【旅行記】仙台近郊路線と陸羽西線を巡る旅~東北本線と利府支線を完乗する~
仙台近郊路線と陸羽西線を巡る旅の1日目。東京から仙台を目指し、新幹線で到着した郡山からは東北本線を北上しながら、この路線の完乗を目指す。その後は仙台から東北本線の支線である利府支線に乗車しに行く。
E721系の普通列車で郡山から福島へ

郡山からは東北本線の普通列車を乗り継ぎながら仙台へ向かう。旅を始めた時点での東北本線の未乗区間は、福島県と宮城県にまたがる福島-槻木間。郡山から福島までの区間は、2023年秋の旅で既に乗車しており、これが2度目の乗車となった。
朝夕には複数区間に跨る比較的長距離の列車も運転されている東北本線だが、日中は郡山・福島・白石で運転系統が分かれており、それぞれで乗り換えが必要となる。今回は時間にも余裕がある。そこで途中の福島、そして白石で一休みしながら、のんびりと仙台を目指すことにした。まずは郡山11時41分発、の普通福島行きに乗車し、福島へ向かう。
E721系0番台2両を2編成繋いだ4両の列車に乗り込む。前回この区間に乗車した際は701系だった。701系はロングシートのため、車窓をゆっくり眺めるには少し向かない。今回はE721系がやってきたので、ボックスシートに腰を下ろし、改めてこの区間の車窓を楽しみながら北へ向かって行く。
直前の北海道旅行記では、札幌近郊で普通・快速列車に乗るたびに721系ばかりがやってきて、731系や733系になかなか乗車できなかったことを書いた。同じように、東北本線でも701系に当たることが多く、E721系に乗車する機会にはなかなか恵まれなかった。仙山線や磐越西線では乗車経験があるものの、東北本線の列車として乗車するのは今回が初めてだった。
乗車記録 No.4
東北本線 普通 福島行
郡山→福島 E721系0番台

郡山から福島までの所要時間は約45分。阿武隈川の西側を進むこの区間は、平野というほど開けているわけでもなく、かといって山深いわけでもない、のどかな風景が続く。昼前の列車ということもあり、郡山発車時点の車内は空いていた。日和田、五百川、本宮と進むにつれて乗客は一旦減るものの、本宮や二本松あたりからは福島方面へ向かう乗客が増えてくる。田植えを終えたばかりの水田を車窓に、列車はゆっくりと北へ走っていく。

東北本線のこの区間には、上下線が離れて別ルートを通る場所がいくつかある。そのため、上下列車では車窓の景色も少し異なる。基本的に上り線は後から建設されたため、トンネルで山を貫く区間が多く、下り線は勾配を緩やかにするため山裾を大きく回り込むように走る。福島大学最寄りの金谷川駅からは学生が乗り込み、車内も少し賑やかになった。やがて東北新幹線の高架と並走しながら下り坂を進むと、列車は南福島へ。市街地へ入り、まもなく終点の福島に到着した。
「高原列車は行く」が駅構内に響く福島駅で小休憩

郡山-福島間を再び乗車し、福島駅に降り立つ。隣のホームには接続する白石行き普通列車が停車していた。筆者もこれから白石へ向かうが、ここでは一本見送り、次の列車に乗る予定としていた。郡山からの普通列車に揺られているうちに時刻は正午を過ぎた。福島駅では昼食を兼ねて、しばし休憩を取る。
駅舎前の1番線では郡山行き普通列車が発車しようとしていた。駅構内に「高原列車は行く」の発車メロディーが響く。「ランランララン~」という軽快なメロディーに、思わず口ずさんでしまう。このメロディーを聴いてこその福島駅。いつまでも残ってほしい音の風景だと思う。

西口の方から改札を出ようとしたところ、奥羽本線ホームに719系が停車しているのを見かけた。せっかくなので、その姿を写真に収める。山形新幹線が行き交う奥羽本線の福島-米沢間だが、奥羽山脈を越える山間部ということもあり、普通列車の本数は非常に少ない。撮影した列車は、日中唯一の米沢行きだった。ホームには列車を待つ乗客も多く、ドアが開くと次々と車内へ乗り込んでいく。この列車の前の米沢行きは約4時間前、そしてこの列車を逃すと次の米沢行きまで再び約4時間待つことになる。
719系はまもなく新型車両E723系への置き換えが予定されている。筆者は過去に赤湯-山形間で乗車したことはあるものの、峠越えとなる福島-米沢間では乗車の機会に恵まれなかった。福島駅で719系が停車する光景も、タイミングが合わなければ見られないだけに、写真に収めることができて運がよかった。

