【旅行記】珍鉄道の宝庫あいち乗り鉄旅~愛知環状鉄道と名鉄三河線~
岡多、瀬戸線の流れを汲みトヨタも出資する愛知環状鉄道に乗車
ゆとりーとラインに揺られて45分で高蔵寺に到着。ここからはも引き続き愛知環状鉄道、名鉄三河線、名古屋市営地下鉄桜通線という未乗路線3路線に乗車し、宿泊地の名古屋駅へと乗り鉄していく。 最初に乗車するのは、高蔵寺と岡崎を結ぶ愛知環状鉄道。前回の記事で城北線が誕生した経緯の概略を書いたが、この愛知環状鉄道も城北線と由来は同じ。岡崎~多治見間を結ぶ予定だった岡多線の瀬戸市~岡崎間と、貨物列車のう回路としての機能が期待されていた国鉄瀬戸線の高蔵寺~瀬戸市間が第三セクターの手によって運行されている。全く環状路線ではないのに、環状鉄道を名乗るのは、貨物列車のう回路として使われることはなかったものの、武蔵野線と同じく名古屋郊外に延びる放射路線を短絡する路線であるため。中央本線、城北線、東海道本線と合わせて考えると、確かに路線が環状しているように見える。愛知環状鉄道は、瀬戸、豊田を通って岡崎へと抜けるが、途中の豊田は世界的な自動車会社、トヨタの本社・工場が立地する。もともと国鉄時代の岡多線の一部区間はトヨタの工場への貨物輸送を行っていた。現在、愛知環状鉄道の株主にはトヨタが名を連ねており、通勤者も多くこの鉄道を利用している。

高蔵寺は日本三大ニュータウンの一つとして知られる高蔵寺ニュータウンが駅の北側にあり、名古屋近郊のベッドタウンとして発展してきた街である。中央本線はこの駅から先では山間部へと入り、岐阜県の多治見、中津川方面へと走っていく。そのため、名古屋近郊の終わりでのこの駅では、列車の本数も半数程度に減る。朝夕には少数ながら、中央本線と愛知環状鉄道を直通する列車もあり、瀬戸口駅まで運行されている。

愛知環状鉄道の高蔵寺駅は、JRと改札は共用となっていて、列車は1番線を発着する。日中でも1時間に3~4本の列車があり、基本的に高蔵寺~岡崎間の列車になっているが、一部列車は途中の北野桝塚駅で乗り換えが発生する。乗り換えるとなると面倒なので、直通列車を選択した方がいい。

愛知環状鉄道の普通岡崎行。313系にどことなく似ている車両は2000系と呼ばれ、製造コストの低減のために313系をベースとしている。車内はボックスシート。日中は基本的に2両編成だが、朝夕は4両編成で運転。中央本線からの直通列車も8両で愛知環状鉄道に入線してくるが、乗車できるのは4両に限られている。
乗車記録7
愛知環状鉄道 普通 岡崎行
高蔵寺→岡崎 2000系

高蔵寺を出た列車は中央本線と別れて庄内川を渡り、その後は高架橋とトンネルを使って瀬戸市へと向かう。比較的新しい路線であるため、多くの区間が高架橋ととトンネルで建設されている。瀬戸市で名鉄瀬戸線と接続し、八草ではリニモと接続する。沿線には愛知工業大学や中京大学などの大学も多く立地するので、休日にも関わらず学生の利用が多い。八草あたりでひと落ち着きした車内は、再び貝津で多くの大学生を乗せた。

その後列車は豊田市街へと入り、車窓に名鉄三河線や豊田線を見ながら中心部へと向かう。名鉄の豊田市駅と愛知環状鉄道の新豊田駅は数百メートルの離れているが、歩道橋で接続されている。さらに少し進んだ三河豊田駅がトヨタ自動車の本社工場が所在する場所。朝は新豊田~三河豊田間で、通勤列車のシャトルが運行されている。トヨタ自体もマイカー通勤ではなく、公共交通利用の通勤を促進している。この先の永覚駅近くには上郷工場、名鉄土橋駅近くには元町工場、さらにその少し南には堤工場と、このあたりはトヨタの工場が林立している。また、北野桝塚駅近くには三菱自動車の岡崎製作所があるなど、愛知環状鉄道は自動車工業と密接に関わっている。豊田市からは岡崎方面に向かう乗客が増えて、車内からは新幹線への乗り換えの会話も聞こえるようになった。ここから東京方面だと豊橋まで在来線で行って、乗り換えるのだろう。

