【旅行記】函館本線と道南鉄道路線乗りつぶし旅~退役間近のJAL B772に搭乗~

前日摩周丸を見学したときとは打って変わって、晴れて心地よい風が吹いていた函館港。船内も風で揺れていた摩周丸もこの日は今にも出港しそうな姿で青い海に浮かんでいた。帰るのが名残惜しいが、ここから遠く九州へと飛行機を乗り継いで帰る。
はこだて旅するパスポート利用可能な函館バスで函館空港へ

函館駅から函館空港へはバスでのアクセスとなるが、函館帝産バスが運行するシャトルバスを利用するのが一般的。しかし、前日から使用している「はこだて旅するパスポート」では利用できず、別途運賃を支払う必要がある。このパスポートを使って函館空港にアクセスする方法はないのかと言えばそうではなく、函館バスが運行する函館空港行に乗車すれば、旅するパスポートの提示で乗降が可能である。乗車したのは函館空港行の96系統。自分以外にも数名函館空港にアクセスする乗客がいたが、ほとんどの乗客は湯の川やその先の住宅街で降りて行った。函館空港行ではあるものの、基本的には函館空港の北西部の住宅街と函館駅とを結ぶのが、この路線バスの大きな役割となっている。
乗車記録 No.14
函館バス[96]函館空港行
函館駅前→函館空港

到着した函館空港1階は航空会社のカウンターが並んでいて、函館空港にはJAL、ANAのほかAIRDOも羽田、中部線で就航している。九州に帰るには羽田、中部、伊丹のどこで乗り継いでもいいが、今回は羽田から福岡で大型機材に乗る予定なので、王道の羽田便を選択。羽田空港で当日中に乗り継ぐのはこれが初めてだった。
函館空港から羽田空港へJAL便でフライト

搭乗したのはJAL586便。Boeing 767-300(ER) JA656Jでの運航だった。写真は以前に羽田空港で撮影した搭乗機。JALの国内線用B763は、最前列にファーストクラスの設定があるものとクラスJ、普通席のみ配置の2種類がある。この機材は後者で、ファーストクラスの設定がない。ファーストクラス設置されたB763は主に幹線路線と、羽田-広島・鹿児島を結ぶ路線で使用されている。
乗車記録 No.15
JAL586便
函館空港→羽田空港
Boeing 767-300(ER)

この日はほぼ満席でツアー客とみられる乗客の姿が目立った。羽田-函館間の所要時間は1時間15分程度。はるばる来たぜ函館へと北島三郎が歌った時代とは違い、もう東京と函館は目と鼻の先。函館空港は北海道の他の空港と比べて、市街地と空港の距離が近いので、日帰りでも十分楽しめるはず。航空路線の発達には感謝しかない。

函館空港を飛び立った飛行機。すぐに眼下には先ほどまで路面電車でうろうろしていた函館市街が見える。函館山の夜景として有名なこの函館の地形を逆の方向から見ることができる。函館山を通り過ぎると、前日に道南いさりび鉄道で旅した木古内町を見ながら上昇し、その後は津軽海峡から本州へと飛行した。

秋田市の上空からまさに奥羽本線ルートで新庄、山形、福島の上空を通るとまもなく降下を開始。利根川流域の関東平野が広がると、さらに高度を下げて千葉市の上空を飛行。さらに内房線沿線の景色と遠くに羽田空港を見ながら南下し、木更津市の上空で旋回。同じく北海道から来たであろうAIRDOのB763を横目に滑走路34Lへと進入し、函館空港離陸からわずか1時間7分で羽田空港に着陸した。

羽田空港では、1時間30分ほどの待ち時間で、福岡空港行の飛行機に乗り継ぐ。第一ターミナルだけでもとてつもないスポット数がある羽田空港。乗り継ぎ便の搭乗口までどれだけ歩かされるのやらと思っていたが、隣のスポットにはB772の姿が。もしやと思ったら、案の定、この飛行機が乗り継ぐ予定の福岡行の飛行機らしい。羽田空港で乗り継ぎ便が隣同士なんて半分奇跡のような気がする。しかもサクララウンジはこの両スポットの真上に設置されていて、広い空港を最小限の移動で乗り継ぐことができた。
退役間近のBoeing 777-200(ER)へ搭乗

羽田空港から搭乗するのは18:05発の福岡空港行JAL329便。2022年~2023年の冬ダイヤも終盤に差し掛かっていたこの日。搭乗するのはこの冬ダイヤをもって羽田-福岡線の定期運航から撤退するBoeing 777-200(ER)。もともと国際線機材として使用されていた機材だが、感染症禍の影響から国内線へと転用。しかし、残念ながら今年9月までの完全退役が発表済みで、羽田-福岡線からは3月末に撤退した。

福岡空港で以前撮影した搭乗機材JA702J。3月時点では3機が活躍していたBoeing 777-200(ER)だが、このうちの1機(JA701J)は5月に退役の離日フライトを兼ねたチャーター便が運航予定となっている。
補足:JA702Jは2023年5月9日に離日。活躍していた3機中でもっとも早い退役となった。
乗車記録 No.16
JAL329便
羽田空港→福岡空港
Boeing 777-200(ER)

機内前方はビジネスクラスが設置されていて、国内線で運用されている現在はクラスJとして運用されている。乗った日も普通席はガラガラだったが、クラスJは空席待ちが出るほどの人気ぶりだった。国際線ではエコノミークラスとなる普通席は2+4+3列の配置となっていて、各座席にはシートモニターが設置されている。羽田18時発の飛行機だし混みそうだなと思っていたが、実際乗ってみると窓側も通路側も結構空いていた。

夜間の飛行で機窓の景色は撮れないので、安全のしおりと記念撮影。もともと国際線用の機材なので、座り心地もよく、シートモニターがあるので、夜間の飛行も退屈はしない。と言っても天気が良かったので、ずっと眼下の夜景を見ながら、あそこはどこだろうかと考えていた。福岡空港降下時もスムーズに進み、定刻よりやや早く福岡空港に着陸し、今回の旅が終わった。
おわりに
北海道新幹線開業によって廃線が予定されている函館本線の山線区間。さらに現在進行形で議論が続く函館エリアの函館本線。そして青函トンネルの開業とともに本州と北海道を結ぶ架け橋となるも、新幹線の開業によってローカル線へと戻った道南いさりび鉄道などなどたくさんの路線に乗車した今回の旅。ローカル線から見る羊蹄山や津軽海峡の景色はとても美しくて、風光明媚なのだが、北海道での公共交通維持の厳しさを感じる旅でもあった。行き帰りには大型機材のB773、B772に搭乗。国内線での最大機材となる514人乗りのB773は、その大きさに圧倒されたし、JALのB772は最後の最後に乗ることができていい思い出となった。