【旅行記】大阪で未乗路線を巡ったあと青森で青函トンネル記念館ケーブルカーに乗車する旅~大阪で千里エリアの未乗路線を巡る編~

1泊2日で大阪と青森を巡る弾丸旅行へ

 2023年秋に出かけた「北東北の鉄道路線を巡る旅」では、青森県の津軽半島最北端である龍飛崎を訪れた。当初の計画における龍飛崎訪問の最大の目的は、青函トンネル記念館のケーブルカーに乗車ことだった。しかし、旅行日の1ヵ月前に車両台枠の亀裂が生じるトラブルが発生し、ケーブルカーは年内運転日の全日運休が決定。残念ながら、この時はケーブルカーに乗車することは叶わなかった。ケーブルカーには乗れなかったものの、龍飛崎観光は予定通り実施。青函トンネル記念館にも訪れて、青函トンネルに関する展示を見学した。
 ケーブルカーに乗りに再びここへ訪れると心に誓って半年が経過。ケーブルカーは無事に修復され、今年4月19日の記念館の営業再開と共に運転を再開した。運転再開したなら、早速乗りに行かねばということで、今後の旅行計画とにらめっこ。その結果、当初関西を巡る予定としていた今回の旅に、無理矢理青函トンネル記念館再訪を組み込むことになった。
 結果として、今回は、大阪と青森という遠く離れた場所を飛行機を使って1泊2日(前泊あり)で巡る弾丸旅行を実行することになった。過去の旅行を思い返しても、ここまでぶっ飛んだ旅程は初めてだった。
 もともと巡る予定にしていた大阪では、阪南エリアを中心に未乗路線を巡る予定にしていた。しかし、青森に行くことになったので、これは先送りとした。その変わりに伊丹空港にほど近い千里エリアの未乗路線を主に巡っていく。千里エリアでは今年3月、北大阪急行電鉄南北線の千里中央-箕面萱野間が延伸開業した。もちろんこの延伸区間にも乗車していく。
 具体的な旅程は次の通りである。前日のうちに関西入りし、今回は尼崎駅前のホテルに一泊。尼崎で迎えた1日目は、大阪府内でOsaka Metro長堀鶴見緑地線、北大阪急行電鉄南北線延伸区間と大阪モノレールに乗車。その後伊丹空港から飛行機で青森空港へワープし、空港から弘前を経由して新青森駅に向かい、ここで一泊する。翌日は早朝から北海道新幹線で奥津軽いまべつ駅へ向かい、そこから津軽線代行バス、外ヶ浜町営バスを使って青函トンネル記念館へ。ケーブルカーを含む体験坑道を訪れた後、青森駅へ向かい、青森空港から羽田空港経由で九州へと戻る。今年は各地で梅雨入りが遅れている。計画段階では、梅雨の真っ只中か、中休みの旅行になると予想していたが、旅行日時点では東北はおろか近畿すら梅雨入りしておらず、にわか雨はあったものの、天気は基本的に良好だった。

前旅
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前泊した阪神尼崎駅から阪神なんば線でドーム前へ

 大阪で前泊する時は基本的に新大阪駅前のホテルを使うが、たまには新大阪以外の場所にも泊まってみたかったので、今回は尼崎駅前のホテルに宿泊した。予約サイトでは大阪府の梅田エリアに含まれる兵庫県の尼崎エリア。阪神電車を使えば、10分もせずに梅田へ着くことができ、梅田に宿泊するよりも若干宿泊費が安くなるというメリットがある。甲子園に近いこともあり、野球ファンの利用も多いらしい。宿泊した日は試合がなかったが、ホテルにはタイガースのグッズが置いてあった。阪神電車に乗った回数はもはや覚えていないが、阪神尼崎駅の改札外に出るのはこれが初めてだった。駅前はロータリーと公園があり、公園の一部分がロータリーの上に乗っかる構造をしている。ホテルを6時にはチェックアウトして、大阪と青森を跨ぐ1日目の旅程がスタートした。
 