その後はいったん改札を出て昼食を探すことにした。西口と東口を歩いた末、東口改札前のパン屋が目に留まり、そこでいくつかパンを購入。駅構内のベンチで昼食を取ることにした。
早めに次の列車が入線する4番線ホームのベンチに腰掛ける。奥には以前乗車した阿武隈急行と福島交通飯坂線の車両が見え、その手前を東京方面へ向かう長大な貨物列車が堂々と通過していく。接続列車を次々と乗り継ぎながら先を急ぐ旅も楽しいが、乗り換えポイントで一休みしながら、ゆっくりと駅の空気や東北本線の日常を眺める旅もまた楽しい。
普通列車白石行きに乗車し、東北本線の未乗区間へ
さて、福島からはいよいよ東北本線の未乗区間へと入っていく。仙台までの区間で未乗となっているのは、途中の槻木まで。この時間帯は仙台方面への直通列車がないため、まずは途中の白石へ向かう。福島からは13時42分発の普通白石行きに乗車した。
東京都心部の東北本線には、山手線や京浜東北線の列車が走る区間もある。そのため、この路線に初めて乗車した時期は定かではない。しかし、本格的に乗りつぶしを始めたのは、2019年に東京から郡山まで乗車した時からだった。その後はローカル線への乗車と並行しながら少しずつ乗りつぶし、昨年には岩手県内の一ノ関-花巻間に乗車。福島-槻木間が最後の未乗区間となった。
この区間が最後まで残ったのは、並行して走る阿武隈急行への乗車を優先したためである。阿武隈急行には2023年秋の旅で乗車した。当時は将来の在り方について議論が進められており、特に宮城県内区間では鉄道存続やBRT化なども比較検討されていた。その後、みなし上下分離方式の導入による存続が決定したが、旧型車両にも乗車できたことを含め、あの時に訪ねておいてよかったと思っている。近年は存廃問題に加え、大雨による被災も相次いでいる。そのため、貨物列車も走る大動脈である東北本線よりも、ローカル線や中小私鉄、第三セクター鉄道を優先してきた結果、この区間が最後まで残ることになった。

福島からも引き続きE721系のボックスシートで旅したいところだが、日中の福島-白石間は701系2両編成による運用が基本で、他に選択肢はない。ボックスシートに座りたい場合は、朝夕に運転される仙台直通列車を利用する必要がある。朝夕には6両編成の列車も見られる一方、日中は2両編成のワンマン列車が往復している。
乗車記録 No.5
東北本線 普通 白石行
福島→白石 701系
今回は車窓の写真を撮影できなかったので、乗車の様子を簡単に書き留めておく。福島では郡山方面からの普通列車や新幹線からの乗り換え客も加わり、車内の座席は7~8割ほど埋まった状態で発車した。この先、東福島駅手前の矢野目信号場までは阿武隈急行の列車も同じ線路を走る。信号機を眺めていて気付いたのだが、矢野目信号場は独立した信号場ではなく、設備上は東福島駅構内の一部となっているらしい。福島盆地では東北新幹線の高架橋が近接する区間が長く続き、両路線が絡み合うように北へ進んでいく。
甲子園の強豪として知られる聖光学院の最寄り駅でもある伊達を過ぎると、車内の乗客は徐々に減っていく。桑折、藤田と進むにつれ車内の混雑はさらに落ち着き、次の貝田を出ると、列車は宮城県へと進む。このあたりから列車は峠越えへ入るため、福島近郊区間は実質的に藤田までと言ってよい。藤田を出ると上り勾配を進み、福島盆地を後にする。宮城県へ入ると、山あいの景色を眺めながら白石盆地へと下っていった。

