【旅行記】愛知静岡鉄道ぶらり旅~遠鉄電車と元セントラルライナー~
午前中に浜松を出発して、新所原から天竜浜名湖鉄道に揺られて掛川へ。掛川から東海道本線に乗車して、数時間ぶりに浜松へと戻ってきた。相変わらず人であふれかえっている浜松駅前。ここからは先ほどのループコースを串刺しするもう一つの鉄道に乗車していく。
浜松の街を支える遠州鉄道に乗車

JR浜松駅の西側のエリアにあるのが遠鉄百貨店。地元浜松の百貨店で、浜松ではこの遠鉄百貨店が唯一の百貨店となっている。この遠鉄百貨店を経営する株式会社遠鉄百貨店の親会社が次に乗車する鉄道会社の遠州鉄道。浜松市で鉄道・バスを運行するほか、自動車学校、ディーラー、ガソリンスタンド、タクシーなどの交通事業や観光事業を行う会社を多数グループにもっている。まさに浜松エリアの交通を支える一大企業である。

東海地方のJRに隣接する私鉄の駅は新〇〇と名乗ることが多く、この日の午前中に乗車した豊橋にも新豊橋駅があったが、それと同じく浜松駅に隣接する遠州鉄道の駅は新浜松駅。遠鉄百貨店の裏手にあり、JRの線路と直角に交わる形で途切れている。遠州鉄道は赤い電車が走ることから、地元住民からは赤電の愛称で親しまれている。浜松市街を南北に走り、市街地の新浜松駅から天竜浜名湖鉄道の中間部分でもある西鹿島駅間を結んでいる。地方の鉄道だと侮ってはいけない。日中でも12分に1本の高頻度運行を行っていて、本数もかなり多い。ホームに来た時に入線していたのはラッピング車両だった。せっかくなら赤電になりたいので、一本見逃して後続の西鹿島行2000形電車で終点まで向かった。
乗車記録8
遠州鉄道 普通 西鹿島行
新浜松→西鹿島 2000形

浜松の通勤通学を支える路線なので、休日夕方の車内も沿線住民でにぎわっていた。新浜松~自動車学校前間は高架化されていて、車窓に浜松の市街地や郊外の住宅地を見ながら進む。単線だが交換設備も多く設置されているので、反対列車とも多くすれ違う。郊外へ進むにしたがって、徐々に乗客は減っていくが、合併前の浜北市の中心部で、近くに商業施設がある浜北駅での乗降が多かった。浜北駅を出ると徐々に車窓は住宅街とともに田畑も見えるようになり、終点の西鹿島駅へと到着した。

数時間前に天竜浜名湖鉄道で通過した西鹿島駅に到着。西鹿島だから隣は鹿島駅かと思いきや、そんな駅は存在しない。天竜浜名湖鉄道で小休憩した天竜二俣駅はここから北東に2kmほど進んだ天竜川の対岸にある。以前は国鉄二俣線にこの駅の接続線を介して遠州鉄道の車両が乗り入れて、現在の天竜二俣駅まで乗り入れていたが、半世紀以上前に廃止され、現在両線の線路は全く接続されていない。

駅周辺は小さな街になっていて、国道沿いに商店がいくつかあり、その裏手には住宅が立ち並んでいる。私鉄の終点の駅は少しさびれているけど昔ながらの風情がある。遠州鉄道はこの西鹿島に車両基地があり、駅構内はかなり手狭だが、多くの車両が留置されていた。その下をくぐるように駅の東西をつなぐ地下道が設置されており、天竜浜名湖鉄道に乗る場合も、一度東側の遠州鉄道と共用の駅舎を通ってホームへ向かう造りになっている。私鉄と三セク同士で改札が共用なのは比較的珍しいような気がする。

