【旅行記】愛知静岡鉄道ぶらり旅~ホームライナー沼津と伊豆箱根鉄道駿豆線~

静岡駅からスタートする2日目は、静岡駅の東側を走る3つの鉄道に乗りに行く。まずは静岡から三島まで昨日に引き続いての東海道本線の旅。この日は昨日の曇天はなんだったのかという雲一つない晴天に恵まれた。在来線だけではなく新幹線も通勤・通学路線として使われる静岡県内。通勤時間が長くなる首都圏方面向けの新幹線は、すでに多くの通勤客で混雑していた。新幹線は東京方面への通勤客も多く、この時間のみ上りの当駅始発列車が設定されている。

一方、在来線はまだラッシュ時間帯ではなく、比較的空いていた。5両編成が多い静岡地区も朝夕には最大8両編成で運転されている。反対のホームから発車していった浜松方面の普通列車も211系で313系をサンドした7両編成で発車していった。まだまだ静岡地区は211系が主役として活躍しているが、315系の増備も進められており、今度来た時には顔ぶれが変わっているかもしれない。
静岡地区のホームライナーに初乗車

静岡駅から乗車したのは、7時ちょうど発のホームライナー沼津2号沼津行。静岡地区のホームライナーは、平日朝夕に運転されている。浜松~沼津間で運転されていて、それぞれの列車の終着駅がホームライナーの名前になっている。基本的には、静岡エリアの通勤客に対する着席保証サービスだが、夕方に運転される下り列車は、沼津発浜松行として運転されているため、首都圏方面から静岡の在来線を介して名古屋方面に移動する際にも重宝されている。さらに、一部列車は終点到着以降で普通列車に変身し、そのまま運転されており、乗車するホームライナー沼津2号は終点の沼津で普通列車熱海行に変身。実質的な静岡発熱海行として運転されている。ライナー区間の乗車には乗車整理券が必要で、ライナーが運転されている区間の券売機で購入可能。朝夕の便で発売開始が異なっていて、朝の便は一週間前からの発売となっている。今回は前日のうちに浜松駅で購入しておいた。
乗車記録11
東海道本線 ホームライナー沼津2号 沼津行
静岡→沼津 373系

通常は座席指定制で、発券する際に座席が決定されるシステムだが、感染症禍への影響で、現在は自由席として運転されていて、座席は自由に選ぶことができる。進行方向の右側は朝日がもろに照射してまぶしいので、富士山が見える左側へ座った。沼津までの停車駅は清水と富士のみ。330円で座って移動できるこのシステムは好評のようで、窓側は全て埋まり、通路側にもちらほら乗客が座って発車。その後清水に停車して乗客を拾い、そこからは由衣の海岸線を進む。富士駅の手前では日本三大急流の一つである富士川を渡るが、その背後には美しい富士山が見えた。これぞまさに静岡県と言ったような美しい絶景をホームライナーの車窓が見ることができた。その後も富士山を車窓に見ながら進み、列車は終点の沼津へ。沼津停車の直前の放送で、「三島・熱海方面ご利用のお客様はこの列車に引き続きご乗車ください」と放送があり、ゆっくりと沼津駅に到着した。
JR東日本の車両にも出会える朝の沼津駅

ホームライナーが変身する普通列車でそのまま三島へと行ってもよかったのだが、沼津で降りるのも初めてだったので、変身後の普通列車には乗らずに沼津で小休憩。ちょうど熱海方面からの列車も到着して駅構内は通勤・通学者でごった返していた。沼津と三島の街はつながっているが、両方の駅が拠点の駅となっている。沼津駅では御殿場線が分かれるが、東海道本線が開通した時点では、この御殿場線ルートが東海道本線だったことは有名である。新幹線の駅がある三島も大きな駅で、御殿場線と東海道本線はほとんど同じような場所を走っていく。御殿場線の列車の中には三島始発の列車もあり、この列車を見逃して三島駅から下土狩駅まで走って見逃した列車に乗るチャレンジをしている人がYouTube界隈にはいる。