 尼崎からは最初に乗車する未乗路線、Osaka Metro長堀鶴見緑地線に乗車するため大正駅へと向かった。行き方はいろいろあるが、京セラドームを見てみたかったので、阪神なんば線でドーム前駅へ向かい、京セラドームを経由して大正駅まで歩くことにした。朝7時台以降になると神戸三宮-近鉄奈良間で運転される快速急行もやって来る土休日ダイヤの尼崎駅大阪難波方面だが、それより早い早朝時間帯は、普通、準急、区間準急が発着している。準急・区間準急ともに通過駅があるのは近鉄奈良線内に入ってからであり、阪神なんば線内は各駅停車となる。乗車したのは区間準急近鉄奈良行だった。
 
乗車記録 No.1 阪神なんば線 区間準急 近鉄奈良行 尼崎→ドーム前 近鉄9820系
 
 
 阪神なんば線の列車をドーム前駅で下車した。名前の通りここはオリックスバファローズが本拠地とする京セラドーム大阪の最寄り駅である。隣接してOsaka Metro長堀鶴見緑地線のドーム前千代崎駅があり、乗り換えることもできる。長堀鶴見緑地線の起点となる大正駅はドーム前から徒歩10分ほどで着く。京セラドームを外から眺めて歩いて大正駅へと向かった。
 

京セラドームを眺めて大正駅へ

 この日はオリックスとヤクルトの交流戦が午後からプレイボール予定だった京セラドーム。時刻はまだ7時なので、まだ人の姿はほとんどなかった。実は自分はヤクルトファン。別に狙ったわけでもなんでもなく、偶然ヤクルト戦開催期間中に京セラドームへやってきた。何かヤクルト戦ならではのものが置いてないかなと思ったが、全て屋内に片付けられてしまって何もなかった。数日前にはここで奥川恭伸投手が実に980日ぶりの勝利投手となった。野球を見たいのは山々だが、京セラでの野球観戦はまたの機会に。UFOのような京セラドームは子供の頃はちょっと不気味だなと思っていた。大阪環状線を走る223系0番台と京セラドームを写した写真が鉄道雑誌に載っていたが、223系0番台もまたちょっと不気味な顔立ちで、その写真が子どもながらに怖かったのを覚えている。
 
 京セラドームから尻無川沿いへ出て、そこから岩松橋を渡って大正駅へ。JRの大阪環状線と直角に交わる府道173号線の下に長堀鶴見緑地線の大正駅はある。大正駅は下町の雰囲気が漂う。海に近い工場地帯とその周辺り街並みを見ると大阪に来たなと思う。大阪環状線を走るオレンジ色の201系が走っていると尚更大阪の下町の風情があったが、今はもうその姿はない。
 

長堀鶴見緑地線を乗り通す

 大正駅からは長堀鶴見緑地線に乗車した。旅行日時点でOsaka Metroの未乗路線は長堀鶴見緑地線、今里筋線、谷町線の3路線となった。大阪に来るたびにちょこちょこ乗車しているOsaka Metroの路線。今回も1路線に乗車していく。長堀鶴見緑地線は大正駅から門真南駅までを心斎橋、森ノ宮、京橋などを経由して走る路線である。1990年に鶴見緑地で開催された国際花と緑の博覧会の開催に合わせ、京橋-鶴見緑地間が最初に開業。その後両端が延伸されて現在の区間となった。この路線には今から15年ほど前にも一部区間で乗車したことがあり、区間の中間部分の心斎橋~京橋間のみは乗車済みの区間となっている。今回はそんな長堀鶴見緑地線の全線に乗車していく。
 大正から終点門真南までの所要時間は32分。大正を出た列車はまもなく阪神なんば線との乗り換え駅であるドーム前千代崎に停車。その後は木津川に沿ってやや北上し、次の西長堀の手前から玉造駅付近までは長堀通の下を走っていく。大正駅ではガラガラだったが、各駅から乗客が乗り込んできて、心斎橋を過ぎても引き続きやや混雑した状態が続いた。玉造からは再び北上し、大阪環状線の西側を通って京橋へ。京橋から先は京阪線とJR学研都市線の間を北東方向へと進み、鶴見区へ至る。JR学研都市線・おおさか東線の放出駅もギリギリ鶴見区に含まれるが、鶴見区を横断していく路線はこの長堀鶴見緑地線が唯一となっている。長堀鶴見緑地線の車両基地である鶴見緑地検車場は、鶴見緑地駅の南側にあり、スイッチバックせずに出入りができる隣の横堤駅には当駅発着の区間列車が設定されている。鶴見緑地検車場は近くを走る今里筋線の車両の検車場も兼ねており、鶴見緑地の北側にある鶴見緑地北車庫とは鶴見緑地公園の地下を走る連絡線で接続されている。
 
