【旅行記】梅雨の千葉・房総半島を巡る旅~ディズニーリゾートラインと特急さざなみ編~
ディズニーリゾートラインを"再履修"

夕方ラッシュに突入した東松戸駅。ここからはJR武蔵野線に乗車して、夢の国の玄関口である舞浜駅へと移動した。武蔵野線の列車は、千葉県側では京葉線の東京、南船橋の両方向へ向かう列車がある。武蔵野線は西船橋駅が路線としての終点となっており、その先のデルタ線は京葉線の支線の扱い。朝夕には京葉線のE233系を使った西船橋止まり列車も運転されている。先に出るのは海浜幕張行きだったので、1本待って東京行きに乗車。舞浜駅で下車した。
乗車記録 No.4
武蔵野線・京葉線 各駅停車 東京行
東松戸→舞浜 209系

約20年ぶりに夢の国と現実の境目となる駅へとやってきた。ディズニーランドやディズニーシーには用事はないが、施設外周を走るモノレールが目的。ディズニーランドやその関連施設の外周をまわるモノレールは、多くの人はディズニーランドの乗り物の一つとしてとらえているかもしれない。しかし、鉄道ファンから言えば、施設内の乗り物とは一線を画す乗り物である。ディズニーランドは、京成グループのオリエンタルランドが運営する施設である。そのオリエンタルランドの子会社である舞浜リゾートラインが運行するのが、ディズニーリゾートラインであり、これは鉄道営業法に基づき営業される立派な鉄道路線。実はこの路線にはすでに乗車済みで20年前に乗ったことがある。しかし、もはや乗った記憶が消えかけているので、再履修にやってきた。
当たり前ながらディズニーランドやディズニーシーを目的に来た人が99.9%を占め、モノレールのためだけに来るのは、もはや変態といっても過言ではない。、鉄道ファン一人でこの路線に乗りに来るのはちょっと肩身が狭いが、鉄道の乗りつぶしをする上では、そんな鉄道もいくつか乗車しなくてはならない。遊園地や動物園の中の”鉄道路線”にも乗ってきたので、外周をまわるくらい問題はない。舞浜駅に隣接するモノレールの駅、リゾートゲートウェイ・ステーションへと向かい、さっそく20年ぶりのディズニーリゾートラインを楽しむ。1周しかしないが、1日乗車券を購入してみた。各券売機では様々なデザインの1日乗車券を買うことができる。あまりディズニーのアニメには詳しくないので、ここは王道のミッキーとミニーのディズニー40周年記念デザインを選んでおいた。日中は日によって運転間隔が変わるこの路線。この日はおよそ6分間隔となっていて、すぐに紫色の車両が入線してきた。
乗車記録 No.5
舞浜リゾートライン ディズニーリゾートライン
リゾートゲートウェイ・ステーション→リゾートゲートウェイ・ステーション
リゾートライナー100型 Type C

リゾートゲートウェイ・ステーションを出たモノレールは、東京ディズニーランド・ステーション、ベーサイド・ステーション、東京ディズニーシー・ステーションを経て、再びリゾートゲートウェイ・ステーションへと戻って来る。車内はディズニーのBGMが流れ、つり革から窓までミッキーの形をしている。ディズニーランドの入口を見ると、20年前にディズニーランドに来た時の遠くがふと蘇って懐かしい気持ちになった。モノレールで回るだけでも夢の国の雰囲気には十分浸れる。そんなことを言ったら、ディズニーファンからそんなもんじゃないと言われそうだが。この路線は決してこの施設に来る観光客のためだけののものではない。ディズニーランドやその周辺施設に勤務する従業員の通勤路線でもある。通学、通勤ともに定期券も発売されていて、車内にもちらほら通勤客らしき人の姿があった。

施設外周をまわり、13分で再びリゾートゲートウェイ・ステーションへと戻ってきた。この路線の再履修はこれで完了。ディズニーランド自体にももう20年行ってないので、また次の機会に訪れたいと思う。舞浜にモノレールだけに乗りに行ったと後日人に話したら、案の定もったいないと言われた。自分でも半分くらいそう思う。