沼津駅は留置線も多くあるため、駅の南北に長い跨線橋が走っている。駅の南側が繁華街側だが、北側にも市街地が広がっており、鉄道が市街地を分断している形になっている。現在、沼津駅周辺では高架化を行う沼津駅周辺総合整備事業が進行中。数十年がかりの大プロジェクトで、この駅も数年後には高架化工事が着手され、2040年代には完全高架化が予定されている。昔ながらの地上駅としての沼津駅を見れるのもそう長くはない。

後続の三島方面の列車を待っていたところ、一つ手前の片浜駅で車内の非常停止ボタンが押された影響で遅れているとのこと。急ぐ旅ではないので、ホームで列車を待っていた。すると反対側にはE233系が登場。ここ沼津駅は少数ながらJR東日本の列車も乗り入れているのをすっかり忘れていた。朝夕に乗り入れるJR東日本の車両、その貴重な1本を見ることができた。この列車は東京を5時台に発車した普通沼津行で、折り返し普通小田原行になる。てっきり早朝深夜のみかと思っていたので、見れて運がよかった。もちろんグリーン車を携えた堂々の10両編成で運用されていて、なかには上野東京ラインを経て、宇都宮線や高崎線へと直通する列車もある。静岡県とは言え、ここはもう首都圏に片足を突っ込んでいる。
遅れていた211系の熱海行普通列車がやってきた。旅程には影響ない程度の遅れでよかった。211系とE233系の並びは少し前の高崎線や宇都宮線のよう。今度沼津へ来るときには、首都圏側からの沼津行きの普通列車のクリーン車に揺られて来たいなと思いながら、沼津駅を出発。遅れた影響で混雑した普通列車に8分乗車して、隣の三島駅で下車した。
乗車記録12
東海道本線 普通 熱海行
沼津→三島 211系

沼津と並んでこのエリアの拠点となっている三島駅。こちらは新幹線の駅もあり、駅の西側には留置線も設置されていることから、東京方面からの三島発着のこだまも多く運転されている。東海道本線もここから先は熱海へ向けて標高を上げ、函南トンネルと呼ばれる長いトンネルを通って熱海へ向かう。熱海から先の東海道本線には、今後箱根周辺の鉄道路線に乗車する際に訪れるとして、今回の旅はここ三島駅が東海道本線としての折り返し駅となる。ここからは川端康成の小説「伊豆の踊子」の舞台であり、伊豆半島の温泉地の一つとして名高い修善寺へ伊豆箱根鉄道駿豆線に乗車して向かった。
伊豆箱根鉄道駿豆線に乗車

JR東海の三島駅に隣接する伊豆箱根鉄道駿豆線の三島駅。駿豆線は三島駅と修善寺駅を40分ほどで結んでいる。東京からは特急踊り子が三島駅構内の連絡線を通して直通しており、首都圏近傍の観光鉄道としての役割も大きい。伊豆箱根鉄道は神奈川県内でも大雄山線を運行しており、2県でそれぞれ別路線を走らせている。西武グループの一員であり、一部ポスターには西武ライオンズの選手が起用されていたりと、ところどころに西武グループらしさを感じられる。去年の夏旅した近江鉄道も西武グループで、こちらもところどころに西武を感じたのが懐かしい。西武を感じるからか、関東にいるような気がして、さきほどのE233系と同様に、やはり片足は関東に突っ込んだ気分になる。

乗車したのは普通修善寺行。伊豆箱根鉄道は1時間に4本程度の普通列車が運転されていて、こちらも利便性が高い。駿豆線は三島駅の南側の市街地を経由して走っていくこともあり、朝は修善寺方面の下り列車の利用者も比較的多い。乗車したのは伊豆箱根鉄道のオリジナル車両である3000系。車内はボックス型のセミクロスシートとなっている。西武グループのため、西武からの移籍車も活躍しているが、自社車両も多く活躍しているのも特徴である。
乗車記録13
伊豆箱根鉄道駿豆線 普通 修善寺行
三島→修善寺 3000系

