【旅行記】京阪電車と京都の中小鉄道を満喫する旅~叡山電鉄鞍馬線と鞍馬ケーブル編~

・展望列車「きらら」に乗って鞍馬に向かう

 1日目の前半は、京阪本線を京都へと向かいながら、交野線、宇治線と石清水参道ケーブルに乗車した。後半は京阪線の終点となる出町柳からさらに駒を進めていく。出町柳で京阪線と接続するのは叡山電鉄。京阪グループに属し、出町柳から八瀬比叡山口へ向かう叡山本線と、途中の宝ヶ池から鞍馬へ向かう鞍馬線の2路線を運行している。鞍馬線の列車も出町柳発着で運転されており、出町柳は両方向に向かう列車が行きかうターミナル駅である。叡山本線、鞍馬線のいずれも未乗だが、1日目は鞍馬線系統の列車で鞍馬へ向かう。
 
 京阪の出町柳駅は地下駅だが、叡山電鉄の駅は地上駅。頭端式のホームは3つののりばがあり、うち1番線は1両の列車のみが入線可能。叡山本線八瀬比叡山口方面の列車が使う。一方2番線と3番線は2両編成が入線可能で主に鞍馬線鞍馬方面の列車が使用する。2番線が使われるのは主にラッシュ時で、基本は1番線と3番線が使われているようだった。2両編成が入る2番線と3番線もかなの手狭で、鞍馬側の先頭車両はホームの先端ギリギリで停車する。安全確保の観点から、ホーム先端へは行けないように柵が取り付けられ、鞍馬側のドアからは乗車することはできない。
 
 鞍馬線の日中は15分間隔の運転となっている。運転されている列車の一部は展望列車「きらら」が使用されており、ダイヤはネット上の時刻表に掲載されている。1本待てば「きらら」に乗れるようだったので、ホームで列車を待った。先発の列車が発車してしばらくすると、オレンジ色の列車が到着。展望列車「きらら」の愛称が付けられた900系電車は、1997年に登場した車両で、2編成が活躍。それぞれオレンジとグリーンに塗装されており、紅葉と新緑のもみじを表現している。大きな窓が特徴的で斜め上を向いた天窓も設置されている。車内の一部座席は外向きに設置されていて、車窓を眺めながらゆったりと乗車できるようになっている。写真は鞍馬からの帰り道に岩倉駅で撮影した乗車した車両である。
 
乗車記録11
叡山電鉄叡山本線・鞍馬線 普通 鞍馬行
出町柳→鞍馬 900系きらら
 
 出町柳を出た列車は、元田中、茶山・京都芸術大学と各駅に停車しながら、京都市街を北へと進んでいく。このあたりではまだ観光客より普段使いの乗客の方が目立つ。叡山電鉄は前降りが基本だが、この日はどの扉からも乗降できるようになっていた。車両基地のある修学院を通って宝ヶ池に到着。ここで走ってきた叡山本線と別れて、鞍馬線へと進んでいく。京都市街の北側に当たる岩倉を通過すると、まもなく景色は山間の景色へと変わる。京都産業大学に程近い二軒茶屋駅が複線区間の終点。次の市原駅までは住宅が広がるが、市原駅からは車窓の景色も緑が溢れる。展望列車もここから本領発揮となる。ここからは鞍馬川に沿って谷間を進んでいく。二ノ瀬駅では反対列車と交換。次の貴船口駅は貴船神社の玄関口で、出町柳方面の列車(乗車中の列車の折り返し)を待つ乗客が長蛇の列を作っていた。さらに山の斜面を縫うように走ると終点の鞍馬に到着した。
 

日本で唯一宗教法人が運行する鞍馬ケーブルに乗車

 展望列車「きらら」で初夏の京都の車窓を楽しみながら到着した鞍馬駅。その名の通り、鞍馬寺への玄関口となる駅で、駅前には門前町が形成されている。乗りつぶしの旅では時々観光地に立ち寄らずにそのままUターンすることが時々あるが、鞍馬の場合にはそれはできない。なぜなら鞍馬寺の中に鉄道路線があるから。このケーブルカーに乗ることがこの日のメインディッシュだった。鞍馬駅を出て、鞍馬川に沿って走る府道38号線へと出る。国際会館や出町柳から京都バスの路線バスも運行されていて、出町柳発着の32系統は、ここからさらに25kmほど山奥へ進んだ広河原まで走っていく。土産物屋が並ぶこの道を進んでいくと、鞍馬寺の入口が姿を現す。
 