乗車記録 No.2 Osaka Metro 長堀鶴見緑地線 門真南行 大正→門真南 70系
 
 終点の門真南駅に到着。駅名が物語るようにここは大阪市ではなく門真市。Osaka Metroはもともと大阪市営地下鉄だったが、区間の端部が大阪市街に飛び出している路線が多い。長堀鶴見緑地線の終点門真南もその名の通り門真市内に駅があり、およそ500mだが大阪市外を走る区間がある。長堀鶴見緑地線を完乗し、残すOsaka Metroの未乗路線は今里筋線と谷町線の2路線のみとなった。なお、来年には万博会場となる夢洲への中央線の延伸区間が開業予定。これら3路線は万博が始まる来年春までには乗り終えたいと思っている。最初に御堂筋線を完乗してからもうすぐ10年となる。いい加減乗りつぶさないといけない。
 

門真南で折り返し京橋へ

 門真南駅は近畿道から第二京阪道路が分岐する門真JCTのほぼ真下に駅がある。地上へ出るとジャンクションの高架橋が見えた。駅前のバスロータリーには大阪駅行きの大阪シティバスが停車していた。この後は大阪・梅田駅を経由するので、このバスに乗車することも考えたが、バスだと1時間弱かかり、道路混雑に巻き込まれる可能性もあるので今回はパスした。このほか、京阪バスのららぽーと門真行のバスと、平日1便だけ京阪門真市駅へ行くバスがある。まだ少し先の話になりそうだが、大阪モノレールが現在の終点の門真市駅から南へ延伸する予定である。ここ門真市にも駅が設けられる予定となり、そうなれば、鉄道同士の乗り換え駅へと生まれ変わる。
 駅の隣には大阪府立門真スポーツセンター東和薬品RACTABドームがある。春から夏にかけては水泳競技、冬はスケート、秋にはテニス、バレー、バトミントン、卓球など、様々な競技が開催可能なドームらしい。この日は大阪府内の高校の水泳大会が開かれていて、会場を待つ高校生で賑わっていた。
 
 さて、門真南駅からは折り返して、次の未乗路線、北大阪急行電鉄南北線の延伸区間へと移動していく。当初の予定では、長堀鶴見緑地線を心斎橋まで戻って、心斎橋で御堂筋線に乗り換える予定だったが、地下ばっかりでは面白くないので、京橋で降りて大阪環状線を使うことにした。なお、門真市にはこの後大阪モノレールでもう一度戻って来ることになる。
 長堀鶴見緑地線はリニア地下鉄の一つ。長堀鶴見緑地線では写真の70系のほか、同じリニア地下鉄である今里筋線から移設してきた80系も活躍している。車両は普通の地下鉄より一回り小さい。70系電車は日本ではじめてシングルアームパンタグラフを装備した車両なんだとか。デザイン的に新しく見えるがもうすぐ投入から35年が経過する。
 
乗車記録 No.3 Osaka Metro 長堀鶴見緑地線 大正行 門真南→京橋 70系
 
 門真南から乗車した列車を京橋で下車。ここで長堀鶴見緑地線から大阪環状線へと乗り換えた。長堀鶴見緑地線の京橋駅は京阪・JRの京橋駅からやや離れた場所に駅があり、地上を少し歩く必要がある。天王寺方面へ向かうなら、京橋駅より森ノ宮駅の方がスムーズに乗り換えられる。長堀鶴見緑地線の京橋駅の上には京橋コムズガーデンと呼ばれる公園と商業施設を組み合わせた施設がある。そこを通ってJRの京橋駅へ向かった。
 

