【旅行記】天草絶景路線バスの旅~上島の栖本・倉岳・教良木を走るバスに乗車して松島へ~

前話
 
 
 天草絶景路線バスの旅2日目。本渡バスセンターの道向かいにあるホテルサンロードをチェックアウトしてバス乗り場へ向かう。地元のビジネスホテルながら、モダンな雰囲気にリノベーションされていて、客室のとてもきれいで快適に過ごすことができた。1日目も快晴だったが、2日目もいい天気が続く見込み。2日目はおもに天草上島の路線バスに乗車していく。
 

早朝のバスで教良木地区へ

 まずは上天草市松島町の教良木地区へ向かう。教良木から出ている別経路の本渡行きに乗りたいがために午前中は本渡と教良木の間を1.5往復する。最初に乗車するのは本渡バスセンター始発で栖本町、倉岳町、そして上天草市松島町の教良木を経由して松島まで走る本渡-松島線。本渡と松島を結ぶ路線バスは北海岸を走る路線と南海岸を走る路線の2つがある。乗車するのは南海岸を進むバスで、八代海側を進み、倉岳から峠を越えて北海岸側に出てくる路線である。
 
乗車記録5
産交バス 棚底中央・浦・教良木経由 松島行
本渡バスセンター→教良木
 
 本渡バスセンターを出発。本渡と教良木を往復したあとにもう一度この路線には乗車するので、路線の詳細はこの後に書くことにする。本渡市街を出て、天草瀬戸大橋を渡り、渡った先の信号を右折して栖本町方面へ向かう。
 
 本渡市街を出ると車窓には海が見えてくる。海が見えたのち、トンネルをくぐると栖本町。国道から逸れて病院の前に立ち寄ると、他の乗客が下車して車内の乗客は一人になった。栖本町を出るとその隣の倉岳町へ向かい、倉岳町を出ると海岸線から離れて峠を越えて教良木地区へと到着する。本渡から教良木までの所要時間は大体1時間ほどだった。
 
 乗ってきたバスを教良木で見送る。時刻は8時を回ったところで、次はここから今通ってきたルートとは違うルートで運行される本渡バスセンター行きのバスに乗車する。次に乗るバスは本渡バスセンターを自分より15分ほど遅く出て後ろを追いかけてくるその折り返しの便となる。
 
 松島町の山間部にある教良木地区。小学校などもある比較的大きな地区で以前は県立松島商業高校もあったが、2012年に閉校している。バス停の近くには教良木川という川が流れており、桜の季節には川沿いに植えられた桜並木が美しい桜の名所にもなっている。教良木は各方面に向かう路線バスの分岐点で、乗ってきた松島-本渡バスセンター線のほかに、教良木発着で松島からさらに進んで大矢野町まで走るさんぱーる行き、同じく教良木発着で山間部を経たのち、栖本・金焼を経由する本渡バスセンター行きがあり、さらに松島から姫戸町方面に向かう一部便がここ教良木まで往復する形で走っている。次に乗車するのは、このうちの山間部を経て栖本・金焼経由で本渡バスセンターへ戻る路線で、1日あたり平日3往復、土曜2往復、日祝日1往復が運転されている。
 

倉岳の北側を進む大河内・金焼経由便に乗車

 
乗車記録6
産交バス 大河内・金焼・経由 本渡バスセンター行
教良木→本渡バスセンター
 
 次のバスがやってきたので乗車し、終点の本渡バスセンターまで乗り通す。先ほど乗った本渡バスセンターと松島を結ぶバスは倉岳町の棚底や宮田といった南海岸を進むが、このバスは栖本まで山間部を進んでいく。教良木を出てすぐに先ほどのバスで走ってきた県道59号が左に分岐していくと、すぐに隘路区間に突入。なかなかに険しい峠越えの区間となる。峠の頂点で上天草市から天草市へと変わると栖本町に入り、大河内と呼ばれる山間の小さな集落を走っていく。その後は河内川の流れに沿って栖本町の中心部へと出る。
 