 鞍馬寺は770年に鑑真の弟子の鑑禎によって創建されたと伝わる寺院。当初は毘沙門天を祀る場所として創建され、平安京へと都が移った後に、観音菩薩も祀られるようになったと伝わる。源義経ゆかりの寺としても知られ、源義経は鞍馬寺で天狗と修行をしていたという天狗伝説が伝わる地でもある。天狗は時に妖怪として扱われることがあるが、鞍馬では守り神的な存在として扱われている。道路から続く階段を上ると、立派な仁王門が聳えている。この仁王門は山門とも呼ばれており、鞍馬山の入口となる門である。ここで入場料の代わりとなる愛山費を500円を支払って境内の中へと入る。
 
 鞍馬寺の本殿金堂は山門から山道をおよそ20分ほど歩いた場所にある。道中の道は九十九折となっていて、険しい坂道と階段が続く。徒歩で本殿へ行くのなら、ちょっとした登山・ハイキングの服装で行った方が無難。普段運動してない人には結構きつい。そんな鞍馬寺では、足腰が弱い人や年配の参拝者向けにケーブルカーが運行されている。山門を入って階段を少し登ると、普明殿と呼ばれる建物があり、ケーブルカーはこの建物の2階から発着している。足腰が弱いなどの事情がなくても、利用が可能になっているので、片道だけでも利用するとぐっと楽になる。
 
 普明殿の2階へ上がると、そこはケーブルカーの待合室になっている。おそらく講堂として使う場所をケーブルカーの待合所代わりに使っていて、その部屋の奥にあるドアの先がケーブルカーののりばとなっている。係員から案内があるまでは並べられたイスに座って待つ。
 このケーブルカーは、正確には鞍馬鋼索鉄道という名前で、鉄道事業法に基づいて営業される列記とした鉄道路線である。全国で唯一、宗教法人が運行する鉄道路線として知られ、ケーブルカー路線の中でも最短の0.2kmを運行している。運賃は無料なのだが、乗車するには寄進料として200円が必要。券売機で寄進料を支払って、その証明書となる御寄進票をきっぷ代わりに係員に渡すとケーブルカーに乗車できるシステムである。あくまで利用者が支払うのは、ケーブルカーの運賃ではなく、寄進料。営利目的の路線ではないため、運賃ではなく、鞍馬山内の堂舎維持への協力金を納めたお礼にケーブルカーに乗車できることになっている。宗教法人であっても事業の内容によっては、収益事業として法人税等の課税の対象になる事業がある。運送業もその一つとして法人税法に規定されており、ケーブルカーを営業して運賃を受け取ると、収益として扱われ課税対象となる。堂舎維持の寄進料を寄付してもらい、そのお礼としてケーブルカーに乗ってもらえば、非課税扱いにできるというカラクリである。
 
 発車の3分前になると改札が行われ、先ほど券売機で発行した御寄進票を係員へ渡し、ケーブルカーに乗車する。ホームには鉄道路線であることを示すプレートが掲げられていた。麓の駅は山門駅、山上の駅は多宝塔駅という名前で、Google mapで見ても、しっかり鉄道路線として、両駅が掲載されている。勾配は499/1000すなわち499‰(パーミル)。そこからアークタンジェントを使って角度を求めれば26.5度になる。タンジェントなんて見るの何年ぶりだろうか。
 
 乗車したのは牛若號Ⅳの愛称が付けられたケーブルカー。2016年から運行されている鞍馬ケーブル4代目の車両である。見ての通り、ケーブルカーというよりは斜行式のエレベーターに似ている。一般に鉄道とは鉄道事業法に規定された鉄道事業を営むものを言い、乗りつぶし上はそれに軌道法に基づくものを含めて鉄道と呼んでいる。しかし、これはあくまで法律目線の話。設備的に"鉄道"を定義しようとすると案外と難しい。特にケーブルカーと斜行エレベーターはその線引きが曖昧。鞍馬寺のこのケーブルカーも設備的には、普通のケーブルカーよりは斜行エレベーターに似ているが、運行上は立派な鉄道として走っている。寺院が斜行式エレベーターやスロープカーを走らせているところは全国にたくさんある。鞍馬寺はその中で唯一、鉄道事業者となっている宗教法人である。斜行エレベーターとするのか、鉄道路線とするのかの判断基準はネットで調べても出てこなかった。
 