西鹿島駅周辺を少しブラブラしてから新浜松へと戻る。帰りは赤電のラッピング車両。現在遠州鉄道と浜名湖鉄道はエヴァンゲリオンとのコラボを実施している。天竜浜名湖鉄道の天竜二俣駅が同映画のモデルになったらしく、ラッピング車両が走っているほか、遠鉄と天竜浜名湖鉄道が共通で発売している一日乗車券もエヴァンゲリオンデザインのものになっている。この2000形という車両は外見上ちょっと古そうに見えるが、実はそうでもなく、1999年にデビューして今も増備され続けている形式。先代の1000形と同じデザインなので、今風の車両には見えないが、遠鉄の現行モデル車両である。
乗車記録9
遠州鉄道 普通 新浜松行
西鹿島→新浜松 2000形

西鹿島から夕暮れの浜松市街地を走り、新浜松へ。休日夕方のラッシュに逆行する上り電車の車内は空いていた。豊橋鉄道、天竜浜名湖鉄道、そして遠州鉄道と3つの路線に乗車した1日目はこれで終了なのだが、明日乗り鉄のためにこの日は静岡に宿泊予定。この後は東海道本線で静岡へと向かう。その前に浜松名物の餃子を食べに浜松市街へ出かけた。
元セントラルライナーで静岡へ

夕食を終えて、再び浜松駅へ。新幹線で静岡へ行ってもいいが、せっかくなら東海道本線を楽しみたいので、在来線で静岡へと向かう。ロングシートが大半のここから先の区間。ロングシートで1時間20分は疲れるので、去年現れた救世主に乗って静岡へ向かうことにした。

静岡方面の列車を待っていると、反対のホームには普通豊橋行が入線。373系6両編成で運転される乗り得列車で、この区間では数往復がこの373系で運転されている。飯田線の特急伊那路に使われる車両の回送や合間運用で使用されている。373系は特急列車でも普通列車でも使用できる車両が一つのコンセプトとして開発されており、特急形車両にしては簡素なつくり。東海道本線では普通列車のほか、朝夕のライナー列車として使用され、飯田線でも普通列車の運用を持っている。

373系と並んでロングシートが多数を占める静岡地区で救世主となっているのが、去年の春に中央本線の車両基地である神領車両区から静岡へ転属してきた313系8000番台。中央本線の快速列車セントラルライナーとして使用されていた車両で、特急形の373系には及ばないが、普通の313系よりちょっと豪華な設備となっている。315系の運行開始で、全車8両編成化が実施された中央本線の運用からは撤退して、現在は静岡地区で活躍。同地区の貴重な転換クロスシート車となった。基本的にはロングシートの211系と併結して運用されていて、編成の前後で座席グレートが全く異なっている。
乗車記録10
東海道本線 普通 静岡行
浜松→静岡 313系8000番台

車内は転換クロスシートが並び、乗降ドアと客室の間には間仕切りが設置されているのが特徴。373系を3ドアにして、座席を転換クロスシートにしたような車両である。これなら静岡までの1時間以上のみちのりも快適。この日は強風の影響でダイヤが乱れていたので、乗れないかもしれないなと思っていたが、静岡に来た時には乗りたい車両だったので乗れてよかった。夕闇の東海道本線を上って終点の静岡へ向かった。

掛川、島田、焼津と経由して終点の静岡に到着。夜の走行になってしまったが、一度通過したことはあるし、翌日静岡空港までのバスの車窓にこのあたりの街の景色は見えると思うので、日中の走行はまた次の機会に。久しぶりの静岡駅。駅の造りは浜松駅と似ている。今日の移動はここまで、明日はここから東側の3つの鉄道に乗りに行く。

乗車していた元セントラルライナーの313系の前には211系2両が連結されていた。座席の格差が大きいが、ラッシュ時はロングシートの方が混雑が少ないので、時間帯によって使い分けたいところ。必ずしも313系が豊橋側に連結されているわけではなく、運用によっては熱海側に連結されている場合もあるので、乗車を狙うときは、前か後かの確認も忘れずに行いたいところ。

この日は静岡駅近くの静鉄ホテルプレジオに宿泊。せっかく静岡に来たので、静鉄ホテルに泊まってみた。静鉄ホテルプレジオは、その名の通り静岡鉄道グループが運営するホテルチェーンで、静岡以外にも都内や京都、博多などに進出している。博多のホテルには以前宿泊したので、これが2軒目だった。