舞浜駅の正面を通過するモノレール。夕日を浴びて車体を輝かせながら、舞浜駅前を颯爽と走り抜けていく。これを公共交通機関として見てる人はそういないと思うが、これも立派な鉄道路線。6両のモノレールが見れるのは、国内ではここと東京モノレールだけ。ただし、車両の長さが異なり、東京モノレールの車両の方が10m長い。
乗車記録 No.6
京葉線 快速 東京行
舞浜→東京 E233系

舞浜駅からは京葉線で東京へと向かった。この舞浜駅はディズニーランドへ向かう乗客で混雑するため、ホームを延長し、上下線で停車駅をずらすという対策が取られている。ホームへ上がると、ちょうど快速列車が出る時間だった。快速は舞浜を出ると新木場と八丁堀のみに停車するので各駅停車よりもちょっとだけ快適だった。
通勤特急と化した房総特急「さざなみ」に乗車

帰宅ラッシュ真っ只中の東京駅。ここからはいよいよ明日の房総半島の旅に備えて、房総半島へと移動を開始する。東京駅から乗車するのは、19時30分発の特急さざなみ5号君津行。自分が子どもの頃といえば、255系がデビューして間もない時期で、255系といえば、特急「わかしお」「さざなみ」と覚えた記憶がある。そのため、房総特急と言えば、内房と外房へ走るこの2つの列車を思い出すのだが、同時期に開通した東京湾アクアラインによって、内房線特急の需要は大きく減少。2015年に館山発着の定期「さざなみ」が廃止となり、定期列車としては運転区間が東京~君津間となった。その後、特急列車の代替として、E217系の分割編成が館山まで向かう特別快速の運行が開始される。しかし、それでも高速バスにシェアを奪われた内房線の再興は叶わず、2018年に東京-館山間の直通列車が姿を消している。定期列車としては東京~君津間の運転となった特急「さざなみ」は、平日の朝の上り、夜の下り列車のみの運転となり、穏やかな東京湾を見ながら走る房総特急というよりは東京寄りの内房線各駅から東京への通勤を支える通勤特急という位置付けに変化した。なお、臨時列車としては新宿と館山を結ぶ特急「新宿さざなみ」が運転されており、休日や行楽期を中心に最大3往復が運転されている。房総特急としての「さざなみ」を味わいたいなら、この臨時列車に乗った方がいいだろう。今回は、運転区間短縮という時代の流れに対応した変化を経て、1972年の運転開始から、昨年50年の節目を迎えた定期列車としての特急「さざなみ」に乗車してみる。

停車駅は蘇我、五井、姉ヶ崎、木更津、君津となっていて、日中時間帯に特急列車が停車する海浜幕張駅は通過する。京葉線内は途中駅の全駅を通過していくのが、見どころの一つとなっている。朝の上り1本が225系10両編成で運転される以外は、全てE257系500番台5両編成での運転で、東京寄りの3両が指定席、ほか2両が自由席となっている。
乗車記録 No.7
特急さざなみ5号 君津行
東京→君津 E257系500番台 指定席