乗車記録12
鞍馬寺鞍馬山鋼索鉄道(鞍馬ケーブル)
山門→多宝塔 牛若號Ⅳ
 
 多宝塔駅までの所要時間は3分ほど。なめらかな走りで山上へと登っていく。運行中車内では、「鞍馬山のお堂を維持するためにご協力いただきありがとうございます」と放送が流れ、鞍馬寺が信仰するものとは何かについての案内放送が運行中終始流れている。それと同時に標高がぐんぐんと上がり、視界も開けていく。鞍馬ケーブルは斜行式エレベーターと似た仕組みのため、車両が登ると、反対につり合いの重りが降りてくる。一般のケーブルカーの場合はこのつり合いの重りが反対方向へ向かうもう一つの車両になっているので、構造が全く異なっている。全国でもこの構造を取るケーブルカーは鞍馬ケーブルと青函トンネル記念館のケーブルカーだけらしい。
 
 面白い鉄道との出会いもまた旅の一つの楽しみ。鞍馬ケーブルの終点多宝塔駅に到着し、これで鞍馬鋼索鉄道の乗りつぶしも完了となった。鉄道と一言でいうものの、いろんなバリエーションがある。それが鉄道の面白さであり、乗り鉄の面白さだと思う。
 このケーブルカーを使えば、本殿金堂へ向かう山登りの8割はしなくてよくなるが、決して本殿の前まで直行できるわけではない。多宝塔から本殿の入口へは山の中を10分ほど歩く必要があり、本殿の入口から本殿までは階段をかなり登らなくてはならないので、その覚悟は忘れずに。ケーブルカーを降りて本殿へ向かう道は、鳥のさえずりが山に響く静かな道だった。
 
 本殿の下まで到着。ケーブルカーの駅からここまでは、ほとんど勾配なく来ることができるが、ここから先は階段をかなり登っていく必要がある。沿道に植えられているのはもみじの木。紅葉の時期はきれいに色づききれいなんだそう。この日は若葉の新緑がとても美しかった。蒸し暑いながらも真夏の暑さではなかったのが幸い。それでも息を切らしながら、階段を上って本殿へと向かった。
 
 本殿金堂へと到着。この本殿金堂の中には千手観音菩薩、毘沙門天王、護法魔王尊が安置されている。3つの像は60年に1度の寅年に開帳される秘仏で普段は見ることができない。ケーブルカーの車内放送でも案内があったが、鞍馬寺の信仰するところは、大自然を平等に生かす宇宙エネルギー。これを鞍馬寺では尊天と呼び、本殿金堂に安置されている3つの像は、それらの象徴となっている。鞍馬寺は鞍馬弘教と呼ばれる天台宗系の新宗教。独立したのは昭和22年で、宇宙を尊崇する思想は、神智学の影響を受けていることに由来するらしい。仏教と神智学が融合したのが鞍馬寺。確かに他の仏教寺にはない世界観を感じる。オカルトとかパワースポットが好きな人は是非旅してみるといいかもしれない。
 
 本殿金堂からの帰りはケーブルカーに乗らずに自力で九十九折の道を歩いて帰った。下り坂だったので思ったより楽だったが、たぶん上りはかなりきついはず。砂利道になっているので滑らないように歩くのが大変だった。静かな森の中を歩くこと20分ほどでケーブルカーの山門駅がある普明殿まで下山。ここには自販機があるので、飲み物を買って休憩し、鞍馬駅へと戻った。鞍馬駅の前には鼻の長い立派な天狗が設置されている。叡山電鉄が設置したもので、ちょっとした撮影スポットになっていた。土産物屋でも天狗にちなんだ小物がたくさん売られていた。
 

叡山電車で鞍馬から岩倉へ向かい、徒歩で国際会館へ

 鞍馬からは再び叡山電鉄に乗り込んで途中の岩倉駅へと向かった。帰り道に乗車したのは写真の800系電車。2両編成で鞍馬線を支える主力車両となっている。車内はロングシートとなっていて、観光向けの「きらら」と異なり、通勤通学を支える車両となっている。車窓を見て帰りたかったので、帰りは一番後ろに立って乗車することにした。
 