岡崎市内に入り、矢作川を渡ると、まもなく右側から東海道本線の線路が近づいてきて、列車は終点の岡崎駅に到着。高蔵寺からの所要時間は約1時間10分だった。岡崎駅も高蔵寺駅と同じく改札は共用だが、こちらは改札内にICカード用の読み取り機が設置されていて、ICカードで愛知環状鉄道に乗車した乗客は、ここで乗り換える・降りるにかかわらず必ずタッチする必要がある。高蔵寺駅では直通列車があることもあって、こうした中間改札はないが、岡崎駅にもないと、愛知環状鉄道とJRのどちらを経由してきたのか、岡崎、高蔵寺のどちらを経由してきたのかが不明になり、正しい運賃徴収が出来なくなる。そこで岡崎駅側のみにICカードの中間改札が設けられている。

岡崎と言えば有名YouTuberのお膝元であり、女性を中心に聖地巡礼する人もいるらしい。古くから栄えた街で市内には徳川家康が生まれた場所として知られる岡崎城がある。名鉄では東岡崎駅が拠点駅となっているが、JRの岡崎駅とは北側に離れている。こちらも中京工業地帯の一部として多くの工場が立地するが、昔から栄えてきた土地でもあるため、八丁味噌や酒も有名である。
乗車記録8
東海道本線 新快速 大垣行
岡崎→刈谷 313系

岡崎からは新快速列車で2駅名古屋方面に進み、刈谷駅で下車した。朝乗車した武豊線の起点の大府駅は目と鼻の先だが、刈谷からは名鉄三河線に乗車する。刈谷市は自動車部品メーカーのデンソーやアイシンが本社を構える工業都市。駅の北側にはデンソーの本社ビルが見える。
名鉄三河線の海線区間に乗車

電車でGo!名古屋鉄道編が唯一まともにプレイしたゲームな自分にとって、名鉄は乗ったことない時代から愛着のある路線で、名古屋本線や犬山線の乗車回数は東海道本線よりはるかに多い。その他の名鉄各線は4年前に名古屋に来た際に8割近く乗車したが、三河線の知立~碧南間、小牧線、築港線の3路線が未乗となっていた。今回の乗り鉄旅は、これらの路線の完乗も目的の一つ。乗車したのは普通碧南行き。この列車で終点の碧南まで向かった。
乗車記録9
名鉄三河線 普通 碧南行
刈谷→碧南 6000系

三河線が走るのは武豊線の東側のエリアで、両線は境川の河口を跨いでずっと並んで走っている。この境川は三河と尾張の境界線となっていて、武豊線は尾張の路線、そして三河線はその名の通り三河の路線である。尾張と三河の違いは他県民はあまり意識しないが、愛知県民にとっては双方が他県に見えるくらい違うエリアらしい。
JRと接続する刈谷駅の次は刈谷市駅と、なかなかにややこしい駅名になっている。現在は盲腸線となっているため、乗客は碧南に向かうにつれて減っていき、碧南に到着する頃には車内は数人となっていた。

終点の碧南に到着。朝に訪れた半田市と碧南市は海底トンネルで結ばれていて、ここから半田駅までは車で15分ほどの場所にある。鉄道で行くと刈谷、大府を経由して迂回しなければならないので、1時間30分ほどかかるらしいが、歩いてもそれくらいでいける。残念ながら、海底トンネルを通って半田方面に行くバスは存在しない。

駅の南側には廃線跡がある。現在は猿投から碧南までの三河線だが、もともとは猿投、碧南から先も存在し、西中金~吉良吉田間が三河線となっていた。本来は碧南から先も西尾線と蒲郡線が発着する吉良吉田駅まで続いていて、碧南駅周辺は廃線跡が遊歩道として活用されている。吉良吉田駅が蒲郡線ホームに西尾線ホームが北から合流する形になっているのは、もともと蒲郡線のホームの先に三河線の線路があったから。現在も名鉄バスが受託する形で廃止代替バスが運行されていて、碧南から吉良吉田まで行くことができる。三河線の廃止区間は当初電化路線だったが、末期にはレールバスによる運行が行われていた。