やがて視界が開けると、再び東北新幹線の高架橋が頭上を横切る。まもなく列車は終点の白石に到着した。福島からの所要時間は約40分。ロングシートで過ごすには、長すぎず短すぎず、ちょうどよい乗車時間だった。
列車は中線の2番線に到着し、折り返し福島行き普通列車として来た道を戻っていく。日中は3番線に仙台方面の普通列車が停車し、ここで相互に接続を取る。乗車した列車も仙台行に接続しており、乗り合わせた乗客もその多くは仙台行きの列車へと吸い込まれて行った。ここでもすぐに乗り換えることはせず、一旦改札を出る。
東京駅から使用していた乗車券は、ここ白石までのものだった。改札できっぷに無効印を押してもらい、記念として持ち帰る。その後、ここから先で利用するきっぷも窓口で購入した。明日までの移動には、JR・地下鉄・路線バスなどが2日間乗り放題となる「仙台まるごとパス」を利用する。ここ白石は、そのフリーエリアの南端に位置している。
福島と仙台の中間に位置し、多くの人が列車を乗り継ぐ白石駅

宮城県南部に位置する白石市の白石駅。仙台と福島の中間に位置するこの駅は、東北本線の主要な乗り換え駅の一つとなっている。先述のとおり、朝夕には仙台-福島間を直通する列車が運転されているため乗り換えは不要だが、日中はここ白石での乗り換えが基本となる。一般的な知名度はそれほど高くないかもしれないが、鉄道ファンにはよく知られた駅であり、白石を訪れる人だけでなく、東北本線を旅する人にとってもおなじみの駅と言える。仙台方面の列車の多くはこの駅で折り返し、列車本数もここを境に大きく変化する。
JRには「白石」を名乗る駅が各地にある。武蔵白石や肥前白石のように旧国名を付けて区別している駅もある一方、「白石駅」という同名駅も全国に3駅存在している。他二つのうち、一つは北海道札幌市の函館本線・千歳線の白石駅、もう一つは熊本県芦北町の肥薩線の白石駅(現在休止中)である。JRの同名駅では乗車券の駅名の前に路線名の略称が付けられ区別される。北海道は「(函)白石」、熊本は「(肥薩)白石」、そして宮城県の白石駅は「(北)白石」と表記される。「(東)」は東海道本線を表すため、東北本線は「(北)」となるのだが、北海道を意味しているようにも見えて少し紛らわしい。なお、これら3駅はいずれも「しろいし」と読む。

駅前には市街地が広がり、駅前通りには商店街が続く。遠くには白石城の復元天守も見えていた。白石は江戸時代、仙台藩南部の要衝だった。一国一城令のもと、多くの藩では城は一つだけと定められていたが、幕府の許可を得て二つ目の城が置かれた例もある。白石城はその一つで、伊達家家臣・片倉氏の居城として知られる。城下町として発展した白石には、現在も白石城や武家屋敷などの歴史的な見どころが残る。
この日は日曜日ということもあり、駅前通りではシャッターを下ろした店が目立ち、車通りも少なかった。歩いている人もまばらで、観光客らしき姿もほとんど見当たらない。というのも、白石市には新幹線の停車駅である白石蔵王駅があり、市外からの来訪者や東京方面への利用客の多くはそちらを利用する。白石駅と白石蔵王駅は徒歩20分ほどの距離にあり、現在の白石駅は、仙台や福島方面へ向かう地域の利用者を支える駅という役割が大きい。
今回の白石での滞在時間はわずかだったため、城までは足を延ばさず、駅周辺を少し歩くだけにした。一本路地へ入ると、昭和の面影を色濃く残す飲み屋街が続いている。夜になれば賑わうのだろう。昼下がりの街には近くで遊ぶ子どもたちの声が響いていた。かくれんぼでもしているのだろうか。そういえば、自分も小学生の頃に街全体を使ってかくれんぼしていたなと懐かしく思う。自分が暮らす街にもどこか似た空気を感じ、このくらいの規模の街が個人的にはやはり落ち着くなと感じた。

さて、駅へ戻り、東北本線の旅を再開する。次に乗車する列車が、東北本線本線の乗りつぶしにおける最後の一本。この列車で槻木へ到着すれば、東京から盛岡まで続く東北本線は完乗となる。いよいよ東北本線の旅も終わりかと思いながら駅名標を見上げる。さまざまな車窓とともに旅してきた東北本線。その旅も、いよいよ終盤を迎えようとしていた。
日中の白石-福島間は1時間に1本程度の運転だが、仙台方面は20分~30分に1本と本数が増える。せっかくならロングシートではなく、ボックスシートで車窓を眺めながら完乗の瞬間を迎えたい。そこで車両運用を調べ、E721系で運転される列車に乗車することにした。当初予定していた列車は701系だったため、予定を変更し、一つ前の列車で仙台へ向かった。
普通列車仙台行に乗車し、東北本線を完乗する