乗車記録13
叡山電鉄鞍馬線 普通 出町柳行
鞍馬→岩倉 800系
 
 鞍馬駅を出た列車は、鞍馬川に沿って京都市街地を目指し走っていく。この15分後には京都市街を走っているとは思えない山間ののどかな景色が車窓に広がる。列車は山の斜面に沿ってクネクネとカーブを曲がり坂道を降りて行った。次の貴船口駅はこの時間も相変わらず混雑していて、大体の座席はこの駅で埋まった。鞍馬寺の本殿金堂からは貴船神社の方へも歩いていくことができる。鞍馬と貴船を両方楽しむなら、鞍馬で降りて貴船へ向かい、貴船口から電車に乗るといい。
 
 二ノ瀬駅と市原駅の間はもみじのトンネルが車窓に広がる区間として有名。紅葉の時期はライトアップされた紅葉が車窓に広がる中を電車が走っていく。秋の京都の風物詩の一つになっていて、この時期はこの電車もかなり混雑する。二ノ瀬駅を出てすぐに渡る鉄橋は、叡山電鉄の撮影地として有名。紅葉と電車を一緒に撮影できる場所になっている。車窓は次第に市街地へと移り変わっていった。
 
 次の路線を目指すため、出町柳行の列車を途中の岩倉で下車。時間があったので、ここで鞍馬行の電車を何便か撮影してから駅をあとにした。次に乗車するのは京都市営地下鉄烏丸線。烏丸線の国際会館駅は岩倉駅から15分ほど歩いた場所にあり、徒歩でもアクセスすることができる。岩倉は京都盆地の北側に位置し、盆地の中でさらに山に囲まれた、盆地の中の盆地となっている場所である。繁華街から離れた閑静な住宅街で、岩倉駅の周りも住宅街が広がる。また、岩倉と国際会館の間には学校が多く、京都市立の小中学校のほか、同志社小学校・中学校・高等学校が立地している。駅の鞍馬方に小さな岩倉川が流れており、この川に沿って走る道を進めば、国際会館へとたどり着くことができる。
 
 15分ほど歩いて国際会館駅に到着。駅の東側には比叡山が見える。この山には2日目に登る。国際会館はその名の通り国立京都国際会館の最寄り駅。駅の南側に同施設がある。この駅は岩倉地区の玄関口となる駅で、烏丸線がこの駅まで開業したのは1997年と比較的最近の話。地下鉄が開通したことで、当時叡山電鉄鞍馬線しかなかった同エリアと京都駅や京都繁華街がぐっと近くなった。駅に併設してバスターミナルがあり、そこから京都市街や岩倉・鞍馬の各方面へのバスも運転されている。実は国際会館には以前来たことがあり、これが2回目の訪問。前回来た時は夜だったので、周りの景色をあまり見れなかった。
 

国際会館から近鉄奈良へ駆け抜ける急行を乗り通す

 改札へ入ってホームへ降りると竹田行の10形電車が停車していた。今回は乗る列車を決めているので、この列車には乗らない。今回の旅では京都の旅だが宿泊地を大阪とした。これから大阪へと帰るのだが、大阪から京都への行き帰りをいろんな手段を使って楽しむ。1日目の往路は京阪の各停縛りで京都へと向かった。1日目の復路は、京都から大阪へ直接帰るのではなく、一旦奈良を経由する近鉄ルートで大阪のホテルへ向かう。
 
 乗車したのは近鉄3200系で運転される急行近鉄奈良行。国際会館から烏丸線を竹田へ走った後、竹田から近鉄京都線・奈良線を経由して近鉄奈良駅まで向かう列車である。この列車に全区間乗車して、奈良へ寄り道して大阪へと向かう。地下鉄線内でも急行を名乗るこの列車だが、地下鉄線内は各駅に停車。竹田からの近鉄線内で急行運転を行い、近鉄丹波橋、桃山御陵前、大久保、新田辺、新祝園、高の原、大和西大寺、新大宮に停車して奈良へと向かう列車である。
 
