【旅行記】最後の特急かもめで行く西彼杵・長崎半島路線バスの旅~長崎発の特急かもめにお別れ乗車~

長崎半島を巡る~の続き
 

787系特急かもめで長崎をあとにする

 いよいよ、この旅のハイライトとなる"個人的な"特急かもめのラストランのときがやってきた。長崎に行く際には度々お世話になった特急かもめ。いよいよ最後の乗車となる。コンビニで駅弁を購入して、最後の特急かもめの乗車券と特急券を改札機へ通し、ホームへと向かう。
 
乗車記録12
長崎本線・鹿児島本線
特急かもめ18号 博多行
長崎→博多 787系指定席
 
 ホームにはすでに787系が停車中。折り返しの清掃作業を行っていた。行きは885系だったので帰りはもちろん787系を選択。787系は座席バリエーションが豊富で今回もどこに乗るか迷ったが、以前グリーン車やDXグリーンにも乗車したことがあったので、今回はオーソドックスな指定席で個人的なラストランとすることにした。
 
 在来線ホームで見る特急かもめ博多行の文字も見納め。白いかもめと対照的に黒いかもめと呼ばれた787系。一時期かもめの運用に入る年もあったが、かもめに本格的に導入されたのは九州新幹線が全線開業した2011年以降。しかし、黒いかもめの愛称はすっかり定着しているように思う。この黒いかもめに乗りたいがために長崎へ来たこともあったが、その時にはまだキハ66・67形が現役で、転換クロスシートの車窓に臨む大村湾はそれはそれは美しかったのを覚えている。今はYC1系に統一され、ロングシートが基本となったため、車窓を楽しめる機会も少なくなった。観光列車か運行されるとは言え、閑散とした普通列車から眺める車窓は貴重なものだったと改めて思い出す。
 
 今回は2号車指定席に乗車。787系の普通車の車内は中央に荷物置きが設置されていて、後方に席がない列が1両に2列あるからうれしい。車内へ乗り込むと、もうすぐ使用開始される新幹線ホームを横目に長崎駅を発車する。人生で長崎駅在来線から電車で旅立つ最後の瞬間だった。
 
 長崎駅を出るとすぐに西九州新幹線の高架橋がトンネルへと吸い込まれていく。その後ろにある長崎らしい坂の街を眺めながら、列車は次の浦上へと向かう。浦上で乗車する乗客も多いが、西九州新幹線開業後は特急列車の運転がなくなり、長崎駅まで出向く必要がある。西九州新幹線開業後の時短効果は20分ほどなので、浦上駅から特急列車を利用していた人からすれば、逆に時間増となる場面も増えるだろう。浦上を発車すると、列車は長崎トンネルへと突入して、長崎の街を出ていく。
 
 長崎トンネルを出た先にあるのが、現川駅。トンネルを一つ抜けただけで一気に山間部の景色へと変わる。上下線ともに退避設備がある2面3線の構造の現川駅。特急列車の運行がなくなれば、ここで行違う列車の数も減るのだろう。浦上と現川の間には長崎トンネル内には肥前三川信号場も設置されている。新線と呼ばれるこの市布経由の線路は、1972年に開業した比較的新しい線路。この路線の開業によって諫早-長崎間の鉄道移動の負担が大幅に軽減された。この区間は特急列車も駆け足で駆け抜けていく。
 
 諫早駅を出てからは列車の走りも車内の雰囲気も昼下がりののんびりとした雰囲気に。諫早湾から島原半島を眺めて走ると、徐々に進行方向を北に変えて、佐賀県へと走っていく。この日も早朝からの移動で、列車の揺れの心地よさに思わず眠ってしまいそうだが、ラストランなので、しっかりと特急列車から見る有明海を目に焼き付けた。
 
 お昼になったので長崎駅で購入した駅弁を食べる。せっかくなので、車窓に有明海を望む区間で食べることにした。新幹線開業後は武雄温泉駅で乗り換えが発生するので、そんなに悠長に駅弁を食べるわけにもいかないだろう。購入したのは角煮めしという駅弁。炊き込みごはんの上に角煮が乗っていて、ほろっとしていておいしい。そして何より海を見ながら食べる駅弁は最高においしい。食べ終わる頃には肥前鹿島へと滑り込む。肥前鹿島から先は今後も特急列車が運行される。長崎から肥前鹿島までの1時間あまりで特急列車が消滅する区間を走り終えた。肥前鹿島の次は肥前山口。この駅に肥前山口として停車するのはこれが最後。最長片道切符の終点として有名なこの駅も西九州新幹線開業によって、その座が新大村駅に奪われ、普通の駅になるらしい。
 
 肥前山口を出ると佐賀平野を快走、佐賀駅でさらに多くの乗客を乗せ、一路博多へと走っていく。長崎駅を出て1時間55分。終点の博多へ到着。特急かもめの個人的なラストランがこの瞬間終了した。路線自体がなくなるわけではなく、そもそも特急列車が途中駅に停車していなかった肥前鹿島~諫早間の各駅は、非電化化されるとは言え、普通列車のみが発着する現状に変わりはない。しかし、特急列車が走らないとなると、列車の本数も大幅に減少し、旧道化してしまうことは避けられない。特急かもめからみる長崎本線の車窓はこれから先も大切な思い出にしたい。特急列車でも2時間を切るので長崎が遠いという感覚はないが、これがさらに1時間半程度に短縮される新幹線もまた楽しみである。次は美しい大村湾を車窓に見れるのだろうか。
 長崎から博多へと戻って時刻は13時過ぎ。今回はSUNQパスを使用しているが、まだ1日半分残っている。ここからSUNQパスを活用して、福岡県、大分県を旅していく。
 

★今回の初乗車路線(長崎エリア)

【バス路線】
長崎バス 長崎新地ターミナル-時津北部ターミナル線 長崎新地T-時津北部T間
時津北部ターミナル-大串線 時津北部ターミナル-大串間
さいかい交通 大串-板の浦線 大串-板の浦間
大串-樫の浦線 大串-板の浦間
板の浦-長崎新地ターミナル線 板の浦-長崎新地ターミナル間
長崎バス ココウォーク茂里町-樺島線 長崎駅前南口-樺島間
ココウォーク茂里町-岬木場線 脇岬-岬木場間
岬木場-ココウォーク茂里町線(川原経由) 岬木場-長崎駅前南口間