【旅行記】最後の特急かもめで行く西彼杵・長崎半島路線バスの旅~西彼を旅する その1~

885系で長崎へ~からの続き
 

長崎市内から時津町へ

 
乗車記録3
長崎バス[1]
大波止・時津・日並バイパス経由 時津北部ターミナル行
長崎新地ターミナル→時津北部ターミナル
 
 長崎駅からバスに乗り、長崎バスのターミナルである長崎新地バスターミナルへ。ここから西彼杵半島の路線バスの旅が始まる。イオンやホテルなどが走る建物の一階がバスターミナルとなっていて、屋内からはおもに長崎市の北部方面へ向かう始発のバスが発着する。西彼杵半島への第一ランナーは9時20分発の時津北部ターミナル行き。長崎市内を北に向かい、赤迫、道の尾を経由して長崎バスの時津営業所がある時津北部ターミナルまで向かうバスである。長崎バスの幹線路線とも言える路線の一つで、日中は乗車する時津北部ターミナル止めと、もう少し先にある琴海ニュータウンまで進むバスの2種類が主に運転され、朝夕には大串、亀浦、火引の浦、桜の里ターミナルなど枝線に足を延ばす系統もある。発車の5分前になると各のりばにバスが到着。発車時間になると、一斉にバスが後ろへ下がり発車していく。なお、ここから先はSUNQパスを使用して旅する。
 
 新地ターミナルでは3人ほどだった乗客は、北へ進むにつれて増加していく。赤迫あたりまでは先行するバスがあり、さらに路面電車も走ることから乗客の姿はまばらだった。路面電車が終点となる赤迫を過ぎると、道の尾、時津方面に向かう乗客が各バス停から乗車。道の尾まではJR長崎本線の旧線も並行するが、本数はバスの方が圧倒的に多く、商業施設も駅から離れているため、バスが移動の要になっているようだ。国道206号線をひたすらに進み、時津町に入ると、長与方面へ向かう国道207号線との交差点を進み、ロードサイドの大型店やボートレースの場外発売所がある日並バイパスで乗客が次第に減っていく。この区間では旧道を走るバスもあるがこのバスは2車線の国道を快走し、終点の時津北部ターミナルに到着した。
 
 時津町の市街地のはずれにある時津北部ターミナル。長崎バスの時津営業所があり、長崎市方面へ向かうバスの一大ターミナルとなっている。平地が少ない長崎市やその周辺では、バスの営業所も立体駐車場になっているところが多く、余所者からすれば数階の立体駐車場にバスが駐車されている光景に驚くが、ここ時津営業所は周辺に大型店が立ち並ぶ海岸の平地に設けられていて、立体ではない。乗り継ぎの時間は約20分ほど。ここで次のバスを待つ。
 

西彼杵半島東海岸を北上して大串へ

 
乗車記録4
長崎バス
琴海ニュータウン・バイオパーク経由 大串行
時津北部ターミナル→大串
 
 次のバスは時津北部ターミナル始発の大串行のバス。ここから西海市の大串まで西彼杵半島の東側を大村湾を見て走る。先述のとおり、長崎市内から大串まで通しで運転されるバスも朝夕に運転されていて、西彼杵半島の東側は大串までが長崎バスの運行エリアとなっている。バスは穏やかな大村湾を時折車窓の右側に見ながら進んでいく。ただし、リアス式の海岸で突き出る半島が多いため、海が見える機会はそこまで多くはない。「ことのうみ」バス停を通過してしばらく走ると再び長崎市に入り「琴海(きんかい)」地区へ入る。ここでバスは台地の上に形成された琴海ニュータウンを往復する。ニュータウンの端に琴海ニュータウンのバス停があり、ここも長崎市内方面へのバスが多く発着するバス停となっている。再び国道へと戻り北へと進んでいく。数時間前の有明海はあんなにも快晴だったのに(ひとつ前の記事参照)、ここで少し雨が降り始めた。
 