白石からは14時54分発の普通列車仙台行きに乗車。E721系1000番台4両と701系2両を連結した6両編成での運転だった。もちろん、E721系側に乗り込み、ボックスシートに座る。運用を調べたところ後続列車は立て続けに701系4両で運転。両数は多いに越したことはなく、セミクロス配列のE721系に乗れるならそれが一番いい。
東北本線の仙台-白石間では日中も6両編成の列車が走っている。以前は朝に8両編成となる列車も設定されていた仙台地区だが、現在は6両が最大。701系とE721系が連結すると、床の高さが異なるため、段差が生じて違和感を感じる。連結位置は運用により変わるため、E721系と701系の併結列車でE721系を選ぶ際は、各車両の両数と連結位置に気を付ける必要がある。時々、701系をE721系で挟み込むようなサンドイッチ編成も走るらしい。今回は結果として、福島からE721系0番台、701系、E721系1000番台と、車両のバリエーションも楽しむことができた。
乗車記録 No.6
東北本線 普通 仙台行
白石→仙台 701系+E721系1000番台

折り返し時間はわずかで、列車は慌ただしく折り返しの準備を整え、白石を発車した。この列車には福島方面からの接続列車がなく、どの車両も空席が目立つ。階段に近い号車にはある程度乗客がいたものの、階段から離れた最後尾車両は乗客がわずか2人だけ。なるべく空いている号車を選んだ方が車窓も眺めやすい。普通列車を乗り継ぐ旅では、こうしたことも一つの楽しみであり、ちょっとした戦略でもある。
白石を出ると、しばらくはのどかな景色が続く。東北本線は白石を出て間もなく白石川に沿って進み、その先もしばらく川沿いを走る。田植えを終えたばかりの水田が広がり、山が近づくと列車は短いトンネルをくぐる。途中で東北新幹線の高架橋が頭上を横切り、北白川に停車。やがて大河原の市街地へと入っていった。

列車はこの先、大河原町と柴田町を経由し、大河原、船岡、槻木と停車する。この一帯は白石川の河川敷に桜の名所が点在することで知られ、春には多くの観光客が訪れる。大河原駅には折り返し列車も設定されており、一部の普通列車はここで仙台方面へ折り返す。
大河原を出ると、列車は再び白石川沿いを走る。次の船岡までの区間は、東北本線屈指の桜の名所として知られている。河川敷に咲き誇る桜並木、その奥に雪をいただいた蔵王連峰、そしてその中を走る東北本線の列車。この風景は、東北本線を代表する景色の一つと言える。

船岡を出ると、次はいよいよ筆者にとって東北本線最後の未乗駅、槻木である。列車は船岡の市街地を抜け、やがて車窓の奥から数年前に乗車した阿武隈急行の線路が近づいてくる。東北本線はカーブを描きながら阿武隈急行と合流し、白石川を渡って槻木駅構内へ入る。停車直前、隣のホームには阿武隈急行AB900系が停車していた。
列車は槻木に到着。この瞬間、東京から盛岡まで続く東北本線の本体部分を完乗した。今回はそのまま仙台へ向かうため下車はしない。阿武隈急行に乗車した際も仙台からの直通列車を利用したため、この駅で降りたことはまだない。しかし東北本線を完乗した思い出の駅として記憶に残る駅になった。阿武隈急行への再訪も兼ねて、いつか改めて訪ねてみたいと思う。

槻木では阿武隈急行からの乗り換え客も加わり、車内は徐々に賑やかになっていく。仙台が近づいていることを実感しつつ、この列車の旅を続ける。
槻木から先は既乗の区間となる。次の岩沼までは阿武隈川沿いを進み、駅の手前で常磐線が合流する。東北本線から見れば、日暮里で別れ、それぞれ異なるルートをたどってきた常磐線と再び出会う地点である。広い構内を持つ岩沼駅では、白石行き普通列車とすれ違った。
岩沼を出ると館腰、名取と停車する。この先は仙台空港アクセス線の列車も走る区間となり、最近も利用する機会が多い区間である。名取川を渡ると、列車はいよいよ仙台市街地へ。太子堂、長町と停車し、のどかな車窓は都市の風景へと移り変わる。やがて列車は終点の仙台に到着した。

