【旅行記】天草絶景路線バスの旅~平日1日1往復の松島-倉岳校前線に乗車~
天草の観光拠点の一つで風光明媚な松島町

本渡バスセンターから到着した松島。次のバスまで20分ほどあるので、海岸まで歩いてきた。写真に写る橋は天草五橋の天草側の最後の橋である五号橋「松島橋」。熊本県のお土産である天草サブレのパッケージのイラストに描かれている橋で、この松島エリアを象徴するランドマークとなっている。対岸に見えるのは前島。こちら側から見ると住宅が立ち並んでいるが、山の向こうには観光施設や旅館がいくつかあり、観光拠点になっている島となっている。

松島町のうち、バス停があるこのあたりのエリアは合津と呼ばれるエリアで、松島のバス停の前には合津港が広がる。以前はここ合津から八代を結ぶフェリーが運航されていたが、10年ほど前に廃止され、現在はここを発着するフェリーはない。松島という地名は日本三景である宮城県の松島と景色が似ていることからつけられた地名。大小いくつもの島が浮かぶこのエリアは確かに松島という名前がぴったりだと思う。
松島から平日のみ運行の倉岳校前行に乗車

さて、松島のバス停に戻って次のバスに乗車する。次に乗るバスがこの旅で一番乗るのが困難なバス路線。平日の時刻表の中央部、11時台に1本だけ走っている倉岳校行きの路線バスである。この路線土日祝日の運行がなく、平日に天草を訪れないと乗ることができない路線となっている。松島から赤崎と呼ばれるところまでは時刻表の右側に書かれているバスも発着するため本数は割とあるが、その先倉岳町まで向かうのは1本だけ。松島方面行も1本しか運転されていない。上天草市の東-南海岸の姫戸町、龍ヶ岳町方面に向かう路線バスの1本が天草市との市境を越えて倉岳町まで運転される形となっている。
乗車記録8
産交バス 内野河内・池の浦経由 倉岳校前行
松島→棚底中央

乗り換え時間から察して大体予想していたが、やってきたのは本渡バスセンターから松島まで乗ったバスと同じバス。またも中型バスの旅となる。松島を出ると教良木の手前の金山橋まで来た道を戻る。金山橋の交差点で教良木方面の道と別れて直進すると内野河内という地区に入る。ここまでは1人の乗車があった。同じ道を通って姫戸町方面に向かうバスは教良木へ立ち寄る便もあるが、この便は経由せずに直進する。内野河内を出ると二弁当(にべっと)峠と呼ばれる峠を越えて姫戸町へと下りていく。

松島からは海岸線を進んで姫戸町へと向かう路線もあるが、このバスは姫戸町まで山中を走る。その後姫戸町からは海岸線を進み倉岳町まで向かう。姫戸町の街中では狭い隘路を進んでいく。宅配便のトラックが路駐していて道を塞いでいるアクシデントがあったが、バスはトラックと住宅の外壁のわずかな隙間を針の穴を通すような運転で進む。運転士の運転技術に感服する。八代海の向こうに見えるのは肥薩おれんじ鉄道で言うところの日奈久や田浦あたりの海である。

少し進んで龍ヶ岳町に入ると高戸地区を通過。比較的大きな病院が立地するエリアで一人の乗車があったが、わずかな区間で下車していった。その先少し進むと大道地区へ。離島である天草市御所浦町へと向かう渡船が発着する港の一つである大道港があるところ。この大道を出た先にある池の浦・赤崎までは路線バスも割と運転されて、そこから先からいよいよ1日1往復のみの区間となる。

赤崎を出て、バスが1日1往復になる区間に突入。海岸線ながらこのバス2度目の峠越えで望薩峠という峠を越える。ここまで2車線で整備されていた国道も突如として隘路に変わる。その先で国道は2車線のバイパスが開通しているが、バスはもともとの国道である隘路を進んでいく。かなり標高を上げた場所を走り、車窓にはこのバスの終点である倉岳町棚底の街が見える。バイパス道はなだらかな下り坂で標高を下げるが、このバスは旧道を走り、いくつものヘアピンカーブを曲がり、標高を下げていく。バイパスをほぼ無視して旧道を進んでいく光景が面白い。終点が近づくと、教良木方面に続く道と合流して棚底へと到着する。バスの終点は倉岳校前だが、その一つ手前の棚底中央バス停でバスを下車した。
御所浦島へフェリーが発着する棚底港と棚底の街

本日3度目の通過にして初めて下車した倉岳町の棚底地区。先ほどバスで通った上天草市の大道港も御所浦町への向かう渡船が発着する港だが、ここ棚底も棚底港があり、御所浦町への渡船が発着している。次のバスまで1時間ほど時間があるので、その棚底港をのぞいていくことにした。

棚底という地名にあるように、この地域は倉岳から続く山の斜面が棚のようななだらかな傾斜になっていて、バス停はその斜面の途中にある住宅街が広がるエリアにある。そこから坂を下ると10分ほどで棚底港にたどり着ける。小さなフェリーのりばの建物があり、周辺には御所浦町へ向かう人用の市営の駐車場があるほか、御所浦町の住民が車を停める民間の駐車場がたくさんある。御所浦町は恐竜の化石が多数発掘されている恐竜の島として知られ、恐竜の化石が展示されている資料館もここからフェリーに乗り込むとアクセスできる。

しばらくフェリーがない時間だが、フェリーとは別に海上タクシーもあり、この海上タクシーを利用して御所浦と棚底の間を行き来できるようだ。御所浦島をはじめとする御所浦の島々は写真の中央奥にあり、左手前の山が今さっきバスで通ってきた望薩峠の山が広がる。山の向こうに松島方面のバスの大半が終点となる赤崎のバス停があるが、赤崎から棚底までは棚底湾の入り江をまわってくる必要があり、想像以上に時間がかかる。

棚底湾の奥の方を眺める。棚底から教良木を抜けて松島へ向かうバスは左手奥の山を越えて走り、赤崎、姫戸を経由するバスは海岸線に迫り出した山を縫うように走って松島へと向かう。穏やかな海を眺めながら、松島のコンビニで買った昼食を取り、時間を潰した。

バスの時間が近づいてきたので、棚底中央のバス停に戻り、本渡バスセンター行に乗車。再び栖本町を経由して本渡バスセンターへと帰った。今回は御所浦島にはいかなかったが、次このエリアに来た時には御所浦島にも足を延ばしてみたい。
乗車記録9
産交バス 宮田・栖本馬場経由 本渡バスセンター行
棚底中央→本渡バスセンター
さて、2日間の旅程も順調に進み、あとは本渡から松島を経て天草をあとにする。最後まで海を望む絶景路線バスの旅のは続く。
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