夕ラッシュ真っ只中の東京駅を発車。この列車を最初に降りられるのは蘇我なので、浦安や市川や船橋や幕張から通勤する人たちにはこの列車には縁がない。指定席で窓側座席の3分の2くらいが埋まった列車は、すでに次の通勤列車の乗車列が形成されたホームを横目に、東京駅を発車した。地上へと上がると、豊洲のタワマン街を眺めて臨海部へと進む。通過する新木場は、りんかい線や有楽町線からの乗り換え客で混雑していた。葛西臨海公園まで、4分前に東京を出た各駅停車のあとを追うのでノロノロ運転が続く。葛西臨海公園でホームのある待避線に停車した蘇我行を颯爽と追い抜いた。その後は、先ほど乗車したディズニーリゾートラインを見ながら舞浜を通過。さらに京葉線内を駆け抜けて蘇我へと向かう。京葉線を走るのも4年ぶり。以前写真を撮りに出かけた市川塩浜や千葉都市モノレールに乗車しに訪れた千葉みなと駅を通過するときは、その当時を思い出して懐かしかった。
東京駅から30分で最初の停車駅蘇我に到着。3分の1くらいの乗客がここで下車。外房線の普通安房鴨川行と連絡したので、乗り換える乗客もいた。外房線には翌日訪れるので、そちらでも書くことになるが、E131系が運行を開始したため、209系が房総半島の南側へと行くのも朝夕のみとなった。見たところ8両編成だったが、果たして終点まで8両で行くのだろうか。
蘇我からは内房線へと入り、五井、姉ヶ崎と停車。やはりこの列車のメインターゲットはこの2駅で、姉ヶ崎を出ると車内はわずか数人になった。アクアラインがもたらした影響の大きさを実感する。姉ヶ崎では君津行の普通列車と緩急接続。こちらへも乗り換える乗客が何人かいた。姉ヶ崎を出た列車は木更津に停車し、終点の君津へと向かう。内房線のこのエリアは、千葉発着の普通列車に加え、総武本線・横須賀線直通列車と京葉線直通列車がひしめき合う区間になっている。そのため走る列車も多彩。すれ違う列車を眺めるのも楽しかった。

東京駅からおよそ1時間10分で終点の君津に到着。ここ君津が千葉方面からの内房線の東京近郊の一端となっていて、多くの列車がここで折り返す。この駅より南側から東京方面に向かう列車は、朝の上総湊発東京行の通勤快速のみとなっており、千葉駅発着のローカル列車についても朝夕時間帯を除いてその大半がここで折り返す。一方、君津から南へと向かう普通列車のほとんどは、木更津駅発着でとなっていて、木更津~君津間は千葉・東京方面・館山方面の両方の列車が行きかうため列車本数が内房線内では一番多い。隣のホームには、京葉線のE233系車両を使った千葉行の普通列車が停車中。内房線では京葉線の車両を使った千葉発着の列車が走っているとは聞いていたものの、実際に見るのは初めてだった。この列車は乗ってきた特急さざなみ5号の前を走っていた東京発君津行の通勤快速の折り返し列車。朝夕は京葉線の列車も内房線、外房線、東金線の各線へと向かう。朝夕と日中で運行形態が大きく変わるのも、千葉県のJR路線の面白ポイントの一つではないだろうか。

君津駅からは少し来た道を戻って、この日の宿泊地である袖ヶ浦へ。209系8両編成で運転される普通列車千葉行で、先ほどは通過した袖ヶ浦駅で下車した。この日は駅前の東横INNに宿泊。これで1日目の全ての行程が終了した。
乗車記録 No.8
内房線 普通 千葉行
君津→袖ヶ浦 209系
袖ヶ浦市は木更津市と市原市に挟まれた場所に位置する人口6.5万人の都市。駅の東側が古くからある市街地である一方、反対側も近年宅地開発が行われ、住宅地や商業施設がオープンしている。この日泊まった東横インもその一角に数年前にオープンしている。都内や羽田空港方面からのアクセスは、袖ヶ浦バスターミナルを使う人が多く、駅は市の代表駅としてはこじんまりとしている。
袖ヶ浦と言えば、車のナンバーでよく見かける地名ではないだろうか。独立して市原ナンバーとなった市原市以外の房総半島の市町村の車は、袖ヶ浦ナンバーとなっている。木更津など、もっと房総半島を代表する都市がありそうな気がするが、運輸局が袖ヶ浦に設置されたので、袖ヶ浦ナンバーが誕生した。袖ヶ浦の知名度は車のナンバーになったおかげでグンと上がったのではないだろうか。袖ヶ浦ナンバーの車を見ると、青空のアクアラインを疾走するイメージが勝手に湧いてくる。
2日目はいよいよこの旅の本題。房総半島の旅に出る。
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