碧南まで来たものの、刈谷から乗車したので、まだ三河線を完乗していない。少し休憩して、折り返し普通知立行で名古屋本線と接続する知立駅へと向かう。日中は2両編成での運転となる三河線のこの区間。留置線と隣のホームには4両編成の6000系が2本停車していて、朝夕は4両編成で運行される列車もあるようだった。
乗車記録10
名鉄三河線 普通 知立行
碧南→知立 6000系

碧南から普通列車に乗って知立に到着。知立は三河線と名古屋本線が接続する大きな駅で、現在連続立体交差事業が行われている。特急・快速特急を含めた経由する全種別が停車する主要駅。工事が完成すると、名古屋本線の上に三河線のホームが乗っかる形となり、蒲田要塞と言われる京急蒲田駅や、名鉄太田川駅などに似た知立要塞が完成する予定となっている。

三河線のホームは豊田市・碧南方面で3線用意されていて、原則として豊田市方面の列車は一番南側のホームを使う。右にカーブしていくのが、碧南方面の線路で、次の重原駅までは複線となっている。その一方で、豊田市方面は踏切の先で左に分岐して、名古屋本線の線路の下をくぐる。豊田市の列車が発車するとポイントをクネクネと曲がって行く姿を見ることができる。連続立体交差事業が完了すると、このような地上での交差は見られなくなる。
有松駅からバスで徳重に短絡し、桜通線に乗車

知立から名古屋まで戻れば1日目が終了だが、あともう一路線に乗車してから名古屋へ戻る。知立から乗車したのは名鉄の最新形式である9100形2両編成の普通犬山行。この列車で有松駅まで移動した。列車は途中の豊明駅で前に2両増結して、豊明から先は4両編成になった。豊明駅では連結作業中に特急・急行列車3本を退避する。急行列車なら10分で着く知立-有松間を普通列車は30分弱かけて走っていく。
乗車記録11
名鉄名古屋本線 普通 犬山行
知立→有松 9100系

降り立ったのは有松駅。名古屋郊外のベッドタウンが広がる、なんだかアニメのキャラクターにいそうな名前の駅。ここで電車からバスへと乗り継ぐ。ここから乗車するのは名古屋市営バスの地下鉄徳重行き。徳重駅から中村区役所前までを結ぶ地下鉄桜通線に乗車していく。乗りつぶしのマイルールで日没後の初乗車は乗車したことにしないというルールを作っているのが、地下鉄は地下を走るので、夜間も乗りつぶしOKにしている。
乗車記録12
名古屋市営バス[徳重14]地下鉄徳重行
名鉄有松→地下鉄徳重

有松駅からバスで40分ほど走って地下鉄徳重に到着。地上はバスターミナルになっていて、交通の拠点となっているほか、隣接して市の支所や商業施設「ヒルズウォーク徳重ガーデンズ」もあり、地域の拠点としての機能も持っている。桜通線のうち、野並~徳重間は2011年に開業した比較的新しい区間となっていて、名古屋市営地下鉄では一番新しい区間である。名古屋市営地下鉄では鶴舞線と同じく架空電車線方式の地下鉄で、鶴舞線との接続線が丸の内駅に設置されている。
乗車記録13
名古屋市営地下鉄桜通線 中村区役所行
徳重→中村区役所

桜通線は「卍」の片方、左上から右下へ向かう線と同じような路線形状をしていて、徳重から西に進む路線は桜本町手前で北に向かい、そこから新瑞橋で名城線、御器所で鶴舞線、今池で東山線と接続。千種駅は通らず、そこから少し離れた場所で、再度西に進路を変え、久屋大通で名城線、丸の内で鶴舞線、名古屋で東山線と再度接続して、名古屋駅から一駅先の中村区役所へと向かう。日曜の夕方だったが車内はどの区間でもそれほど混雑することはなかった。中村区役所がこの日の乗り鉄の終点。ここからは歩いて名古屋駅近くのホテルへと向かい1日目を終えた。
2日目も引き続き、愛知県内の未乗路線を乗りつぶしていく。