【旅行記】北海道の廃線予定路線を巡る旅~ちょっと遠回りして新千歳へ編~
~快速留萌旭川線と富良野線編~の続き
札幌から函館本線の普通列車で岩見沢へ

3日目は札幌駅からスタート。今回はJR東日本メッツ札幌に宿泊したが、お風呂とトイレが別でシングルの部屋もとてもきれいで快適に過ごすことができた。夜のうちに雨は上がり、この日は快晴。最終日の旅がスタートする。北海道から去る前に時間があるので、廃線予定路線ではないが、もう一路線だけ乗りに行くことにした。

朝のラッシュが始まった札幌駅。到着する列車はどれも多くの乗客を吐き出していた。乗車するのは721系3両の普通列車岩見沢行。札幌までは小樽発千歳行の普通列車として運転され、札幌で前の車両と分割され、後ろの車両は岩見沢行となる。千歳行が発車すると扉が開き乗車することができた。

岩見沢行の隣のホームには稚内行の特急宗谷が入線。岩見沢行の列車の数分前に発車し、約5時間かけて稚内へと向かう。この列車に乗って行ったことのない稚内へと行くのもいいが、そんなことをしていると帰れないので、もちろん乗らない。またこの時間にこのホームに来て、この列車に乗るのが次回以降の北海道の宿題である。

札幌を出た時点ではそれほど混雑していなかったが、苗穂、白石と停車すると通勤通学客で混雑し始めた。この先江別までは10分に1本以上の本数があるが、さすがは200万都市の札幌、通勤ラッシュも激しい。森林公園や野幌で多くの高校生の降車があると車内の混雑もひと落ち着きし、江別で後ろから来る特急ライラックを退避すると、車窓は都市から田舎の風景に変わり、終点の岩見沢へと到着した。

岩見沢は札幌都市圏の普通列車の多くが折り返す駅で、特急列車も停車する大きな駅である。駅には車両基地が併設されているため、朝は運転本数も多いが、日中は概ね30分に1本程度の運転本数となっている。この列車は折り返しの普通列車としてそのまま札幌へと帰っていったが、後から来た列車は6両で到着して、切り離され、3両編成の2本の普通列車として別々に札幌方面へと折り返していった。朝ラッシュも終わりを迎えている。
室蘭本線岩見沢~苫小牧間の普通列車に乗車

岩見沢から乗車するのはこの旅3度目のキハ150形による普通苫小牧行。岩見沢は長万部から東室蘭、苫小牧を経由して続く室蘭本線の終点駅で、一見すると千歳線と室蘭本線の沼ノ端~長万部間が同じ路線に見えるがそうではない。函館本線と別れる長万部から再び函館本線と出会う岩見沢まで太平洋側を進んでくる。このうち、長万部から沼ノ端間は特急北斗やすずらんの運行があるが、沼ノ端~岩見沢間は普通列車のみのローカル線となっている。

岩見沢を出た時点では単線の室蘭本線だが、栗山~由仁間と三川から先は複線になる。昔、炭鉱で栄えていた時代の名残で、現在は旅客列車は1日8往復しか本数がなく、今となっては複線の意味はほとんどない。片方の線路を8本の普通列車と貨物列車が数本しか使用していない。ただ、道南の函館や室蘭方面から帯広や旭川へ向かう際に札幌を経由する必要がないため、短絡経路となっていて、うまく活用すれば使えそうな路線でもある。現時点で存廃の議論は行われていないものの、JR北海道が発表した単独で維持できない区間に含まれている。

列車はこの区間のだいたい中間地点にある追分駅に到着。岩見沢~苫小牧間の所要時間はおよそ1時間40分で、思った以上に時間がかかる。追分は石勝線が交差する駅で、札幌・帯広方面の特急列車も停車する。ここで10分ほど停車して発車する。駅を出ると石勝線としばらく並走して、石勝線が高架に上がり、南千歳方面へカーブして離れていった。

追分を出た列車は、安平、早来、遠浅と室蘭本線、石勝線、千歳線の3路線でデルタを構成している区間を走っていきく。遠浅駅を出ると、千歳線が車窓の右手から現れる。千歳線の上り線だけは一旦鉄橋で室蘭本線とクロスして、室蘭本線と千歳線の下り線が走るやや南側を進んでいき、沼ノ端駅の手前で合流する。沼ノ端を出ると今度は車窓の左側から日高本線が近づいてきて、苫小牧市街の直線区間を走り、終点の苫小牧へと到着した。
道南バスで新千歳空港へ

苫小牧駅到着をもって今回の鉄道の旅は終了。ここからはバスで新千歳空港へと移動する。道内屈指の工業都市の苫小牧。臨海部は工業地帯が発達し、本州方面からやってくるフェリーの玄関口として発展している。

新千歳空港まで乗車したのは道南バスの路線バス。来た道を戻る形で沼ノ端駅まで苫小牧市街を走り、沼ノ端駅からはウトナイ湖の近くを通って新千歳空港まで運行されている。ただ、乗客の多くは地域住民で、空港まで乗車したのはわずか数人だった。鉄道では南千歳で乗り換える必要があるため、所要時間は多少かかるがバスも便利だった。
新千歳空港からは中部空港行のANA便で北海道を離れる。天気もよく、機窓からの景色も期待できそう。昼食を食べてフライトを待った。
~北海道を去る編~に続く