【旅行記】新潟・北陸乗り鉄ぶらり旅〜新幹線開業で変貌を遂げた敦賀駅を探訪する〜

 
 新潟と北陸の未乗路線を巡る今回の旅も、いよいよ最終日を迎えた。敦賀で迎えたこの日は、北陸の玄関口として大きく姿を変えた敦賀駅を探訪し、その後、北陸新幹線「かがやき」で終点の東京まで乗り通して、この旅の本題を締めくくった。

新幹線と在来線特急の乗り換え拠点となった敦賀駅を探訪する

 前日に続き、この日も福井県内は不安定な天気が続いていた。支度をしている最中に雷鳴が近づき、まるで夏のゲリラ豪雨のような激しい雨が敦賀の街を襲う。筆者も出発を30分ほど遅らせ、雨雲が通り過ぎるのを待つことにした。雨脚が弱まった8時過ぎ、ホテルをチェックアウトし、歩いて敦賀駅へ向かった。
 通勤通学客が行き交う平日朝の敦賀駅。市内を走る路線バスも、この時間帯はひっきりなしに発着し、乗客を拾っていく。市街地側に面する西口は、駅舎こそ以前来た時の姿を保っているものの、周辺は新幹線開業に合わせて、「まちなみ口」として、立体駐車場や交流施設などの整備も進められた。一方、黒を基調としたシックなデザインの西口駅舎の背後には、白を基調とした新しい東口駅舎がそびえる。その姿は、要塞というよりも巨大なショッピングモールのようにも見える。
 どこか構図の定まらない西口駅舎だが、「敦賀駅」の文字を入れたくて、この角度から写真を撮った。旅を終えた後、2016年に初めてこの駅を訪ねた際の写真を見返してみると、驚いたことに、ほぼ同じ構図の写真が残っていた。考えていることは、当時も今も変わらないらしい。2016年の旅では東舞鶴から小浜線に乗車し、この敦賀駅が北陸地方、そして福井県で初めて降り立った駅となった。
 かつてこの駅の唯一の出入口だった西口に加え、現在は新幹線駅舎側に東口改札が設けられ、駅の裏手からも出入りできるようになった。現在、在来線側の西口はハピラインふくいが、新幹線側の東口はJR西日本がそれぞれ管理している。かつて西口にあった「みどりの窓口」は東口へ移転し、西口にはハピラインふくいの窓口が残るのみとなった。JRの窓口はこちら側にはなく、数台の指定席券売機が設置されている。
 
 この後、東口側も見て回るため、券売機で入場券を購入して改札内へ入る。跨線橋への階段を上り、新幹線駅舎へと続く長い通路を歩いていく。通勤通学ラッシュがひと段落したこの時間帯、従来の在来線ホームを発着する列車はなく、通路も静まり返っていた。前話でも書いた通り、アーバンネットワークと呼ばれる関西のJRの通勤路線網の一端となっている敦賀。湖西線や北陸本線を経由する新快速列車も毎時1本程度運転されている。是非、その姿を見て、関西を感じたかったが、今回はそれは叶わなかった。
 従来からあるホームの上を通過すると、動く歩道とエスカレーターを乗り継ぎ、新幹線駅舎の2階へ。通路の雰囲気は、駅というより空港の降機後に歩く通路にも似ている。共用開始からまだ1年半ほどの新幹線駅舎は、随所に新しさを感じさせる。
 
 エスカレーターを上った先の2階コンコースには、東口改札と新幹線乗り換え改札が設置されている。この駅舎には、1階に特急「サンダーバード」「しらさぎ」が発着する31〜34番のりば、3階に新幹線の11〜14番のりばがあり、上下に2面4線のホームが配置されている。新幹線と在来線特急の乗り換えは、中間階のこの乗り換え改札を経由して行う仕組みとなっている。
 床面には「サンダーバード」「しらさぎ」それぞれの動線が示され、案内に従って進めば目的のホームへ辿り着けるようになっている。乗り換えの標準時間は8分とされているが、実際にはかなりタイトな設定のようだ。開業前に社員を集めて行われたデモンストレーションでは所要時間が8分を超え、誘導や動線整理の改良が重ねられたという。九州から来た筆者にとっては、新八代や武雄温泉のような対面乗り換えに慣れているだけに、3階から1階への移動はやや煩雑に感じられる。在来線側のコンコースには、コンビニと当日分のみ取り扱うみどりの窓口も設置されている。