三島駅を発車すると三島市の市街地を縫うように走る。カーブが多いので、この区間ではカーブが続きますという放送がかかる。三島市街を抜けると、大場、伊豆長岡と走り、進行方向の右手から狩野川が近づいてきて、並走しながら上流にある修善寺へと向かう。直線的にひかれた線路も修善寺の少し手前の大仁駅の先で川に沿ってカーブで進行方向を変え、終点の修善寺駅へと到着した。
修善寺駅周辺の街並み

修善寺駅に到着。1日目のスタート地点である名古屋から2日間使用した名古屋市内→修善寺間の乗車券を記念にもらった。伊豆観光の玄関口の一つである修善寺駅。修善寺の温泉街はここから狩野川を渡って少し山間部へ入り込んだところにある。駅は大きいが、他の駅のように大きな看板で修善寺駅とは書かれておらず、駅の入口に小さく修善寺駅の額が掲出されている。

街の中心部なので、駅前は商店街通りになっている。観光地らしく土産物屋が多い。駅前はバスターミナルとなっていて、ここから天城越えをして下田へ走っていくバスや伊東へ走るバスなど多数のバスが発着。このあたりのバスめぐりもしてみたいのたが、それは次の機会に。この前の青森旅行といい、石川さゆりの演歌シリーズ旅のようになっている。ぜひ修善寺駅にも天城越えがフルコーラスでかかる石碑を建ててほしい。

折り返しまで少し時間があったので、狩野川の河川敷へ。赤い立派な橋は修善寺橋で、この橋を渡った対岸に修善寺温泉がある。狩野川は伊豆半島から三島方面へと流れて沼津から太平洋にそそぐ。このエリアでは珍しく南から北へと流れる川。上流部では伊豆半島名産のワサビの栽培もさかんで、水が命とも言われるワサビ栽培たが、川の水は澄み切っていてとても清らかだった。

修善寺橋の上から下流方面を望む。ちょうど各宿チェックアウトの時間なので、修善寺橋は地元の車と観光客の車で大混雑していた。東京から大体3~4時間のところにあるので、ちょっとしたおでかけ旅行にはぴったりなはず。駿豆線に乗ることが目的なので、今回はここで特に何をするわけでもなく、来た道を折り返した。
三島駅のアレ

帰りの三島行の列車は、3000形と同じ伊豆箱根鉄道のオリジナル車両の7000形。こちらは転換クロスシートが並んでいて、3000形よりもさらに快適。西武から移籍した車両はロングシートなので、今回の旅では往復とも自社車両に乗ることができてよかった。車端部のクロスシートはやたらとシートピッチが広くて快適。帰りは富士山を見ながら三島へと帰った。
乗車記録14
伊豆箱根鉄道駿豆線 普通 三島行
修善寺→三島 7000系

三島駅のJRののりばのうち一番南側にある1番線は、ホームの途中にポイントがあり、伊豆箱根鉄道へと直通する特急踊り子はこのポイントで分岐して構内転線のうえ、伊豆箱根鉄道の線路へと入っていく。ポイントを曲がる際に、車体がやや外側に出るため、ホームと屋根が少し削られていて、ちょっとした三島駅の珍百景になっている。特急踊り子が通過する様子は調べればたくさん出てくるが、基本的にこの位置で停車する列車がないので、ここに列車が止まったときの隙間がどんなものなのかを見てみたい。

伊豆箱根鉄道駿豆線の次は吉原駅へ移動。ここからは東海道本線を静岡方面へと戻っていく。乗車したのは211系と313系8000番台の普通浜松行。313系8000番台が連結されていたが、すぐ降りるので211系側に乗車した。この日の富士山は少し雲に隠れていたが、山の稜線と山頂の雪がまさに絵に描いたような富士山でとても美しかった。
乗車記録15
東海道本線 普通 静岡行
三島→吉原 211系
2日間の旅行も終盤へ。ここからは東海道本線を静岡方面へと戻りながら、岳南電車と静岡鉄道の路線に乗車していく