ちょっとだけ大阪環状線を利用して大阪へ

 京橋からはちょっとだけ大阪環状線に乗車して大阪駅へ。せっかく大阪に来たのだから、ちょっとだけでもJR西日本の車両にも乗車しておきたい。乗車したのは天王寺始発の大和路快速加茂行。天王寺から大阪環状線を一周して、大和路線経由で奈良・加茂へ向かう列車。大阪環状線を周回して、奈良や和歌山、京都方面へ向かうこの運行形態、宇宙探査機が重力を利用して加速するスイングバイに似ているので、一部で大阪環状線スイングバイと呼ばれているとかいないとか。いろんな方面へ向かう列車が行き交う大阪環状線。鉄道ファンにとっては見どころの一つだが、鉄道に詳しくないと攻略するのは難しいかもしれない。
 
乗車記録 No.4 大阪環状線線 大和路快速 加茂行 京橋→大阪 221系
 

北大阪急行南北線の延伸区間に乗車する

 次に乗車する未乗路線は北大阪急行電鉄南北線の延伸区間である。北大阪急行電鉄南北線はOsaka Metro御堂筋線の北端である江坂駅から千里中央駅までを結ぶ路線だった。それが今年3月に延伸され、終点が千里中央から箕面萱野へ少しだけ北上した。御堂筋線の終点である江坂駅は吹田市内に駅がある。大阪市から飛び出た御堂筋線の続きの区間の運行を担っているのが北大阪急行である。
 北大阪急行は阪急阪神グループの一員であり、自社車両であるポールスターこと8000系、9000系車両の内装は阪急の車両によく似ている。鉄道会社の分類では準大手私鉄というものに分類される。この準大手私鉄に分類される鉄道路線はこのほか、山陽電気鉄道、新京成電鉄、泉北高速鉄道、それに線路施設のみを保有する神戸高速鉄道がある。このうち新京成と泉北高速鉄道はそれぞれグループ会社である京成電鉄、南海電鉄に吸収されることが既に決まっている。そうなると準大手私鉄に分類される鉄道会社は3社となり、いずれも阪急阪神に関わりがある企業ばかりということになる。山陽電気鉄道は阪急阪神グループには属さないが、阪神が筆頭株主となっており、神戸高速鉄道を介して直通運転を行っている。
 
 梅田から箕面萱野行きに乗車。新大阪までは頻繁に利用する区間だが、新大阪から先は久しぶりの乗車となった。実は新大阪から先も江坂までの区間は数年前まで結構頻繁に使っていた時期があった。しかし、最近は行かなくなってなんだかんだ5年以上ぶりの乗車となった。江坂からは北大阪急行南北線に入る。過去の乗車記録を見てみると北大阪急行を完乗したのは2014年9月とのこと。それから乗車していないので、約10年ぶりの乗車ということになった。千里中央から延伸区間に突入。終点の箕面萱野までの間には箕面船場阪大前駅も設けられている。箕面船場阪大前を出ると沿線にも田畑が広がり、山が近づいて来る。梅田から約25分で列車は終点の箕面萱野に到着した。
 
乗車記録 No.5 Osaka Metro御堂筋線 北大阪急行南北線 箕面萱野行 梅田→箕面萱野 31(30000)系
 
 まだ真新しい箕面萱野駅に降り立った。箕面萱野駅は阪急箕面線の箕面駅、阪急千里線の北千里駅との間のおよそ中間点に位置しており、両駅からの直線距離は2kmほどとなっている。駅は高架駅だが、線路の行き止まりの先にはキューズモールという商業施設があり、北口に関してはホームの先に改札から、そのままキューズモールの2階に繋がっている。当駅から発車するのはそのほとんどがなかもず行き。ただし平日は3本、土休日には1本だけ天王寺止まりの列車も運転されている。なお、当駅の開業により、これまでお馴染みだった千里中央が起終点となる列車は、完全に消滅している。
 