久しぶりの仙台駅に降り立つ。久しぶりと言いながらも、昨年の秋田・岩手旅の帰路にも立ち寄っているので、およそ1年ぶりの訪問となる。日曜日の夕方ということもあり、駅は買い物やレジャー帰りの人々で賑わっていた。
乗車してきた列車は折り返し福島行き普通列車となり、来た道を戻っていく。日中は白石止まりとなる列車が多いが、15時台後半からは福島まで直通する列車の運転が再開される。この列車はその最初の一本だった。先ほど701系2両編成で乗車した福島-白石間も含め、全区間を6両編成で力強く走り抜けていく。折り返していく列車を写真に収めたあと、一旦改札を出た。

朝9時過ぎに東京駅を出発し、途中までは新幹線で郡山までワープ。その後は東北本線をのんびりと下り、夕方の仙台駅へ到着した。「はやぶさ」なら約1時間30分で結ぶ区間を、およそ7時間かけて旅してきたことになる。その間に東北本線の未乗区間へも乗車し、東京から盛岡まで続く東北本線を無事に完乗することができた。これまで断片的に乗りつぶしてきた東北本線。その旅も、一つの節目を迎えた。
さて、このあとは翌日の夕方まで仙台に滞在しながら旅を続ける。先ほどの列車で東北本線の本線は完乗したものの、東北本線にはまだ一つ未乗の支線が残っている。この日の最後は、「利府支線」と呼ばれるその支線へ乗車しに行った。
東北本線の小さな支線、利府支線を往復する
多くの人が行き交う駅構内を抜け、再び改札内へ。発車標で「利府」の文字を探し、1番線へ向かった。ホームへ行くと、回送列車が停車中。その列車の発車の後、乗車する普通列車が入線してきた。仙台からは東北本線の支線の一つである利府支線へ直通する普通列車利府行きに乗り込む。

東北本線の利府支線は、岩切と利府を結ぶ営業キロ4.2kmの小さな支線である。もともと東北本線は日本鉄道によって建設された路線で、宮城県内では仙台から岩切を経由し、利府から峠を越えて小牛田方面へ向かっていた。その後、塩釜経由の現在のルートが建設されたため旧線は廃止されたが、このうち岩切-利府間だけが支線として現在も残されている。
東北本線にはいくつかの支線や貨物線が存在する。そのうち筆者が乗りつぶしの対象としているのは、東京都内で上野東京ライン・宇都宮線・高崎線の列車が走る尾久経由の支線、埼京線が走行する赤羽-大宮間の別線、仙石東北ライン開業に合わせて整備された松島-高城町間の接続線、そしてこの利府支線の4区間となっている。
このうち尾久支線は実質的に東北本線の一部として多くの列車が走り、赤羽-大宮間の別線も一般的には”埼京線”として定着している。また、松島-高城町間も支線ではあるが、東北本線と仙石線を結ぶ連絡線としての性格が強い。そのため、本線から分岐し、いわゆる盲腸線と呼ばれるような東北本線の支線は、この利府支線だけとなっている。
利府支線の列車は朝夕は仙台発着、日中は岩切発着で運転されている。日中は1時間に1本程度の運転で、2両編成の列車がワンマン運転を行っている。一方、朝夕は主に4両編成の列車が仙台からそのまま利府まで直通する。乗車した列車は、701系4両編成で、午後の仙台発利府行の第一便だった。利府支線は701系による運転が主体。多くの列車が701系で運転されているが、朝ラッシュを中心にE721系で運転される列車もある。
乗車記録 No.7
東北本線利府支線 普通 利府行
仙台→利府 701系

座席は8割ほど埋まった状態で列車は仙台を発車。終点の利府までは15分ほどなので、立ったまま車窓を眺めることにした。仙台を出ると仙山線と東北新幹線の高架橋が並走し、仙山線の線路が頭上を越える。左手には車両基地が広がり、東仙台を過ぎるとJR貨物仙台総合鉄道部と建設中の新しい貨物ターミナルが姿を現した。やがて列車は支線との分岐駅、岩切に到着する。
岩切では、本線が一旦南へ離れながら駅構内を斜めに横切り、ここで本線と支線がY字に分岐する。旧線である利府支線は東北新幹線の高架橋と並びながら北東へ進み、終点の利府を目指す。
この路線の最大の見どころは、新幹線総合車両センターを間近に眺められること。利府支線に沿うように、JR東日本最大の新幹線車両基地が広がり、E5系やE8系のほか、訓練車として留置されている719系の姿も見える。車両基地への通勤を目的に設置された新利府駅を出ると、留置されたE3系を横目に列車は速度を落とし、終点の利府へ到着した。反対側の車窓には、のどかな田園風景が広がっていた。

