【旅行記】尾道・しまなみ海道を旅する -しまなみ海道編-
尾道を満喫した翌日は、早朝にホテルをチェックアウトして尾道駅から朝ラッシュの普通列車に揺られ福山へ。福山は「のぞみが停まらなくていいランキング」なるものにランクインしたりするが、人口47万人で広島市に次ぐ人口を有する。尾道や府中、さらには岡山県の西部地域を含んで独自の経済圏として発展してきた街で駅規模も比較的大きい。実際に人の流れを見てみると、「のぞみ」が停まる理由がよくわかる。この日は福山から高速バスでしまなみ海道を走破して一旦今治まで向かい、折り返して大三島、因島で途中下車しながら尾道駅に戻る。サイクリングが有名なしまなみ海道だが、ここはあえて交通機関を使う。

福山駅を発つ前に時間があったので駅の裏手へ。福山駅のすぐ裏には福山城があり、復元された天守閣が聳え立っている。福山城の元々の天守閣の創建は1622年頃ということで江戸時代の初期に建てられたそう。戦時中に消失したのち1960年代に復興された天守が今も福山のシンボルとなっている。駅から歩いて5分とかからないので、短時間でも近づいて見学できる。地名を見ればわかるが福山駅は福山城の三の丸を東西に貫く形で建設された。新幹線で二つ隣の三原駅は城址の上に駅があり、この辺の駅はお城と駅が近い。

福山から今治へは鞆鉄道、中国バス、瀬戸内運輸、瀬戸内しまなみリーディングが運行する「しまなみライナー」が発着しており、おおよそ1時間に1本の本数がある。今回は鞆鉄道便に乗車。4列シートで乗車は5人程度だった。バスは国道2号のバイパスから西瀬戸自動車道に入り、いくつもの橋を渡りながら今治を目指す。しまなみ海道は9つの橋で構成され、途中向島、因島、生口島、大三島、伯方島、大島などを通過する。今治まで約1時間半のバス車窓を楽しんだ後、四国に上陸して今治駅で下車。30分程度で今度は大三島行のバスに乗り込んで大三島に移動した。しまなみ海道で道路が接続された各島は本州、四国本土から多数のバスが運行され、船に変わってバスが新たな交通として定着している。瀬戸内しまなみリーディングや本四バス開発など元々船舶の事業者がバス事業者に転換している。この日は天気がよく、来島海峡大橋などからの眺めは絶景だった。

大三島バスストップから徒歩2分のところに道の駅多々羅しまなみ公園があるので、そこに2時間ばかり滞在。ちょうど尾道と今治の中間地点に当たるこの地はサイクリングの聖地として週末などは多くのサイクリストで賑わう。とりあえずフードコートで今治名物の焼豚玉子飯を食べる。目の前には多々羅は大橋(2枚目、4枚目)があり、ちょうど愛媛と広島の県境となっている。この多々羅大橋は世界でも有数の斜張橋で橋長は1480mある。道の駅から坂を上ったところに展望台があり、ここからも橋を望める。視界を左に寄せると奥に呉線が走る安芸幸崎~忠海あたりの海岸線が見える。写真の中央に小さく写る船舶用クレーンは安芸幸崎駅前にある今治造船の広島工場。一昨日に呉線から多々羅大橋を見たので、位置関係がよく分かった。

毎回旅に出ると、台風が来たり、大雨に見舞われたりと踏んだり蹴ったりなことが多いが、冬ということもあってこの日は快晴。多々羅大橋と瀬戸内海に浮かぶ島々を眺めているだけで心がリフレッシュされる。1時間ぼーっとしてると心が洗われる気がした。再び大三島バスストップに移動して、瀬戸内しまなみリーディング運行の広島行の「しまなみライナー」に乗車し、因島大橋バスストップに移動した。広島行は予約制で事前に予約が必要になっている。乗車時間は20分ほどと短いが予約を事前に入れて乗車する。来たのが新型エアロエースで、まさかのここで初乗車となった。東京とかが最初かなと思っていたのでびっくり。

因島大橋BSは因島の北側、西瀬戸自動車道の大浜PAに併設される形で開設されている。大浜PAからは因島大橋が見下ろせるようにと周辺が公園として整備されていたが、開通から40年ほどが経過し、だいぶ荒れ果てている。キャンプ場や展望台など整備すればサイクリング人気と絡めていいような気がするが、記念するほどでもなくこの橋が当たり前になったということなのかもしれない。本来は展望台から海岸へ降りれるはずだが荒れ果てていて、大幅な迂回が必要。降りると釣り人と昼寝人がそれぞれ1人。こんな場所で昼寝はさぞ気持ちがいいことだろう。因島大橋は1983年に開通した吊り橋でさっきの多々羅大橋に比べたら小さく見えるがそれでも橋長は1270mで結構長い。山陽本線の尾道~糸崎間で見える吊り橋がこの因島大橋である。

人っ子ほぼ一人もいないので逆に心細いが、遠くに巨大な貨物船がゆっくりと通過していくのを見ながら、ただただ波が打ち付けているのを眺めていた。バス停までは20分弱程度かかるので少し早めに切り上げて因島大橋BSに戻り、そこから路線バスで尾道駅へと戻る。バスは途中の向島で乗客を乗せ、尾道大橋を通って尾道駅に到着し、これで尾道・しまなみ海道での全旅程を終えた。
何を血迷ったか唐突に訪れた尾道・しまなみ海道。以前から行ってみたい場所であったが、中々行く機会に恵まれず、今回ようやく訪れることができた。天気にも恵まれ、瀬戸内海の青い海とそこに浮かぶ島々、そして千光寺から望む尾道の市街地は絶景そのもの。次来るときは体を鍛えてサイクリングをして、今回立ち寄れなかった他の島々にも立ち寄ってみたい。