 時津北部ターミナルから乗り込んだ乗客は多くが長崎市内からのバスの乗り換え客で、琴海地区などで下車していった。自分以外の乗客は大串の手前にある動物園のバイオパークで下車。その後現在は休園している長崎オランダ村の横を通って終点の大串へと到着した。西彼杵半島もかなり北の方までやってきた。ここから佐世保方面へと向かう西海橋は車で10~15分ほどの場所にある。長崎バスの運行路線としてはここ大串が北限で、ここから先は西海市に本社を置く、長崎バス子会社のさいかい交通が運行を行っている。会社は変われど、グループ企業なのでバスのデザインは変わらない。ちなみに島原半島一円で鉄道と路線バスを運行する島原鉄道も長崎バスのグループとなり、このシルバーに赤と青のラインが入ったバスは島原半島でも見ることができる。と後ほど西海橋も路線バスで渡るのだが、大串からは一旦海岸線を離れて西海岸の板の浦へと向かう山越えの路線バスに乗車する。
 

峠を越える大串-板の浦線を往復

 
乗車記録5
さいかい交通 西彼杵高校前・樫の浦経由 板の浦行
大串→板の浦
 
 大串を出ると、県道12号線で西彼杵半島の山々を突っ切って東海岸から西海岸へと向かっていく。標高をグイグイ上げて進むと、山の稜線が近づいてくる。そして峠を越えると次は一転下り坂。今度はどんどん標高を下げて西海市大瀬戸へと進んでいく。バスは床が板張りでものすごく年季が入っているが、アップダウンにエンジン音を唸らせて走っていく。
 
 大串を出て30分ほどで、バスは西海岸へと出る。閉鎖的で穏やかな大村湾の東海岸に対して外海となる西海岸は少し荒々しい。大瀬戸の中心部となる樫の浦を通過し、結局自分以外の誰も乗らぬまま、終点の板の浦へと到着した。時刻はお昼をまわったところ。次のバスので1時間20分ほどあるので昼食を買いに行きがてら近くの港を見に行くことにした。
 
 大瀬戸には沿岸に浮かぶ松島・池島へと向かう渡船やフェリーが発着する瀬戸港がある。実はここから船で渡った松島には電源開発の松島火力発電所がある。先ほど乗ったバスの終点の板の浦のバス停のそばには電源開発の寮が並んでおり、ここから松島へ向かうフェリーは地元住民のほか、この火力発電所へ通勤する通勤の足としても使われている。港自体は大きなものではないのだが、次のフェリーを待つ車が何台か並んでいた。
 
 奥に見えるのが松島。手前から奥に大きな送電線が島を渡っているのが分かる。瀬戸港から出るフェリーのもう一つの行先である池島は以前、石炭の採掘が盛んで、ここから採掘された石炭が松島の火力発電所で使用されていたそう。現在は石炭採掘が終了したため、地産地消とはなっていないが、九州電力、中部電力、四国電力へ送電する石炭発電所として電力を供給している。
 
 板の浦はさいかい交通の本社が所在するターミナルで、ここから長崎市内、大串、大島など各方面に路線バスが発着している。東海岸の大串と異なり、長崎バスの乗り入れはなく、ここから長崎市内へと向かうバスは途中から長崎バスに混ざる形でさいかい交通が運行している(敷地外から撮影)。後ほどその路線には乗るが、一度大串へと戻る。
 
乗車記録6
さいかい交通 樫の浦・西彼杵高校前経由 大串行
板の浦→大串
 
 大串への帰りのバスは樫の浦から一人の乗車があった。再び峠を越えて西海岸から東海岸へと向かう。峠を越えて大串に向かう途中には曇りながらも大村湾とリアス式の西彼杵半島の海岸線を見ることができた。大串へと戻り、ここからは再び海岸線を辿る旅を再開。西彼杵半島をぐるっと一周して長崎市内へと向かう。