新幹線ホームとともに新設された特急専用ホームをみる

 新幹線のホームは後ほど行くこととして、まずは特急列車が発着する31〜34番のりばへ向かう。これら2面4線のホームは、特急「サンダーバード」と「しらさぎ」専用で、新幹線開業と同時に供用が開始された。
 31・32番のりばは到着列車用、33番のりばは特急「サンダーバード」、34番のりばは特急「しらさぎ」と、列車種別ごとにホームが使い分けられている。停車位置にも違いがあり、「サンダーバード」は後寄り、「しらさぎ」は前寄りに停車する。動線の重複を防ぐと同時に、外観がよく似た車両による乗り間違いを防止する意図もあるのだろう。
 従来の在来線ホームでは駅名標にハピラインふくいのロゴが貼られ、福井方面の「みなみいまじょう」の表示も見られたが、この特急ホームではそうした表示はなく、敦賀が終点として明確に扱われている。線路も福井方で集約され、引上線へと繋がる構造となっているが、ハピラインふくいの福井方面の線路とは直接接続していない。
 
 ホームへ降りると、31番のりばには大阪から到着した特急サンダーバードが停車していた。一方、ほどなくして33番のりばには、8時37分発の特急サンダーバード8号大阪行きが、引上線から入線してきた。早めにホームに到着し、富山からやってくる新幹線「つるぎ」からの乗り換え客を待つ。それと入れ替わるようにして、31番のりばに停車していた車両が引上線へと引き上げていく。
 このように、到着した特急列車は基本的に福井方の引上線へ入り、方向転換と車内清掃を行った後、33・34番のりばへ据え付けられる。夜間には滞泊も行われ、特に冬季には、積雪から車両を守る”屋根付きガレージ”としての役割も果たす。
 朝8時台の北陸本線方面の列車は全てが特急列車となっている。7時47分発の普通列車米原行のあとは、9時20分発の新快速大阪行きまでも普通列車はしばらく運転間隔が開く。この間、「サンダーバード」が3本、「しらさぎ」が2本の計5本が連続的に敦賀を発車していく。
 
 33番には入線してきた特急サンダーバード8号大阪行。683系の9両編成での運転だった。新幹線開業後の特急「サンダーバード」も開業以前と同じく9両または12両編成で運転されている。敦賀から京都・大阪方面へ向かう人々だろうか、すでに何人かの乗客がホームで列車を待っていて、一足先に列車へと乗り込んでいた。
 特急「サンダーバード」には一部区間での乗車経験はあったものの、比較的最近まで全区間を乗り通したことがなかった。新幹線敦賀延伸まで1年に迫った2023年4月、和倉温泉から大阪までのロングラン列車を乗り通したのは、今でも良い思い出である。それから1年も経たないうちに北陸新幹線は延伸開業し、「サンダーバード」は大阪-敦賀間の運行となった。現在は新幹線「つるぎ」に接続するリレー特急として、関西と北陸を結ぶ役割を担っている。敦賀-大阪間の所要時間はおよそ1時間30分。運行区間は短くなったものの、その重要性は今も変わらない。
 
 北陸新幹線の延伸区間は、福井と東京を一本で結ぶという大きな役割を果たす一方で、北陸と関西・名古屋を結ぶ所要時間短縮という、もう一つの役割も同時に担っている。この二面性こそが、敦賀延伸区間の最大の特徴である。
 今回はこの後、「かがやき」に乗車し、東京へ向かいながら延伸区間を走破するが、これは前者の東京直結という役割を体験する旅となる。延伸区間の乗車にあたっては、この二面性を同時に体験してみたいとも考えていたが、今回関西-北陸間の乗り継ぎについては日程の都合で見送ることとなった。「サンダーバード」「しらさぎ」と「つるぎ」を乗り継ぎ、関西・名古屋と北陸を結ぶ後者の役割を体感する旅は、次回以降の北陸再訪時の宿題として残しておく。
 
 一方、向かいの34番線には681系が停車していた。この車両は、この後9時11分発の特急しらさぎ4号名古屋行きとなる。「しらさぎ」も「サンダーバード」と同様に、北陸新幹線の延伸に伴って運行区間が短縮された列車である。もともと名古屋発着のほかに米原発着の列車も運転されており、現在もその系統は継続している。敦賀-米原間の所要時間はわずか30分ほどで、この区間の列車はほとんどが1駅で終点を迎える。なお、敦賀-米原間には、早朝深夜に一般車両を使用した臨時快速列車も運行されている。こちらも特急「しらさぎ」同様にこの区間を無停車で走るとあって、新幹線延伸開業後には大きく注目を浴びた(なお、旅行直後に2026年3月で廃止されることが発表されている)。
 