仙台から約15分で終点の利府へ到着。これをもって東北本線利府支線も乗り終え、本線に続いて乗りつぶしの対象となる東北本線の支線・別線もすべて乗車することができた。この駅の車止めが、長大路線の旅の終わりを静かに告げる。
東京から現在は盛岡へと続く東北本線、そして計4つの支線・別線、さらにIGRいわて銀河鉄道・青い森鉄道へ移管された盛岡~青森間。これら東北本線のすべてを巡る旅に、今、終止符を打った。
なお、東北本線にはこのほか貨物線として長町-東仙台間を結ぶ通称「宮城野貨物線」もある。この区間は通常、貨物列車のみが走行する。そのため乗りつぶしの対象にはしていない。
岩切から続いていた新幹線の車両基地は駅の手前で終わり、利府駅は市街地に面している。かつては駅舎前の1線だけだったホームも、ニュータウン開発による利用者増加に伴って増設され、現在はコの字型の2面2線となった。朝には6両編成の列車も発着するためホームも長い。ホームの行き止まり側や駅裏には広い駐車場があり、かつて線路が延びていた名残を感じさせる。旧線は現在の三陸自動車道とほぼ同じルートで峠を越えていた。航空写真を見ると、廃線跡が道路へ転用されている様子がよく分かる。

利府駅は仙台市の北に位置する利府町の玄関口であり、駅には町のコミュニティセンターも併設されている。利府町は近年ニュータウン開発によって人口が増え、1970年頃と比べると4倍以上に膨れ上がった。現在は約3万5千人が暮らす。旧線廃止時には地元の要望で存続した利府支線だが、現在では地域の通勤・通学を支える路線へと成長している。この日も列車が到着するたびに多くの利用者が駅前へ散り、それぞれ家路についていった。駅前には閑静な住宅街が広がっている。日曜日のこの日は公園で遊ぶ子供たちの姿が見られた。
駅前には町内循環バスのほか、塩竈方面への路線バスも発着している。駅周辺から少し離れた高台の上にも住宅街が広がっており、そこへ向かうバス路線もある。県外での知名度は決して高くない利府町だが、町内には様々なアーティストがライブを行うセキスイハイムスーパーアリーナやキューアンドエースタジアムみやぎ(宮城スタジアム)があり、大規模イベント開催時には利府駅から臨時バスが多数運転されている。

ホームへ戻り、その先端から岩切方面を眺めると、車両基地の端にはE3系が留置されているのが見えた。新幹線総合車両センターは、東北・山形・秋田新幹線で活躍する車両の検査・修繕を担うJR東日本最大の新幹線車両基地である。E5系や午前中に乗車したE2系が所属するほか、E6系・E7系・E8系の全般検査もここで行われている。岩切-新利府間には留置線や保守基地、新利府-利府間には検修庫や工場が広がり、その規模の大きさを実感することできた。

その後はホームでしばらく折り返し列車を待つ。利府支線はほぼ一直線のため、車止めの向こうから列車が近づいてくる様子を遠くまで見渡すことができた。遠くから近づいてくるヘッドライトを見つめ列車を待つ。
乗車記録 No.8
東北本線利府支線 普通 仙台行
利府→仙台 701系
利府からは往路で乗車した列車の後続の列車で仙台へと戻った。後続列車も往路と同じく701系4両での運転だった。帰りの列車の方が空いているかと思ったが、次の新利府では多くの利用者が乗車してきた。車両基地への通勤を目的に設置された駅だが、現在ではイオンモール新利府の最寄り駅としても利用されている。日曜日の夕方、買い物を終えた人々を乗せ、列車は仙台へ向かった。
仙台へ戻り、1日目の旅はこれで終了となった。この日は駅近くのホテルに宿泊する。これまでの旅では仙台は通過することが多く、宿泊するのは東北の鉄道路線を本格的に巡り始めた2022年秋以来だった。翌日も夕方まで仙台に滞在し、路線バスも活用しながら仙台市営地下鉄に乗車。宮城県の鉄道路線全線完乗を目指し旅していく。
続く