 駅の外へ出てきた。駅前のロータリーからは阪急バスの路線バスが各方面へ発着している。もともとこのあたりの路線バスの運行拠点は千里中央駅だったが、北大阪急行の延伸開業に伴い、路線バスの運行系統が再編され、千里中央から延伸区間を経由して走っていたバス路線の多くが箕面萱野駅発着に改められている。ここから箕面有料道路経由で箕面森町や豊能町方面へ走るバスももともとは千里中央駅から出ていたが現在は箕面萱野駅発着である。この日は日曜日だったため、勝尾寺へ向かうバスのりばには行列ができていた。
 

阪急バスで大阪モノレールの彩都西駅へワープ

 北大阪急行電鉄南北線の延伸区間を乗りつぶした後は、大阪モノレールを乗りつぶしていく。大阪モノレールは門真市から大阪空港間を結ぶ本線と、万博記念公園と彩都西駅間を結ぶ彩都線の2路線がある。今回は大阪空港をゴールとしたいので、ここから鉄道路線だけを使って乗りつぶすとなると、箕面萱野→千里中央→万博記念公園→彩都西→万博記念公園→門真南→大阪空港と乗り換えて行く必要がある。この旅程だと、箕面萱野から彩都西までの区間でも3本の列車を乗り継がねばならず、彩都線を単純往復する形となるので、なんだか面白みがない。そんなときに役に立つのが路線バス。ありがたいことに箕面萱野駅からは阪急バスの彩都西駅行が多数運転されている。今回はこのうち、箕面萱野始発で彩都粟生南を経由する23番のバスで彩都西駅へと向かった。
 
 23系統のバスは箕面萱野駅から一端北上し、新御堂筋の終点で右折。その後は府道9号線を東へ向かい郊外の住宅街を走る。粟生外院交差点で左折すると、箕面粟生住宅の西側を走り北上。そこから府道4号線へと入り、その先で彩都ニュータウンへ向かう彩都トンネルへ向かう道路へ入った。ヘアピンカーブで勾配を稼ぎ、走ってきた府道4号の上をオーバーパスする。車窓には大阪平野を一望することができた。彩都トンネルを出ると彩都ニュータウンが広がり、整然と住宅街が広がる中を進行。そのまま道なりに進んで終点の彩都西駅に到着した。
 
乗車記録 No.6 阪急バス[23]彩都西駅行 箕面萱野駅→ 彩都西駅
 
 箕面萱野駅からおよそ20分で終点の彩都西駅に到着。路線バスを使って効率的に移動することができた。彩都は正式には国際文化公園都市という名前で、茨木市と箕面市の市境付近に広がるニュータウンである。丘陵地を開発して作られたニュータウンのため、緑が多く、山がすぐ近くまで迫っている。大阪市中心部までは少し離れているものの、現在もニュータウンは開発途上でバスの車窓からは造成中土地や建設中の戸建て住宅が見えた。街びらきから25年ほどと比較的若いニュータウンで、住宅やマンションも比較的新しいものが多い。今回は箕面側からやってきたが、彩都西駅からは阪急茨木市へ向かうバスも発着している。
 