 栖本町の中心部を走った後は栖本町と旧本渡市との間にある小さな半島を巡る。行きのバスではここを栖本トンネルというトンネルで貫き一瞬で通過したのだが、半島の海岸線を走った後、隘路の山越えで半島の反対側の海岸へと出るためこちらの路線はかなり時間をかけて走っていく。栖本と教良木の間では倉岳を経由する行きの路線よりショートカットしているように見えるが、この半島を周るのに時間がかかるため、本渡と教良木の間の所要時間は5分程度しか変わらない。
 
 小さな半島には金焼という集落があり、ここで小さな集落ながらも複数の乗車があった。国道に出るとあとはひたすらに国道を進み本渡市街へ。松島と本渡バスセンターを結ぶ路線はこの後旧道に逸れるが、このバスはここでは国道を直進する。時刻は9時になろうというところ。本渡市街が近づくと車内は高齢者を中心にほぼ満席に。本日2回目の天草瀬戸大橋を渡って本渡バスセンターに到着した。
 

栖本倉岳経由の松島行きを乗り通す

 
 本渡バスセンターからは先ほど教良木へ向かったときと同じ路線で終点の松島へと向かう。先ほどは小型のバスだったが、今度は中型のバスがやってきた。天草地方の路線バスは小型のバスがほとんどだが、一部に中型のバスも活躍している。隘路区間が多い天草の路線。中型のバスだと一層隘路区間がスリリングなものになりそう。再び天草瀬戸大橋を渡り、松島を目指す。
 
乗車記録7
産交バス 棚底中央・浦・教良木経由 松島行
本渡バスセンター→松島
 
 この記事の最初の方で乗車したときには説明を省いたが、松島行きのバスは天草瀬戸大橋を渡って国道266号を走ったあと、下浦と呼ばれる地区では旧道を進んでいく。教良木から乗車した大河内・金焼を経由する便は、国道を走っていくため、ルートが微妙に異なっている。また松島行きのバスは下浦地区の先にある金焼地区は経由せずに国道のトンネルを経由して栖本町へ向かう一方、大河内・金焼を経由する便は半島を巡って栖本町へと入っていく。車窓には青い海と青い空が広がり、八代海に浮かぶ島々を眺めながら走っていく。
 
 栖本町では一旦国道をそれて旧道を走っていく。国道に戻って栖本町を出ると、その隣の倉岳町へと入る。宮田地区から再び国道を逸れて旧道に入ると、その先の国道との交差点を直進。山の斜面にある集落を経由する過酷な隘路区間が待ち構える。中型のバスが通るような道ではない隘路をバスは軽快に進んでいく。クネクネと曲がる山道を降りると再び国道とクロスして棚底地区へ。棚底地区を抜けると国道は海岸線を進む一方この路線は教良木へ向けて峠越えを開始する。この先海岸線を進む路線には後ほど乗車する。ヘアピンカーブで天草市と上天草市の市境の峠を越えると教良木ダムのダム湖が見え、ダムと通り過ぎて標高を下げると本日2回目の教良木地区を通過する。
 
 教良木地区を出ると姫戸町方面から延びる県道290号線との交差点を左折して、北海岸の知十地区へと向かう。知十へ出ると残りの区間は快速あまくさ号が走る区間。一瞬だけ内陸を走る国道324号線を進んで終点の松島に到着した。
 
 1日目もあまくさ号の休憩で立ち寄った松島のバス停。ちょうど24時間後の便が休憩停車していた。松島では約20分の待ち合わせで次のバスに乗車する。これまでも1日1~2往復の本渡バスセンター-山の浦線や1日1~3往復の本渡バスセンター-教良木線に乗車してきたが、次のバスがこの旅で乗車するバスのなかで最難関。土休日は運転されていない平日1日1往復だけの松島-倉岳校前線に乗車して倉岳町へ向かう。
 
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