 新幹線開業以前の福井・敦賀~東京間の移動はこの「しらさぎ」で米原もしくは名古屋へ行き、そこで東海道新幹線へ乗り継ぐというのが一般的だった。福井の場合は、北陸新幹線延伸開業で東京へは「かがやき」が最速となり、「はくたか」は米原経由とほとんど変わらない所要時間で乗り換えなしで移動できるようになった。一方、敦賀の場合はどうなっているのか、この特急しらさぎ4号で米原を経由した場合と、筆者がこれから乗車するかがやき508号を乗り通した場合を比べてみる。
 まず北陸新幹線のかがやき508号は、敦賀を9時21分に発車し、終点の東京には12時36分に到着する。所要時間は3時間15分である。一方、米原を経由した場合、ホームに停車している9時11分発の特急しらさぎ4号名古屋行に乗車すると、米原には9時44分に着く。ここで9時57分発のひかり644号に乗車すると、東京には12時12分に着く。全体の所要時間は3時間1分で、「かがやき」を乗り通すより早い。しかもこのひかり644号は、週末などには名古屋で、臨時ののぞみ324号に乗り換えることができる。これに乗り換えた場合、東京には12時6分に着き、所要時間は2時間台に収まる。このように「かがやき」であっても所要時間では米原経由に叶わない。「かがやき」だと、乗り換えがない代わりに少し時間がかかるという形になっていて、選択肢に十分なり得るが、「はくたか」だと敦賀-東京間は4時間前後となるため、もはや米原経由の方が1時間程度早くなり、米原経由の圧勝となる。
 このように東京への直通列車ができた現在も敦賀からの最速ルートは従来と変わらない。北陸新幹線は、敦賀から一旦日本海側を上越まで進み、その後、長野、軽井沢、高崎を経由して東京へ向かう。東海道新幹線も南側へ膨らんだルートではあるが、地理的に見れば、北陸新幹線はやはり大きく遠回りとなる。基本的に新幹線が開業すれば、それは必然的に東京への陸路における最速手段となってきた。しかし、敦賀においては必ずしもそうならない。それもまた、この延伸区間ならではの興味深い特徴となっている。
 
 やがて新幹線ホームに、富山始発の「つるぎ」が到着。まもなく、乗り換え客が在来線特急ホームへと一斉に流れ込み、待ち受けていた特急「サンダーバード」へ乗り込んでいく。平日朝ということもあり、乗客の多くはビジネス利用と思われ、誰もが淡々と、迷いなく乗り換えていく姿が印象的だった(写真は、乗客動線の後方から、乗り換え客の妨げにならないよう撮影)。
 敦賀から先の新幹線のルートがまだ定まらない中で、この駅での乗り換え風景は、今後もしばらく続くことになる。暫定的な仕組みではあるが、少なくとも数十年はこの光景が恒常的なものになるだろう。やがて乗り換え客が揃い、発車時刻を迎えた「サンダーバード」は、静かに、そしてゆっくりと大阪へ向けて走り出していった。列車が去ると、ホームには再び静寂が戻り、気がつけば筆者以外に誰の姿もなくなっていた。
 
 写真は、33番のりばのホーム端から新疋田方を眺めている。在来線特急ホームを出た線路は、新幹線の回送線が通る高架下をしばらく進み、その先で、従来からある在来線ホームの線路と合流する構造となっている。車両基地のある新疋田方には、下り線から特急専用ホームへ進入するための渡り線も新たに設けられていた。なお、この合流地点は小浜線の分岐点よりも先に位置しており、この特急専用ホームから直接小浜線へ向かうことはできない。巨大な橋脚の下をゆく在来線の線路。ちょっと近未来的な光景にも見える。
 

