に差し掛かり、バスは交差点を左折して筑波スカイラインへ入る。この付近はかつて夜間の暴走行為が問題となった場所で、交差点には夜間の二輪車通行止めを示す標識が立っていた。この先の道路はループ構造となっており、ふと後ろを振り返ると、関東平野の大パノラマが眼下に広がっている。高度が一気に上がったことを実感する瞬間だった。
 ループを抜けると、バスはさらに山の上へと進み、終点のつつじヶ丘に到着。ここは筑波スカイラインの終点に位置し、そのまま有料駐車場に繋がっている。バス停もその駐車場の中にあり、つくばセンターからおよそ50分で終点のつつじヶ丘へ到着した。
 
 終点のつつじヶ丘でバスを降りた。ここは筑波山観光の主要拠点の一つで、山頂の女体山駅へ向かう筑波山ロープウェイが発着している。ロープウェイ駅の隣にはレストハウスがあり、お土産店や食堂が集まっていて、観光客や登山客の出発点として賑わっている。そのすぐ隣には筑波山京成ホテルも建ち、山岳観光地らしい雰囲気が広がっていた。
 ところで、つつじヶ丘という地名を聞くと、京王線沿線に住んでいた頃の習慣で、つい調布市の「つつじヶ丘駅」を思い浮かべてしまう。しかしこちらは、筑波山がつつじの名所であることに由来する地名だという。標高は542mで、筑波山において車で行ける最高地点となっている。
 当初の予定では、つつじヶ丘からロープウェイで山頂へ向かい、山上を歩いたのち、筑波山頂駅からケーブルカーで下山するつもりだった。しかし、今回が“関東最後の未乗路線”であるケーブルカー。片道だけ、しかも下りだけの乗車では少し物足りない気がして、直前に思い切って予定を変更。ロープウェイには乗らず、ケーブルカーを往復することに決めた。
 ちょうどつくばセンター行きのバスまで約30分の待ち時間があったこともあり、レストハウスで昼食をとることにした。山の空気に包まれた中で食べる食事は、旅の気分をさらに盛り上げてくれる。そして何より、レストハウスからに眺める関東平野がとても美しかった。

つつじヶ丘からケーブルカー駅最寄りの筑波山神社入口へ戻る

 つつじヶ丘でひと息ついたあと、先ほどと同じ筑波山シャトルバスのつくばセンター行きに乗り込み、来た道を少し戻って筑波山神社入口へ向かった。正午過ぎの便だったが、つつじヶ丘では多くの乗客が乗り込み、さらに筑波山神社入口でも続々と乗車があったため、車内はつくば市街へ向かう頃にはかなりの混雑ぶりだった。登山やハイキングの装いの人が多く、おそらく朝から登って昼過ぎに下山するスタイルがここでは一般的なのだろう。
 
乗車記録No.17
関東鉄道 筑波山シャトルバス つくばセンター行
つつじヶ丘→筑波山神社入口
 
 バスに揺られること10分ほどで筑波山神社入口に到着。バス停の前からも関東平野を広く見渡すことができ、手前には先ほどまでいたつくば市街、そして遥か遠くには東京都心のビル群やスカイツリーまでもが視界に入る。山頂に登ればもっと雄大なパノラマが広がるはずだが、ここからの眺めでも十分に標高の高さを実感できた。
 降り立った筑波山神社入口は、ケーブルカーの宮脇駅の最寄りのバス停。いよいよ関東地方での最後の未乗路線に挑む時が来た。長かった旅路の締めくくりが目の前に迫り、胸が高鳴る。ケーブルカーが発着する宮脇駅までは、ここから歩いて15分ほど。筑波山神社入口の交差点にそびえる大きな鳥居をくぐり、宮脇駅へと歩き始めた。