大阪モノレール彩都線で万博記念公園へ

 彩都西駅からは大阪モノレールに乗車する。大阪モノレールは大阪空港と門真市を結ぶ本線と、その途中の万博記念公園から彩都西駅を結ぶ彩都線の2路線を運行している。大阪モノレールはモノレール運行距離が国内で最も長い鉄道会社である。本線と彩都線の2路線を運行していると述べたが、これら路線名は通称であり、正式には本線を大阪モノレール線、彩都線を国際文化公園都市モノレール線という。国際文化公園都市モノレール線は国内の鉄道路線名としては最長となっている。
 今いるのは彩都西駅だが、彩都には彩都駅は存在しない。当初の計画では、ニュータウンの開発状況を見て、彩都西駅から先も延伸する計画で、彩都西駅は本当は途中駅になる予定だった。しかし、ニュータウンが当初の計画よりは発展せず、大阪モノレールは2019年に彩都西駅から先の延伸計画を断念している。
 今回はここから彩都西→万博記念公園→門真市→大阪空港と乗車していく。この日は休日だったので、休日満喫1dayモバイルチケットを利用した。ジョルダンアプリで発売されている土休日ダイヤ限定の1日乗車券で、発売価格は700円。今回の経路の所定運賃は万博記念公園で一旦出場した場合1250円となるので、550円もお得に乗車することができた。使い方も簡単で、アプリに表示されたQRコードを有人窓口の端末に読み込ませて、OK画面が出たら通過できる仕組みだった。
 
 少し時間があったので、ホームから彩都西駅に到着する列車を撮影してみた。やってきたのは新型車両の3000系。2018年から投入された車両で現在は4編成が活躍する。これまで大阪モノレールには蛍池~大阪空港間で数回利用したことがあったが、その時は全て3000系に乗車していた。4編成しか活躍していないということは結構運が良かったらしい。
 
乗車記録 No.7 大阪モノレール彩都線 万博記念公園行 彩都西→万博記念公園 3000系
 
 撮影した列車の折り返し列車の万博記念公園行に乗車して、彩都西から万博記念公園へ。彩都線の所要時間は12分ほど。途中には豊川、阪大病院前、公園東口の3駅が設置されている。区間のはじめは茨木市の郊外を走り抜ける。豊川駅までの区間は田畑も多く、造成中の住宅地も車窓に見えた。大阪大学吹田キャンパスの東側に位置し、大阪大学医学部付属病院に直結する阪大病院前駅を出ると、その後は万博記念公園の外周を周って公園東口へ。万博記念競技場を横目に公園東口を発車すると、中国道と門真市方面から続くモノレールの上を通り、終点の万博記念公園駅に到着した。
 

万博記念公園駅名物のポイント切替を眺める

 大阪モノレールの一つの見どころといえば、万博記念公園駅のポイント。まっすぐ走る本線の頭上から彩都線が合流し、駅ホームの手前で平面交差する構造になっている。各方面の列車が通過する度にポイントが複雑に動き、列車の進路を構成する。国内のモノレールで複線の線路同士が交わる場所というのはここだけ。彩都線はかなり高い場所を走っていくので天空のモノレールと呼ばれたりする。
 
 しばらくすると門真南行の列車が発車していった。本線から彩都線が分岐する部分は2線が4線に分岐。駅ホームへの分岐では2線が3線に分岐している。ポイントは列車の進路に合わせて複雑に動く。ポイントが動くのを見ているだけでも楽しい。門真南行発車後はポイントが動いて、今度は中線のホームから彩都線への進路が開通。まもなく彩都西行の列車が発車していった。
 
 日中の彩都線の列車は、写真を坂を登って、カーブしたあたり(中国道の真上付近)ですれ違うダイヤになっている。彩都西行の列車が坂を登ると、まもなく彩都西からの万博記念公園行が姿を現し坂を下りてきた。その間に駅ホームへのポイントが動き、彩都西からの列車が中線へと入って来る。列車到着後は両側の扉が開き、数分で本線の両方向の列車と接続する。ポイントも今度は本線側へと動いて、列車の通過を待つ。モノレールのポイントは一体どんな構造になっているのか、そしてどんな制御で動いているのかとても気になった。
 

太陽の塔とモノレールを撮影

 万博記念公園では乗り換え時間を設けていたので、改札の外へ出てみた。日曜だったため、駅は万博記念公園やエキスポシティに訪れる人たちで混雑していた。万博記念公園と言えばやはり太陽の塔。駅からも54年前の大阪万博のシンボルとなった立派な塔を見ることができる。太陽の塔は一度中国道を走るバスの中から見たことがあるが、しっかり見たのは今回が初めてだった。来年は大阪で55年ぶりに万博が開かれる予定。今回の開催地である夢洲では急ピッチで工事が進んでいるらしい。
 