巨大な新幹線駅舎とやまなみ近づく東口

 「サンダーバード」の発車を見送った後、東口改札から出場し、北陸新幹線の延伸開業とともに新たに整備された敦賀駅東口の様子を見に行くことにした。新幹線駅舎に面した東口は、まさに巨大な新幹線駅の正面玄関といった佇まいとなっている。
 東口は「やまなみ口」とも呼ばれ、市街地側に開けた西口側の「まちなみ口」とは対照的に、のどかな雰囲気が漂う。もともとこの新幹線駅舎のある場所には、敦賀機関区の扇形機関庫や転車台、保線基地などが広がっていた。駅の裏手には木ノ芽川という小さな川が流れ、その背後には工場が立ち並んでいる。その機関区・保守基地の跡地に新幹線駅舎が建設され、駅舎と川に挟まれた限られた土地にはロータリーが整備された。さらに周辺の工場エリアでも区画整理が進められ、国道8号線などへ接続する道路網も新たに整備されている。敦賀駅東口一帯は、まさに新幹線開業を契機に姿を一変させた場所と言える。
 一般に、表裏に出入口を持つ駅では、改札内の通路とは別に自由通路や地下道が設けられ、改札外でも両側を行き来できることが多い。しかし敦賀駅では、これほど巨大な駅へと変貌したにもかかわらず、改札外で東西を結ぶ自由通路が設置されていない。そのため、入場券を購入しない場合は、駅から約1km福井方にある踏切、もしくは約500m新疋田方にあるアンダーパスを利用して大きく迂回する必要がある。
 この構造は開業当初から問題視されており、一時期は西口と東口を結ぶシャトルバスが運行されていたこともあった。特に開業直後は、西口へ向かうつもりで東口改札を出てしまい、戸惑う利用者も少なくなかったという。現在は駅の構造も徐々に認知され、シャトルバスの運行は終了しているが、不便さが解消されたわけではない。
 とりわけJRのみどりの窓口は東口にしか設置されていないため、西口側から徒歩で利用しようとすると、実質的には入場券を購入して駅構内を通る以外に現実的な手段がない。もっとも、西口側にはオペレーター対応型の「みどりの券売機プラス」が設置されており、各種割引きっぷの購入など、多くの用件はこちらで対応可能である。現在のところ、東口側はこのみどりの窓口以外に目立った施設がないため、特段困ることはないが、西口で出るつもりだったのに、こちらで出てしまった場合が一番厄介かもしれない。
 
 現在、北陸新幹線はここ敦賀が終点となっているが、駅舎で線路が完全に行き止まりになっているわけではない。ここから大阪方面へ向けては、短いながらも高架橋が延びており、JR西日本・白山総合車両所敦賀支所へとつながっている。航空写真を見ると、この回送線には将来の延伸を見据えた分岐部の切り欠きがいくつか設けられていることが分かる。
 現在、敦賀以西のルートとしては小浜・京都ルートが最有力とされているが、京都市街地下を通過する計画には根強い反対意見もあり、ルートは依然として確定していない。福井県は小浜を通るルートを絶対条件にしている一方で、関西ではルートの多少の変更はやむを得なくても早期開業を求める声がある。仮に米原ルートや湖西線ルートが採用されるにしても、この先の延伸は、いずれもこの切り欠き部分から始まることになるのだろう。今のところ、敦賀以西の開業時期はまったく見通せない状況にある。まもなく30歳を迎える筆者自身、この区間の新幹線が果たして生きているうちに開業するのだろうか、そんなことを考えながら、この高架橋を眺めていた。
 
 東口の見学を終え、今度はこれから乗車する新幹線のきっぷを改札機に投入し、再び改札内へと入った。在来線側コンコースにあるコンビニで軽食とお土産を購入し、乗り換え改札へと向かう。越前そばを土産に買って帰ったのだが、これを年越しそばにしようという話になり、大晦日の夜、敦賀駅のことを思い出しながら美味しく味わった。新幹線駅舎のコンコースからは、在来線ホームと敦賀の市街地が一望できる。在来線ホームには日本海縦貫線を進む貨物列車の姿があった。しばらくすると再び雨雲が接近し、敦賀の街は激しい雷雨に包まれた。
 
 乗り換え改札の先に設置された発車標を眺める。黄色の「かがやき」、赤の「はくたか」、青の「つるぎ」と、北陸新幹線の3列車が色分けされ、整然と並んで表示されている。この色分けは、東海道・山陽新幹線の「のぞみ」「ひかり」「こだま」を思わせる。ただし「つるぎ」は必ずしも各駅停車ではない。写真は13・14番のりばから発着する列車を示したもので、9時台にも富山行きの「つるぎ」が2本設定されている。筆者がこれから乗車する「かがやき508号」は、この時間帯では2本目の新幹線となっていた。
 
 広いコンコースを歩き、新幹線のりばへ向かう。多くの乗客にとって敦賀駅は乗り換え地点であり、列車の到着・発車時間帯を外れると、構内は驚くほど静かになる。新幹線ホームの床はフローリング調で、在来線特急ホームと同様に2面4線の構成をとる。11番線のみは行き止まりとなっており、車両基地への回送線とは接続されていない。
 新幹線ホームはかなり高い位置にある。この駅では3階相当だが、周囲の建物と比べると、雑居ビルの5〜6階ほどの高さに感じられる。窓越しに見下ろす周辺の景色は、まるで展望台からの眺めのようだった。
 
 さて、敦賀駅を見てまわった後は、いよいよ北陸新幹線「かがやき」に乗車する。これを終点・東京まで乗り通しながら、この旅最後の未乗区間である敦賀-金沢間を走破することで、新潟・北陸の未乗路線を巡る旅の本題を締めくくる。新幹線の乗車記は、また少し長くなりそうなので、ここで一度話を区切り、次話では「かがやき」に揺られながら、延伸区間の車窓とともに東京へ向かうことにしたい。
 
続く