乗車記録14
京都市営地下鉄烏丸線 近鉄京都線・奈良線
急行 近鉄奈良行 国際会館→近鉄奈良 近鉄3200系
 
 近鉄京都線と相互直通運転ほ行っている烏丸線。近鉄へと直通する列車の多くは新田辺発着の普通で、1時間あたり1~3本が運転されている。一方、急行は平日奈良方面8本、国際会館方面11本、土休日奈良方面10本、国際会館方面9本が運転されており、地下鉄へ直通する全列車が国際会館・近鉄奈良間で運転されている。近鉄京都線では近鉄京都駅発着の急行も運転されており、京都線内ではそれらに混じって走る。近鉄京都発着の急行の多くは、橿原神宮前や大和西大寺、天理発着で運転され、近鉄奈良へと向かう列車は意外と少数派である。今回乗車したのは近鉄の車両だが、時間によっては京都市営地下鉄の車両が使われる列車もある。その際には市営地下鉄の車両が市どころか県境を越えて走る姿を見ることができる。
 国際会館を出て、京都の繁華街の地下を抜け、多くの乗客を乗せた列車。しかし、混雑も京都駅までで、この駅で多くの乗客を降ろした。その後は、混雑することなく、近鉄奈良へ京都線を快走していった。地下鉄を使う乗客の多くは、短距離移動の地元客。奈良方面へ向かう乗客の多くは近鉄京都を使うので、おそらく京都発着の急行の方が混んでいると思われる。大和西大寺からは奈良線へと進み、国際会館からおよそ1時間15分で終点の近鉄奈良へと到着した。
 

近鉄奈良で折り返し阪奈特急で大阪へ

 奈良では改札を一旦出てから入り直し、すぐに大阪難波行の特急に乗り込んだ。乗り換え時間はわずか8分。大和西大寺で乗り換えれば、そのまま乗り換えられるが、これはあくまで鉄道を楽しむ旅。せっかくなら前の列車を終点まで乗り、この列車に始発から乗りたいというのが鉄道ファンの性である。大阪と奈良を結ぶ近鉄奈良線の特急は阪奈特急と呼ばれ、朝夕のラッシュ時に運転される列車が多い。運行区間の短さの割にいろんな車両を楽しめるのが阪奈特急の特徴。大阪線特急への車両の送り込みも兼ねている列車もあるので、中には新型特急ひのとりで運転される列車もある。アーバンライナーや伊勢志摩ライナーで運転される列車もある。今回は土休日ダイヤで奈良発の最終の特急となる列車に乗車。12400系サニーカー4両編成での運転で、ひのとりや伊勢志摩ライナーの車両からすればどうしても設備面で劣るが、それでもとても快適に移動できる。サニーカーやビスタカーなどの古参車両もあと何年活躍が続くかわからないから早めに乗っていたほうがいい。近鉄奈良線と言えばやはり生駒トンネルの大阪側に広がる大阪平野の絶景は見逃せない。トンネルを抜けると夕暮れの大阪平野を見ることができた。今回旅した京都から大阪へ近鉄京都線と奈良線で向かうルートには思い出がある。10年前、京都が水害に見舞われ、初めて特別警報が発出されたとき、旅行中で京都に宿泊していた。嵐山では桂川が氾濫し、大きな被害が出たが、新幹線もJR京都線も阪急も京阪も運転を見合わせていて、大阪へ向かうにも全く身動きが取れなかった。そんな中で平常運転で動いていたのが、近鉄京都線だった。京都から大和西大寺を経由して難波へ、特急2本を乗り継いで京都から大阪へ向かったのを覚えている。
 
乗車記録14
近鉄奈良線 特急 大阪難波行
近鉄奈良→大阪難波 12400系
 
 ちなみにこの列車の特急券は前々回の神戸の旅の途中に、阪神神戸三宮駅の近鉄特急券窓口で購入しておいた。阪神では神戸三宮駅で近鉄の特急券の発売を行っている。特急券をきっぷとしてほしい場合、大阪では難波や天王寺(阿部野橋)まで出向く必要があり、新大阪や梅田には近鉄の窓口は当然ながらない。三宮で買えるというのはかなり便利だった。
 特急列車に終点の大阪難波まで乗車し、地下鉄で宿泊先の新大阪のホテルへ。京阪電鉄と鞍馬を巡った1日目の旅が終わった。2日目も引き続き京都の中小鉄道に乗車し、京都府の全線完乗を目指す。
 
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