 駅からエキスポシティへ続く通路からもいい感じでモノレールを撮影することができた。太陽の塔を眺めたあとにやってきたのは、大阪万博開催50年を記念したラッピング列車。大阪モノレールでは、来年の万博のラッピング列車も走っていて、新旧の万博ラッピング列車を楽しむことができる。50年記念ラッピング列車は2色の落ち着いたデザイン。正直これを大阪モノレールの正式な塗装にしても似合うような気がする。
 

万博記念公園から門真市へ

 万博記念公園から門真市行に乗車して、終点の門真市駅に到着した。本線は中国道と近畿道に沿って建設されており、終始高速道路が隣を並走している。JR京都線とは接続駅がなく、その先の南茨木で阪急京都線と接続する。その先は摂津市内を走行。JR東海の鳥飼車両基地の南側を走る区間がモノレールの見どころの一つ。大量に留置された新幹線を眼下に見下ろす。淀川を渡ると谷町線と接続する守口市の大日駅に到着。駅はイオンモールに直結しており、利用客が多かった。大日駅を出ると、守口市から門真市へと入り、終点の門真市駅に到着。万博記念公園からの所要時間は18分だった。
 
乗車記録 No.8 大阪モノレール本線 門真市行 万博記念公園→門真南 1000系
 
 門真市駅から南側を眺める。ここには留置線が設けられており、門真南駅で折り返す列車は一度留置線に引き上げて、大阪空港方面ののりばに入って来る。大阪モノレールは現在、門真市から瓜生堂間の延伸工事が実施されている。建設工事は遅れており、当初2029年頃の開業が予定されていたが、最近数年遅れる見通しであることが明らかになった。終点の瓜生堂では、近鉄奈良線が新駅を開業させて接続する予定のほか、門真南では長堀鶴見緑地線、鴻池新田ではJR学研都市線、荒本では近鉄けいはんな線と接続する予定となっている。開業は10年先になるが、延伸した際にはまた門真市駅にも訪れたい。
 
 改札外へ出て来た。京阪の門真市駅とモノレールの門真市駅はほぼ直角に交わっている。駅の周りは住宅街が広がっているが、北東側にはパナソニックの工場がある。門真と言えばパナソニック。その象徴とも言える光景だった。駅の南側には商業施設と団地を複合した門真プラザがある。パナソニックの工場が周辺に多いためか、駅周辺には東横インやアパホテル、スーパーホテルなどのホテルチェーンも多数ある。門真市から大阪市中心部までは20分~30分ほどなので、少し離れたここに泊まるというのも場合によってはアリかもしれない。
 

門真市から大阪空港へモノレールを乗り通す

 さて、門真市からは大阪空港までモノレールを乗り通して、大阪モノレールの本線を完乗した。門真市から大阪空港までの所要時間は約40分。所要時間は長めだが、眺めがいい高い場所を走っていくので、景色を眺めながら大阪空港へ向かうことができた。
 
乗車記録 No.9 大阪モノレール本線 大阪空港行 門真南→大阪空港 2000系
 
 大阪モノレールは蛍池~伊丹空港間だけは、過去に伊丹空港アクセスで何度か使ったことがあり、未乗区間は蛍池まで。蛍池到着をもって、大阪モノレールの全線完乗となった。また、大阪モノレールの完乗により、国内で現在営業されている8会社10路線のモノレール路線全てに乗り終えることができた。東京都交通局上野懸垂線(上野モノレール)とスカイレールサービス広島短距離交通瀬野線にも乗車済みだったが現在までに廃止されてしまった。
 
 さて、今回予定していた大阪府内の未乗路線巡りも大阪空港駅で終了。短い時間ながら、延伸して間もない北大阪急行それに国内最長となる大阪モノレールなど大阪府内の鉄道路線を巡ることができた。ここからは2日目の青函トンネル記念館ケーブルカー乗車に向け、青森への移動を開始する。伊丹空港からは、JALの青森空港行に搭乗して、一路青森を目指した。
 
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