【旅行記】北海道の廃線予定路線を巡る旅~早朝の留萌本線を下る編~
~根室本線をゆく編~の続き
早朝の留萌本線普通列車で留萌を目指す

深川駅前のホテルを5時15分にチェックアウトして留萌本線の始発列車に乗車する。5時すぎだがさすが北海道、すでに太陽はしっかりと昇っている。深川駅は函館本線と留萌本線の分岐駅だが、以前はここから幌加内経由で名寄まで向かう深名線もあり、2路線が分岐するターミナル駅だった。現在はJR北海道バスが深名線ルートの路線バスを運行している。

さっそく改札内へと入ると、すでに乗車する車両は停車していた。乗車するのはキハ150形1両の普通列車留萌行。留萌本線はこのキハ150形とキハ54形で運行されている。個人的にキハ150形は初めての乗車。今回の旅では乗車する機会も多かった。深川駅始発の普通留萌行は普通列車ではあるものの、途中の停車駅は石狩沼田、峠下、大和田のみでその他の駅は通過する。車両は旭川から回送されてくるようなので、実質的には送り込み列車となっている。この列車の発車直前には札幌行の始発列車である特急ライラック2号が発車していく。早朝だが、旭川からならこの列車に乗ることも可能である。

この日深川から乗車したのは、自分と地元の利用客の1人。たった2人の乗客を乗せて深川を出る。函館本線からカーブして別れると田園風景の中を軽快に走り、隣の秩父別へと走っていく。秩父別もそれなりの街ではあるが、早朝のこの便は通過する。徐々に標高を上げていき、沿線には積雪が見られるようになった。

最初の停車駅である石狩沼田に到着。地元の利用者の乗客はこの駅で降りていき、ここから留萌までは完全に貸切列車となった。石狩沼田はもともとの札沼線の終点で、札沼線の沼とはこの沼田のことである。留萌本線は石狩沼田~留萌間について留萌市が廃止に同意しているため、事実上の廃線が決定している。また深川~石狩沼田間も存続に向けた協議が行われているが、存続されるかどうかは不透明で廃止されてもおかしくない状況である。石狩沼田を出ると、留萌へ向けて峠越えが始まる。

石狩沼田を出ると沿線には雪がしっかりと残っていた。西の方に住んでいるので、4月にこんなに雪を見たのはおそらく初めて。恵比島駅を出ると線路がS字に敷かれ、峠を越えていく。列車は山間部も快調に走る。留萌本線の線路に平行して深川留萌道が走っているが、石狩沼田から峠下間はルートが少し異なっている。

峠を越えた先にある峠下駅では、留萌始発の深川行き普通列車と行き違う。駅周辺は人家がなく、実際この駅が停車駅になっているのは、単にこの列車と行き違うからという理由なのだろう。対向の車両はキハ54形だった。

留萌市へと入った列車は留萌川に沿って留萌駅へと走っていく。小さな集落がある幌糠、藤山は通過し、市街地のはずれにある大和田に停車。大和田駅を出るといよいよ留萌市街に入り、最後に留萌川を渡る。深川を出て50分あまりで終点の留萌に到着した。

現在の留萌本線の終点である留萌駅。以前は増毛へと続く留萌本線の終点だったが、2016年に留萌~増毛間が廃止となり、ここが終点となっている。さらに過去にはここから羽幌方面へと向かう羽幌線が分岐しており、留萌駅はターミナル駅として栄えていたという。

時刻はまだ6時半を回ったところで駅前の車通りもまばら。ここからは沿岸バスに乗車して、留萌本線が廃止された増毛へと向かう予定だが、バスまではかなり時間があるので、廃止された留萌本線の廃線跡を見に行くことにした。
かつて増毛までつながっていた留萌本線

駅から増毛方面に10分ほど歩くと、増毛方面に向かう留萌本線が使っていた鉄橋が残っている。踏切は遮断機や警報機は当然ながら撤去されているが、道路の停止線や線路内立ち入り禁止の看板はそのまま残されていて、つい最近まで踏切だったことを教えてくれる。まだは廃線されて6年程度とそれほど時間は経っていないが、やはり列車が通らない線路は錆びきっていて、時間の経過よりも古く感じる。2本の鉄橋のうち手前側が留萌本線で奥の鉄橋は留萌港へと延びていた留萌鉄道臨港線の廃線跡。以前はもう一つ鉄橋があったと留萌駅構内の写真に書いてあった。

少し歩いて反対に留萌駅方面を見る。駅の終端に車止めが設置されているが、ポイントは今も残されている。以前は画面の左側にカーブするように羽幌線が分岐していて、このあたりは鉄道の要衝として機関庫や車両基地が設置されていたが、だんだんと駅の敷地が狭くなり、もうすぐ駅までなくなろうとしている。
さて、ここからはこのレールが続いていた増毛町に路線バスで向かう。
~沿岸バスで増毛町へ編~へ続く